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腰椎分離症は、脊椎の椎弓(椎骨の後方に位置する突出した部位)にヒビが入り、さらに進行すると椎弓が2つに分離してしまう病気のことです。年齢層としては、成長期の子どもに起こりやすことが知られています。

従来は遺伝の要因が大きいとされていましたが、子どものなかでも競技スポーツ選手に多く発症することが分かってきました。現在では、スポーツにおける腰の屈曲・伸展動作や着地の衝撃を反復することが、腰椎分離症の原因になることが分かっています。

この記事では、特にスポーツにおける腰椎分離症について解説しています。記事中盤では「こんな症状のときは分離症を疑いましょう!」というポイントについても触れています。「もしかしたら分離症かも?」とお悩みの方も、セルフチェックの参考になると思います。

スポーツ選手における腰椎分離症はかなり高い

腰椎分離症は成長期の子どもに多く発症し、そのほとんどが18歳未満の発症です。より具体的な内訳としては、10%が小学生、60%がが中学生、30%が高校生と報告されています。(Nitta A, Sakai T, Goda Y et al:Prevalence of symptomatic lumbar spondylolysis in pediatric patients consulting an orthopedic clinic for primary care より)

また、腰椎分離症の発生頻度は一般人口の3~7%と言われていますが、「スポーツ選手に限ると7~21%」と激増する特徴があります。( 神谷光広:成長期腰椎分離症の保存加療における矢状断 CT の有用性 より)この結果からも、腰椎分離症がスポーツ選手に多いことが分かりますね。

スポーツ選手の腰椎分離症を疑うポイント

スポーツをしている子どもで、「2週間以上」腰痛が持続する場合には腰椎分離症を疑うべきです。ただし、「2 週間以上」という期間は研究結果から算出された目安であり、これより短期間でも腰椎分離症の可能性はあるためご留意ください。

腰椎分離症の痛みを悪化させる要因としては、「腰椎を反らす・回旋させる動作」が有名です。また、分離している椎弓を押したときに「圧痛」を感じることも特徴的ですが、分離初期には症状が軽いことも多いのです。腰と下肢の張りを感じるだけの場合も少なくないので、症状が軽くても分離症を発症しているかもしれません。

「腰椎分離症かも?」と思った場合は、「Kempテスト」をおすすめします。Kempテストとは、腰椎分離症を診断するのに有用なテストの一つで、椎弓の発生段階でもほぼ100%が陽性になるます。具体的には、腰椎を斜め後方に倒した状態のまま腰をひねる動作をおこないます。このときに痛みが誘発されるようであればKempテスト陽性で、腰椎分離症の可能性が高まります。

「腰の伸展や回旋時の痛み」が「2週間以上」続く場合、「Kempテストが陽性」の場合は、ぜひ腰椎分離症を疑って下さい。分離症の予防には、毎日のセルフチェックが大切なのです。

スポーツ選手の腰椎分離症は早期の治療が大切

腰椎分離症に対する治療方針には、「保存的治療」と「手術治療」の2種類があります。基本的には保存的治療が優先されますが、保存的治療で骨の癒合が期待できない場合は手術治療が必要です。

特にスポーツ選手の場合は、早期の競技復帰を目指す人も多いため、治療も早期からの介入が望まれます。

保存的治療は薬物・コルセット・リハビリが中心

腰椎分離症の中でも、骨折してから間もない症例や、骨と骨との分離が軽い場合は保存的治療だけでの完治が期待できます。

コルセットを装着することで、分離部を安静にし骨癒合を待つのが基本戦略です。コルセットの装着期間と競技の中止期間はさまざまですが、原則はCTで骨の癒合が確認されるまで続けることが多いのです。

コルセットに加え、痛みが強い場合は鎮痛薬を用います。鎮痛薬の種類はさまざまなですが、もっともメジャーなのがNSAIDs(ロキソニンなど)でしょう。比較的鎮痛作用が強く市販薬としても販売されているので、みなさんも馴染み深い薬ではないでしょうか。しかし副作用もあるため、乱用は厳禁です。喘息の誘発、腎機能の低下、胃潰瘍などのリスクもあるため、内服する際にはご注意ください。内服だけでは痛みをコントロールできなければ、神経ブロックを併用することもあります。

スポーツ選手では早い段階での手術が有効的

腰椎分離症が進行して、骨と骨が完全に離断されると保存的治療での完治は難しいです。またスポーツ選手によっては、早期の競技復帰を目指して早めの手術を決断する方もいます。

比較的早期の分離症であれは、「腰椎分離部修復術」が可能です。スクリューやワイヤーで分離した骨を固定するだけなので、比較的早期の競技復帰を目指せる利点があります。

対して、進行した腰椎分離症には「腰椎後方固定術」が施行されます。腰椎をしっかりと固定するためには筋肉を剥離する必要があり、腰椎分離部修復術よりも侵襲度が高い特徴があります。

スポーツ選手と腰椎分離症。手術治療のメリットと適応は?!

まとめ:スポーツ選手に腰椎分離症は付きもの。早期の診断・治療で復帰も早い!

発育段階のスポーツ選手にとって、腰椎分離症は深い関係があります。熱心に競技に打ち込むのは素晴らしいことですが、それが出来るのも健康な身体があってこそです。本記事のセルフチェックを参考に、ぜひ分離症の予防に努めてほしいと思います。

【参考文献】
酒井 紀典(2021)「腰椎分離症の診断」 脊椎脊髄ジャーナル 34巻1号

著者情報

広下若葉
広下若葉

保持資格

医師国家資格・麻酔科標榜医

経歴

2015年:医師国家資格 取得

2017年:初期臨床研修プログラム 修了

2020年:麻酔科標榜医 取得

    麻酔科専門研修プログラム 修了

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