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スマホが引き起こすのは、首や肩の痛みだけだと思っていませんか?実はあなたのその腰痛は、スマホを見る姿勢が原因で起きているかもしれません。スマホを見る姿勢が腰痛を引き起こすメカニズムから、正しい姿勢までお伝えしていきます。

スマホを見る姿勢が腰痛を引き起こすのはなぜ?

腰痛を引き起こさないようにスマホの姿勢まで気を付けている方はあまりいないかもしれません。コロナで在宅ワークが増え、自宅で過ごすことが増えるとスマホを見る機会も増えているのではないでしょうか。実は、悪い姿勢でスマホを見ることは腰痛を貯金していると例えられるほど腰に影響があります。まずは原因を見ていきましょう。

体に不自然な負荷がかかって骨盤が歪みやすい

スマホを見ているときの姿勢を想像してみてください。たいていは前かがみにうつむいてみています。実は、この姿勢が骨盤に影響してしまうのです。うつむくと、首と頭の境目の骨が広がってしまいます。この状態で長時間座っていると、お腹に力をいれずお尻の後ろまでベタッとつける仙骨すわりという座り方になります。これにより、まっすぐ立っているはずの骨盤が後傾します。又、片手で持つことによりどうしても片側に重心がくるので骨盤が傾いてしまいます。以上により、スマホの姿勢は骨盤を歪みやすくするものといえます。

スマホを覗く首の角度でストレートネックになりやすい

スマホを覗いている人によく見られる、顔がうつむき加減で、両肩が前へ入り込み、猫背姿勢ですが、なんと、人は1日平均2~4時間この姿勢をしているそうです。首の骨は本来カーブを描いているのですが、約5キロと言われる頭を支えた首がずっと前のめりでいる影響でストレートネックになりやすくなります。ストレートネックによって首の柔軟性が失われ、首の痛みや肩こり、眼精疲労、頭痛だけではなく、体の姿勢全体及び骨盤の位置へも影響がでます。その結果、猫背や反り腰状態による腰痛が引き起こされます。

前かがみ姿勢が続くことで背骨のS字がキープできにくい

先に述べたように、前かがみになることで首の後ろ部分が引っ張られストレートネックになります。そうなると、背骨の自然なS字カーブが崩れてしまいます。人は、背骨のS字カーブにより、頭や腕の重さを支える筋肉の負担が減り、腰や膝の動きが保たれ、内臓も健やかに機能します。首からお尻まで背骨はつながっています。首に起こった不具合は腰まで影響があるのです。

同じ姿勢が続くことで筋肉の硬直が起こりやすい

スマホは、いわば小さなパソコンですよね。遊びからコミュニケーション、仕事や勉強まで何でもできてしまうので、なかなかやめることができずに時間が経ってしまうのではないでしょうか。長時間同じ姿勢でいると、特に負担のかかっている筋肉部分の血行が悪くなり、そこから痛みが生じます。一度ご自分の腰を触ってみてください。押すと固く痛みがあるようでしたら筋肉の硬直が起きていると考えられます。

場面別 スマホを見るときのベストな姿勢を解説

体に負担があるとわかっていても、スマホ使用をやめるわけにはいきませんよね。正しい姿勢という観点から、日常生活のシーン別に健全なスマホの使い方をご紹介していきます。まずは、ここからはじめてみると、腰痛や肩こりをはじめとする体の不調に変化がみられるのではないでしょうか。

立っているとき(電車、待ち時間など)

本来身体に負担の少ない姿勢は、背骨のS字カーブが保持された状態です。立っているときはこのカーブが保持されやすいのですが、あくまで体も顔も正面を向いた状態が前提です。立っているときにスマホを見るポイントは以下の通りです。

足は肩幅ほどに開き、親指の付け根、小指の付け根、かかとの3点に体重を乗せ重心をとるように意識しましょう。
背中は無理にそらさず、横から見たときに、耳・肩の先・ウエストの真ん中・骨盤の少し出ているところ(大転子)・くるぶしが一直線に まっすぐ並ぶようにして立ちましょう。お腹の底から頭に引っ張られているような感覚を持ちながら立つと反り腰の防止になります。
腕の位置は、巻き肩にならないで自然に挙げられるくらい前方持ってくると疲れにくいと言われています。

座っているとき(電車、会社、食事の席、自宅ソファなど)

