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国民の多くが悩まされている症状の1つに「腰痛」があります。腰痛は発症時期からの経過時間によって分類分けをすることができ、発症時期から4週間未満は「急性腰痛」、4週以上3カ月未満の場合は「亜急性腰痛」、3カ月以上では「慢性腰痛」と定義されます。

発症して時間があまり経過していない腰痛については、怪我や悪い姿勢による負荷など原因が明らかになる場合が多いですが、慢性的に続いている腰痛に関しては腰そのものに不具合があったり、腰椎や椎間板等その周囲に原因があったり、内臓が原因であったりとさまざまな要因が考えられるため特定が難しい場合があります。

ご自身の腰痛が市販薬などで対処できる軽度のものなのか、受診して精査が必要になるのかは適切な判断が必要です。以降解説する内容と症状を照らし合わせながら参考にしてみてください。

慢性腰痛とは?

冒頭でも説明したように、慢性腰痛とは3カ月以上症状が続いている腰痛のことを言います。発症する年齢は限定的されておらず早いと小学生ほどの年齢から、上は高齢者までとかなりの幅があります

慢性腰痛の原因

長期間の腰痛になってしまう原因としては大きく「肉体的要因」「精神的要因」「その他」に分けられます。腰痛を起こしている要因の種類ごとに治療法や対策も変わってきますので、自身の状態を把握することがとても重要です。

肉体的要因

一番多くの割合を占めるのが体自体に原因がある場合です。その中でも骨格や内臓などに何らかの不具合が生じることで腰痛が発症することがほとんどです。

<腰椎に対する影響>
人間の体には姿勢を維持するための「脊椎(せきつい)」いわば背骨が欠かせません。脊椎は全部で24個の骨「椎骨(ついこつ)」からなりますが、そのそれぞれの間にクッションの役割を果たしている「椎間板(ついかんばん)」があります。背骨のうち腰の部分に当たるのが腰椎であり、5つの骨からできていてさまざまな動きを司る重要な場所になります。

加齢とともに椎間板も水分を失い、クッション性が低下していきます。その結果、椎骨同士の隙間が減り柔軟な動きができなくなってしまい、動きに対して緊張や痙攣が起きてしまうために腰痛が発症します。では罹患率の多い腰椎に影響が出た場合の症状の具体例を挙げてみます。

椎間板ヘルニア

この症状に関しては名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。椎骨の間に存在しクッションの役割を担っている椎間板の一部が加齢などの原因により部分的に流出し、神経を圧迫することで痛みやしびれなどの症状を引き起こします。一般的に下半身にしびれが出やすいと言われています。

腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)

人間の重要な神経である脊髄(せきずい)の通り道である脊柱管が、加齢などにより背骨の変形を受け狭くなってしまうことにより神経を圧迫してしまう症状です。椎間板ヘルニアに比べると痛み自体は少ないものの下半身のしびれが出て歩行に影響がでます。背骨をまっすぐに伸ばすと脊柱管が狭まってしまうため、前かがみの姿勢の方が痛みやしびれが軽くなり歩行しやすくなります。この症状で悩まれている方は長時間の連続した歩行が難しくなるので、歩く、休むを繰り返す必要があります。これを間欠性跛行(かんけつせいはこう)と言い、腰部脊柱管狭窄症の特徴的な症状です。

腰椎すべり症

加齢などによって椎間板の変形が起こり、ズレが生じる症状をいいます。他の症状同様、腰痛やしびれなどを引き起こします。腰椎すべり症は「分離すべり症」と「変性すべり症」に分けられ、発症率は変性型の方が多いです。

内臓に対する影響
脊椎に何も影響がなくても腰痛が起こる場合があります。腰が丈夫な方でも痛みがある場合は病院での早期の検査をお勧めします。

消化器系の疾患による場合

消化器系とは人間の体内において、胃や腸、膵臓、肝臓などの文字通り消化に関わっている臓器のことです。胃炎や胃・十二指腸潰瘍の多くはみぞおちに起こることが一般的ですが、脇腹や背中に起こることもあります。まずは症状に対しての薬を服用するなどして様子を見ることになると思いますが、改善が見られなければ他の症状が疑われるため、早急に詳しい検査が必要になります。

泌尿器系の疾患による場合

泌尿器系とは体内の老廃物の排泄に関わる臓器のことで、腎臓や膀胱などのことを言います。腎臓で作られた石が尿管に詰まって下腹部に強い痛みが起きてしまう「尿路結石」や、発熱とともに腰のあたりに痛みを伴う腎臓の感染症である「腎盂腎炎」も腰部付近の痛みとして考えられます。

循環器系の疾患による場合

循環器系とは文字通り血液を体内に循環させるために関わる器官の総称です。全身に血液を送る働きのある大動脈の壁が避けてしまい胸や背中に激痛が走る「大動脈解離」や、大動脈の一部分がこぶ状になってしまい周囲の臓器を圧迫することで痛みが伴う「腹部大動脈瘤」も腰部に痛みが出る症状なので身に覚えのない痛みに対しては十分な注意が必要です。

精神的要因

腰痛が起こる原因は肉体的な要因だけではありません。上記のような症状に悩んでいなくても慢性的な腰痛を患っている方が多い背景には「心身のストレス」があります。ストレスの原因には個人でさまざまな理由がありますが、ストレスを感じると痛みを抑制させる働きがうまく機能しなくなり痛みを感じることに繋がってしまいます。長期間ストレスを感じていると痛みの抑制が効かなくなったり少しの痛みで激痛が走ったりとどんどん悪化し、さらにそんな状態で自身も精神的にまいってしまい、自律神経失調症を生じ悪循環に陥ります。

治していくには?

すでに起きてしまっている腰痛に対しては対症療法として鎮痛薬で痛みを取り除いたり、しびれを軽減させる薬を飲んだり、血行を改善させたりと実際の症状に対してのアプローチで問題ありません。

今は大丈夫だけど腰痛の予備軍だという方は腰回りの筋肉を鍛えましょう。特に重要なのは「腸腰筋」「腰方形筋」「脊柱起立筋」の3つです。腹筋や背筋などのコアトレーニングを中心とした腰痛体操や、ストレッチなどを行うことで、腰椎周囲のカバーができるので腰痛の予防策になります。

まとめ

国民の多くが悩まされている腰痛だけに、改善方法または自身が該当する症状の発症があった場合にすぐに対応していただけるように、今回は腰痛というテーマで起こりうる可能性がある疾患についても説明しました。しかしもちろんここに記載されているものはごく一部分であり、他にも多くの症状が存在します。

腰痛と聞くと症状的には軽いので湿布をはって我慢する、痛くても眠れば治るなどの考えをお持ちの方も多いですが、実は腰痛の器質的な問題ではない場合も潜んでいるので治療がうまくいっていない方は早期に病院の検査、受診をお勧めいたします。

すでに腰痛がながく続いている方、なかなか治らない方はこれを機に、考えられてはいかがでしょうか。

参考
腰痛ガイドライン2019改訂版 第2版|日本整形外科学会|日本腰痛学会

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

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