腰痛が起こる原因は、骨や筋肉の異常である整形外科的なもの以外にもさまざまです。
腰側にサインを出しやすい臓器として、腎臓・膵臓・子宮があり、実は隠れた病気のサインの可能性も!
見逃してしまうと命に関わることもあります!
一見疲れがたまり腰痛が起きていると思いがちですが、“私の腰痛って内臓の病気かも”と思いあたる方はぜひ参考にしてみてください。
今回は、腎臓が悪い時に起こる腰痛について、原因と症状、見分け方について深めていきます。
目次
腎臓の役割
腎臓の5つの大きな役割について説明していきます。
腎臓はどこにあるの?
背中側の腰よりやや高い位置に背骨をはさんで左右に1つずつあります。
詳しく説明すると第11胸椎から第3腰椎の高さに位置します。右側には肝臓があるため左腎より少し低い位置にあります。
そら豆の形をした握りこぶしくらいの大きさの臓器です。
腰痛を引き起こす腎臓病とは
尿路結石
腎臓で作られた尿は膀胱にためられ、尿道を通って体の外へ排出されます。
この腎臓から尿道までの通り道(尿路)に結石と呼ばれる塊ができてしまうのが尿路結石です。
症状
・左右どちらかに限局した腰や背中、側腹部(わき腹から下腹部にかけて)の痛み
・頻尿や残尿感、血尿
・吐き気、嘔吐
・冷や汗
・高熱(細菌感染が起こると)
結石の移動により痛みの強弱があります。通常、数日から数十日痛みが続きます。
原因
結石ができる原因はまだはっきりと分かっていないことも多いですが、一つの原因で起こるわけではなく、さまざまな要因によって起こると言われています。
リスク要因としては、食事などの生活習慣や代謝異常などの体質、遺伝などです。
一般的には女性より男性の方が尿路結石になりやすく、男性は約7人に1人、女性は15人に1人が一生に一度は尿路結石になるといわれています。
年々結石になる人の若年化や女性にも増えてきている背景には、食生活の欧米化や動物性たんぱく質の摂取量の増加が指摘されています。
結石を構成する成分は数種類ありますが、尿路結石の約90%は「シュウ酸カルシウム」と「リン酸カルシウム」などから作られるカルシウム結石になります。
肉類が主体の食事を続けていると、シュウ酸や尿酸などの物質が体内に増えます。シュウ酸はカルシウムと結合しやすい性質があります。
本来であればシュウ酸は腸内でカルシウムと結びつき、便として体の外に排出されますが、過剰摂取をしてしまうとシュウ酸が尿の中に出てきます。
このシュウ酸が尿の中でカルシウムと結合すると、結晶化して結石になります。
腎盂腎炎(急性・慢性)
腎臓の中で尿をためる部分である腎盂内で細菌が増殖し、炎症が腎臓にまで及んだ病気です。
急性腎盂腎炎と慢性腎盂腎炎の違い
腎盂腎炎には急激に発症して単発で終わる急性腎盂腎炎と、炎症を繰り返す慢性腎盂腎炎があります。
尿路結石などの基礎疾患がある方や尿路カテーテルを留置している方は細菌が増殖しやすいため慢性化しやすく注意が必要です。
膀胱炎から二次的に炎症が腎臓に広がって腎盂腎炎になることもあります。
急性腎盂腎炎の症状
・悪寒や高熱
・強い腰痛
慢性腎盂腎炎の症状
・倦怠感
・吐き気、嘔吐
・頻尿や残尿感、排尿痛、尿の混濁
・発熱
・腰や背中、側腹部の痛み
原因
腎臓で作られた尿は、腎盂、尿管を通って膀胱にためられ、尿道から体の外へ排出されます。本来、健康な人は、この尿の通り道には細菌は存在しません。
尿の出口から侵入した細菌が、尿の通り道をさかのぼって腎盂に達し、そこで炎症が起こることで発症します。
通常であれば、尿路に侵入した最近は体の外へ排出され、免疫力によって退治されるため、簡単には腎盂腎炎は起こりません。免疫力が低下しているときに誘発されやすくなります。
まれに、血管を通って腎臓に感染することもあります。
感染の原因となる原因菌にはさまざまなものがあり大腸菌などの腸内細菌のほか、緑膿菌やブドウ球菌などの細菌も原因となります。
一般的には女性の方がかかりやすい傾向があります。女性は尿道が短く、大腸菌などが存在する肛門と距離が近いなどが挙げられます。
腎臓が関係していない痛みもある
腰や背中の痛みがあるからといって、必ずしも腎臓病と関係あるとは限りません。腰痛以外の腎臓病の症状もあわせて確認してみてください。
腰痛・背部痛の原因は?内臓疾患の見極め方や今すぐ実践できる対処法も紹介! |
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腎臓内科、泌尿器科を受診しても異常が見つからなかった場合、整形外科などを受診して検査をしていくことになります。
例えば、神経痛、筋肉痛、椎間板ヘルニアなどが代表的です。
腎臓病の見分け方(腰痛以外の腎臓病の症状)
腰痛だけでは腎臓が悪いと見分けにくく判断しにくい場合があると思います。
腎臓がうまく働かなくなると起こる他の症状もあわせてとチェックしてみましょう。
病院を受診するときの目安は?何科に受診したらいいの?
病院を受診するときの目安
放置していると腎臓の機能が低下し、急性腎不全や感染症を合併する場合があり注意が必要です。腎機能が完全に悪くなったら2度と機能せず、透析を行うことになってしまいます。
もし、発熱がある場合や急激に症状が悪化している場合は炎症を伴っている可能性が高いので、すぐに病院へ受診することをおすすめします。
高熱に伴い重篤な敗血症に至る症例もありますので、病気を悪化させないためにも早期の検査と治療が重要です。
腎臓病か見分けがつかない場合にも何らかの不調を自覚している場合は、早めに病院へ行きましょう。
受診するのは何科?
腎臓病の症状がある場合は、腎臓内科・泌尿器科の受診をおすすめします。
▶症状から探せる、病気がわかる、ドクターが見つかる|ドクターズ・ファイル
※ご自身で判断できない場合は、電話で病院に問い合わせても良いでしょう。
夜間や早朝など病院が空いていない場合は、夜間救急を利用するのをおすすめします。お住いの地域によっては、夜間救急や救急車を利用する前に相談できる窓口があります。自分の住んでいる地域は、救急電話相談を行っている地域か事前に確認しておきましょう。
▶サービス提供機関の情報(救急・夜間診療情報)
▶救急安心センター事業(#7119)をもっと詳しく|総務省消防庁
放置は危険!進行すると命の危険が…早めの受診で早期発見・早期治療を行いましょう。
まとめ
今回は、腰痛と腎臓病の関係、見分け方について解説していきました。
腰痛が起こる病気はさまざまなものがありますが、腎臓病からくる腰痛がどのようなものかご理解いただけましたでしょうか。
ご説明の通り、腰痛以外の他の症状と合わせて現れることもよくあります。
もし気になる症状がある場合は、早めに病院へ受診することをおすすめします。
参考:
・尿路結石症診療ガイドライン 第2版 2013年度版 日本泌尿器科学会 日本泌尿器内視鏡学会 日本尿路結石症学会 編 金原出版株式会社
・山本新吾、他.JAID/JSC感染症治療ガイドライン2015-尿路感染症・男性性器感染症-.感染症誌 2016;90:1-30.