MENU
メニュー

腰痛を改善する方法としてよく言われるのが、「ぬるま湯にじっくり浸かって体を温める」ということです。確かにこの方法は、血流改善や筋肉の緊張緩和に効果があり、腰痛が和らぐという結果が期待できます。しかし、これによって腰痛を悪化させてしまうこともまたあるので、注意してください。

今回はお風呂やシャワーによって、痛みが悪化してしまう腰痛について解説します。そうした腰痛を改善するための入浴方法や、痛みを根本から解消するための方法なども紹介するので、参考にしてください。

湯船に浸かると悪化してしまう恐れのある腰痛

まずは、湯船に長時間使ったり、熱い温度でシャワーを浴びたりすると、悪化してしまう恐れがある腰痛を2つ紹介します。両者に共通するキーワードは「炎症」です。

入浴N Gな腰痛①:いわゆる「ぎっくり腰」

重い荷物を持ち上げたり、激しい運動をしたりといったことが原因で、ズキっと腰に鋭い痛みが走る腰痛は、「ぎっくり腰」や「急性腰痛症」などと呼ばれますが、この腰痛を発症したら、お風呂に入ることは控えましょう。

ぎっくり腰が起こる仕組みとしては、筋肉や筋膜の損傷、神経の圧迫など、色々なことが言われていますが、明確なメカニズムはよくわかっていません。しかし、急性的な痛みが起こったときは、患部が炎症を起こしており、温めないほうが良いことは確かです。

強い痛みを感じて数日間から数週間は、安静にして、痛みがおさまるのを待ちましょう。患部を冷やす対処をするのも有効です。

入浴NGな腰痛②:急性期の腰椎椎間板ヘルニア

湯船に浸かってはいけないもう一つの腰痛は、「腰椎椎間板ヘルニア」です。これは激しい運動や不良姿勢、加齢による腰椎の変形などによって、背骨のクッション材である「椎間板」内の「髄核」という組織が棘のように突出し、神経を刺激して痛みやしびれを生じる病気のことを指します。

腰椎椎間板ヘルニアの主な症状は、機械的な原因で起こる坐骨神経痛であると思っている方もいるでしょうが、発症直後には患部の炎症によって引き起こされる強烈な痛みも生じます。この炎症がなければ、腰の鈍痛や足のしびれは生じても、おそらく強い痛みは起こりません。

つまり急性期の椎間板ヘルニアでは、ぎっくり腰と同様、患部に炎症が起きているため、入浴によって体を温めるということは避けるほうが良いでしょう。

お風呂・シャワーでぎっくり腰や椎間板ヘルニアを早く治す方法

続いては急性のぎっくり腰や腰椎椎間板ヘルニアを発症した場合の、理想的な入浴方法について解説します。お風呂やシャワーは、方法によって毒にも薬にもなるので、腰痛にやさしい仕方で実践することを心がけましょう。

理想の入浴方法①:炎症があるうちは湯船につからない

上述の通り、患部に炎症があるうちは、温めてはいけないので、長時間湯船に浸かったり、熱いシャワーを浴びたりことは避けてください。特に発症から3日は絶対安静が基本です。無理して入浴せずに、どうしてもお風呂に入りたい場合は、ぬるめ・軽めのシャワーで済ませましょう。

なお、発症から1ヶ月程度経てば、ぎっくり腰は自然寛解し、腰椎椎間板ヘルニアは急性期を越えて症状が落ち着いてくる可能性が高いです。そのため、少なくともそれまでは、無理して湯船に浸かる必要はないでしょう。

理想の入浴方法②:様子を見ながらぬるめのお風呂に入る

急性的な強い痛みが落ち着き、症状が改善されてきたと感じたら、一度湯船に浸かってみましょう。40度以下のぬるいお湯に、15〜20分以内の時間入るのがおすすめです。体を温めることで、血流がよくなって筋肉がほぐれ、慢性的な痛みの改善・予防につながります。

ただし、湯船に浸かってみて、症状が悪化するような感覚がある場合は、入浴は取りやめて軽めのシャワーに切り替えましょう。お風呂に入ってみて良い感覚があれば続ける、悪ければストップするというように、しばらくは様子を見ながら柔軟に入浴方法を決めてください。

なお、腰椎椎間板ヘルニアの場合は、医師に相談しながら入浴の仕方を決定するのが望ましいとも言えますが、急性期を除き、お風呂に入って良くなるような感じがあるなら、基本的には入っても構いません。実際、医療機関でもリハビリの一環である「温熱療法」で、入浴が取り入れられることがあります。また入浴によって血流を良くすることは、坐骨神経痛の緩和に効果的だと言われることが多いです。

基本的に入浴することは腰痛の改善・予防に良い!

