妊娠中はホルモンバランスの変化や姿勢の変化などにより腰痛に悩む人が多くなります。
普段であれば、気にせず痛み止めの薬を飲んだり、湿布を貼ったりする人も、妊娠中となると胎児への影響が気になってつい我慢してしまうことが多いのではないでしょうか。
でも、できれば薬を飲んで楽になりたいですよね。
そこでこの記事では、妊娠の時期によって胎児にどのような影響があるのか、どのような薬が飲めるのかということについてご紹介します。
正しい知識をつけることで、我慢せず安心して薬を使うことができるようになりますよ。
妊娠中はそれでなくても体の変化が大きく、妊娠していない時と比べてツライことが多いと思います。
この記事を読んでそれらの悩みが1つでも解消されれば嬉しいです。
目次
妊娠中に飲める腰痛の痛みを和らげる薬・湿布
ずばり!
実際に痛みを和らげられる、安心して使える薬はあるのでしょうか?
服用薬と湿布を紹介しましょう。
服用できる鎮痛剤
妊娠中は使用を控えた方がよい鎮痛剤には「非ステロイド性消炎鎮痛薬」にあたるボルタレン・ロキソニンなどがあります。
妊娠中に安心して飲めるのはアセトアミノフェンとされていますが、妊娠初期は長期間使用せず、必要最小限の使用が望ましいです。
具体的に使用できる鎮痛薬はカロナール、そして市販薬ではノーシン錠がおすすめです。
引用:楽天「ノーシン錠」https://item.rakuten.co.jp/rakuten24/x507770h/
ちなみに腹痛や胃痛に使うブスコパンも使用可能です。
湿布は服用薬じゃないし大丈夫?
湿布や塗り薬は、その範囲にだけ効くものだと思っていませんか?
実は、皮膚から吸収された薬は全身に巡ります。
そのため、妊娠中は湿布薬や塗り薬も使っていいものかを医師や薬剤師に確認してから使用するようにしましょう。
妊娠中の湿布については、2014年に厚生労働省から妊娠後期における湿布の一部を禁忌するという改訂がありました。
ロキソニンテープⓇや、モーラステープⓇなどは、「非ステロイド性抗炎症薬」にあたるもので、使用を続けていると胎児の心臓などに影響を与える恐れがあるということです。
妊娠中に使える消炎鎮痛薬は、アセトアミノフェンとサリチル酸メチルという成分の薬です。
参考までに、市販の貼り薬であればアセトアミノフェンとサリチル酸メチルの成分を使っているものを紹介しておきます。
引用:楽天「サロンパスA」https://item.rakuten.co.jp/sundrug/4987188100325/
この成分の湿布であれば使用可能ですが、必ず医師または薬剤師に用法・用量を確認してから使用してください。
妊娠時期別にちがいます。薬が胎児に及ぼす影響
妊娠中の薬は、種類や量、併用薬、服用した時期によって及ぼす影響も違います。
では、時期を区切って見てみましょう。
妊娠前~3週末
まずは妊娠前から3週末までです。
妊娠を希望して日頃から意識していない限り、この時期に薬を飲まないでおこうと気をつけていることは少ないと思います。
そして、思ってもいない妊娠で喜んだのもつかの間、「そういえばその時期に薬を飲んでしまった!どうしよう。」と心配になってはいませんか?
もし、影響があった場合は、着床できずに流産してしまうこととなります。
しかし、あまり深刻に考えないでください。
もちろん絶対大丈夫とは言い切れませんが、この時期は薬の影響はほとんどないと言われています。
妊娠が順調に経過していれば、問題はなかったととらえて大丈夫ですよ。
妊娠4週~7週末
次は妊娠4週から7週末までです。
受精から2週間経った頃から胎児の器官の形成が始まります。ちょうど月経予定日を過ぎて月経がこなくなった妊娠4週の頃ですね。
胎児の心臓や神経、脳・胃腸・手足など重要な器官が形成され、薬の影響を最も受けやすい時期です。
薬の影響としては、奇形を起こす可能性があります。
自分の判断で服用せず、早めに医師に相談しましょう。
「今まで日常的に飲んでいた薬やサプリメントはどうしよう?」と思った方はいませんか。
今まで飲んでいた薬を飲まなかったことで、お母さんの病気が悪化し、赤ちゃんが成長しなくなったり、先天的な病気が起こったり、最悪の場合はお腹の中で亡くなってしまうこともあります。
妊娠中でも必要であれば薬を使います。お母さんが健康でなければ、赤ちゃんの健康にとってよくないこともあるからです。
妊娠中でも飲めるお薬に変えたりする場合もあります。
持病がある人・日常的に薬を飲んでいる人は自分で判断せずに、妊娠がわかったらまずはかかりつけの先生や産婦人科医に相談しましょう。
妊娠8週~15週末
次は妊娠8週から15週末までです。
つわりのあるお母さんは一番つらい時期ですね。
でも、赤ちゃんはぐんぐん成長しています。
男女の性の分化や末端器官が形成される時期です。
