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みなさんの腰痛、どんなときに痛みを感じますか?腰痛があると、その痛みの程度にもよりますが、動けるほどであっても、やっぱり痛みがあると不快ですよね。

私自身も腰痛でクリニックに行ったことがありますし、腰痛をかかえて仕事をしている家族もいます。腰は体を支える重要な部分なので日常動作と関わりが大きいですが、特に今回は顔を洗う動作で感じる腰痛をテーマにお話します。

顔を洗う動作でどうして腰痛が起こるの?

みなさんは朝目覚めて、まず何をしますか?起きてカーテンを開ける、水を飲む、トイレに行く、それぞれとは思いますが、朝起きてから顔を洗うという方は一般的には非常に多いかと思います。その時、腰の痛みを感じたことありませんか?私はあります。腰痛があると朝から憂鬱な気分になります。

この朝の洗顔、「急な腰痛」別名「ぎっくり腰」を起こすきっかけとしては少なくない、実は危険な日常動作の1つなのです。

体はまだ目覚めてまもないので頭はぼーっとして、睡眠中は同じ姿勢が続くことによって血流やリンパ液の流れが悪くなり、筋肉も凝ったり、縮んだりするような状況にあります。そのような状態で前かがみになるという腰に非常に負担が大きくかかる動作をすることで痛みを起こすきっかけになりうるのです。

顔を洗う動作で腰痛が起こらなくする方法

腹筋を鍛えて腹圧を上げる

頭上げ

1.上向きで寝た状態でひざを曲げます。

2.両手はお腹の上に乗せておきます。

3.自分のお腹を覗き込むように頭をゆっくりと上げます。

4.しっかりと上げられるところまで頭を持ち上げたら、またゆっくりと頭を下ろしていきます。

5.同じ動作を10回繰り返します。

足上げ

1.上向きで寝た状態で右ひざを曲げます。

2.両手は下腹の上に乗せておきます。

3.左あしのひざを伸ばした状態でゆっくりと天井に向かって上げていきます。

4.左あしをゆっくりと下ろしていきます。

5.同じ運動を5回繰り返します。

6.同じ姿勢のまま次は左ひざを曲げます。

7.右あしのひざを伸ばした状態でゆっくりと天井に向かってあげていきます。

8.右あしをゆっくりと下ろしていきます。

9.同じ運動を5回繰り返します。

※運動している間は、腹筋に力が入っていることを意識して行うと効果的です。わかりにくい人は、お腹の上に乗せた手でお腹に力が入っていることを確認しながら運動しましょう。

※上記の運動で腰に痛みが起こる場合は、上手く運動が行えていない可能性があります。痛みが起こる場合は運動を中止しましょう。

※運動の回数はあくまでも参考回数です。性差や年齢、普段の活動量によっても適正回数は異なります。1日10回行って、翌日に筋肉痛にならない人は回数を少しずつ増やしていくといいでしょう。運動中は少しつらいと感じて、翌日に筋肉痛にならない程度が理想的な運動回数です。翌日に筋肉痛が残る場合は、運動回数を減らして継続していきましょう。

筋力トレーニングは毎日継続することで効果が出てきます。激しい運動を1回行っただけではあまり意味がありません。低負荷でも大丈夫なので、毎日続けられる運動を習慣化しましょう。

下腹を凹ませる

前かがみになることで腹筋が働きにくい姿勢になりますが、意識的に腹筋を働かせることで腹圧を高め腰痛の予防、改善を図れます。ひざを曲げて前かがみの姿勢で、下腹を引っ込めるように力を入れます。

このとき息を止めないように注意しましょう。この運動は下腹のぽっこり改善にも効果があります。顔を洗う動作は毎日行う動作なので、毎日欠かさずにこの運動を行えば長期的なダイエット効果も見込めます。

姿勢を変えて腰への負担を軽減する方法

筋力トレーニングで腹圧を高めることが理想的ではありますが、すでに腰痛が起こっている場合は腹筋の筋力がつくまで顔を洗わないというわけにもいきません。筋力がなくても姿勢を少し工夫してあげることで腰への負担が軽減します。

