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「朝、起き上がろうとすると腰が痛い」「朝、腰が痛くて起き上がれない」というような症状にお悩みの方は多いはずです。
腰痛は日本人の多くが抱える国民病なので、寝起きの腰痛も珍しくありませんが、腰椎椎間板ヘルニアなどの腰の病気やがん、内臓疾患が腰の痛みを引き起こしている可能性もあります。

そこで今回は朝起きる時、腰痛が出る原因を解説するので、ご自分の腰痛がどうやって起こっているかを考えてみてください。
また今日から実践できる改善方法も紹介します。
どんな原因で寝起きの腰痛が起こっているにせよ、原因の早期発見・早期改善が一番ですから、この記事を読んだらさっそく腰痛改善に乗り出しましょう。

朝起きる時、腰痛が出る原因は様々

寝起きに腰痛が起こる原因としては、様々な理由が考えられます。
そもそも腰痛の85%程度は原因不明だと言われているため、検査をしても異常が認められないことも多いです。
そのような腰痛は比較的安全性の高いものであり、重篤な事態に発展する心配はまずありません。しかし、慢性的な腰痛は辛いですから、考えられる原因を潰して早く改善したいものです。

以下では朝起きるときに腰痛が出る原因を紹介するので参考にしてください。
なお、実際には複数の原因から腰痛が起こっている可能性も考えられます。

筋肉の緊張が原因である可能性が高い

朝起きるときに腰痛が出る原因として、第一に考えられるのは、腰や背中の筋肉が就寝中に緊張して固くなっているという理由です。
寝ている姿勢で重力が集中するのは、腰やお尻、背中なので、寝ることによってそれらの筋肉に負担がかかり、こわばってしまうことはよくあります。

寝具に原因がある

また低反発のマットレスなど寝具が柔らかすぎると、体が沈み込みすぎて背面が全体的に圧迫され、筋肉が固くなったり、血行不良を招いたりして腰痛を引き起こすことも多いです。

硬すぎる寝具も腰痛を誘います。寝具が粗悪だと、寝返りや体動を阻害することにもつながります。「ただ寝るだけ」と思わずに長時間過ごす寝具だからこそこだわって選んでみましょう。

なお、寝起きの腰痛がひどい人の中には、起きて動き始めると痛みがましになっていくという方もいるでしょうが、これは動くことによって筋肉がほぐれ、血流が改善しているからだと考えることができます。

寝返りが少ない人は寝起きの腰痛を発症しやすい

寝起きの腰痛に深く関わっているのが「寝返り」です。
寝返りには、体の歪みを矯正する効果があると言われており、これが少ないと腰痛の原因となってしまいます。
また寝返りをしないと特定の部分だけにずっと負担がかかるため、筋肉が緊張したり、血流が悪くなったりして腰痛を招く可能性が高いです。

ちなみに「睡眠の質が悪い」「マットレスが柔らかすぎる」「肩や腰の筋肉がこっている」などの状況があると、寝返りが少なくなってしまうので注意してください。

加齢による身体のこわばり

生理的な要因として、加齢に伴う身体のこわばりや関節可動域の低下が原因で腰痛が発生してしまう可能性があります。特に加齢性のヘルニアやリウマチなどは朝や起きるときに症状が強く出る場合もあります。

心理的ストレスも腰痛の代表的な原因

心理的ストレス

検査によって原因が特定できない腰痛は「非特異的腰痛」と呼ばれますが、これは心理的なストレスによって引き起こされることが多いと言われています。
そのメカニズムとしては、例えば、自律神経のバランスが乱れるということが考えられます。

自律神経とは交感神経と副交感神経のことです。
これらは筋肉や血管の動きに関わっていますが、心理的なストレスがかかると筋肉を緊張させ、血管を収縮させる働きを持つ交感神経が優位になってしまいます。
そのため、筋肉のこわばりや血行不良によって腰痛を招くことがあるのです。加えて、交感神経が優位の状態ではよく眠れないため、睡眠の質が低下して寝返りが少なくなってしまうこともあります。

また脳には痛みを抑制するような機構がありますが、長期的にストレスがかかるとこの機能が狂ってしまうことがあります。そうなると、普通よりも腰の痛みに対して敏感になってしまいます。

冷えによる血行不良でも腰痛が起こる

冷えによる腰痛

腰痛の直接的な原因は血行不良であることが多いですが、血行不良は冷えによっても引き起こされます。就寝中に室温が低くて体が冷えると、血管が収縮して体温を逃さないように働くので、血流が悪くなってしまいます。

