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はじめに

重い物を持ち上げたときに、急に腰が痛くなった経験をしたことがある人は少なくないと思います。重い物を持ち上げたときに急になる腰痛を「ぎっくり腰」という人も多いです。
重い物を持ち上げる動作は、腰痛を引き起こしてしまう原因の一つとして厚生労働省からも注意喚起されています。(※1)すでに腰痛がある人は、状態を悪化させないためにも腰に負担のかかる動作を避ける必要があります。
もちろん腰痛がない人も、腰痛にならないように予防が大切です。今回は腰痛になりやすい重い物を持ち上げるときの動作の注意点と一工夫を紹介したいと思います。

重い物を持ち上げる動作はどれくらい危険?

日常生活の中でも、重い物を持ち上げる動作はたくさんあります。例えばスーパーでたくさん買い物した荷物を持ち上げるときや、家の中で机を運ぶとき、庭の植木鉢を運んだり、お引っ越しをするときに普段運ばない家具を運んだりと、重い物を持ち上げる動作はふとしたきっかけで急にやってきます。
重い物を持ち上げる動作では、何も持っていないときと比較して持ち上げる重い物の重量分また姿勢によってはその重量の何倍もの負担が腰にかかります。もともと腰痛がある人や、仕事で重い荷物を持ち上げる動作をする必要がある人、普段の運動量が少なく体力、筋力に自信がない人は特に注意が必要です。
一度腰痛を起こしてしまうと日常生活に不便を感じることも多く、場合によっては生活が困難になる場合もあります。

以下の代表的な腰に負担をかける姿勢、動作には特に注意しましょう。

腰を曲げて床から重い物を持ち上げる動作

ひざを伸ばして腰を曲げた状態で床から重い物を持ち上げると、何も持っていないときの2倍の負担が腰にかかります。

→改善策

床から物を持ち上げるときは、自分では軽いと思う物でもひざを曲げて持ち上げるようにしましょう。重心を落として重たい物を持ち上げることで腰にかかる負担が少なくなり、ひざを曲げることでひざの筋力で荷物を持ち上げることができます。

体から遠いところにある重い物を持ち上げる動作

自分の体から離れたところにあるものに手を伸ばして持ち上げると、何も持っていないときよりも11倍もの負担が腰にかかります。

→改善策

自分の体から離れたところにある物を持ち上げる必要がある場合は、なるべく荷物を体に寄せてから持ち上げるようにしましょう。荷物を運ぶ場合も同様で、荷物をお腹の前で抱えるようにして荷物を重心に寄せるといいでしょう。

高いところにある重い物を持ち上げる動作

自分の目線の高さ、またはそれよりも高いところにあるものに手を伸ばして持ち上げる動作は、背骨全体、特に腰への負担が高い動作です。

→改善策

自分の目線よりも高いところにある物を持ち上げる場合、踏み台などを活用して自分のいる位置を高くするといいでしょう。

例えばキッチンなどでよく使うものは、自分の目線よりも下に置いておくといいでしょう。また、洗濯を高いところに干している人は、物干しの高さを少し低くしたり、踏み台を用意することで動作の負担が改善します。

体を捻った状態で重い物を持ち上げる動作

後ろを振り返った姿勢で物を持ち上げる動作も腰に負担をかけてしまいます。座った状態で後ろを振り返って何かを持ち上げる動作も危険ですが、立った姿勢で体を捻って重たい荷物を持ち上げる動作は特に危険です。

→改善策

体を捻った姿勢では基本的に重量のある物を持たないほうがいいでしょう。軽い物でも油断は禁物です。十分に注意しましょう。

無理な体勢で重い物を持ち上げる動作

上記に該当しない姿勢や動作でも、不自然な体勢や、届くか届かないかぎりぎりの場所にあるものに手を伸ばしたり、重い物を持ち上げる動作は腰に負担をかける可能性が高いです。

→改善策

無理な姿勢はその姿勢をとること自体が腰の負担になっていることがほとんどです。手に荷物を持っているときは尚更注意が必要です。重い荷物を運ぶ必要がある場合は、回数を分けて荷物を運ぶようにしたり、自分の能力を過信せずに無理のない範囲で運ぶようにしましょう。

これは仕事中や筋力トレーニングの際も同様です。無理な姿勢や動作での仕事や、負荷の高すぎる筋力トレーニングは避けるように注意しましょう。
👉筋トレが思わぬ腰痛の原因かも!?正しく身体を鍛えるためのジムトレーニング

