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立ち仕事をしていて、腰痛を感じたことはありませんか?
立ち仕事で代表的な職業は、工場のライン作業員、アパレル販売員、会社や百貨店などの受付スタッフ、ホテルの従業員、飲食店のホールや厨房スタッフ等です。どの職業も、毎日長時間の立ち仕事をしていますよね。
業務開始から休憩時間まで、長い場合は6時間以上立っていることもあるそうです。そのような状況であれば、足の裏やふくらはぎに痛みや疲れが出てくるのはもちろん、上半身を支えている腰からお尻にかけても、痛みとか疲れとかが出てくるのは当たり前ですよね。
今回はそんな立ち仕事と腰痛について、原因と対策を交えて紹介していきます

立ち姿勢について

まず、医学的にどんな姿勢が良いのか説明していきます。理想的な立ち仕事とは、後ろから見て後頭部の中心にある骨の出っ張りからお尻の割れ目までと、横から見ておよそ耳たぶから外くるぶしまで、一直線になっている状態です。
この直線が乱れることによりバランスが崩れて、より身体の負担が強くなり、身体の不調に繋がりやすいです。

立ち仕事と腰痛になる原因とは?

筋肉の疲労

腰の筋肉で代表的なのは「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」です。この筋肉は3つの筋肉の総称で、最長筋(さいちょうきん)・腸肋筋(ちょうろくきん)・棘筋(きょくきん)があります。
そして、この3つの筋肉は、体幹を反らす「後屈」や横に曲げる「側屈」、身体を捻る「回旋」の時に収縮して働きます。また、これらの筋肉は「抗重力筋」といって、重力に対して身体が負けないように働いています。
特に本来であれば、重力により体幹は前側に曲がってしまいますが、そうならないように脊柱起立筋が働き、体幹を常に後屈するように働いています。つまり、座ったり寝転んだりせず、長時間立ちっぱなしでいると、重力に逆らって働いている筋肉は疲労してしまいます。
疲労することにより、筋肉が血液を送るポンプ作用が低下し、血流不足となり「筋硬結(きんこうけつ)」という、筋肉が張って硬くなる現象が起こって痛みが発生します。
その他、太ももやふくらはぎの筋肉も抗重力筋のため、同じ発生機序で痛みが起こります。

骨盤の位置異常

もう一つの原因に、骨盤の位置異常があります。人の背骨は、積み木のように脊椎という骨が重なって構成されています。そして、背骨は重力による負担を軽減するため、横から見るとS字型になっています。
首は前側にカーブして、胸は後ろ側にカーブ、腰は前側にカーブしています。腰の下にある骨盤は、少し前傾気味が正常です。しかし、立ち仕事で腰の筋肉や太ももの前側の筋肉が強く緊張してしまうと、腰の前側のカーブが正常より強くなり、骨盤がさらに前傾してしまいます。
また、立ち仕事で太ももの後ろ側の筋肉が緊張してしまうと、反対に腰の前側のカーブが正常より弱くなり、骨盤は後傾してしまいます。このように、骨盤の位置異常により腰痛を発生します。

立ち仕事で腰痛にならないようにする対策

体の機能を高める家庭でできるストレッチ

次にご紹介するのは、筋筋膜性腰痛症に対して実施すべきストレッチです。メインで行うのは腰部周囲のストレッチになりますが、腰は胸椎という背骨と股関節の間にある部分です。そのため隣接する関節が動かなくなった場合に腰に負担がかかることが多く、主たる要因が隣接する関節であることが多々あるのも現状です。そのため、腰部のみでなく胸椎・股関節周囲のストレッチも併せてご紹介していきます。

腰部のストレッチ

腰部のストレッチ一つ目は両足抱えです。方法は、仰向けの状態がスタートで両足を体のほうに近づけるようにして膝と股関節を曲げます。そこから、足を体に近づけたり離したりしながら腰の筋肉を伸ばします。ポイントは呼吸です。
腰の筋肉は呼吸に関与する筋肉が存在するため、呼気で足を体の方に近づけ、吸気で近づけた足を離します。必ず呼吸法方法守って実施しましょう。

