ある日突然やって来る「ぎっくり腰」。いつ起こるのかは誰にも分からないため、特に腰痛をお持ちの方の中には、「いつか自分もぎっくり腰になってしまうのでは?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、ぎっくり腰の実際の症状を解説したうえで、考えられる原因や5つの対策をご紹介していきます。ぎっくり腰にならないよう日頃から対策をするだけでなく、万が一なってしまった際に適切に対処できるよう、今のうちに正しい知識を身につけておきましょう!
目次
ぎっくり腰の具体的な症状と治るまでの期間
突発的。反復性にも要注意
「ぎっくり腰」は、正式な疾患名を「急性腰痛症」または「腰椎捻挫症」と言います。腰痛の中でも何の前触れもなく突発的に起きるのが大きな特徴で、一度なってしまうと治った後に繰り返してしまう反復性があります。
基本的に中高年に多く見られる腰痛の症状で、未成年で発症するケースは少ないです。ただ、現代は未成年のぎっくり腰も増えてきていると言われています。
欧米ではその激しい痛みから「魔女の一撃」とも言われており、適切な処置をしないで長引かせてしまうと、慢性的な腰痛に変わってしまうケースが多く見られます。そのため、万が一ぎっくり腰になってしまった場合には、最初の処置が非常に重要だと言えるでしょう。
ぎっくり腰の痛みには個人差がある
ぎっくり腰と言うと、いきなり激しい痛みに襲われるイメージが強いですが、その痛みの種類は人によってさまざまです。基本的に「腰の肉離れ」とも呼べるような症状で、普通の腰痛とは異なり何かしら大きな負荷がかかることで誘発されます。
痛みが激しいと、その場から動けなくなってしまい、立ち上がることすらできないということも珍しくありません。痛みの種類としては、炎症によって熱を伴うような「じんじんする痛み」や、急に電気が流れるような「ピリッとする痛み」などさまざまです。
ぎっくり腰が治るまでの期間は約1カ月から1カ月半
ぎっくり腰が完治するまでの期間は、一般的に約1カ月から1カ月半程度とされています。具体的なイメージとしては、以下のようなプロセスを経て改善していきます。
発症直後
腰に激痛が走り、身動きを取ることが困難に。
2~3日後
痛みが徐々に緩和し、少しは身動きが取れるようになる。場合によってはチクリと針を刺すような痛みを伴う。
1~2週間後
痛みもかなり緩和され、少しずつ歩けるようになる。症状が軽ければ、比較的普段通りの生活が送れることも。
1カ月~1カ月半後
痛みがなくなり、「完治」と呼べる状態に。普段通りの生活を問題なく過ごすことができる。
激しい痛みを伴うぎっくり腰ですが、基本的には安静にすることで、少しずつ自然治癒していくものです。焦らず、ゆっくりと改善していくことを意識しましょう。
発症2~3日以内に無理して動こうとすると腰に負担がかかってしまい、治るまでの時間が長くなるだけでなく、腰痛が慢性化してしまいます。決して無理はせず、痛みが取れてきたと実感できたタイミングで、少しずつ日常生活に戻るようにしてください。
また、もし「何日経っても痛みが全く改善しない」、「痛みが日に日に激しくなる」という場合には、他の疾患で腰痛が引き起こされている可能性が考えられます。そのような場合には、速やかに医師を受診してください。
ぎっくり腰は原因不明!考えられる4つの原因とは?
気になるぎっくり腰の原因ですが、実は「これ!」という明確な原因はいまだに解明されていません。そこでここでは、ぎっくり腰を引き起こす可能性が高いと考えられている4つの原因をご紹介します。
ぎっくり腰の原因 1:加齢による体の老化
ぎっくり腰の原因として最も一般的なのが、「加齢による体の老化」です。年を取るとヒザの痛みや腰痛が出るように、関節や椎間板は少なからず老化してしまいます。若いころと同じような感覚で重いものを持ったり、激しい運動で腰をひねったりしてしまうと、その負荷に耐えきれずにぎっくり腰を発症してしまいます。
また、高齢者などで体が弱っていると、くしゃみなどの軽い反動でもぎっくり腰を発症するケースが少なくありません。老化を遅らせ、なるべく腰に負担をかけないためには、日頃から運動を実践しておくことが大切です。
ぎっくり腰の原因 2:ストレス
日常生活におけるストレスも、ぎっくり腰の理由の一つと考えられています。実際、人間関係や職場などでのストレスが強く、抑うつ状態にある人は、ぎっくり腰になりやすいという傾向が報告されています。
ストレスを抱えていると、ぎっくり腰だけでなく慢性的な腰痛を誘発する原因にもなります
ぎっくり腰の原因 3:疲労の蓄積による凝り
「日頃から腰が凝っている」、「慢性的な腰痛がある」という方も、ぎっくり腰に要注意です。疲労が蓄積することで筋肉が凝り固まっていると、負荷が上手に分散されず、腰を支える靭帯が断裂して神経を傷つけてしまいいます。
特に、長時間同じ姿勢でいることが多い方、運動不足の方などは、筋肉が疲労している可能性が高いため要注意と言えるでしょう。腰痛対策として運動をする際はいきなり激しい運動をするのではなく、徐々に体を慣らすことを意識してください。
ぎっくり腰の原因 4:肥満による体重増加
腰は体全体の重さを支えているので、体重が増えればそれだけ腰にかかる負担が大きくなると言えます。そのため、全く同じ動きをしたとしても、痩せている人と太っている人とでは、腰にかかる負担も全く異なってくるのです。
肥満は腰痛だけでなく生活習慣病のリスクが高まる要因ともされていますので、この機会に運動を実践し、ダイエットに取り組むことをおすすめします。
未然に防げる!ぎっくり腰にならないための5つの対策
ぎっくり腰のリスクを最小限に留めるためには、日頃から腰回りのケアを行うことが欠かせません。先にご紹介したぎっくり腰の原因を頭に入れながら、ここからは日頃から実践できる5つの対策をご紹介しましょう!