ー重い物を持ち上げるときになりやすい腰痛の原因

重い物を持ち上げる動作でなってしまう、俗に言うぎっくり腰では、骨、関節、軟骨、筋肉などの部位にダメージを受けていることが多いです。医学的には急性腰痛症と大きくまとめられ、さらに画像診断によって椎間板ヘルニア、圧迫骨折、脊椎滑り症、坐骨神経痛などの疾患名がつくことがあります。

ー急性腰痛症になってしまったときの初期対応

基本的な初期対応は、痛みのない、または痛みの少ない姿勢での安静維持です。上向きの状態で寝た場合、ひざの下にクッションなどを置いてひざを曲げた状態で寝ると腰への負担が軽減し、痛みが楽になることがあります。上向きが難しい場合は、ひざを曲げた状態で横向きになって寝る姿勢でもいいでしょう。

安静で痛みが軽減する場合、2〜3日様子を見るといいでしょう。通常1週間程度で痛みは軽減していきますが、日常生活動作が困難な程度の強い痛みや、痛みが長引く場合は早めに医師の診断を受けるようにしましょう。
また、万が一足の痺れがある場合やトイレが我慢できなくなった場合、上手く歩けなくなってしまった場合はぎっくり腰が原因で神経に問題が起こってしまった可能性があります。これらの症状がある場合は様子を見るのではなく、すぐに受診する必要があります。

仕事などでどうしても重い物を持ち上げる必要がある場合は?

引っ越し業や介護職、建設業など、重たい物を持ち上げる動作が避けられない仕事に就いている人もいるでしょう。重たい物を持ち上げないように、無理のないようにと心掛けていても、忙しい業務の中で時間的に余裕がないと無理をしてしまうこともありますね。

しかし、急性腰痛症は一度発症してしまうと、繰り返し症状が起こってしまう傾向にあるため、予防が一番大切なのです。腰痛が発症した状態で仕事を続けることになる場合、我慢できる範囲だったとしても腰痛を持ったまま重たい物を持ち上げる必要のある業務に就くのは大変なことです。思い物を持ち上げる必要のある業務に就いたばかりのときは特に注意が必要です。まだ体

が業務内容に慣れていないため、無理はせずに少しずつ体を慣らしていくようにしましょう。

仕事上で重たい物を持ち上げる必要がある場合は、普段から自分の体力作りも大切です。ストレッチや筋力トレーニングなどを継続して、重たい荷物を持ち上げられる体を作っておくことで腰痛を予防できます。

腰痛予防にストレッチがおすすめ

腰痛、肩こり、首こり・・・すべての関節痛や筋肉痛にも言えることですが、筋肉や関節の可動範囲を広げることは予防に大事なことです。

①朝起きた時に布団の中で伸びをする。
②膝を抱えて丸まる。
③また全身を伸ばす
④起き上がったら大きく伸びをする。その際に反り腰気味の方は腰の位置に注意する。
⑤反り腰の方は腰を落として膝を軽く曲げ、ちょうどパンツで覆われる部分を少し上向きに持ち上げて、その状態で膝を伸ばす。
⑥腰が痛いからと腰を反らすのもほどほどにしましょう。反り腰が酷くなると腰痛は酷くなります。

体重管理も腰痛予防のひとつ

重たい荷物を持ち上げる場合、姿勢によっては荷物の何倍もの負荷が腰にかかることになります。さらに体重が重たいと、荷物の重さに加えて自分の体重も腰への負担となってしまいます。例えば1ℓの水を手で抱えた場合、それが大体自分の1kg分の体重だと考えてみましょう。

自分の体重がいかに腰に負担をかけているかが手にとってわかると思います。自分の適正体重はBMI(体重kg/身長mの二乗)を計算するといいでしょう。この数値が25を超える場合は肥満に該当し、腰痛予備軍ともいえます。有酸素運動でダイエットを心掛けるとともに、睡眠や生活の質を高めていきましょう。

さいごに

腰痛はふとしたきっかけでやってきます。重たい荷物を持ち上げるときは、普段の何倍もの負担が腰にかかるためいつも以上に注意が必要です。記事内で挙げた腰痛になりやすい姿勢や動作には特に注意して、普段から腰痛予防を心がけて生活していきましょう。

骨や筋肉、関節は一度ダメージを受けてしまうと完全に治すのはなかなか難しい消耗品とも考えられます。年齢に関わらず自分の体を大切に扱っていくことが肝心です。健康寿命が長いことで、いくつになっても前向きな人生を送れるようになりますよ。

参考:日本整形外科学会

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

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