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重い物を持ち上げたとき、腰に「グキっ」という嫌な痛みを感じたことはありませんか?この腰の痛みの正体は、通称「ぎっくり腰」と呼ばれる、急性腰痛症であることがほとんどなのです。

ぎっくり腰の痛みは、外国では「魔女の一撃」とも表現されることから、その痛みの強さが想像できると思います。このつらい痛みの原因はいったい何でしょうか?また、痛みを緩和するのに適切な処置や、病院を受診する必要はあるのでしょうか?

この記事では、重い物を持ち上げた時に起こりやすい、ぎっくり腰について解説しています。ぎっくり腰の原因や対処法だけでなく、ぎっくり腰に隠れた「見逃してはいけない病気」についても触れていますので、「腰が痛くて困っている」という方は、ぜひ最後までお付き合いください。

重い物を持ったときの腰痛の原因は?

重い物を持った時の腰痛の原因

「腰が痛い」といっても、実は、その原因が多岐にわたることはあまり知られていません。
腰痛を原因別に分類すると、以下のように大きく4つに分類できます。

・筋肉痛:筋肉の炎症による痛み。ほとんどの急な腰痛は、この筋肉痛由来です。
・骨痛:背骨と背骨が接触することで起きる痛み。高齢者の圧迫骨折が有名ですが、骨すべり症など若年者でも発症する腰痛もあります。
内臓痛:腎臓、尿管、膵臓、子宮などの内臓が原因の腰痛。悪性腫瘍や尿管結石、子宮内膜症、膵炎など疾患は多岐にわたります。内臓痛の場合、「鈍痛」と呼ばれる重苦しい痛みが特徴ですが、実際のところ原因疾患によって痛みの性質はさまざまなので、一概には言うことはできません。
・神経痛:脊髄そのものや、脊髄から出る神経が刺激されることによる痛み。椎間板ヘルニアや坐骨神経痛が有名です。「電気が走るような」と表現されるような「ピリッ」とした痛みが特徴的です。

重い物を持ったときの腰痛は、そのほとんどが「筋肉痛」に分類される「ぎっくり腰」が原因です。前屈みのような腰に負担のかかる体勢で物を持ち上げたり、急に体をねじったりすると、腰周辺の筋肉が炎症を起こし、腰が痛くなるわけです。

単なるぎっくり腰であれば、時間が経過するとともに炎症も沈静化し、痛みも和らいでいきます。安静と適度な運動や鎮痛薬の上手な使い方が、ぎっくり腰治療の大切なポイントです。

腰痛の真の原因は?ぎっくり腰に潜む「見逃してはいけない病気」

腰痛の主な原因はぎっくり腰

日本における腰痛の原因は、そのほとんどが、ぎっくり腰であることは先ほどお伝えしたとおりです。

しかし、前述したの通り腰痛の原因は多岐にわたり、医師であっても診断が難しい症例もあります。私の知るところでは、原因を検索するために、整形外科→産婦人科→神経内科→泌尿器科、と複数の診療科を転々とした患者さんもいるほどです。

脅かすつもりはありませんが、みなさんの腰痛も他人事ではないかもしれません。「ぎっくり腰だと思っていたら、実は別の病気だった!」というケースが十分にありうるのです。

特に、悪性腫瘍が原因の腰痛の場合、事態は急を要します。悪性腫瘍治療の最大のポイントは、なんといっても「早期発見・早期治療」です。現代の医療は進歩しており、診断や治療が早ければ、根治可能な悪性腫瘍も増えています。「ぎっくり腰と思い込んでいたばかりに」「もっと早く受診すればよかった」という後悔だけはしたくありませんよね。

そのために大切なのは、素人判断でぎっくり腰と断定せず、頭の片隅で「別の原因かも」と疑うことです。特に「誘引なく腰が痛くなった」ときや「腰痛がなかなか治らない」場合は、ぎっくり腰以外に原因がある可能性もあるので、医療機関を受診することをおすすめします。

重い物を持つときの注意点。ぎっくり腰にならないためのポイント

ぎっくり腰の予防

腰痛の原因として最多の、ぎっくり腰にならないためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。

ここでは、重い物を持つとき、運ぶときの注意点を詳しく解説しています。これから重い物を持つ予定のある人は、この記事を参考に、腰を痛めない作業を学んでください。ポイントは、「どのように体を動かすか」を自分でイメージしてから、実際に動き出すことです。

重い物を持ち上げるときは、まず膝を曲げて物に近づくこと

床の荷物を持ち上げるときは、ついつい立位のまま腰を曲げて、荷物を持とうとしがちです。これは腰への負担が大きいため、絶対にやめましょう。

正しくは、まず膝を曲げて荷物に近づきます。そして、荷物を両手で抱えたら、腹筋に力を入れながら立ち上がります。このまま荷物を持ち運ぶ場合も、物を体に密着させながら、移動させることを心がけましょう。

重い物を持ちながら、向きを変えるときも要注意

普段からの癖で、腰を捻って向きを変える方も多いのではないでしょうか。この動作を、重い物を持ちながらすることは大変危険です。

重い物を持ちながら方向を変えるときは、つま先の向きを変え、体全体で方向転換することを意識しましょう。こうすれば、腰への負担を極力少なくできます。

周囲の環境を整備してから、重い物を持ち上げましょう

極端に狭い場所や、高所での作業は体に無理な姿勢をとらせます。自分が意図しない姿勢を続ける結果、腰への負担も大きくなってしまいます。また、辺りが暗い場合は精神的な緊張も加わり、普段とは違う筋肉の使い方をしがちです。

重い物を扱う作業の場合は、まず周囲の環境を整備することから始めましょう。具体的には、足台を利用する、片付けをしてスペースを確保する、ライトを点ける、などが挙げられます。

腰を痛めてからでは遅いですから、周囲の環境にも配慮をして、腰に優しい環境づくりを徹底しましょう。

まとめ

今回の記事では、重い物を持ったときと腰痛の関係についてお伝えしました。

重いものを持ったときの急な腰痛の原因は、ぎっくり腰が最多でしたね。ぎっくり腰は、筋肉由来の痛みのため、基本的には安静・運動・鎮痛薬で対処することで自然に治るものです。悪い病気ではないので、ご安心ください。

セルフケアとしては体幹の安定性を高める筋力トレーニングや、背骨から股関節のストレッチを重点的に行いましょう。また、ストレッチポールや筋膜リリースなどのツールを用いるのも効果的です。

一方で、ぎっくり腰の陰には、悪性腫瘍をはじめとする「見逃してはいけない疾患」もありました。素人判断で「ぎっくり腰だから大丈夫!」と判断せず、不安であれば一度、医療機関を受診することも考えてください。

ぎっくり腰は予防が一番大切です。重い物を扱う予定のある方は、この記事を参考に、腰に優しい体の使い方を心がげてください。

参考:日本整形外科学会

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

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