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大動脈とは?

まず始めに、大動脈はとは何かいうところから説明していきましょう。

人間には動脈と静脈の二種類の血管が全身に通っていることはご存じですよね。
動脈は心臓から各臓器(肝臓や腎臓、胃、腸)や手足の先端、もちろん脳や眼球の隅々まで通っています。
それは体の各臓器に「栄養」や「酸素」を運ぶための役割を持っています。
「供給」の役割を持っているのが「動脈」です。
逆に静脈は主に「回収」をに担っています。
また、動脈は静脈よりも圧が高いので、切れてしまうとプシュッと血が飛び散ります。
よく、医療系ドラマの手術のシーンで血が顔まで飛んでくるシーンがありますよね。
あれが動脈を切ったときの様子です。
静脈は切れてもタラーっと流れる程度です。

そんな動脈ですが、その主幹であり心臓よりも近い場所にあるのが「大動脈」となります。
この血管からいろいろなところに血管が伸びていきます。

腰にある大動脈はどんなもの?

前項でも説明した通り、大動脈は「太い血管」です。
心臓に近いほど太いので、腹部(腰部と同じ位置)や胸部、頚には体の中でもより太い大動脈が通っています。
消化器系の臓器や泌尿器系の臓器、足のほうに血流を送る血管もお腹のあたりから分岐しています。
分岐は大きく分けて3つあります。
・腹腔動脈
・上腸間膜動脈
・下腸間膜動脈
とあり、それぞれが肝臓や脾臓、睾丸や卵巣、腎臓などに血液を送っています。

大動脈解離とは

大動脈は圧が高いことを先ほど説明しましたね。
なので、ちょっとやそっとで破裂してしまうと命に関わってしまいます。
そのため、3層の壁からできています。
一番内側の壁を「内膜」といいます。
そこに亀裂が入ってしまい、内膜と真ん中の膜(中膜)、または内膜と外側の膜(外膜)の間に血液が流れ込んだ状態を「大動脈解離」といい、こぶができた状態を「大動脈瘤」といいいます。
また解離した状態や大動脈瘤を放っておくと「大動脈破裂」といって、大出血を起こしてしまい、死に至ることがあります。
そうならないために、大動脈解離の状態で発見できるようにしましょう。

症状

以下の症状が特徴ですのでしっかりと覚えておいて下さい。

失神するほどの激痛

激痛すぎて失神してしまう人も本当にいます。
場所は解離している場所にもよります。
胸の付近で解離が起これば、胸部の痛みを訴えられる事が多いです。
その場合には「狭心症」や「心筋梗塞」「肺塞栓症」などと間違われる事があります。
必ず病院へ受診しましょう。
また腹部大動脈解離の場合には、腰痛を訴えることがあります。
これもまた、素人目では圧迫骨折や腹部の病気と間違えますので受診は必ず必要です。
胸部から腹部まで解離が進むと、背部から腰部にかけての激痛が起こります。
失神するほどの激痛・・・考えるだけでも恐いですね。
痛みは解離する度に起こります。
そのため、突然始まり数回にわたって激痛を感じることもありま。
また場所によっては急を要し、1時間に1%ずつ死亡率が上昇すると言われています。
48時間以内には半数が亡くなるというデータもあるのですぐに受診してください。

破裂すると以下の症状が起こります。

急激な血圧低下と頻脈から徐脈への変化

いわゆる「ショック状態」になります。
前項でも説明した通り、大きな血管です。
また動脈と言うこともあり、圧が高く飛び出すように出て行きます。
ということは、どうなるかわかりますよね?
とてつもない量の血がお腹の中に出てしまいます。
水道につながったホースを想像して下さい。
蛇口をめいっぱいひねると、遠くまで水が飛びますよね?
ホースの途中に亀裂を入れるとそこから水が漏れます。
体の中にある血液の量は決まってますので、なくなってしまえば水圧も弱くなります。
また、心臓はポンプの働きをしますので、水があるうちは一生懸命に血を送ろうと早く動きます(頻脈)。
しかし、水(血液)がなくなると空打ちし始めます。
そうすると、一回量を多くしようとゆっくりになります(徐脈)