立ち姿勢での腰への負荷を1とすると、ただ椅子に座っている状態だけで、腰への負荷は1.4倍にもなります。更に、スマホ操作のためにうつむき姿勢で猫背になっている方、電車などでよく見ますよね。

猫背姿勢が悪化すると腰から丸くなる姿勢となり、そうなった場合腰への負荷は1.85倍まで上がってしまいます。それらを予防するために、座っているときにスマホを見るポイントは以下です。

膝と股関節を110度程度に開き、骨盤の上に腰椎がまっすぐに乗っていることを意識して座りましょう。よく言われる膝と股関節の角度を90度にする座り方は、よほど筋力がしっかりしていないと反り腰から腰痛を引き起こすこともあるのでおススメしません。

正しい姿勢を保ったまま、太ももの長さの半分と目線を結んだ位置よりやや先にスマホがくるように持つのが腰に負担のない座り方です。

寝転んでいるとき(寝る前、くつろいでいるときなど)

寝る前の布団の時間でスマホを楽しむ方、自宅でゴロゴロしながらスマホを楽しむ方も多いのではないでしょうか。残念ながら基本的に寝転びスマホは、どんな姿勢でもNGとお考えください。特に腰部への負担が生じやすい寝転び方は、腹ばいで上半身が持ち上がった状態です。

また、寝転ぶ姿勢はスマホとの距離が保ちにくいので、首や目に負担がかかりやすくなります。寝転びスマホは基本的にどんな姿勢でもNGです。どうしても寝転んでスマホを見たい方は、スマホスタンドを使いましょう。

猫背が続いたときの応急処置

いくら意識しようとしても、ふと気がつくと猫背の状態でスマートフォンを操作してしまうこともあるでしょう。
そんなときは猫背を解消するストレッチで体のケアを行えば、腰痛を予防・緩和できます。
また、目の疲れも腰痛の原因になることがあります。
目の疲れを取る方法もご紹介しますので、スマートフォンを見た後や寝る前に取り入れてくださいね。

ストレッチ1

1.ラクな姿勢で座るか、両足で立つ。
2.両手を体の後ろで組み、手首と肩甲骨を寄せる。
3.手は下に、胸と目線を天井に向かって持ち上げる。
4.胸に向かって息を吸い込むようなイメージで呼吸を繰り返す。
5.1の姿勢に戻る。

ストレッチ2

1.ラクな姿勢で座るか、両足で立つ。
2.両手を組んで後頭部に添える。
3.息を吸いながら頭を手に預けるように目線を上げる。
4.肘を広げて胸を天井に向かって突き出し、ゆっくりと呼吸を繰り返す。
5.1の姿勢に戻る。

ストレッチ3

1.ラクな姿勢で座るか、両足で立つ。
2.顎を引いて目線を下に落とす。
3.息を吸いながら首を上に向けてぐるっと回し、目線を天井に送る。
4.息を吐きながら首を下に向けてぐるっと回し、2の姿勢に戻る。
5.3回繰り返した後、反対回しも同様に行う。

パーミング

1.両手のひらを合わせ、こすり合せる。
2.手のひらが温まったら目を覆うように目にかぶせる。目は閉じておく。
3.手の温かさを感じながら、ゆっくりと呼吸を繰り返す。
4.数回まばたきを繰り返し、目が光になれたらそっと手を下ろす。

ツボ押し

晴明(せいめい)

眼精疲労やドライアイに効果的なツボです。
目頭のやや上、鼻よりの位置にあるくぼんだとこにあるので、鼻をつまむように優しく押しましょう。

太陽(たいよう)

目の疲れや頭痛に効果的なツボです。
こめかみの近くにあるくぼんだところを、人差し指で円を描くように押しましょう。

攅竹(さんちく)

目の疲れや充血に効果的なツボです。
眉頭の近くのくぼみにあるので、下から押し上げるようなイメージで優しく刺激しましょう。

更に意識するとよいスマホを使うときのポイントとは?

