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アパートでのひとり暮らしや、畳が多い住まいでは、床に座ることが多い方も多いのではないでしょうか。

畳のようないわゆる昔ながらの和式の生活ですと、正座やあぐら座位を取る方が多いです。アパートでは、座椅子を用いて足を投げ出して座る長座位と呼ばれる姿勢を取ることが多いでしょう。

床での生活は、体重に対して床からの反発を受けやすいため、長時間座ることで身体のどこかに負担をかけることがあります。

特に骨盤で身体を支え、骨盤の傾きによって腰の状態も変化するため、腰に負担がかかり痛みが誘発することが多くあります。

今回はそんな床の座り姿勢による腰痛に関して詳しく述べて行きたいと思います。

正座

正座という姿勢は、日本特有の文化で、欧米の洋式文化では行うことがない姿勢です。日本では、冠婚葬祭やお参りをする際などに現代でも多く使われています。

そのため、畳が少なくなった現代でも日本人は正座をすることが珍しくありません。正座という姿勢は、江戸時代の頃、庶民に畳が普及したことで、定着したと言われています。

正座姿勢による腰の負担は多くはありません。正座の姿勢は、骨盤が床面に対して垂直に立ちやすく、腰もまっすぐの状態を保持しやすいからです。

また、直接床と臀部が接触しないことで、体重による床からの反発を腰に受けにくく、腰に負担がかかりにくい姿勢といえるでしょう。

しかし、正座という姿勢は、膝を深く折りたたんだ状態で床面に接触します。正座での膝の角度は正常可動域の130度よりも深く、140度以上で曲げる必要があり、その状態で床の反発を受けることは膝関節の変形を引き起こす要因となります。

また、足首も深く足の甲がつく姿勢になるため、足首の全面に負担がかかります。よって歩いていてつま先が上がりにくくなることや、足首が緩くなり捻挫をしやすくなるなどの影響が考えられます。

床での生活というのは、床からの反発を受けやすい以上、どこかの関節や組織を圧迫したり、負荷を受けます。ですから長時間同じ姿勢で座り続けることは望ましくありません。

あぐら

あぐらをかく姿勢は胡坐位と呼ばれ、股関節を外側に開きながら回旋し、膝をたたんで重ねた姿勢を言います。

あぐらの姿勢は、室町時代から普及しましたが、女性が着物を着た状態では見た目が良くないため、男性の中で広く使われました。現代では、瞑想やヨガなどの姿勢であぐらの姿勢を取ることも多く、女性の方でも使われる方が多くなっています。

正しいあぐら座位の姿勢では、正座と同じように骨盤を床面に対して垂直に立て、腰を真っ直ぐに保持することで背筋が立っている状態です。

この姿勢であれば腰への負担は少ないでしょう。しかし、あぐらの姿勢でよくあるのは、骨盤が後方に傾き、腰を丸めて曲げた姿勢を取る方が多いです。これは、腰を丸めたほうが腰周りの筋力を使わずに済むため、楽に座ることができるからです。

楽に座ることができるならそれでいいように感じますが、そうではありません。筋力を使わず楽な姿勢ということは、床からの反発を受けることによって、腰の関節や筋肉に負担をかけていることになるのです。

そのため、姿勢の悪いあぐら座位は、腰に負担がかかり、腰の関節が痛くなったり、腰の筋肉が緊張して、長時間座っていると痛みが生じやすい要因となります。

長座位

座椅子で座る姿勢でよくある長座位の姿勢は、座椅子に座って足を前方になげだした姿勢のことを言います。スポーツテストなどで長座体前屈という種目を行ったことがある人は想像しやすいでしょう。

この長座位という姿勢は、大腿の後面の筋肉が引き伸ばされた姿勢になります。この筋肉が骨盤を後方へ引っ張るため、腰が丸まった姿勢を取りやすくなります。長座体前屈で前方になかなか行けない人は、腰を丸めて前に屈もうとするのと同じです。