ひざを曲げる

顔を洗う動作では姿勢を前かがみにした状態で、ひざが伸びていることが多いです。両足を肩幅程度に開いた状態で、ひざを少し曲げてあげると腰にかかる負担が軽減します。ひざを曲げることでひざの筋肉を使うので少し疲れやすく感じるかもしれませんが、そのぶん腰にかかる負担は軽減できています。

この姿勢はひざの筋力トレーニングにもなっているので、一石二鳥ですね。継続して行っていくことで、ひざを曲げても疲れにくい体を作ることができます。もしひざの力が弱くてひざを曲げると姿勢が支えられない場合は、洗面台にひざを曲げた状態でもたれかかってもいいでしょう。

しかし万が一この姿勢でひざに痛みがでる場合はこの方法は適切ではありません。ひざに痛みがある場合は、次の方法を試してみましょう。

足乗せ用の台を置く

15cm程度の小さな踏み台を洗面台の前に置きます。顔を洗う動作をする際に、左右どちらでも大丈夫なので片足を台の上に乗せた状態で顔を洗います。こうすることで自然とひざが曲がった状態になるため、腰にかかる負担を軽減して腰痛を予防できます。

万が一踏み台が用意できない場合は、足を前後に小さく1歩分開くだけでも腰への負担を軽減できます。

家族など周囲に腰痛持ちの人がいる場合にも、この方法を提案してみるといいかもしれません。

コルセットを使って腰痛を改善する方法

コルセットは腹筋、背筋の役割を果たしてくれます。そのためコルセットを使うことで腹筋に代わって腹圧を高め、さらに過度に腰を曲げる動作を制限できます。顔を洗う動作以外でも腰痛がある場合は特に、ある程度まで痛みが落ち着くまでコルセットを活用するといいでしょう。

コルセットには真軸のあるハードタイプの硬いコルセットと、ゴム素材でできた柔軟性のあるソフトタイプのコルセットがあります。生活スタイルや活動性に合わせて使いやすいコルセットを選択しましょう。

しかしコルセットの長期利用は筋力低下の原因にもなります。コルセットを利用する場合は、数週間程度と利用期間を定め、上記の筋力トレーニングも同時に行うといいでしょう。

ぎっくり腰という診断はありますか?

さて、「ぎっくり腰」について解説しますとこれは病気の診断名ではありません。「あなたもぎっくり腰やったことあるの?」と、まるで病名のような使われ方をするので誤解をまねくこともありますが、これは急に起きた強い腰痛を表す呼び名で、病名や診断名とは異なります。ですので、この腰痛の原因はさまざまで、複数の病名が推測されます。

中でも多いのは、椎間板と呼ばれる軟骨や、椎間関節とよばれる部分に強い力がかかっておきた、一種のけがのような状態、よく足をひねって捻挫したと聞いたことがあると思いますがほぼこれに近い状態です。また腰回りにある筋肉や靭帯などのすじなど軟部組織と呼ばれる部分を損傷してしまった状況でもこの痛みが起こります。

これらは、画像検査でも特定は困難なので実際の原因となった場所が特定しきれない「非特異的腰痛」とも呼ばれています。この場合には、診断書などには腰椎捻挫(ようついねんざ)や、腰部挫傷(ようぶざしょう)と書かれることが多いでしょう。

ぎっくり腰に含まれるその他の原因として、急な背骨や椎間板の感染症、がんの転移によって起きる骨折、加齢による椎間板の変化で神経が圧迫される椎間板ヘルニア、椎間板がいろいろな理由で変形を起こしてそれが神経の圧迫を起こす脊柱管狭窄症も足のしびれや痛みをともなうことが多いですが伴わないこともあり、これらもぎっくり腰を起こす可能性があります。

これでよくなる?急な腰痛を軽くする方法とは?