ぎっくり腰の対策 1:マッサージやストレッチ
慢性的な腰痛にお悩みの方は、まずマッサージやストレッチなどで腰回りのコリを解消しておくことが大切です。筋肉のコリがぎっくり腰の原因の一つなので、柔軟性を高めればそれだけぎっくり腰のリスクを下げることが可能です。
ぎっくり腰の対策 2:良い姿勢を意識する
できるだけ良い姿勢を意識し、良い姿勢を保つための筋力を鍛えておくことも大切です。特に猫背の方や、普段片脚だけに重心をかける癖がある方などは、思い立った時に姿勢をピンと伸ばすよう心がけましょう。
また、前かがみや反り腰の姿勢も、同じように腰に大きな負担をかけます。仕事で荷物を運ぶことが多い方や、育児中のママなどは、無意識に前かがみや反り腰になっている可能性が高いので、十分に注意してください。
ぎっくり腰の対策 3:ストレスを発散する
ストレスを感じると交感神経が過剰に作用してしまい、筋肉が緊張するだけでなく、痛みを感じやすい体質になってしまいます。人間関係や職場など、日頃のストレスを緩和するのはなかなか難しいですが、できるだけリラックスしたり好きなことをしたりして、日頃からストレスを発散するよう心がけましょう。
ぎっくり腰の対策 4:運動や筋トレを習慣づける
腰周辺の筋肉のコリをほぐすには、運動や筋トレを習慣づけるのも効果的です。ただし、いきなり激しい運動や筋トレを行うと、それが大きな負荷となりぎっくり腰を誘発してしまいますので、少しずつ段階を踏んでいくことを意識しましょう。
初めのうちはウォーキングやストレッチといった軽い運動で十分です。徐々に運動する時間を延ばし、体全体の筋肉を鍛えられるようになるのが理想的です。
ぎっくり腰の対策 5:食事のバランスを意識する
ぎっくり腰を防ぐためには、体の外だけでなく中からも健康でいることが欠かせません。内臓になるべく負担をかけないよう、バランスの取れた食事を摂ることも大切です。
食生活は健康の基本とも言えますので、ぎっくり腰対策だけでなくさまざまな健康効果が期待できます。特に忙しくて食生活が乱れがちな方は、まずは食生活から改善を目指してください。
もしもぎっくり腰になったら?適切な処置が大切な理由
もしぎっくり腰になってしまった場合には、最初の処置がその後の回復状況を左右するため、正しい知識を身に付けておくことが重要です。
発症直後
・発症直後は冷たい湿布で患部を冷やす。
・痛みがつらいときは横向きに寝て、腰を丸めるような姿勢をとる。
・マッサージやストレッチは厳禁
発症2~3日後
・痛みが和らいできたら、今度は温かい湿布で血流を促進。
・動けるようになったらタクシーや知人に頼んで病院へ。くれぐれも、無理して自分で運転しない。
・無理のない範囲で、体を徐々に動かしていく。
2~3日経った後もずっと安静にしていると、症状が長引いてしまうことがほとんどです。無理は禁物ですが、腰痛が慢性化しないためにも少しずつ体を動かし、元の生活を取り戻すようにしましょう。
ぜひこの記事を通してぎっくり腰に関する正しい知識を身に付け、ぎっくり腰にならないための対策を日常生活に取り入れてみてくださいね!
セルフケアをしても痛みが改善しないときには
セルフケアを行っても腰痛が改善しないケースもあります。このような場合は、腰椎の圧迫骨折を起こしていたり、腰椎椎間板ヘルニアや腰椎分離症を起こしていたりするケースがありますので、歩けるようになったら整形外科を受診するのがよいでしょう。
自己判断でぎっくり腰だと決めつけて、後から深刻な症状に悩まされるより、早い段階で整形外科でレントゲン検査、CT検査、MRI検査など適切な検査を受け、正しい診断を受けて治療した方が、腰痛が慢性化せずにすみます。
特に、太ももやふくらはぎ、足の痛みやしびれがある、セルフケアを行ってもほとんど効果がないなどの場合には、早めに整形外科を受診する必要があるでしょう。
痛みがひどい場合には、硬膜外ブロック注射やステロイドの注入などを行い、劇的に効果がでることもあります。
また、理学療法士が行うリハビリを受けたり、鍼灸を受けたりするのが効果的なこともあります。
しかし、まずは整形外科で検査や診断を受けることが先決でしょう。
正しい診断を受けることで、適切な治療を選択することができます。
◆参考資料
・http://takeda-group.jp/column/1113/
・https://www.itoortho.jp/youtu_info/15.html
・https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/33.html
・https://eonet.jp/health/articles/2017/0810.html
・https://www.kobe-shinkyu.jp/gikkurigoshi-naosu-tameni#:~:text=%E3%81%8E%E3%81%A3%E3%81%8F%E3%82%8A%E8%85%B0%E3%81%AF%E3%80%81%E6%80%A5%E6%80%A7%E7%9A%84%E3%81%AA,%E8%87%AA%E7%84%B6%E3%81%AB%E6%B2%BB%E7%99%92%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82