突然ですが、サッカー少年、少女のお父さん、お母さん、こんなお悩みありませんか?
「サッカーに熱心なのはいいけど、腰が痛そうなので心配している」
「腰が痛そうなので練習を休ませたいけど、子供は練習するって聞かないし。これって、練習させていいものかしら」
サッカーに一生懸命なのはいいですが、子供に無理をさせるのはいけません。子供の体は未完成なので、ただの腰痛でも注意が必要です。「たかが腰痛だからと」侮っていると、いつの間にかと重症化し、手術を受けることになるかもしれません。
子供の成長を見守る親としては、上手に子供をサポートしたいところです。しかし、子供をサポートをしたくても、何をしたらいいのかわからない方も多いでしょう。そこで本項では、サッカー少年、少女におすすめの腰痛ケアや腰を痛める原因を紹介していきます。これを読めば、あなたのお子さんへのサポートも十分にできるでしょう!
目次
サッカーが原因の腰痛とは
サッカーで腰痛になる原因は色々ありますが、ここでは子供がサッカーの練習でもっとも腰痛になりやすい症状を紹介します。
一般的に子供は、筋肉が柔らかく腰痛になりにくいものです。しかしサッカーのように、シュートやヘディングなど、体を捻ったり反ったりする動作は、腰に負担がかかって腰痛の原因になります。さらに重症化すると「腰椎分離症」や「椎間板ヘルニア」に繋がる恐れもあるのです。
具体的にはこんなことが原因となります。
使う筋肉の関係
サッカーという競技では、下腿全体の筋肉を使っているようでいて実は「走る・蹴る」の動きでは、大腿(太もも)の筋肉ばかりを使用しているケースが多いです。この場合だと、大体の筋肉が発達しすぎることで下腿のバランスが取れずに腰痛につながってしまうことも少なくありません。
急な方向転換
サッカーでは、しばしば相手チームにボールが渡ってしまった際に「急な旋回・方向転換」をします。実はこの動きが、腰に大きく負担をかけてしまうのです。下腿のステップより先に咄嗟に腰をひねってしまっている場合が多く、急な腰痛につながる危険な動作といえます。
ひねり
広い視野が必要な大きなコートでプレーするサッカーは、コートの隅々を確認するために腰をひねりながら左右前後見渡すような動作をします。特に走りながらの動作はさまざまな方向に力がかかるので腰部への負担を増強させることになります。
疲労骨折(脊椎分離症)
サッカーといえば、何よりも「足腰」を使うスポーツのイメージが強いと思います。まさにそのイメージそのもので、上記のような動きを長期間続けていると、腰痛の疲労骨折(脊椎分離症)を引き起こします。
この場合CT検査などの大掛かりな検査でしか確定診断ができないことがあります。腰痛を感じて受診・対策したけど治らないという場合には早めに総合病院を受診したほうが良いでしょう。
ゴールキーパー
ポジション別にみると、一番腰痛症状が多いのがゴールキーパーのポジションです。基本的な構え姿勢が中腰であることに加えて、長い試合時間の中で突発的にジャンプしたり、相手のフェイントに応戦するために無理に体制を変えたりするのが原因です。
練習に参加してよいのか、現在のポジションで良いのかなど自己判断せずに医師やコーチ・監督などとしっかりカンファレンスを行いましょう。
腰椎分離症とは
腰の骨「腰椎」の後方にある「椎弓」と呼ばれる部分が、折れた状態を「腰椎分離症」です。「腰椎分離症」は腰を反ったり、捻ったりすることで痛むのが特徴です。
10から15歳ぐらいのスポーツをしている子供に多くみられ、激しい練習をする上級者ほど、「腰椎分離症」になりやすいといわれています。放置すると「椎間板ヘルニア」に移行するため、早期に治療することが重要です。
腰椎分離症の治療
腰椎分離症は、骨が完治するまで安静にすることが第一です。完治にかかる時間は3カ月といわれており、その間は腰に負担がかからないようコルセットを着用します。
骨折部の経過を観察しながら、競技復帰を目指したリハビリに取り組んだりします。リハビリでは「腰椎分離症」が再発しないように、腹筋や背筋を鍛えたり、ストレッチをして筋肉を柔らかくしたりします。
一方で、骨がきちんと完治しなかった場合は「偽関節」と呼ばれる状態になり、骨に不安定さを残すことになります。「偽関節」は、治ることがないので、痛みを緩和する治療やリハビリを受けたり、場合によっては手術をしたりするケースもあります。
腰椎椎間板ヘルニア
「腰椎椎間板ヘルニア」とは、腰の骨にある「椎間板」という組織が、腰の骨を通る「脊髄」という神経を圧迫している状態です。「腰椎椎間板ヘルニア」は、「腰椎分離症」が悪化したことで発症にいたることもあります。
「腰椎椎間板ヘルニア」の症状は、腰の痛みだけでなく、足が痺れたり、おしっこが漏れたりすることもあります。ここまで重症化すると、「腰椎椎間板ヘルニア」も手術が必要です。「腰痛椎間板ヘルニア」は早期に治療することも大切ですが、日頃から腰のケアをしっかり行い、腰痛にならないことがもっとも重要なのです。
腰痛を予防する方法