では、急な強い腰痛に対して、あなたができることについてお話します。

一番大切なことは、無理はしないこと、そして安静にしすぎないことです。むしろ痛みが強すぎると動きたくても動けなくなることが多いのですが、それでも安静にしすぎないことが重要で、休む時は楽な姿勢、寝転ぶときには軽く膝を立てる、足を曲げる、クッションを足やひざの下に入れるなど腰への負担を減らすとよいでしょう。

例えば、朝の洗顔も、どうしても痛くて顔を洗えないのならタオルやウェットティッシュで顔を拭くなど、無理しないでできることをするといったように。

以前は、ぎっくり腰の場合は安静にしてくださいと言われて、できるだけ動かない生活がよいといわれていた時期がありますが、現在では安静が筋肉を衰えさせてむしろこの腰痛を長引かせてしまうかもしれないので、無理をしすぎない程度で日常生活を続けることがおすすめです。

もちろん痛み止めを使ったり、腰痛が起きた直後は患部を冷やしたりして、腰痛が起きてから時間が経ってきたら温めて血流をよくすることも有効といわれています。痛みが落ち着いてきたら痛くない、無理しない範囲での体操やストレッチもしないよりはよいのです。指圧やマッサージは、この急に起きた腰痛の早い段階では悪化の可能性があるのでおすすめはできません。

また、ほとんどの腰痛はよくなるから大丈夫と自分に言い聞かせることも個人的には有効だと思います。病は気から、気持ちの持ち方は大切です。

こうして1週間、長く見積もって1カ月以内にはほとんどの急な腰痛は落ち着きます。

腰痛がよくならいときの対処法

前項でお伝えした方法で数日過ごしても、それでも痛みがだんだん強くなったり、日常生活動作が難しい場合、やはり一度は整形外科の受診をおすすめします。

多くの腰痛は自然に時間とともによくなるのですが、中には、さきほどその他の病気としてお伝えした医学的検査と治療が必要になるものも含まれています。専門家の診察と検査、治療を受けることで腰痛とあなたの生活がぐっと良くなり楽になる可能性が高いのです。

ただ、病院やクリニックを含めた外出自体を悩まれる方もいるでしょう。その場合、診断や治療は受けられませんがオンラインの医療相談で、腰痛の経過の評価や受診のタイミングを話すことは、有意義かもしれません。

腰痛を防いで顔を洗う動作をしよう。ぎっくり腰の予防とは?

さて、ぎっくり腰を経験された方はもうご存じですが、できる限り、2回目はやってこないでほしいですよね。

朝の目覚めから最悪な日が始まらないように、予防についてお伝えします。
残念ながらどんなに予防していても、きっかけすらなく起こるぎっくり腰もありますので、これは防ぎようがないのですが、普段から気をつけるだけでぎっくり腰を起こりにくくする方法はいくつかあります。

ここで予防につながるのは腰椎捻挫といわれる原因が特定されない腰痛についてです。
まず寝起きですが、体を急には動かさずに、ベッドの中で手や足をゆっくりと動かしたり、ストレッチをしたりすると血流がよくなるので筋肉の凝りや縮みを緩め、交感神経も刺激するので動きがスムーズになります。

また、今回のテーマの顔を洗うときですが、両ひざを軽く曲げ、この時同時に腹筋も意識して下腹に力を入れるとさらに腰への負担を減らすために有効です。

このほかには、日常的に体操や散歩、スポーツを取り入れて、筋肉を衰えさせないことも重要ですし、体重が急に増えるとそれも腰に負担をかけますので現在の体重を保つこと、もしくは標準体重をめざした減量も腰への負荷を減らすことに繋がります。

このように、腰痛予防をすることで多くの腰痛は、気持ちと同様、自分自身でコントロールできる部分なのです。

まとめ

今回は顔を洗う動作をきっかけに急に起こる強い痛み、ぎっくり腰と呼ばれている腰痛に関する原因、対策、また予防についてお話しましたが、これを読まれた方でぎっくり腰を起こしたことがある方も、ない方もぜひ参考にしてみてください。いつ起こるかと心配になる気持ちもわかりますが、起きてもほとんどのぎっくり腰は治ります。心配しすぎずにお過ごしください。

出典
腰痛ガイドライン2019
日本整形外科学会ホームページ
厚生労働省資料 腰痛対策

著者情報

腰痛メディア編集部
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