身近な病気のひとつである、腰痛。腰痛を経験したことのある方は多いことと思います。腰痛を改善するには、なにが原因となっているのかを知ることが大切です。自分の腰痛の原因をチェックして、腰痛改善に役立てましょう。
目次
脊椎の疾患によるもの
骨の疾患
腰には腰椎という骨が5つ並んでいるのですが、この骨に障害があると腰痛が起こってしまいます。腰椎が何らかの要因によって折れてしまう、腰椎骨折。きちんと並んでいるはずの腰椎がずれてしまう、腰椎脱臼。背骨が曲がってしまう側弯症。脊椎に細菌が感染して炎症が起こる化膿性脊椎炎など、腰痛の原因となる疾患はいくつかあります。悪性腫瘍が脊椎に転移し、腰椎を破壊することで腰痛が生じることもあります。
椎間板の疾患
椎間板の障害も、腰痛の原因となってしまいます。腰椎と腰椎の間には、クッションの役割をもっている椎間板が挟まれています。この椎間板が損傷すると、スムーズにからだを動かせなくなったり、痛みが起きたりしてしまうんです。椎間板の疾患としてよく知られている椎間板ヘルニアは、正しい位置からはみ出した椎間板が、周りの神経を圧迫してしまう疾患です。椎間板の機能が低下してゆるんでしまうことで腰椎がずれやすくなり、腰椎変性すべり症になってしまうこともあります。
内臓の疾患によるもの
消化器の疾患
腰痛付近の内臓の疾患も、腰痛の原因となります。腰痛付近には、十二指腸、すい臓、胆のうなどの消化器官があります。これらの臓器が炎症を起こしていたり、損傷したりすると、腰痛となって表れることがあるんです。主な疾患には、胆のう炎、十二指腸潰瘍、悪性腫瘍などがあります。
泌尿器の疾患
腰痛付近には、尿管、腎臓などの泌尿器官があります。腎臓が炎症を起こす、腎盂腎炎。からだの中でできた結石が詰まってしまう尿管結石などが原因で、腰痛が起こることがあります。
循環器の疾患
腹部にできた大動脈瘤が、腰痛を生じさせることがあります。腹部大動脈瘤は、大動脈の一部がふくらんでこぶのようになってしまう疾患です。このこぶが破裂しそうになると腰痛が起こることがあると言われているので、注意しましょう。
生理など女性特有のもの
子宮内膜から分泌されるプロスタグランジン
生理前や生理中の腰痛の原因となっているのが、生理時に分泌されるプロスタグランジン。プロスタグランジンは子宮内膜から分泌されるホルモンで、子宮を収縮する働きをもっています。分泌されたプロスタグランジンは子宮内膜と一緒に体外に排出されるのですが、体内にある間は腰痛や腹痛が起きやすくなってしまうんです。普段は腰痛がないのに、生理前や生理中だけ腰痛があるという方は、プロスタグランジンが影響していると考えられます。
女性特有の器官の疾患
腰部付近には、卵巣と子宮があります。そのため子宮や卵巣に疾患があると、それが原因となって腰痛を起こしてしまいます。卵巣や子宮の疾患には、卵巣に腫瘍ができる卵巣のう腫。子宮の内側にできるはずの子宮内膜が卵巣内にできてしまう、チョコレート嚢胞。子宮に腫瘍ができる、子宮筋腫。子宮内膜が子宮の内部以外でできてしまう、子宮内膜症などがあります。卵巣や子宮に疾患があると、生理前や生理中の腰痛が強くなることがあります。生理と関係なく、腰痛が起こることもあるようです。
生活習慣によるもの
腰に負担のかかる姿勢
日常の姿勢が腰の負担となり、腰痛となっている人も多くいます。腰の負担が大きいとされているのが、同じ姿勢で長時間過ごすこと。特に座位は腰部の筋肉を緊張させるため、腰痛が起こりやすくなってしまうんです。筋肉が凝ることで血流も悪くなるため、各器官に酸素や栄養がいきわたりにくくなってしまいます。足を組んで座る姿勢も、骨盤をゆがませて骨盤内や腰部の血の巡りを悪くすると言われています。腰椎と胸椎は繋がっているため、胸椎の状態も腰痛に影響を与えます。背中を丸めた猫背の姿勢でいると、背中や腰の筋力が低下するため脊椎を支える力が弱くなってしまいます。そのせいで腰の筋肉に緊張を与え、腰痛が生じることになってしまいます。
腰に負担を与える動作
腰に負担を与える動作として多いのが、重いものを持ち上げるというもの。重いものを持ち上げようとしたときに腰に痛みが走り、ぎっくり腰になってしまうこともあります。ぎっくり腰の原因はさまざまで、腰をねじったときになることもあれば、何もしていないのになってしまうこともあるようです。腰痛は、腰を不自然にねじったり曲げたりするときに起きやすくなります。
腰にダメージを与える激しい運動
過度なスポーツも、腰部に負担を与えて腰痛を起こしてしまいます。よく知られているものが、スポーツ選手に多いと言われている腰椎分離症です。腰椎分離症は過度なスポーツを行ったせいで腰椎の後ろに亀裂が入り、腰椎が分離してしまう疾患です。その後、腰椎分離症から脊椎分離すべり症に進行してしまうこともあります。脊椎分離すべり症は脊椎がずれ、脊椎の中に通っている神経を圧迫してしまうため、腰痛やしびれなどの症状が出るようになります。
加齢によるもの
骨粗鬆症
年齢が上がるにつれて、腰痛になる割合が増えていきます。その原因となっているのが、骨密度が低下する骨粗鬆症です。人間のからだは年齢とともに骨量がどんどん減り、骨密度が低下していきます。骨密度の低下した骨は中がすかすかになってもろく、骨折しやすくなったり骨が変形しやすくなったりしてしまうんです。女性は閉経後に骨密度の減少が進行するので、男性よりも骨粗鬆症になりやすくなっています。
脊椎のゆがみや筋肉の低下
骨密度の低下に加え、筋肉量の低下も腰痛を起こす原因となっています。腰椎の周りにある筋肉は、腰椎を支える役割をもっています。そのため筋肉量が低下すると、しっかりと腰椎を支えられなくなり、腰をゆがませてしまうんです。腰がゆがむことによって、腰椎や椎間板もずれやすくなり腰に痛みが生じます。腰椎の中には神経の通り道である空洞があるのですが、腰椎がゆがんだりして圧迫されると、その空洞が狭くなってしまいます。そのせいで中を通っている神経を圧迫し、腰部脊柱管狭窄症という疾患になってしまうこともあります。腰部脊柱管狭窄症は高齢者に多い疾患です。
精神的な理由によるもの
ストレスも影響する
心因的な理由から、腰痛が起こってしまうこともあります。強いストレスを感じたときに、腰が痛い、腰が重だるいなどと思うことがあるようです。腰痛の原因が思い当たらないときには、精神的な理由が腰痛の原因となっているのかもしれません。
原因を特定できないもの
原因を特定できないものも多い
腰痛は、原因が特定できないものも多くあります。椎間板ヘルニアや内臓疾患などがある場合には原因がはっきりしますが、疾患は見つからないけれど腰痛があるということも多くあるんです。腰痛の原因はひとつだけではないため、いろいろな要因が重なって腰痛となっていることもあります。
まとめ
腰痛の原因についてご紹介させていただきました。腰痛にはさまざまな原因があり、はっきりと特定できないことも多くなっています。原因が分かっていると腰痛を改善しやすくなるので、症状や生活習慣を見直して原因を考えてみてください。