朝起きるときに腰痛を感じている人は少なくありません。寝起きの腰痛には、年齢だけではなく様々な原因があります。原因を明らかにして解決に導くことで、腰痛だけでなく眠りの質の改善も見込めます。普段から腰痛に悩まされている人もぜひ、この記事を読んで今一度生活を振り返ってみてください。
今回は朝起きるときに腰痛を感じる原因と、その解決策を紹介したいと思います。
目次
朝起きるときの腰痛の原因
日中の活動量と比較すると就寝中の活動量は少なく、動くと言ってもベッドの上で寝返りを打つ程度です。そのため関節や筋肉の動きも少なくなり、体がこわばりやすいため朝起きたときは日中と比較すると体が硬く感じるのです。
朝起きるときの腰痛の原因はそれだけではなく、体の柔軟性、睡眠環境、起き上がり方、体温、体重、身体的不調、精神的不調などが影響しています。一つ一つチェックしていきましょう。
体に柔軟性がない
寝ている間、体は立ったり、座っているときとは違った、敷寝具に合わせた湾曲を作ります。背骨の湾曲は本来滑らかな前後へのS字カーブを描いていますが、寝ることによって敷寝具からも大きく影響を受けて、床に対して柔軟に左右への湾曲を作ることで快適な睡眠時の姿勢を保つことができます。
しかし背骨の柔軟性がないと平坦な敷寝具に対して体が部分的に押されてしまい、その負担が腰にかかります。また、柔軟性がないと寝返りも打ちにくくなり、それも腰痛の原因となります。
寝具が合っていないが悪い
布団やベッド、枕などの寝具は朝起きるときの腰痛と関係性が深いです。特に敷寝具は体を支えるのに大きな役割をしており、硬すぎると敷寝具と体の接地面にかかる負担が大きくなり、腰痛の原因となります。
反対に敷寝具が柔らかすぎても、体重が重たいお尻の部分が寝具に沈み込みすぎてしまい正しい姿勢が保てないため腰痛の原因となります。寝るときの姿勢を正しく保持するためには寝具と同様に枕の硬さや高さも重要です。枕の硬さや高さは自分の姿勢や体の柔軟性にあった、自分が一番快適に横になれるものを選択しましょう。
また、大人はおおよそ20回から40回寝返りを一晩に打つと言われています。寝返りは体の同じ場所が常に圧を受けないようにする役割や、関節や筋肉がこわばってしまわないように最低限の動きをもたらす役割があります。寝返りの回数は多すぎても少なすぎても腰痛の原因となります。寝返りの打ちやすい寝具を選択すると腰痛予防に効果的です。
敷布団を使っている
ベッドと布団で比較するとベッドのほうが腰にかかる負担は少ないです。布団での寝起きは床からの立ち上がりが必要になるため、腰やひざにかかる負担が大きくなります。
寝ている姿勢から起き上がるときに腰痛を感じる人は、起き上がりの際に腰を捻りすぎているのかもしれません。
寝るときの姿勢が悪い
寝るときの姿勢は右向き、左向き、仰向け、うつ伏せなど様々です。仰向けで寝ると内臓の重みが腰にかかり圧迫するため腰痛になりやすいです。
また、反対にうつ伏せで寝ると腰が反りすぎてしまった姿勢になりやすくこれもまた腰痛の原因となります。腰痛予防には横向きで少し丸まった姿勢が理想的です。
体温が下がっている
体温も腰痛の原因の一つです。代謝が高く体温が高い人は血液の循環もいいため腰痛になりにくく、反対に冷え性の人は腰痛を感じやすいです。寝具やパジャマは季節に合わせて変え、室温は寒くなりすぎないようにしましょう。
肥満である
体重が重たいと起きている間だけでなく寝ている間も腰への負担となります。自分の適正体重はBMI(体重÷身長の二乗)でチェックすることができます。この数値が25を超える場合はやや肥満です。肥満傾向な人は、体重をコントロールすることで朝起きるときの腰痛が改善することがあります。
夜遅くにたくさん食べがち
ダイエットの観点から、夜遅くに食事しない方がいいことはご存じの方が多いことでしょう。実は、朝起きる時の腰痛を予防する上でも、夜の食事は注意しなければなりません。特に寝る前2時間は、内臓への負担、そしてその重みを受ける背骨への負担になります。
筋肉が硬い
アスリートたちが競技前に入念なストレッチをしている理由をご存じでしょうか?適切なストレッチは筋肉の緊張をほぐし、ベストなパフォーマンスを発揮するために必要なこと。そして適度や柔らかさを保った筋肉は、肉離れなどの怪我をしにくくなるメリットもあります。
逆を言うと、筋肉が硬ければ硬いほど、痛みが生じやすくなってしまうのです。小学校の体力テストでよく行う、長座体前屈をしてみてください。つま先に手が届かない場合は要注意です。
身体的不調
朝起きるときの腰痛には上記の原因だけでなく、内科的疾患、整形的疾患が原因の場合もあります。内科的には、特に肝臓や腎臓に負担がかかるとこれらの臓器が大腰筋という腰の筋肉を圧迫するため、一時的に朝起きたときの腰痛が起こりやすいです。