スマホ

長時間同じ姿勢で休憩なしの使用は避ける

同じ姿勢で同じ個所が圧迫されたり、同じ筋肉が緊張したり続けると、血流が滞りがちになります。また、丸めた背中が胸部を圧迫して呼吸が浅くなり、そのせいで疲れやストレスを感じやすくなってしまいます。1時間に一度は休憩をしましょう。

姿勢の物理的ストレスと、疲れからくるストレスの軽減により、姿勢だけではなく作業効率を上げる面でも好ましいと言えます。又、目とスマホの距離は、一般的には20~30cm程度は離した方が良いと言われています。

合間にストレッチをする

休憩をする際に、ただスマホをやめてボーッとするのではなく、立ち上がってストレッチをしましょう。肩を回す、腰をもむ、お尻から足にかけて伸ばす、手先をグーパーするなど、使った筋肉の血流をよくしましょう。

スマホを持つ手を変える

実は片手よりも両手の方が腕と方への負担が大きいという研究結果があります。片手ずつ交互に手を使いましょう。

ただ、片方の手で持ち続けると、どうしても重心が偏りがちです。持ち手は変えましょう。自宅で座っているときはスマホスタンドを導入してみましょう。手で支える必要がなくなる分、腕から肩にかけての負担が減るので、筋肉の緊張や背骨への負担を減らすことができます。

腰痛があるときの改善方法

入浴やマッサージなどのリラックスが基本

スマートフォン操作が原因の腰痛の場合、疾患起因の腰痛ではないので、身体の安静やリラックスが肝になってきます。まずはスマートフォン操作から離れる時間をつくり、じっくり入浴したり、他者にマッサージしてもらったりすることで腰痛の改善を図れるように挑戦してみましょう。

腰痛が落ちついていれば軽い運動も効果的

腰痛がひどくなければ(動くことで疼痛の増強がなければ)、軽い運動や正しい姿勢でのウォーキングを取り入れて、同姿勢でいることや長時間のスマートフォン操作から離れるようにしてみましょう。腰痛改善だけでなく健康促進にも効果的になるので一石二鳥ですね。

薬剤の使用

腰痛がひどく、日常生活にも影響を及ぼしてしまっている場合もあります。きっかけはスマートフォン操作だったとしても、この場合には治療が必要な症状が出現している可能性も否定できないので医療機関を受診して、薬剤の使用をしましょう。

疼痛の緩和では一時的な症状の解消にしかなりません。症状が落ち着いた際には、日常生活の改善にも挑戦してみましょう。

スマートフォン依存がある場合根本的な治療も検討すべき

スマートフォン依存症になってしまっている場合には、一時的に腰痛を解消できたとしても繰り返し発症してしまう恐れがあり、根本的な腰痛解決とは言えません。「依存症外来」などの専門外来を受診することが最適な場合もあります。

また、通常の整形外科ではスマートフォン依存症に対して指摘されることは、あまりないかもしれません。スマートフォン依存症の心当たりがある方は自分の意志を持って専門外来を受診してみましょう。

まとめ:スマホを見るときは正しい姿勢で休憩をとり、腰痛を予防しよう

スマホを見る姿勢が誤っていると首だけではなく、腰痛を引き起こすことを実感いただけたのではないでしょうか。前かがみ、仙骨座り、片側に重心をかけるのは首の骨や骨盤の歪みを引き起こし腰痛につながります。

毎日多くの時間手にするスマホなので、体に影響がない正しい姿勢で使いたいところですよね。姿勢をよくするためには、特別な運動ではなく、日常生活動作を正すことが近道と言えます。ますはスマホの姿勢から取り組んでみましょう。あなたのその腰痛が改善する一歩になりますように。

参考:携帯情報端末利用時の姿勢変化について
国際医療福祉大学小田原保健医療学部理学療法学科
島田 真衣,松田 真季,藤江 亮太,野村 悟,粟飯島辰樹,藤井菜穂子
URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2013/0/2013_1128/_pdf/-char/ja

参考:片手より両手操作が危険?スマホ症候群による腰痛症状
https://allabout.co.jp/gm/gc/417353/
参照:スマホを見るベストな姿勢って? スポーツ医監修「スマホしぐさ」研究
URL: https://bicsim.com/column/special/200116090000.html

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

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自分の体の状況(病態)を正しく理解し、セルフマネジメントできるようになることが私たちの目的です。

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著者情報

大竹 美恵子(おおたけ みえこ)
大竹 美恵子(おおたけ みえこ)

保有資格

看護師、保健師

経歴

外科で看護師として勤務ののち、製薬企業で治験のオペレーション業務に携わる。

現在アメリカでマーケティングを勉強中。

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