腰部のストレッチ2つ目は股関節捻りです。仰向けに寝た状態で、両膝を軽く曲げ両腕を90°外側に開いた状態がスタートポジションになります。スタートポジションから両足を左右に捻っていきます。この際、右膝を倒すのであれば左肩が浮かないように注意しながら実施してください。また無理矢理捻ろうとすると腰に痛みが出現することがあるのでゆっくり実施してください。

胸椎・股関節のストレッチ

隣接関節のストレッチ一つ目は、胸椎のストレッチです。胸椎は肩甲骨の動きに伴って動くので、肩甲骨を動かしながら胸椎の動きを促します。肩甲骨の運動ですが、肩を90°外側に開き、肘を90°程度曲げた姿勢がスタートポジションです。
スタートポジションから両肘をつけるように動かす方向と逆に両肘をできるだけ離すように開く運動を交互に行います。この動きは、肩甲骨の内転と外転という動きになります。肩甲骨の内転と外転運動に伴って、胸椎は反る動きと丸まる動きが相対的に生じます。胸椎自体の可動性は大きくないため、肩甲骨を動かして相対的に胸椎のストレッチを実施していきましょう。

隣接関節のストレッチ二つ目は、股関節のストレッチです。股関節の筋肉はたくさん存在しますが、特に実施すべき部位はお尻の筋肉です。お尻の筋肉は靭帯や骨を介して、腰の筋肉と繋がっています。そのためお尻の筋肉が硬くなってしまうと、腰へ負担がかかってしまうためしっかりストレッチしましょう。

方法は仰向けで両膝を曲げた状態がスタートポジションです。一方の足を膝の上に置き、置いた足を開排します。その状態から足が乗っている足を両手で体のほうに近づけます。開排している方のお尻の筋肉がストレッチされます。

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骨盤ベルトを装着する

腰の筋肉の疲労や骨盤が傾いていることで腰痛になっている場合は、骨盤ベルトがおすすめです。腰痛ベルト、いわゆるコルセットのような腰全体を覆うようなサポーターではなく、腰から下の骨盤を締めるベルトです。
なぜ、腰全体を覆うコルセットより、骨盤ベルトの方がいいのでしょうか?腰全体を覆うコルセットは、たしかに腰の筋肉を支える上では、とても良いサポーターです。特に痛みが強い場合や、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎圧迫骨折などで効果的です。
しかし、長期間(6ヶ月以上)していると、筋肉をしっかり支えているため、筋肉が腰を支えなくなり衰えていき、コルセットなしでは居られなくなってしまいます。それに比べて骨盤ベルトは、腰の下の位置の骨盤を締めます。
そのため腰の土台部分を固定して支えていますが、腰自体は支えていません。腰の筋肉を動かしながらもサポートしてくれますので、筋肉が衰えてしまうことはありません。長期間装着していても安心で、腰痛対策になります。

腰を温める

前述した通り、腰の筋肉は立ち仕事で常に働いています。筋肉は疲労すると血流が悪くなりますので、腰の筋肉を温めることが大切です。腰に腹巻をしたりカイロを貼ったりして、できるだけ腰を冷やさないように心掛けましょう。
冬はもちろんですが、夏の時期でも腰が冷えることがあります。服は薄着になり、さらに冷房により身体は冷やされますので、夏でも腹巻したり小さなカイロを貼ったりして対策しておくことを、おすすめします。また有酸素運動やストレッチなどで血流を改善し、体を温めることも効果的です。

靴にも注目する

靴と腰痛は関係なさそうですが、上記の骨盤の位置異常に関連してきます。骨盤が過度に前傾してしまっている場合、ヒールの高い靴を履いていると、余計に骨盤の前傾を助長してしまい、逆効果です。
そのような姿勢になっている方は、ヒールがある靴はやめて、平らな靴を履きましょう。逆に骨盤が後傾気味になっている場合は、ヒールのある靴を履きましょう。男性であれば、踵の下にインソールを入れると効果的です。

参考:日本整形外科学会

著者情報

腰痛メディア編集部
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