アルコールや油っこい食事なども肝臓、腎臓に負担をかけるため、腰痛の原因になります。整形的にはレントゲンなどの画像診断をしなければ原因が明確にならないケースも少なくありません。腰痛になった原因がはっきりしていない場合や、痛みの程度が強い場合は一度病院にかかったほうがいいでしょう。
精神的不調
精神的不調から腰痛になるケースも少なくありません。季節の変わり目や、ホルモンバランスの崩れやすい季節は特に注意が必要です。
朝起きるときの腰痛の改善策
上記の朝起きるときに腰痛を感じる原因に一つでも該当した場合は、原因をなくすことで腰痛を改善できます。どのように対策したらいいのか、原因に合わせた対策をチェックしていきましょう。
姿勢を意識する
筋肉が硬くなってしまう原因に、普段の姿勢が関係してきます。例えば、椅子に座っているとき猫背が強かったり、一方の足だけをよく組んだりといった習慣は、関節を歪ませて筋肉のコリが生じ、腰痛になりやすいです。
そのため、座るときは背筋を伸ばし、左右どちらかに偏りが生じないようにしましょう。膝や足の裏は、椅子の座面や床にぴったりつくのが理想的。座面が高すぎたり、低すぎたりする場合は局所的な負担が生じる場合があります。座面調整が可能な椅子は、自分の座高に合わせて調整するといいですよ。
また、立っている時も次のように意識してみてください。前後左右に偏りが生じないよう、腹筋を意識して足の親指に体重を乗せるイメージです。そして同じ姿勢が長時間にならないよう、立ったり座ったりと適度に姿勢を変えることも大切です。
体を柔軟にする
朝起きるときの腰痛を改善するためには、まず背骨の柔軟性を高めることが大切です。ストレッチで体が柔軟になれば、寝返りも打ちやすくなり朝起きるとき腰痛が起こりにくくなります。
ストレッチの効果は毎日継続することで現れてくるので、数日継続しただけではその効果が判断しにくいです。1〜3ヶ月の長期的なストレッチの継続で、効果を判断してください。ストレッチは特に寝る前に実施すると効果的なので、ぜひ挑戦してみてください。
背骨を柔軟にするストレッチ
1. 仰向けの状態で両肩を90°開きます。
2. 右足を曲げた状態で左足に組みます。
3. 上体は上を向いたままで、下半身を左側へ傾けています。
4. 体を捻った状態でゆっくりと深呼吸をしながら10秒数えます。
5. ゆっくりと体を元の位置に戻し、次は反対側も同じようにストレッチします。
※このストレッチを1方向3セットずつ、1日1回を目安に継続していきましょう。
睡眠環境を整える
寝具は季節に合ったものを選択し、枕の大きさは寝返りの打ちやすい自分の頭3つ分の大きさのものが理想的です。敷寝具も柔らかすぎず硬すぎず、自分が楽に寝返りのできるものを選択することで腰痛予防になります。
お風呂にゆっくりつかる
他の対策や予防策を行う前準備として、入浴時に湯船につかることは欠かせません。なぜなら、湯船に入ることで温熱や水圧による自然なマッサージ効果を得ることができるためです。リラックス効果もあり、ストレスによる腰痛も軽減してくれます。
特にデスクワークや立ち仕事が長い方は、1日の終わりに心と体の緊張をほぐす入浴時間を確保しましょう。
腰に負担のかからない起き方をする
ベッドから起き上がる場合、起きる方向を向いて横向きになり、ベッドから先に足を下ろし、それから上体を起こしてくると腰に負担なく起き上がることができます。
床から起き上がる場合もまずは横向きになり、そこから腰をあまり捻らないように四つ這いになります。四つ這いから片ひざをたてて立ち上がります。立ち上がる際にはある程度引っ張っても大丈夫な重みのある台や椅子などがあると、さらに腰に負担をかけずに起き上がることができます。
代謝を上げる
代謝が上がれば体温も上がり、腰痛は起こりにくくなります。ストレッチや適度な運動を行い、体の温まるような食事を心がけるだけでも代謝は改善します。特に朝起きたときに腰痛を感じる場合、寝る前はお風呂に入ってしっかりと体を温めたり、温かい飲み物を飲んで寝るといいでしょう。
体調を整える
身体的にも精神的にも体の調子を整えることで腰痛は改善します。腰の整形疾患がなかったとしても、腰が大元の原因ではない身体的、精神的不調が腰痛を招くケースも少なくありません。朝起きたときの腰痛がある場合は、体重管理も含めて自分の身体、精神状態が不安定になっていないか、再度自分の健康状態を見つめ直しましょう。
おわりに
朝起きるときに腰痛になってしまう原因はたくさんあります。朝起きるときの腰痛は体の不調のサインの一つなので、腰痛をそのままにせず何が原因なのかを明確にして早めに対応していきましょう。腰痛は早めに対処することで治りも早く、予後も良好です。腰痛の原因がわからない場合は、病院にかかるなどして専門家のアドバイスを受けましょう。
参考文献、参考サイト
朝の腰痛は敷寝具が原因