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「歩けないほど足が痛い」という症状が見られる場合、一般的な腰痛よりもかなり危険度が高いと言えます。病気によっては、治療が遅いと障害が残ることや命に関わることもあるので、腰や足の痛み・しびれがひどいなら、早急に医療機関にかかるのがおすすめです。

今回は歩けないほど足が痛い腰痛の原因となり得る代表的な病気を紹介します。坐骨神経痛の治療法についても解説するので、参考にしてください。

「間欠性跛行」が見られる代表的な病気2例

しばらく歩くと足の痛みやしびれが強くなって歩けなくなるが、少し休むと症状がましになって歩けるようになる、という状況を「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」と言います。これが見られる場合、第一に考えられるのは「腰部脊柱管狭窄症」と「閉塞性動脈硬化症」が考えられます。

高齢者に多い腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症は、加齢に伴う脊椎の変性をはじめとする様々な理由で、神経が通る脊柱管が狭くなり、腰痛や坐骨神経痛が起こる病気です。主な原因は加齢であることから、高齢者に非常に多く見られます。

脊柱管は骨と椎間板、靭帯で構成されていますが、年齢を重ねるとともに、骨と椎間板は変形し、靭帯は厚くなっていきます。それらによって脊柱管が狭くなって、中の神経が圧迫されると、腰や足の痛み・しびれが起きるのです。症状は自然寛解することもありますが、重症化して歩行障害や排尿・排便障害を引き起こすこともあります。そうなれば手術が必要ですが、神経のダメージがひどいと、手術しても完治は難しいとされています。ただし、たいていの場合、手術をすれば、翌日から歩けるようにはなります。

危険性が高い閉塞性動脈硬化症

間欠性跛行が見られる病気として、もう一つ考慮すべきなのが閉塞性動脈硬化症です。これは下肢の大動脈がつまることによって、血流が悪くなり、下肢の痛みやしびれを引き起こす病気です。糖尿病や高血圧症などの基礎疾患がある人や喫煙者に多いとされています。

この病気は、脊柱管狭窄症に比べて危険度が高いです。放置しておけば、乳がんや大腸がんなどよりも重篤な病気になり得ます。足の痛みはだんだんとひどくなって、次第には歩けなくなり、下肢が壊死して切断しなければならないこともあります。また脳卒中や心筋梗塞などを引き起こして、命を落とすケースも珍しくありません。間欠性跛行を放っておくと、5年後には4、5割が死亡すると言われているので注意しましょう。

脊柱管狭窄と動脈硬化の違い・何科を受診すべきか

腰部脊柱管狭窄症と閉塞性動脈硬化症は、どちらも間欠性跛行が代表的な特徴である病気ですが、両者には違いもあります。脊柱管狭窄症の場合は、腰を曲げるような姿勢を取ると、症状が和らぐことが多いですが、動脈硬化症の場合はあまり
みられません。
具体的に言うと、普通に歩くと痛くなるがショッピングカートを押しながらだと楽に進める、自転車には問題なく乗れるという場合は、脊柱管狭窄症の可能性が高いです。一方でそうした特性が見られないなら、閉塞性動脈硬化症を含めた他の病気が疑われます。なお、何科を受診するかですが、腰部脊柱管狭窄症を疑う場合は整形外科、閉塞性動脈硬化症を疑う場合は循環器内科に行きましょう。

坐骨神経痛を伴うその他の腰の病気

腰部脊柱管狭窄症以外にも、坐骨神経痛を伴う病気は色々あります。以下ではその代表例をいくつか紹介します。

20代にも多い腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアは、腰椎への過度な負担や加齢などによって、腰椎と腰椎の間でクッションの役割を果たしている椎間板が突出し、神経を刺激して腰痛・坐骨神経痛が出る病気です。脊柱管狭窄症は主に高齢者がなる病気ですが、椎間板ヘルニアは20代や30代の働き盛りの若者でも発症します。

仰向けに寝転んで、片足をあげて痛みやしびれが出るようなら、可能性があります。急性期には患部の炎症による、強烈な痛みを伴うことも多いです。

脊柱管狭窄症に似た症状が出る腰椎すべり症

腰部脊柱管狭窄症と同様の症状が出る腰の病気としては、腰椎すべり症が挙げられます。これは何らかの原因で腰椎がずれることによって、脊柱管が狭くなり、痛みやしびれが生じる病気です。「分離すべり症」と「変性すべり症」という2種類に分類することができ、前者はスポーツをしている思春期の少年に、後者は中年の女性によく見られます。

梨状筋症候群や脊髄腫瘍などの可能性も

脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニア、すべり症などに比べると確率は低いものの、梨状筋症候群の可能性も考えられます。これは股関節付近にある梨状筋という筋肉の炎症や緊張などによって、坐骨神経が障害され、痛みやしびれが生じる疾患です。

