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ファシアについて

ファシアは「筋膜」という言葉でメディアなどに取り上げられていましたが、翻訳や意味の違いから最近ではファシア(fascia)と訳されるようになりました。

ファシアは日常的に行っている姿勢や動作の影響を受け、体に痛みを誘発する組織として近年、専門家の中でも注目を集めている組織です。

ファシアの構造について

ファシアは「筋膜」と呼ばれていたことから、筋肉を包む膜としての認識が専門家の間でも根付いていました。しかし、研究が続くにつれ、筋肉だけでなく骨、血管、神経、臓器などの全身の組織を包み、組織の保護や組織間の滑走性(動き)だけでなく、力を伝えて位置を保持するという機能を有します。

ファシアが注目されている理由

近年、専門家の中でもファシアは注目されています。その理由は肩こりや腰痛などのさまざまな症状に対して治療効果があるからです。ではなぜファシアに治療効果があるのか?
ファシアは感覚をつかさどる機能が豊富で、局所的な症状だけでなく全身との関連性についても影響を与えると考えられています。

ファシアの症状としてはデスクワークなどの持続的な不良姿勢や、繰り返される同一な動作などによって肩こりや腰痛などの痛み、痺れ、不快感などの症状を訴えられる患者が多いです。治療としてはこれらの局所的な症状だけでなく、全身との関連性を考慮したアプローチが行われます。
ファシアは痛みや痺れなどの局所症状だけではなく、姿勢や動作を含めた全身への治療効果が望める可能性を秘めています。

ファシアの異常診断について

ファシアの異常に関してはレントゲンや磁気共鳴画像装置(MRI) だけでは診断ができません。診断方法としてはファシアに関するエコーの画像と問診、触診、動作分析、姿勢評価などの情報を集めることで総合的に評価を行います。

ファシアの治療について

治療法についてはファシアの滑走性(動き)を促すことが目的とされています。治療方法としては以下が主に行われます。

①医師が注射にて生理食塩水を組織間に注入するハイドロリリースという治療法
②理学療法士の手によってファシアの滑走性を促す方法
③患者自身が行うファシアに対してのセルフケア

これらによってファシアを含めた固くなった組織間の滑走性(動き)を促していきます。
ファシアの滑走性を正常化させることで、猫背の改善や肩こり、腰痛などの症状を改善させます。

ファシアが原因の腰痛とは

ファシアが腰痛の原因となっていることが近年の研究で多く報告されています。今回はその理由についてご紹介します。
ファシアは床の物を持ち上げるなどの、腰を曲げることを繰り返す動作により炎症を起こすことがあります。これによって腰部のファシアに滑走性の低下が生じ腰痛を発症します。
この腰痛の改善には以下を目的にアプローチを行います。

① ファシアの滑走性を高める
② 体幹部の安定性を高める
③ 背骨~股関節の柔軟性を高める
④ 物を持ち上げる動作時の正しい体の使い方を学習する

これらの機能を高めることで、腰部のファシアへ負担をかけていた動作を修正し腰痛を改善していきます。

※腰痛メディア内では床の物を持ち上げる動作時の腰痛だけでなく、さまざまな腰痛に関しての原因や対策を詳細に解説した多数の記事が投稿されています。腰痛で悩んでいる方は、自分に合った記事を見つけてぜひチェックしてみてください。

ファシアケアについて

腰痛メディアにご協力頂いている、桐蔭横浜大学スポーツ健康政策学部で教授の成田崇矢先生が2021年4月14日(水) NHKあさイチに出演します。

前回のNHKあさイチでの放送が好評で、今回は体メンテナンスの新常識「ファシア」第2弾の特集です。
「腰」、「ひざ」のファシアケアと猫背改善や柔軟性の向上が期待できる「ファシアケア」の方法についてご紹介頂けます。興味のある方はぜひチェックしてみてください。

前回見逃した方や内容を忘れてしまった方へ、
2021年1月27日にNHKあさイチで放送された体メンテナンスの新常識「ファシア」第1弾のポイントをまとめました。
ぜひ復習してコロナ禍で運動量が減った日々の生活に取り入れてみてください。

参考文献
・成田崇矢編集(2019年2月)「脊柱理学療法マネジメント」株式会社メジカルビュー社
・CARLA STECCO著(2018年2月)「筋膜系の機能解剖アトラス」医歯薬出版株式会社

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

痛みや体の不調で悩むあなたへ、役立つ情報をお届け。

自分の体の状況(病態)を正しく理解し、セルフマネジメントできるようになることが私たちの目的です。

記事のご意見・ご感想お待ちしております。

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著者情報

枡中 昂也
枡中 昂也

保有資格

理学療法士

経歴

整形外科病院勤務12年目。現在は臨床業務を行いながら、当メディア内でWebライターとして記事の執筆と校正・校閲業務に携わる。

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