また血管を収縮させるのは交感神経であるため、睡眠の質が低下してしまう可能性もあります。睡眠の質が低下すると寝返りも減ってしまいますから、就寝中はできるだけ体を冷やさないように心がけましょう。

椎間板ヘルニアやがん、内臓疾患も考えられる

腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの腰の病気によって、朝起きたときの腰痛が出ている可能性もあります。これらの病気では足のしびれを伴うことが多いので、しびれがある場合は専門家に診てもらうのが懸命です。

また胃潰瘍や膵炎などの内臓疾患やがん(腎臓がんや腰椎への転移など)、骨髄炎などでも、寝起きの腰痛が引き起こされる場合があります。これらの場合は安静時にも痛みが出たり、発熱や倦怠感などの全身症状を伴ったりすることが多いです。病気の場合は早期治療が必要ですので、少しでも疑わしい場合は早めに医療機関にかかりましょう。

すぐに実践できる寝起きの腰痛を改善する方法

寝起きの腰痛を改善

以下では寝起きの腰痛を解消するための方法を紹介します。いずれも簡単に実践できる方法なので、今日からさっそく始めてみましょう。

就寝前や起床後にストレッチをする

朝起きるときの腰痛は、筋肉の緊張によって引き起こされることが多いので、ストレッチをして筋肉をほぐしてあげることが、痛みの改善・予防に効果的です。
具体的には、就寝前と起床後に腰のストレッチを取り入れてみてください。

また夜にストレッチをするときは、肩もあわせてほぐすのがおすすめです。腰と肩がほぐれていると、寝返りを打ちやすくなります。起床時は腰が痛むかもしれませんが、筋肉がほぐれてくるとだんだん痛みはましになっていくため、少々痛くても頑張ってストレットをしてみてください。

身体を冷やさないように寝る

冬場は特に、通常寝具だけでは体が冷えてしまう日もあると思います。電気毛布や湯たんぽなどで身体(特に腰部)を温めながら眠りましょう。身体が冷えて、関節が動かしにくくなってしまうことを予防します。低温やけどには十分に注意する必要があります。

起床予定時刻よりも早く起きる

身体が冷える季節は特に、起床時間が遅くなってしまいがちです。しかし、起きるのが遅いと痛む腰を我慢しながら身支度することになります。疼痛があるときに無理に腰部を動かすのは逆効果で、腰痛悪化につながりかねません。起床予定時間よりも30分程度早起きして、腰痛が少し落ち着いてきてから活動し始めるという習慣をつけましょう。
また、いきなり起き上がろうとするのではなく、まずは大腿部を持ち上げてみる、身体の向きを変えてみる、ヒップアップしてみるなどして、疼痛の程度を把握してから活動にうつりましょう。

寝具の調整をする

寝具の硬さは、身体が沈まない程度の固綿程度が、腰痛改善には向いています。こう反発マットレスや、腰痛対策用マットレスなど種類がたくさんあるので寝具屋で相談しながら購入するのが最適です。

趣味を楽しむなどのストレス対策を行う

腰痛は心理的なストレスによっても発症します。そのため、腰痛を改善・予防するには、ストレスを溜め込まないようにすることも重要です。たまにはストレスのもととなることを忘れて、じっくり休息をとったり、趣味に没頭したりしてリフレッシュしましょう。

心理的ストレスによる腰痛は、ひどくなると抑うつ気分や意欲の低下を伴うこともあるため、そうなってしまわないようにしっかりストレス対策をしてください。

ウォーキングなどの適度な運動をする習慣をつける

腰痛の改善・予防には、ウォーキングなどの適度な運動も有効です。運動をすることで体がほぐれて血行が良くなりますし、筋肉に強化されて腰痛が起こりにくいような状態を作れます。
また運動は良いリフレッシュにもなるので、ストレス解消や睡眠の質の向上などに効果的です。よって寝起きの腰痛を防ぐことにもつながります。

「腰痛ドクターアプリ」を使ってみる!

腰痛を根本から改善したいという場合は、「腰痛ドクターアプリ」というオンラインサービスを使ってみてください。このサービスではスマホで専門的な自動問診が行われ、腰痛の状態や危険度が判定されます。またあわせて各人の腰痛に合った運動療法の動画も提供されます。そのため、朝起きたときの腰痛の原因を調べたい方にも、自分に合ったストレッチや運動の方法を知りたい方にもおすすめです。

ストレッチや運動、ストレス対策などを取り入れよう!