ですから、長座位の姿勢でも、腰が丸まって曲げた姿勢が多いため、長時間座ることで腰に違和感や痛みが生じることがあります。

床で座る際の対策とは

同じ姿勢で座らない

床で座るということは、体重に対して床からの反発を身体のどこかに受け続けます。

同じ場所に負担をかけ続ければ、自ずと違和感や痛みが生じやすいです。30分に一度は立ち上がったり、座る姿勢を変えると良いでしょう。

身体の柔軟性を保つ

あぐらを例にあげますと、股関節を外側に開く必要があります。股関節が開かずあぐらの姿勢が取れない方も少なからずいます。

股関節が開かないと、必ず骨盤を後方に傾けて身体を屈めることで、なんとかあぐら座位をとり、バランスを保とうとします。

ですから、身体が硬いと正しい姿勢で座れなくなってくるのです。あぐらで腰が痛くなる原因が、腰が悪いのではなく、股関節が硬いことで姿勢が悪く、腰の痛みになることが多いです。

普段から腰回りのストレッチだけでなく、股関節周りもストレッチをして、柔軟性や関節の可動域を維持していくことが大切です。

座り方を意識する

座り始めるときに自身の姿勢を見直してみましょう。腰が丸まっていませんか?

背筋を伸ばした姿勢は、腰回りの筋肉を使って座っていますので、腰に負担がかかりにくいです。

普段から姿勢の悪さを感じている方は、ぜひ意識的に座り方を変えてみてください。

床に座るクッションを変える

上記にあるように、座椅子で長座位の姿勢は腰が丸まりやすく長時間座ることはおすすめできません。

もし座椅子を選択するのであれば、あぐらで姿勢良く座ること、座椅子を低反発なものを選択しましょう。

低反発すぎて沈み込みすぎると骨盤が傾きやすく姿勢が崩れる要因になるので、何度か座ってみて、自身にあったものを選びましょう。

骨盤サポートチェアのように、骨盤が傾かないように支えてくれる座椅子もありますので、こちらはおすすめです。

人間の身体というのは、長時間同じ姿勢を取り続けることに強くありません。

30分から1時間に一回は姿勢を変えて少し歩いたり、作業を変えて気分転換を図っていくと腰の負担軽減だけでなく、ストレスの軽減にもなりますよ。

腰痛の原因は姿勢の悪さから

まず簡単な体の話から説明させて頂きます。

腰痛の原因の多くは姿勢の悪さです。例えば、猫背で背中も腰も曲がったまま長時間座っていると、背中の筋肉が常に伸ばされてしまい、おなかの筋肉が縮んだ状態となります。

の後、急に立とうとすると背中の筋肉が急に縮んで、おなかの筋肉が伸ばされるので、その反動で痛みが出ます。

また、背中を丸めていると骨盤も倒れてしまい、骨盤についているおしりの筋肉も弱ってしまいます。

ここまでの説明で、「それなら、胸を張っていい姿勢で座ろう」と思う方もいらっしゃいます。

そうすると一見いい姿勢なので問題なさそうですが、たいていの場合、背中の筋肉に力を入れて姿勢をよくしようとしてしまう為、背中の筋肉の張りが強くなり腰痛が増す場合もあるので要注意です。まずは正しい座り方から実践してください。

正しい座り方とは

正しい座り方は見た目のきれいさも大事ですが、ほかにもたくさん大事なポイントがありますので、これからは正しい座り方のために大事なことを3つのステップにてお伝えします。
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ステップ1骨盤の位置を意識する

座っている際は骨盤が立った状態でいることが大切です。骨盤が立っているか座っているかは自分でも確かめることが可能ですので、ぜひ試してみてください。

まずは少しいい姿勢で座ります。

いい姿勢で座った時にご自身の手でおしりの左右どちらかと座面の間に手を入れてください。この時に硬い骨があるかと思いますが、この骨は「坐骨」という骨で座る際に支えてくれる骨です。この骨が仮に触れない、見つからないという方は、おしりの骨を触りながらいい姿勢になり、背中を丸めて悪い姿勢になったりすることで骨盤が動き、骨が動くのが感じられます。その動いている骨が坐骨です。

