足のしびれを伴う「腰椎すべり症」とは?手術の有無や原因を解説
腰痛にお悩みの方の中には、「足がしびれる」という症状にお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか?単純な腰痛だけでなく、足のしびれを感じてるのであれば、それは「腰椎すべり症」を発症している可能性が考えられます。
そこでこの記事では、そもそも「腰椎すべり症」とはどのような症状なのかを解説したうえで、具体的な原因や治療法を詳しくご紹介していきます。腰椎すべり症は歩くことが困難になるだけでなく、生活の質を大きく低下してしまう症状ですので、特に慢性的な腰痛にお悩みの方は、事前に傾向や予防策を学んでおきましょう!
目次
足のしびれを伴う「腰椎すべり症」とは?
まず初めに、あまり聞き慣れない「腰椎すべり症」とはどのようなものなのか、実際に起こり得る症状をご紹介していきましょう。
腰椎すべり症とは、神経圧迫によって起きる症状
私たちの背骨は骨が積み重なるように規則正しく並んでおり、腰椎には第1腰椎から第5腰椎まで5つのブロックが存在します。そして、腰椎の中には「脊柱管」と呼ばれる神経の通り道が走っています。
「腰椎すべり症」とは、文字通り腰椎がすべるようにしてずれ、バランスを崩してしまう症状を指します。これにより脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されてしまうことで、足のしびれや腰痛などさまざまな症状を引き起こしてしまうのです。
そのため、一般的な腰痛とは痛みの種類が少し異なると言えるでしょう。症状が軽いと自覚症状もほとんどなく、「X線検査を行った時にたまたま見つかった」というケースも少なくありません。腰痛は一切なく、足のしびれだけというケースも十分に考えられます。
腰椎すべり症は2つのパターンに分類される
そんな腰椎すべり症は、大きく「分離すべり症」と「変性すべり症」の2つに分けられます。
・分離すべり症:背骨の本体である「椎体」と、関節を支える「椎弓」が大きく離れてしまうこと
・変性すべり症:骨同士を繋げている椎間板や靭帯が変形してしまうこと
腰椎すべり症を発症する患者さんの多くは後者の「変性すべり症」に該当し、女性が多いのも特徴の一つです。特に閉経を迎える50代から60代に多く、女性ホルモンが少なからず影響しているのではないかと考えられています。女性ホルモンの減少によって骨粗しょう症を発症している方は、この腰椎すべり症にも要注意と言えるでしょう。
腰椎すべり症になると足がしびれて歩行が困難に
腰椎すべり症は背骨の神経が圧迫される症状ですので、単純な腰痛だけでなく足のしびれを感じることがあります。
家の中の歩行や軽いウォーキングなどなら基本的に問題ありませんが、長い距離を歩いた際にお尻からふくらはぎにかけて、しびれや痛みを感じるようになります。座って休めばまた歩けるようになるため、そこまで気にかけずに過ごしてしまう方も少なくありません。
歩ける距離は、その日のコンディションによっても異なります。もしただの腰痛ではなく、しびれを繰り返し感じることがあれば、この腰椎すべり症を疑ってください。
事前に知っておきたい!腰椎すべり症で考えられる原因とは?
では腰椎すべり症は、どのようなことが原因となって引き起こされるのでしょうか?誰もが気になるところではありますが、実は腰椎すべり症の明確な原因はいまだに解明されていません。
ただし、「このような場合、腰椎すべり症になりやすい」という傾向があるのも事実です。例えば、先述の通り「変性すべり症」は女性ホルモンの影響によって、主に50代から60代の女性に起こりやすいとされています。もう一方の「分離すべり症」は、スポーツ選手のように激しい運動をする10代から20代に多く、スポーツで腰周辺を疲労骨折した際に後発的に起こりやすいと言われています。
特に「変性すべり症」は加齢によって起こる性質も強いため、日常的に運動やストレッチといった腰痛対策を実践し、腰に負担の少ない暮らしを心がけることが大切だと言えるでしょう。
腰椎すべり症になったら手術が必要かも?2つの治療法とは?
もし腰椎すべり症になってしまった場合、治療法としては主に2つが考えられます。腰痛持ちの方は、万が一の場合に備え、事前に対処法を学んでおきましょう。
腰椎すべり症の治療法 1:保存的療法
腰椎すべり症になった際にまず行われるのが「保存的療法」と呼ばれる施術です。これは、コルセットで腰を支えることで、腰痛や神経の負担を軽減させていくことが基本となります。
痛みが強い場合には、消炎鎮痛剤を投与したり、ブロック注射を行ったりするケースも少なくありません。同時にストレッチや筋力トレーニングなどのリハビリを実践することも大切で、特に腰回りや腹筋・背筋は意識的に鍛えていく必要があると言えるでしょう。
腰椎すべり症の治療法 2:手術
腰椎すべり症のもう一つの治療法として挙げられるのは、手術です。ただし、これは保存的療法が効かなかった場合の対処法であり、いきなり手術が必要というケースは基本的にありません。
手術内容としては、まず骨を削ることで神経の通り道を拡張し、ずれてしまっている骨同士を金属やボルトなどで固定するというものです。術後は固定した部分が定着するまで安静に過ごすことが必要とされ、しばらくは腰痛対策としても一般的なコルセットを使用することになります。
ただし、これはあくまで一例であり、具体的な手術内容は症状によって変わってきます。いずれにしても、手術が必要にならないよう、違和感を覚えたら早めに医師を受診するよう心がけてください。
また、手術はあくまで症状があまりにも重い場合や、保存的療法がうまくいかなかった場合の処置なので、必要以上に心配することはありません。まずは腰椎すべり症にならないよう日頃から心がけ、なってしまった場合にも保存的療法で治るようトレーニングを重ねていきましょう。
日頃の運動やストレッチで、腰椎すべり症を予防しよう!
腰椎すべり症になってしまうと、歩くたびにしびれや痛みを感じるようになってしまい、日常生活に支障をきたしてしまう可能性も十分に考えられます。一般的な腰痛以上に、生活の質「QOL」を著しく下げてしまう可能性もあるので、日頃から腰椎すべり症にならないようケアしていくことが非常に大切です。
具体的な方法としては、軽度の有酸素運動や筋トレ、そして柔軟性を保つためのストレッチなどの腰痛改善体操が挙げられます。これらの方法は腰椎すべり症に限らず、腰痛対策にもなりますので、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。
腰痛や腰回りに不安があると、日頃の動きも何かと制限されてしまい、生活が不便になってしまうものです。ぜひ日々の運動で、不安の少ない、健やかな精神状態を手に入れましょう!
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◆参考資料
・https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/spondylolisthesis.html
・https://doctorsfile.jp/medication/500/
・https://www.iwai.com/seikei-qa/content/003-suberisho.php
・https://www.sekitsui.com/specialist/sp007-html/
・https://www.tokyo-itoortho.jp/disease/suberisyou.html