まだ10代の中高生あるいは小学生のうちから、「腰が痛い」とお子さんが訴えることはありませんか?それは、側弯症(そくわんしょう)かもしれません。また、学校の健診で側弯が疑われるお子さんも多いのでは?今回は、こどもの側弯症の予防やチェック法、治療について徹底解説します。
目次
側弯症とは?
側弯症とは、背骨がねじれながら左右のどちらかに曲がっていってしまう状態のことをいいます。
軽度の側弯症は1000人中3~5人程度いると考えられており、手術が必要なほど重度な側弯症は全人口の0.1%以下であると考えられています。
側弯症は早期発見、早期治療を行うことが改善への糸口となるのですが、ただ腰骨が曲がっているというのは気づきにくい方が多いものです。
側弯症の症状
側弯症の症状として起こりやすいのが腰痛です。
腰痛が起こっていない場合でも、
・鏡を見た時に左右の肩の高さが違っている
・肩甲骨が突出している
・腰の高さが左右で非対称である
・おじぎをしたときに腰の骨が隆起している
などといった変形が見られた場合には側弯症である可能性が高いと考えられます。
また、側弯症が進行すると心臓や肺を守っている胸郭という部分も変形してしまうため、心臓や肺を圧迫し、息苦しさや息切れ、肺活量の低下がみられるようになります。
参考
側弯症|KOMPAS|慶応義塾大学病院医療健康情報サイト
側弯症は身体にどのような影響を与えるのか?|側彎症TOWN|日本側弯症学会
なぜ子供も側弯症になってしまうの?側弯症の原因は?
冒頭でもお話ししたように、側弯症は子供でもなりうる病気で、早い子では10歳未満、小学校低学年くらいから発症してしまいます。なぜ低年齢から発症してしまうのか、側弯症の原因についてご紹介します。
側弯症は機能性側弯症と、構築性側弯症の2つに分類されます。
機能性側弯症
機能性側弯症とは、背骨そのものには問題のない側弯症のことをいいます。
例えば日々の姿勢の悪さや腰椎椎間板ヘルニアという病気によるもの、骨盤が傾いているといった原因が考えられます。機能性側弯症は、原因を取り除くことで改善できる可能性が高い状態です。
構築性側弯症
一方、構築性側弯症とは背骨そのものに異常がある側弯症をさします。
構築性側弯症はさらに原因が分かっているものと分からないものに分類されます。原因が分かっているという場合は、生まれつき背骨の形状に異常があったり、筋肉や神経の病気が原因だったり、放射線治療、やけどなどによるケロイドや骨そのものに病気が発生したことによって、側弯症となってしまいます。
原因が分からないタイプの構築性側弯症のことを突発性側弯症と呼びます。突発性側弯症は側弯症全体の80~85%を占めており、子供の側弯にも非常に多く見られます。
3歳以下で男の子に多く、10歳以降には女の子に多くみられます。また、3歳以下よりも、4~9歳で発症した場合の方が進行する可能性も高いと考えられています。
痩せ形の女の子に多い傾向にあることや、クラシックバレエ経験がある子は側弯症の発症率が1.3倍になるという報告もされています。
一方で、生活習慣や、通学時に所有しているカバンの重さなどは影響が少ないようです。
参考
側弯症|KOMPAS|慶応義塾大学病院医療健康情報サイト
側弯症は身体にどのような影響を与えるのか?|側彎症TOWN|日本側弯症学会
側弯症を予防するにはどうすればいい?
実は、側弯症には具体的な予防方法はありません。ですが、骨に異常がないタイプの側弯症であれば、日々の姿勢に十分気を付けることで側弯症を予防できる可能性があります。
また、前述したように早期発見をすることで改善が可能です。
例えば、椎間板ヘルニアを経験した後に肩の位置がおかしかったり、背部や腰で別の病気を治療した後でもまだ姿勢がおかしい、腰の痛みが続くという場合には、側弯症を疑って早めに検査や治療を受けるとよいでしょう。
子供の場合には、成長期までは背骨のねじれが続いてしまうものの、成長期が終わるとともに進行も止まることがあります。変形した状態は残ってしまうのですが、それによる腰痛などが出現する可能性も低いですし、妊娠や出産に対する影響も少ないと考えられています。
側弯症かも…治療はどうするの?
側弯症かもしれないとなったとき、どのような治療を行うのでしょうか。
側弯症の治療は年齢や側弯症の程度などによって異なりますが、主に装具をつけるかつけないかという治療になります。
経過観察
装具をつけない治療の場合は、成長期であるということが前提です。また、湾曲が25度未満と軽い場合にのみ適応されます。装具をつけずに経過観察のみをしていくのですが、この経過観察中も定期的に医療機関を受診して、3-12カ月毎にレントゲン写真を撮影して側弯の進行の具合をチェックしていくことが必要となります。
骨には異常のない突発性側弯症であった場合には、経過観察となることがほとんどです。痛みには、痛み止めを服用していきます。また整形外科では外来リハビリを提供してくれます。姿勢改善に向けて、ストレッチや体幹トレーニングを学ぶようにしましょう。
装具
装具をつける治療は、20~45度程度湾曲をしている中等度の側弯症の場合に適応となります。こちらも15歳以下の骨が未成熟な子供が治療の対象です。装具は基本的に1日着用し、こまめにレントゲン撮影をして、湾曲状態をチェックしていくことが必要です。
手術
30~40度以上の湾曲をしていて、なおかつ息苦しさや腰痛などで日常生活に支障が出ているという場合には手術の対象となります。手術をすることで側弯症の進行を予防したり、側弯症を改善したりすることが可能です。湾曲の角度以外でも、生まれた時から側弯症である場合も手術の対象となります。
参考
「側弯症」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる
側弯症|KOMPAS|慶応義塾大学病院医療健康情報サイト
側弯症は身体にどのような影響を与えるのか?|側彎症TOWN|日本側弯症学会
側弯症かも?と思った場合には早めに整形外科に相談されるとよいでしょう。