その坐骨を触れる姿勢こそいい姿勢と呼ばれる姿勢です。

「坐骨」を意識して座ってみるだけでも姿勢も変わりますし、腰痛などの症状の軽減にも繋がりますので、今後座るときはぜひ意識してみてください。

ステップ2顎の位置を意識する

デスクトップパソコンで普段作業されている方は、目線の位置は比較的まっすぐになりますが、ノートパソコンやタブレットなどをお使いの方は、どうしても目線が下がってしまいます。目線が下がったままで作業すると背中が丸くなり、腰にも負担がかかりやすいです。

とはいえ「新しいパソコン買いましょう」とはいかないので、どなたでも出来るアクションプランをご紹介します。

まずはステップ1で学んだ正しい座り方で座ります。その状態のまま一度腕を上げて伸びをします。次に顔を上げて天井を見てください。(伸びをしながらでも大丈夫です。)

その後、頭を戻すときに顎を引いてください。少し窮屈さを感じるかもしれませんが、本来は顎を引いている状態が首にはストレスがかからない姿勢となります。骨盤を意識して顎の位置を整えれば見た目も姿勢がよく、筋肉にも負担がかかりません。
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ステップ3足の指を意識する

一見、姿勢と足の指は関係なさそうですが、腰痛改善には非常に重要なポイントとなります。

まずは無意識で座った時の脚の位置を確認してみましょう。

脚を伸ばして投げ出している状態、股が開いている、脚を組んでいる、足首を倒して座っている。さまざまな座り方で座っているかと思います。

脚を組んで座っている方は腰痛になりやすいので要注意です。脚を組むと骨盤につく筋肉のバランスが乱れてしまい、巷で言われる骨盤のねじれが発生します。

盤がねじれるから腰が痛くなるというよりも、筋肉のバランス、使い方の癖が左右違うことで、無理がかかってしまうことで痛みが出てきます。日常で足を組んでしまう方は組まないように意識しましょう。

では、正しい座り方とはどんな状態でしょうか。

座った姿勢が膝を90度曲げて座れる椅子の高さが良いとされています。この状態だと、前後のももの筋肉が均等にストレッチされるので理想的な状態といえます。それが難しい場合でも、足の指を意識するだけでも腰痛になりにくくなります。

無意識の状態では足の指が地面から離れているかと思います。この状態だと股も開きやすく、結果的に悪い姿勢になりやすくなります。股を閉じるように意識すると、ももの筋肉を使うので一見良さそうに見えますが、長時間キープするのはなかなか難しいと思います。

た、骨格的に内側のももの筋肉を意識して長時間座っていると、内ももの筋肉が過度に緊張してしまい、ほかのトラブルにも繋がります。

まずは負担のかからず継続できるようなやり方で行うことが大切です。

やり方としては、足の指を動かします。出来る方はパーにしたりグーにしたりしてみてください。そして足の裏も地面につけた状態で足の指をグーにします。そうすると人によっては内や外に倒れていた脚がまっすぐになるかと思います。

足の指を意識して動かし、立った時も座っているときも地面を掴むイメージで指を動かすことで、見た目よりも立ち姿勢や座り姿勢が安定します。いい姿勢になるということよりも「安定する」がポイントです。足指を動かすことで足先に溜まった老廃物を流すことも可能です。

剖学的には足先から頭のてっぺんまで筋膜で繋がっているので、足の指を動かすことで全身を緩めるきっかけとなります。もし動画を見ていて思うような効果が出ない場合は、足の指から動かすようにすると解決するかもしれません。ぜひお試しください。

説明が長くなりましたが、
① 坐骨で座る
② 顎を引く
③ 足の指を動かす

この3つを意識するだけでも姿勢は変わります。姿勢が変われば腰痛にもなりにくくなりますので、これからも意識して続けてみてください。

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

痛みや体の不調で悩むあなたへ、役立つ情報をお届け。

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