薬の影響としては、手足が短くなったり、目や鼻が小さくなったり、低体重症などの影響がでる場合があります。
重要な器官の形成は終わって薬の影響はやや低くなりますが、妊娠4カ月ぐらいまでは薬は慎重に使いましょう。
15週の頃には胎盤の形と機能が完成します。
胎盤を通して赤ちゃんはお母さんから酸素や栄養をもらい、二酸化炭素や老廃物をお母さんに戻して呼吸や消化・循環などを行います。
お母さんの健康がとても大事ですね。
食事も栄養あるものを食べましょう。
妊娠16週~分娩まで
最後に妊娠16週から分娩までです。
この時期ぐらいから赤ちゃんは耳が聞こえると言われています。
お母さんはお腹に話しかけたり、胎動を感じたり妊娠期間中で一番楽しい時ではないでしょうか。
また、もしかしたら性別がわかるかもしない時期でもありますね。
器官の形成は終わり、奇形の心配はあまりありませんが、薬によっては胎盤を通過した薬が胎児に悪い影響を及ぼす心配はまだあります。
具体的には発育抑制・臓器障害・羊水量の減少などがあるかもしれません。
特に妊娠後期は痛み止めなど一部の薬が影響を及ぼす場合があるので注意して下さい。
安易に薬を飲まないようにしましょう。
妊娠時期別に解説|気を付けるべき薬
妊娠中には絶対に使ってはいけない薬があります。
妊娠初期 4週~13週
先にお話した時期の目安で考えると②妊娠4~7週末③妊娠8週~15週あたりです。
抗血栓薬「ワルファリン」
→血栓ができるのを抑える薬です。
妊娠がわかった時点で他の薬に変えれる場合もあります。
免疫抑制薬「ミコフェノール酸」
→20~40代の女性に多い「全身性エリテマトーデス」の治療薬です。
この薬は使用を中止してから6週間以上あけて妊娠することが好ましいとされています。
妊娠を希望している人は計画的に薬の変更が必要です。
サプリメント「ビタミンA」
→妊娠初期に大量に摂取すると胎児に先天異常の危険性が高まると言われています。
妊娠中もビタミンAは必要ですが、過剰摂取には気をつけましょう。
妊娠中期以降 妊娠14週~出産まで
妊娠8週~15週末④妊娠16週~分娩までにあたります。
降圧薬「ACE阻害薬」と「ARB」
→胎児の腎臓に影響があります。
妊娠は計画的に考え、妊娠がわかったら他の薬に変えましょう。
非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)
→妊娠8カ月以降は、解熱剤・鎮痛剤として使われる非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)は注意しましょう。
大量に使用すると胎児に心不全などの影響がある場合があります。
精神神経系の薬
→「新生児薬物離脱症候群」と言い、赤ちゃんに「授乳を受けつけない・おう吐する」「ふるえ・不機嫌」などの影響がでることがあります。
これは精神神経系の薬「SSRI」「ベンゾジアゼピン系抗不安薬」を出産直前まで使用していた場合に起こることがあります。
赤ちゃんに症状がでるととても心配になるとは思いますが一過性のものなので、過度に心配する必要はありません。
精神状態を安定させることは妊娠・出産において大事なことです。
一度、かかりつけの先生に相談してみてください。
妊娠時期に関係なく抗生物質には気をつけて!
妊娠時期に関係なく、抗生物質は気をつけましょう。
使用できる薬もありますが、胎児に毒性を持つものが多いので医師との相談が必要です。
妊娠中に風邪をひいてしまい、内科や耳鼻科を受診した時は忘れずに妊娠中であることを伝えましょう。
ここで紹介した薬を妊娠中に処方された時は、自己判断せずに医師や薬剤師から薬の必要性や安全性、なぜこの薬が処方されたのかをしっかり説明してもらうことをおすすめします。
まとめ
・妊娠中でも飲める薬・使える湿布はある。
・妊娠時期によって薬が胎児に及ぼす影響が違う。
・妊娠時期によって気をつける薬がある。
妊娠すると、お腹にいるわが子のことを最優先に考えてしまうのが母というもの。
つい自分は後回しになってしまい、わが子のためなら痛みを我慢しようとする気持ちはとてもよくわかります。
でも、お母さんが精神的にも身体的にも健康だからこそお腹の赤ちゃんはすくすくと大きくなるのです。
お母さんがつらいと赤ちゃんもつらいです、きっと。
我慢することなく安心して薬を飲める時期もあり、ストレッチやマッサージなどの方法もあります。
つらいことや心配なことがあれば、かかりつけ医または産婦人科医に相談するのが一番です。
薬を飲むときも日常的に服用している薬をやめる時も、自己判断せず、説明を聞いて必ず納得することだけはしっかり覚えててくださいね。
この記事を読んでるとあなたはステキなお母さんです。
マタニティライフを満喫して元気な赤ちゃんを楽しみに待ちましょう。
参考:パパとママに知っておいて欲しい妊娠中の薬の注意点 東京ベイ・浦安市川医療センター