患部の炎症を伴う急性の腰痛でない限り、基本的に入浴は腰痛の改善・予防に好影響をもたらすことが多いです。そのため、腰痛を抱えている方は、冒頭で述べた「ぬるめのお湯にじっくり浸かる」という方法を実践してみてください。以下ではお風呂やシャワーと腰痛の関係について、もう少し詳しく解説します。

血行不良やストレスが原因の慢性腰痛を改善してヘルニアを早く治す方法

続いては急性のぎっくり腰や腰椎椎間板ヘルニアを発症した場合の、理想的な入浴方法について解説します。お風呂やシャワーは、方法によって毒にも薬にもなるので、腰痛にやさしい仕方で実践することを心がけましょう。

理想の入浴方法①:炎症があるうちは湯船につからない

一般的な慢性腰痛(明確な病気でない安全性の高い痛み)は、「血行不良」と「心理的ストレス」が原因の大半であると言っても過言ではありません。血流が悪くなって筋肉がこわばったり、精神的なストレスによって自律神経や脳機能に不具合が起こったりして、腰の鈍痛を引き起こすケースが非常に多いです。

こうした腰痛は、入浴によって改善できることがあります。お風呂にじっくり浸かれば、体が温まって血流が良くなり、筋肉の凝りやこわばりが解消されるため、良くなる可能性が高いです。また入浴にはリラックス効果もあり、ストレス解消にもつながります。リラックス効果をより高めるには、アロマや入浴剤を活用するのもおすすめです。

坐骨神経痛も入浴で良くなる可能性が高い

腰部の神経が刺激されることによって生じる、腰やお尻、足の痛み・しびれなどを指す坐骨神経痛も、入浴によって改善されることが多いです。腰椎椎間板ヘルニアも、基本的には神経由来の症状が出る病気なので、急性期でなければ、入浴で症状の緩和が期待できます。

ちなみに、血管と神経は同じように体中に張り巡らされており、「血管は神経によって駆動され、神経は血管が運ぶ酸素によって生存する」というように、両者は密接に関係しています。入浴による血行不良の解消が、神経に由来する痛みの緩和にも働くのは、そのような血管と神経の蜜月に理由があるのでしょう。

ぎっくり腰や椎間板ヘルニアを根本から改善するなら運動療法

ぎっくり腰の場合、発症から3日程度は安静にするべきですが、それを過ぎると安静にするよりも、少々痛くても動いたほうが改善に効果的です。腰椎椎間板ヘルニアに関しても、急性期を越えて以後は、患部周囲の可動性・柔軟性を高めるための運動療法が役に立ちます。

椎間板ヘルニアとぎっくり腰の見分け方

激しい下肢痛やしびれを生じている腰痛は、椎間板ヘルニアである可能性があります。ただし他の腰痛の可能性もありますので、自分の腰痛の原因を診断して貰いましょう。

「腰痛ドクターアプリ」の自動問診を試してみよう!

運動療法も取り入れて、腰痛を根本から改善したいという場合は、「腰痛ドクターアプリ」というオンラインサービスを使ってみてください。このサービスでは、オンライン上で専門的な自動問診が行われ、腰痛の状態や危険度を診断してもらえます。さらには、それぞれの腰痛を解消するために効果的な運動療法の動画も提供されるので、「ストレッチや筋トレで腰痛を治したい!」と考える方におすすめです。

お風呂やシャワーは痛みが落ち着いてから!

お風呂やシャワーによって腰痛を悪化させないようにするためには、「炎症によって起こる急性的な痛みがあるうちは、体を温めるような入浴はしない」ということを心がけましょう。症状が落ち着いてきたら、様子を見ながらぬるめのお湯に浸かることを試してみてください。またそれと並行して、「腰痛ドクターアプリ」の運動療法を実践するのもおすすめです。

参考URL
TENTIAL(2020), 「お風呂に入って良い腰痛の特徴は?|腰の痛みに合わせた入浴方法を紹介!」, <https://tential.jp/journals/waist/backache/034>, 2021/03/07
骨盤LABO(2020), 「ぎっくり腰の時はお風呂に浸からないほうが良い理由についてご紹介」, <https://kotsuban-labo.jp/blog/%E8%85%B0%E7%97%9B%E3%81%AE%E3%81%A8%E3%81%8D%E3%81%AF%E3%81%8A%E9%A2%A8%E5%91%82%E3%81%AB%E6%B5%B8%E3%81%8B%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8C%E3%81%84%E3%81%84%E3%81%AE%EF%BC%9F/>, 2021/03/07
フランス総合医療株式会社, 「ズキズキ腰痛の時のお風呂は良い?悪い?腰痛とお風呂の関係とは」, <http://www.france-sougouiryou.co.jp/column/column102.html>, 2021/03/07
北陸健康センターアラピア(2017), 『「椎間板ヘルニア」の入浴法 〜痛みを緩和する方法〜』, <https://www.arapia.jp/blog/post_555/>, 2021/03/07
御所南リハビリテーションクリニック(2020), 『「腰椎椎間板ヘルニア」の症状やリハビリの方法について解説!』, <https://goshominami-clinic.jp/knowledge/lumbar-disc-herniation-rehabilitation.html>, 2021/03/07
水谷健一(2017), 「神経と血管の連携がもたらす幹細胞の維持と分化の制御機構」, <https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2017.890384/data/index.html>, 2021/03/07
習志野台整形外科内科, 「腰椎椎間板ヘルニアの治療」, <https://narashinodai.jp/original11.html>, 2021/03/07
腰痛クリニック わたなべ整形外科, 「5.ヘルニアの保存治療」, <https://www.watanabeseikei.com/page/shikkan_herunia03>, 2021/03/07
シムラ病院, 「腰椎椎間板ヘルニア」, , 2021/03/07

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

痛みや体の不調で悩むあなたへ、役立つ情報をお届け。

自分の体の状況(病態)を正しく理解し、セルフマネジメントできるようになることが私たちの目的です。

記事のご意見・ご感想お待ちしております。

この著者の他の記事を見る
wholebodyeducator