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女性の2人に1人は便秘である、といわれるほどポピュラーである便秘。みなさんはいかがでしょうか?厚生労働省が提供する情報の中で「便秘とは、便中の水分が乏しく硬くなる、もしくは便の通り道である腸管が狭くなり排便が困難または排便がまれな状態」を便秘としていて、毎日排便があっても便が硬くて量が少なく残便感がある場合や、排便に苦痛を感じる場合は便秘と言えると発信しています。
また、便秘がひどくなると、腹痛はもちろんのこと、その他の様々な症状がお腹周りに限らず出現し、日常生活にも支障が出てきます。例えば腰痛、下肢のむくみ、吐き気、膨満感、頭痛、自律神経失調症、のぼせなどです。ここでは、便秘のメカニズムと腰痛の関連性について見ていきたいと思います。

正しい排便のメカニズム

私たち動物は食べなければ生きていけません。また、食物を口から摂取したら下へ下へと送られ、最終的に肛門から便として排泄されます。

では、具体的にはどのようにして食べ物が便に変わるのでしょうか。

私達が口から摂取した飲食物は、食道を通って胃に入ると胃酸が分泌されて固形物から粥状へと変化します。次に十二指腸に送られて体が栄養素を吸収しやすい形にまでさらに分解されます。そして小腸で大部分の栄養成分が吸収され、残った物が大腸へと運ばれます。
大腸では、小腸の残留物を便として排出できる形にするために水分が少しずつ吸収され、細菌によって発酵が行われます。同時に大腸の蠕動運動によって下へと移動し、古くなった腸粘膜や腸内細菌の死骸などと混ざり、便となり肛門へ移動します。

この際に何らかの原因によって、蠕動運動がスムーズに行われない、便がスムーズに運ばれない、排便のサインを体が認識しないなどの異常が起こると、便秘になります。

腸を始めとする内臓系の働きは、自律神経によって支配されています。特に消化器系の働きは自律神経による反射によって始まります。食べ物が胃に送られ膨らむと、胃-大腸反射によって大腸が反射的に収縮し、便を直腸に送り出そうと動き出します。
便が直腸に達して直腸壁が刺激されると内肛門括約筋が緩み、直腸-結腸反射によって大脳がそれを感知して結腸(大腸の一部)に信号が送られ、結腸は再び活発な蠕動運動を開始して、更なる便を直腸へ送り出そうと働きます。これによって便意を催すと、肛門にある外肛門括約筋が緩み、排便に至ります。

便秘の種類

便秘は原因や症状によっていくつかに分類されます。主に機能性便秘と器質性便秘にわけられますが、前者は最も多いタイプの便秘で、ストレスや生活習慣、加齢などを原因として大腸~肛門での働きが乱れるケースで、さらに弛緩性便秘・痙攣性便秘・直腸性便秘と大きく3つに分かれます。

弛緩性便秘は、腸管の筋肉が緩んで蠕動運動が低下し、便を肛門へと押し出すことが出来ない状態です。水分はどんどん吸収されていきますので、便に水分がなくなり、カチカチに硬くなっていきます。次に痙攣性便秘。これは自律神経の乱れによって副交感神経の興奮が高まると、腸管が上手く動作できず、蠕動運動の連続性が乱れることによる便秘で、うさぎの糞のようなコロコロとした形状になります。
この2つは、精神的ストレスによるものが多いとされています。直腸性便秘とは、便が直腸に達して直腸壁が刺激されると、直腸-結腸反射によって大脳がそれを感知して便意を催しますが、寝たきりの場合や、排便を我慢することで神経の感度が鈍くなり、便が直腸に入っても感知しにくくなることによる便秘です。

後者の器質性便秘とは、大腸がんや手術後の癒着、炎症性疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)などが影響して、便の通過障害が起こるケースです。この場合、激しい腹痛や血便、悪心嘔吐などの症状も伴いますので、便秘がひどくてこのような症状も併発している時には、医療機関を受診されることも考える必要があります。

その他にも、甲状腺機能低下症や副甲状腺機能亢進症などの全身疾患では、腸蠕動の働きが弱くなったり、女性特有の妊娠や生理などの際には、ホルモンの関係で便秘になりやすくなります。また、咳止め薬などで蠕動運動が低下するなどの薬剤の副作用による便秘などもあります。

便秘と腰痛の関連性

では、便秘と腰痛とはどのような関係があるのでしょうか?

最もよく見られるケースとしては、機能性便秘に関わるもので、腸内に溜まった便が臓器などを圧迫して痛みが出るというものです。便秘で便が硬くなり大腸に溜まっていくと、子宮やその他の臓器、筋肉、神経を圧迫し、子宮の痛み・腹痛・腰痛などを生じる場合があります。また、他の部位を圧迫することによる血行障害によっても腰痛を感じることがあります。
大腸は下腹部に位置しており、下腹部を通る筋肉には、腹直筋、内・外腹斜筋はもちろんのこと、腰痛に深く関わっている腸腰筋があります。便秘が悪化して大腸内に多量の硬い便が貯留すれば、隣接している筋肉・神経は圧迫され、腰痛が出ることがあります。

子宮筋腫や潰瘍

また、女性に見られる子宮筋腫や腫瘍でも腰痛が見られる事があります。筋腫が骨盤神経を圧迫すると、下腹部痛や腰痛が起こることがあります。また、直腸を圧迫することで便秘や腰痛、下肢の痺れにまで発展することも少なくありません。
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悪玉菌による腰と背中の痛み

その他にも、悪玉菌が増えると腸内環境が乱れ便秘になると言われています。大腸には大量の腸内細菌が存在しており、善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類に分けられます。悪玉菌は、有毒なガスを発生させ、ガスが溜まってくると背中や腰を圧迫して腰痛の原因になったり、便秘をして胃腸全体の調子が崩れてくると、胃もたれや胃痛が起こり、これが腰痛・背部痛となって表れてくることもあります。

これらのケースのように、直接的ではなく、間接的原因として結果的に腰痛を発症してしまうというケースが多く見られています。

便秘と腰痛まとめ

ここまで、便秘のメカニズムと腰痛の関連性についてご紹介してきました。通常の便秘であれば、適度な運動や、食物繊維の摂取、ストレス解消、発酵食品の摂取などを心がけることで予防や改善は可能です。ひどい便秘が解消されると、それまで苦しんでいた肩こりや腰痛が嘘のように消えた、という話もあるくらい、便秘は身体の様々な症状に影響を及ぼします。
たかが便秘と捉えるのではなく、日頃から自分の体と向き合い、便秘にならないよう運動を行いながら健康作りを心がけ、便秘が悪化するようであれば、しかるべき医療機関で診てもらうなどしてきちんと対応していきましょう。

参考:便秘と腰痛の関係性 小林製薬

※本記事は情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、腰痛改善運営会社及び監修医などの専門家は責任を負いません。

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腰痛メディア編集部
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