朝起きるときに腰痛が出る原因は様々ですが、多くの場合、就寝前・起床後のストレッチや適度の運動、ストレス対策などは効果的です。これらは手軽に実践できるので、ぜひ今日から始めてみてください。また寝起きの腰痛の原因をきちんと調べたい方や、自分の腰の状態に合ったストレッチや運動の仕方が知りたい方は、「腰痛ドクターアプリ」を使ってみましょう。

治療が必要な場合もある

腰痛の女性

腰痛の対策を先述してきましたが、予防策や対症療法だけでは根本的な治療にはならず腰痛を繰り返してしまう可能性が高いです。起きるときの腰痛には生活習慣や外的環境などの因子だけではなくて、脊椎の炎症や腎臓疾患などの「疾患」が隠されていることもあります。

硬直性脊椎円

若年層で発症する可能性の高い腰痛を主訴とする疾患です。夜間に疼痛がひどくなり、起床時にピーク、その後活動とともに軽快する腰痛が特徴的です。日本でも確定診断されている方は非常に少ない疾患です。専門医でも診断が難しく単なる「腰痛症」と診断されている方も少なくないと言われています。
治療としては、他の腰痛症と同様に鎮痛薬の使用や疼痛のコントロールをして、疾患と向き合っていく方針になることが多いですが、生物学製剤を使用したり手術療法で人工関節に置換したりすることで、根本的な治療を試みる場合もあります。いずれにしても早期の受診・確定診断・治療が肝になってきます。

体軸性脊椎関節炎

脊椎の関節に炎症が発生するのですが、レントゲンには反映されず、MRI検査や血液検査などで確定診断をします。症状は硬直性脊椎円と同様で治療方法も、準じています。3カ月以上の長期的な腰痛がある場合や、疼痛の程度に波がある、特定の動作の時に痛む、年々悪くなっている気がするなどの症状がある場合には医療機関への受診をした方が得策です。

腎臓疾患がある場合

人間の体内の不要なものをろ過し、尿を作る器官である腎臓がなぜ腰痛と関係があるのでしょうか。実は不摂生な生活をしていたり、腎臓の機能が落ちてしまっていたりする場合では、必要以上の負荷が腎臓にかかります。これが原因で腎臓周囲の筋肉・神経が引っ張られたり、圧力がかかったりします。腎臓は腰背部に位置する臓器なので特に腰痛が発生します。受診する病院に迷われてしまいそうですが、腰痛主訴の場合にはまずはお住まいの地域の整形外科に受診するのがよいでしょう。その後、本当に必要があれば検査の結果などから内科受診を指導されます。

まとめ

原因のわからない腰痛のことを総称して「腰痛症」などと呼びますが、原因のわからない腰痛はストレスを増幅させ、そのストレスがまた腰痛を悪化させます。特に、起きるときの腰痛は貴重な1日のモチベーションを下げてしまいます。
腰痛と生活の質(QRL)低下は切り離せないものですね。単なる寝起きの腰痛だと思っていたら、先述したように非常に深刻な疾患が潜んでいることもあります。年齢や体質のせいと腰痛改善をあきらめてしまわず、改善策や治療に取り組んでいくことで新しい生活が手に入れられることを祈っています。

参考URL
朝の腰痛への対処【ベッドのマットレスを硬めのものにしたり, 朝起きたときのストレッチ体操などもよい】|日本医事新報社
腰痛に最適な寝方はこれ!寝起き腰痛にならないための3つの方法
朝起きたときに腰が痛くなる。その理由と改善方法は?|TBS
【Q&A】起き上がる時、横になる時の腰痛の原因は?|NHK
教えて!先生!腰痛の専門医による安心アドバイス「腰痛」
寝起きの腰の痛み、何が原因?寝起きの腰の痛みは睡眠環境が原因かも|Shop Japan
朝起きて痛い起床時の腰痛の原因と正しい起き上がり方|横浜あくわ整骨院

参考文献
著 加藤 光寶『運動器 成人看護学』[系統看護学講座 ]出版社 医学書院, 発行年 2014
著 坂井建雄 / 岡田隆夫『解剖整理学』[系統看護学講座 ]医学書院, 発行年2014
著 武田宣子『リハビリテーション看護』[統計看護学]出版社 医学書院, 発行年 2015
腰痛対策|厚生労働省
日本腰痛学会

著者情報

腰痛メディア編集部
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