少し話がそれましたが、破裂した後では一刻を争うことになりかねません。
なので、大動脈解離や大動脈瘤の段階で正しい治療をきちんと受ける必要があるということが伝われば嬉しいです。

起こりやすい人

ではどのような人がなりやすいのでしょうか。
以下のような人がなりやすいので、心当たりがある方は前項の症状に注意して生活しましょう。
・動脈硬化
・高血圧
・喫煙歴がある
・日々のストレスが強い人、あるいは長期的にストレスを感じている人
・高脂血症
・糖尿病
・睡眠時無呼吸症候群
・遺伝      など

また、年齢では70歳代の方に多く、男女はあまり関係はありません。
70歳代に多いとはいっても、50歳代や40歳代の方に起きてもおかしくはありません。
上記の病気はほとんどが「生活習慣病」です。
食生活が乱れやすい方や、退職したけど現役のときに不摂生だった方などは要注意ということですね。

治療

治療には大きく2種類の治療があります。
内科的・外科的の2種類になり、薬での治療と手術での治療になります。
解離している場所によって、治療方法は変ってきます。
A型と呼ばれるもの(上行大動脈に解離があるもの)であれば外科的な治療で手術の適応になります。
(マニアックな話になりますので分類の説明は今回は省略しますね。)
B型と呼ばれるもの(上行大動脈に解離がないもの)であれば内科的治療が多いです。
降圧剤という血圧をさげる薬を内服し、血圧を100mmHg以下に保つように調整します。
この方法を降圧療法といい、徹底的に管理していきます。

大動脈解離にならないためには?なったらどうする?

では大動脈解離の予防はどうすればいいのでしょうか。

日常生活のなかでの注意点は以下の通りです。
・毎日の血圧測定は必ず行って、定期受診のときに主治医へ見せましょう!
・暴飲暴食はしないようにしてください。
・たばこはすぐにやめましょう。難しいときには禁煙外来に相談してみて下さい。
・便秘になると気張ってしまって血圧が上がってしまいます。食生活に注意して便秘にならないように心がけましょう。
・熱湯には入浴しないでください。心臓に負担がかかってしまいます。
・急激な温度変化は避けましょう。夏の冷房や冬の暖房が効いた部屋から外へ出るときには要注意です。
・良質な睡眠を取り、ストレスを避ける。毎日規則正しい生活をして、過労や緊張状態が続いたりストレスをため込んだりしないようにしましょう。
・軽い運動は是非行って下さい。どの程度の運動であれば大丈夫か、主治医に相談しましょう。
・飲酒は適量を心がけて。適量の飲酒であれば大丈夫な場合もあります。主治医や看護師にどのぐらいの量なら大丈夫かを相談してみましょう。

また、大動脈解離の症状がみられたらとにかく受診しましょう。
そして内科的治療(降圧療法)を指示されたら忘れずに降圧剤を内服しましょう。
これは必ず!マスト!です!
つい飲み忘れた、めんどくさいはなしですよ。

まとめ

大動脈解離は破裂につながる恐いものです。
日頃からの生活習慣に気をつけていきましょう。
また急激な失神するような痛みが見られた場合には救急要請してください。
放置しておくと48時間以内には半数の方が亡くなられている疾患ですので、症状を見逃さず、軽視しないようにしてくださいね。

いかがでしたでしょうか。
まさか腰痛が命につながる病気だとは思いませんよね。
腰痛にはさまざまな物がありますが、自分で解決しないようにしてくださいね。
必ず医療職の判断のもと、上手に付き合っていきましょう!

参考出展
・国立循環器病研究センター病院HP
大動脈瘤と大動脈解離 | 病気について | 循環器病について知る | 患者の皆様へ | 国立循環器病研究センター病院 (ncvc.go.jp)
・著作代表:吉田俊子:系統看護学講座専門分野Ⅱ 成人看護学(3)循環器,医学書院,第12版第8刷,2010

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

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