また脊柱管内部にできる腫瘍によって神経が圧迫され、症状が出ることもあります。脊髄腫瘍は原発性なら多くが良性で、手術によって腫瘍を取り除けば、以後はほとんど再発しません。

坐骨神経痛の治療法を紹介

ここからは様々な原因で起こる坐骨神経痛を改善するための方法を紹介していきます。

基本は保存療法・程度によっては手術

腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどの腰の病気である場合、医療機関では、まずは保存療法を試すことが多いです。薬物を投与したり、けん引を行ったりして、症状の改善を図ります。そうした処置を続けても一向に良くならない場合や、排尿・排便障害が見られるなど重度の場合は、手術療法が用いられることもあります。

やってはいけないことは「神経症状の軽視・放置」

坐骨神経痛の対処法として重要なのが、「下肢のしびれを甘く見ない」ということです。強み痛みがないからといって、足腰のしびれや鈍痛を放っておく人がいますが、神経は一定以上のダメージを受けると、完全には回復しません。本当は手術が必要な状態であるのに放置しておくと、取り返しのつかない事態になることもあるため、しびれがある場合は早めに医療機関を受診してください。

腰の病気ではありませんが、閉塞性動脈硬化症は予後の良くない病気です。早期発見・早期治療ができないと、高い確率で死に至るので注意しましょう。

ウォーキングやストレッチの習慣をつけるのがおすすめ

腰痛や坐骨神経痛を予防・改善するためには、適度な運動、特にウォーキングが有効です。また腰部脊柱管狭窄症や閉塞性動脈硬化症では、日頃から歩く習慣がないことによって、間欠性跛行に気がつかず、重症化するまで発見できないケースがあります。そのため、病気を見つけて早期治療を行うためにも、ストレッチを行いながら歩くことを習慣づけることは大切です。また、肥満も腰を反ることで負担となります。ウォーキングによるダイエットを行いましょう。

病名や運動療法を知りたいなら「腰痛ドクターアプリ」を!

腰痛や坐骨神経痛にお悩みの方は、「腰痛ドクターアプリ」というオンラインサービスを使ってみてください。このサービスでは、オンライン上で自動問診が行われ、それぞれの腰痛の状態や危険度を診断してもらえます。上述の通り、腰痛・坐骨神経痛の原因には様々な病気が考えられるため、適切な対処を行うにはまずは腰をよく調べることが重要です。

「腰痛ドクターアプリ」なら、手軽に専門的な診断が受けられ、尚且つそれぞれの腰痛を改善するための運動療法の動画も提供されます。そのため、腰痛や坐骨神経痛を根本から改善したいという方におすすめです。

痛みやしびれが強い場合は医療機関を受診

間欠性跛行が見られる腰部脊柱管狭窄症や閉塞性動脈硬化症をはじめ、腰痛や足の痛みを伴う病気は、基本的に早期発見・早期治療が重要です。重症化すれば取り返しのつかない状況になることもあるので、「歩けないほど足が痛い」「下半身がしびれる」といった症状がある場合は、早急に医療機関を受診し、治療、投薬、リハビリを受けましょう。また慢性的な腰痛・坐骨神経痛を根本的に解消したい方には、「腰痛ドクターアプリ」もおすすめです。

【参考URL】
東京腰痛クリニック, 「長い距離が歩けない」,
https://www.tokyo-itoortho.jp/arukenai/
東京腰痛クリニック, 「坐骨神経痛とは」,
https://www.tokyo-itoortho.jp/zakotu-shinkeitu/
松田整形外科記念病院, 「腰部脊柱管狭窄症 ~ 足がだるくなって長く歩けない方へ」,
https://www.matsuda-oh.com/treatment/012/
市民健康づくり講演会(2018), 「歩くと足が痛くなる病気〜元気で歩けていますか〜」,
https://www.machida.tokyo.med.or.jp/wp2/wp-content/uploads/2018/12/20181105a.pdf
製鉄記念八幡病院(2019), 「足の痛みやしびれで困っていませんか?腰部脊柱管狭窄症」,
https://www.ns.yawata-mhp.or.jp/content/items/155
OMRON(2010), 「vol.83 坐骨神経痛…軽く考えずに対策を」,
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/83.html
あんしんクリニック, 「腰の痛み」,
http://www.anshin-clinic.com/faq-koshi/
東邦大学医療センター佐倉病院(2011), 「整形外科的歩行障害〜腰部脊柱管狭窄症など〜」,
https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/sakura/neurology/information/files/course_20110510_aoki.pdf
恩賜財団 済生会, 「梨状筋症候群」, https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/piriformis_syndrome/#:~:text=%E6%A2%A8%E7%8A%B6%E7%AD%8B%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4%E3%81%AF,%E3%81%A8%E3%80%81%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%81%AA%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

著者情報

腰痛メディア編集部
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