年が明けてしばらくすると、スギ花粉の話題が出てきます。実は花粉症は日本人の40~50%が発祥しているという調査結果があります。そして花粉症の人の悩みといえばクシャミです。
このクシャミが原因でぎっくり腰を起こすことがあるのはご存知でしょうか。
また咳のし過ぎでも腰痛や背中の痛みの原因になったり、腰痛を悪化させたりすることがあるのです。
そこで本記事では、クシャミや咳のせいで腰痛が発生したり悪化したりする原因と腰痛の発生や悪化の予防法についてくわしく解説していきます。
目次
クシャミや咳が腰痛にどう影響するのか
クシャミは1回で4キロカロリー消費するといわれるように、大きなエネルギーを消費します。また1回のクシャミでは100万粒から200万粒の飛沫が、時速にして300キロメートル以上の速さで飛ぶといわれます。
さらにクシャミは腹筋や背筋を瞬間的に緊張させてしまい、それによって腹筋や背筋に強い力を加えてしまいます。現時点では、クシャミをしたときに背骨にかかる圧がどの程度であるかは突き止められていませんが、私達が思っている以上の圧や負担が背骨にかかってしまうことは確かです。
しかし、クシャミによって背骨に圧がかかるとわかっていても、人はクシャミを止めることはなかなかできません。
また咳は、腹筋や背筋、胸筋を利用して喉の中に侵入してきた異物や分泌物を排出しようとする生理現象です。咳も我慢することは難しいです。
痰がなかなか切れずに咳こんだりすると、クシャミをしたときと同じように腹筋や背筋に圧がかかります。骨粗しょう症のある人の中には、クシャミや咳のし過ぎで肋骨や脊椎の骨折を起こしてしまう人もいます。
また腰痛で痛みに苦しんでいるときに、くしゃみを連発することによって足先まで痺れを起こしたり、長時間の咳き込みで腰だけでなく背中の筋肉や胸や腹筋にも痛みを起こしたりすることもあります。
このようにクシャミや咳によってぎっくり腰を起こしてしまったり、もともと腰痛のある人がクシャミや咳で痛みの増加や悪化をさせてしまったり、時にはクシャミや咳が原因で骨折してしまうこともあるのです。
クシャミで椎間板ヘルニアを起こすことも
クシャミの連発が腰に及ぼす影響は想像以上のものです。クシャミの勢いが時速300キロ以上ということは、わかりやすくいうと新幹線と同じレベルの速度ということになります。
それだけの勢いをるためには、腹筋や背筋に相当な負荷がかかってしまうことは間違いありません。またこの勢いが原因で椎間板ヘルニアを起こすこともあるのです。
椎間板ヘルニアは身体を前に曲げることで椎間板に圧がかかり、その際に椎間板が変形して起こります。クシャミでは瞬間的に腹筋を緊張させて腰を曲げます。その時、腹筋・背筋はかなり硬くなっているので、そこに圧がかかることによって、脊椎にはさらに大きな力が加わることになります。
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クシャミや咳をするにはこうするといいですよ
一度だけのクシャミだけでも圧がかかってしまいますが、花粉症やアレルギー性鼻炎によるクシャミの場合はなかなか一度では終わらずに何度も続いてしまうことがよくあります。
こうした何度も続いてしまうクシャミは自分の力ではどうしても止めることが難しいものです。また生理現象であるクシャミや咳をあまり無理に止めようとするのもよくありません。
では、くしゃみや咳をするに腰痛を起こさないようにするためにはどうしたらいいのでしょうか。
クシャミや咳の原因を知り、症状を抑えましょう
クシャミや咳が出るのには、それぞれ原因があります。
まずクシャミは、鼻の粘膜を刺激する炎症から分泌される分泌物や異物を身体の外に排出するために起きる生体反応です。花粉症の場合にクシャミが止まらないのも、身体が花粉を異物だと判断して身体の外に排出しようとするからです。
アレルギーで起こるクシャミの場合はアレルゲンとなる花粉や黄砂、ハウスダストなどを取り除くとともに、アレルギーの症状を抑えるために薬を服用するなどの治療をおこなうようにしましょう。
クシャミの回数を押さえることによってで、腰痛の発生を抑えることができます。
咳は風邪やマイコプラズマなどの肺炎、喘息、誤嚥などが主な原因となります。数回で終わる咳もあれば、数分間咳き込んでしまうこともあります。
咳をする時間が長時間になればなるほど、腹筋や背骨にかかる圧力の影響は大きくなります。そのため咳の原因となる疾患を治療をして咳が出ないようにすることが重要になります。
また咳のし過ぎで体力を消耗してしまい、身体を動かせなくなることも腰痛の原因にもなります。
そうならないためにも咳の発生源であるアレルゲンを除去し、咳の原因や疾患を正しく診断して肺炎や風邪・喉の炎症を抑えるなど、咳の原因にあった治療をしましょう。
手をついて身体を支える
咳やクシャミが出て腰がつらいときや、腰痛があるのにどうしても咳やクシャミが出てしまうときには、壁や机などに手をついて腰への負担を減らすようにしましょう。
手をつくだけで、背中だけで腰を支えることなく咳やクシャミの圧力を受け止めて、腕に圧力を逃がすことができるのです。
手をつくことで腰や背中への圧力を減らすことがるので、腰痛予防のためには壁や机、或いは自分の膝に手をついてくしゃみをすることをお薦めします。
座るかしゃがみ込む
クシャミや咳が出そうになったら、椅子に座ったり、しゃがんだりしましょう。椅子に座ったりしゃがみ込んだりすることで立ったままでクシャミや咳をするときよりも背骨にかかる力が少なくなります。
特に咳は、治まるまで数分かかることもあります。痰の出る場合には座って下を向く方がスムーズに痰を出すことにもつながります。
まとめ
咳やクシャミは腰痛を起こし、果ては骨折まで起こす原因になることがあります。クシャミをした瞬間に腰にかかる圧力や咳による長時間の腹筋運動は、私達が想像する以上に脊椎に影響を与えることになります。
さらに歳を重ねていくと、クシャミや咳以外にも様々な圧が背骨にかかってきます。
そのため若いうちに普段から背骨や周辺筋肉の負担を減らすためにストレッチや筋膜リリースをして関節の柔軟性を保ち、腹筋や背筋を鍛えて腰痛が起こりにくい身体作りをしておくことをお薦めします。
今回はくしゃみや咳で腰痛が悪化してしまうことや、クシャミや咳が原因で椎間板ヘルニアを起こしたり、骨折まで引き起こしたりすることをお伝えしてきました。
クシャミや咳という一見腰痛とは関係ない症状を「関係がないから」と甘く見るのではなく、自分の体にどのような影響を及ぼすのかを知ることは自分の身体を守ることにもつながります。
もしも現在、腰痛に悩んでおられるのであれば、腰痛診断アプリを使って、自分の腰痛の種類を診断して、専門家に相談されるといいでしょう。
花粉症やアレルギー性鼻炎が全盛となる前に、早めの対応をしましょう。
そして最後に繰り返します。
クシャミや咳をするは壁や机に手をついたり、膝に手を置いたり、腰だけに圧がかからないように力を分散させましょう。日々のちょっとした動作に気をつけるだけで腰痛を防ぐことがます。
〈参考文献〉
養命酒 元気通信【2014年3月号】くしゃみの雑学
https://www.yomeishu.co.jp/genkigenki/trivia/140228/index.html
図解入門よく判る腰痛症の原因と治し方 著者 中尾浩之(株)秀和システム