腰痛を予防するには、ストレッチや筋トレに取り組み、腰痛になりにくい体作りをすることです。腰痛にいいとされるストレッチや筋トレはたくさんありますが、本項では「腰椎分離症」を予防するストレッチと筋トレにスポットをあてて、紹介します。
腰椎分離症を予防するストレッチ
「腰椎分離症」は、腰や股関節まわりの筋肉が硬くなることが原因で発症しやすくなります。腰や股関節まわりの筋肉は硬くなりやすいので、しっかりほぐすようにしましょう。
お尻のストレッチ
①仰向けになります。
②片方の膝を曲げます。
③曲げた膝に、反対の足首を引っ掛け、数字「4」のような形を作ります。
④膝を抱えて、背中を丸めます。
そのまま10秒~20秒、ゆっくり息をはきながらストレッチをします。反対側も同じように行ってください。
太もも前側のストレッチ
①横向きになります。
②上になっている方の膝を曲げて、足首をつかみます。
③そのまま足首を引っ張り、10秒キープします。
反対も同じようにストレッチをします。
ジャックナイフストレッチ
お尻や太ももの裏側、背中の筋肉を一気にほぐせる効率的なストレッチです。しかし強度はかなり強いので、腰痛がひどいは行わないようしましょう。
①しゃがんで、足首をもちます。
②足首をもったまま、膝を伸ばします。
③これ以上、膝が伸びないところまできたら、10秒静止します。
これを2~3回繰り返します。毎日コツコツ繰り返すことで、少しずつ体が軟かくなり、腰痛になりにくい体になるでしょう。
腰痛予防の筋トレ
腰痛を予防するには、お尻や体幹の筋肉を鍛え、腰に負担がかからないようにしましょう。ただし筋トレをして、痛みが強くなった場合は中止してください。
お尻の筋トレ
①仰向けになります。
②膝を90度曲げます。
③お尻を床から持ち上げて、10秒キープします。これを3回繰り返します。
体幹の筋トレ
①四つ這いになります。
②対角線上の手足を上げて、10秒間、そのままの姿勢を維持します。
手足を入れ替えて、3回ずつ繰り返します。
しかし、上記で紹介した筋トレでも効果が表れないこともあります。なぜなら人によって、鍛えるべき筋肉が異なるため、個人にあった筋トレメニューが必要なのです。
どんな筋トレメニューに取り組んだらいいかわからない方は「腰痛ドクターアプリ」を使って、自分にあった筋トレメニューを探してみるといいでしょう。
腰を痛めた場合の対処法
サッカーの練習や試合で腰を痛めた場合は、「REST」と呼ばれる対処方法がいいでしょう。「REST」とは、4つの処置の頭文字をとった言葉。「REST」には、炎症を抑えて怪我の治りが早まる効果があります。
R(REST)…安静
I(Icing)…冷却
C(Compresshion)…圧迫
E(Elevation)…挙上
安静
練習を中止し、体を休ませるようにしましょう。試合中であっても、腰に違和感を感じたら、コーチに報告して、交代してもらうようにしましょう。
冷却
氷嚢を用意し、なかに氷と水をつめてから、患部にあてて冷やすようにしましょう。氷嚢がない場合は、ビニール袋で構いません。ただし、ビニール袋だと冷えすぎてしまう恐れもあるため、タオルを1枚挟んでおくといいでしょう。
アイシングの時間は、10~20分を目安に行います。ただし、下記のような症状がみられる場合は、アイシングをすぐに中止してください。
①小児喘息など、循環器に疾患がある
②指先が冷たくなる「レイノー現象」がみられる
③体を冷やすと痒くなる「寒冷アレルギー」がでる
圧迫
コルセットを着用して、腰に負担がかからないようにします。苦しかったり、痛みが強くなったりするようであれば、コルセットを緩めるようにしましょう。
挙上
挙上とは、心臓の位置より患部を高く上げることです。腰の場合は、膝や足の下にクッションをいれて、足の位置を心臓より高い位置するといいでしょう。ただし、痛みが強くなる場合は無理に行う必要はありません。あくまで、できる範囲で行いましょう。
テーピングやサポーターの活用
体動や腰の動きの際に腰痛が増強されるようであれば、腰部に対するテーピングやサポーターでの固定が有効的と言えます。その時には必ず知識のある方にテーピング方法を教わるようにしましょう。むやみにテーピングやサポーターで腰を固定してプレーを続けてしまっては、結果的に悪化につながる可能性もあります。
まとめ
腰を痛めた時には、練習を休むようにしましょう。特に子供の腰痛は放っておくと、「腰椎分離症」や「腰痛椎間板ヘルニア」など、重い腰痛症状になることもあるので、無理は禁物です。
試合や練習のあとは、予防やケアをしっかり行い子供の体を守ってあげましょう。本項で紹介した内容を活用し、親子で楽しいサッカーライフをお過ごしください。
▼参考文献
山形徳洲会病院 サッカー選手・指導者に必要なケガの知識:第3回
松田整形外科 リハビリテーション
たなか整形外科デイケア 腰椎分離症
eo健康 ぎっくり腰の原因・治し方。冷やす、安静、早めに病院へ
いしべ整骨院 冷罨法(寒冷療法・アイシング)について