MENU
メニュー

腰もここのところずっと痛かったけれど最近食欲もなくなってきた……。という方。もしかしたら、それは危険な腰痛かもしれません。
食欲不振を伴う腰痛は危険ではない腰痛もありますが中には生命のリスクを伴う危険な腰痛であることも考えられるのです。
食欲低下を伴う危険な腰痛とはどんな腰痛なのでしょうか。

食欲がなくなる腰痛~腰の病気の場合から

腰痛と聞くと腰の骨や腰の筋肉の病気を連想する方が多いのではないでしょうか。ですが、食欲不振を伴った場合には腰の病気だけが原因でないことがあります。

まずは、腰の病気による食欲不振の場合です。
腰の病気によって食欲不振となる理由にはぎっくり腰など急性の腰痛による痛みが強い場合や慢性の腰痛で痛みが長く続く場合、腰椎圧迫骨折によって動けずに食欲不振となる場合、悪性腫瘍の場合です。
急性の腰痛など炎症が起こっている時には痛みがつらく、食欲不振となることがあります。痛みの程度は人によって異なりますが、特に今まで経験したことのないような痛みですと、痛みに加えて不安感からも食欲不振となることがあるのです。
また、慢性腰痛のように痛みが長く続いていると、日常生活にも支障をきたすことが増えてきて、自律神経失調症や食欲低下につながるという事例もあります。

高齢者に多い腰椎圧迫骨折とは背骨の椎体というところがつぶれることによって起こるものです。
高いところから落ちて尻もちをつくなどの外力がかかった場合や、骨粗しょう症あるいはそれに準ずるほど骨がもろくなった状態で尻もちをついただけでも起こることがあります。

圧迫骨折が治癒するためにはコルセットなどを装着して安静にするのが1番の治療法です。安静にしていることで活動性が低下、つまりお腹が空かなくなることで食欲不振を引き起こす可能性があるのです。特に高齢者などは床上安静、いわゆる寝たきりになってしまう方も少なくなく、さらに食欲不振を併発する可能性があるといえるのです。

悪性腫瘍とはいわゆるがんのことです。脊椎や脊髄に腫瘍ができた場合や隊幹部にできた腫瘍が進行した場合に起こることがあります。がんが原因の場合、初期に症状が出現しないこともあります。腰痛や食欲不振以外の症状が起こることもあります。

参照:骨粗鬆症による脊椎圧迫骨折|社団法人日本骨折治療学会脊椎椎体骨折|公益社団法人日本整形外科学会脊髄腫瘍|公益社団法人日本脳神経外科学会体幹の肉腫について|国立がん研究センター腰や背中の痛み|恩賜財団済生会

食欲がない腰痛~腰の病気でない場合~

次に、腰の病気ではない場合についてです。
腰の病気ではない場合は、腎臓の病気、膵臓の炎症が考えられます。
腎臓は、ちょうど腰のあたりに左右1つずつついてます。腎臓に炎症が起こった場合や、遊走腎といって腎臓が上下に動いた場合、水腎症など腎臓の病気によって痛みが引き起こされます。腎臓の病気による痛みは強い痛みでもあるため、ぎっくり腰などと同様に痛みで食欲不振が起こることがあります。

膵臓の病気のなかでもとくに腰痛と食欲不振が起こると考えられているのが膵臓がんです。膵臓は、消化器の1つでもあるため、ダメージを受けることで食欲不振が起こります。がんが徐々に進行していくことで腰痛も引き起こされます。膵臓がんは初期の場合無症状なことがほとんどです。腰痛は比較的膵臓がんが進行したタイミングで起こりやすく、最初に見られがちなのは食欲不振です。
しかし、進行するまでに気づくことができず結果として食欲不振と腰痛の症状を同時に感じるということもあるのです。
腰の骨や筋肉以外の病気によって腰痛や食欲不振が起こっている場合には、腰痛や食欲不振以外にも症状が出現していることが特徴です。そのため、腰痛や食欲不振が起こっているがそれ以外にも、嘔気や嘔吐、排尿時の痛みや発熱などの症状が出ている場合には他の病気を疑ってもいいかもしれません。

参照:すい臓がんのサインを見逃さないために|鳥取大学医学部付属病院

危険な腰痛と危険じゃない腰痛を見分ける方法は?

危険な腰痛と危険じゃない腰痛を、素人が見分けることは非常に難しいと考えられます。
例えばぎっくり腰や腰椎圧迫骨折といった骨折の理由が明確である場合には、なぜ腰痛が起こっているのか、食欲が低下しているのかが分かります。しかし、がんなど身体の中で病状が進んでいる場合にはある日突然症状が出現するため理由が分からないことがほとんどです。

また、危険じゃない腰痛には心身のストレスや抑うつ状態である場合、風邪などによる寝たきりの場合も起こります。
普段の生活や仕事なので長期間ストレスを抱えると、心身のストレスが脳の機能に不具合をもたらして腰痛を引き起こす身体化という現象が起こります。この状態になると腰痛以外にも食欲不振を引き起こすことがあるのです。
また、一度変な体勢で荷物を持ち上げるなどして腰を痛めた場合にも身体化を引き起こす可能性があります。例えば腰を痛めた体勢で同じように物を持ち上げようとすると不安になる、それを繰り返していくことでストレスとなり、身体化として腰痛や食欲不振といった症状が現れるということもあるのです。

この身体化と似ているのが抑うつ状態です。抑うつ状態となると特に腰が痛くなるきっかけがなくても腰が痛くなったり食欲不振となったりすることがあります。こういった場合には危険な腰痛であるのかどうかの鑑別が非常に難しいといえます。
また、風邪やインフルエンザによって身体に炎症が起こった時や、1~2日以上、寝た状態で過ごした場合に身体の節々に痛みを感じた経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、風邪やインフルエンザによって食欲も低下している状態です。こういった場合にも食欲不振と腰痛が同時に見られます。

このように、食欲不振と腰痛が同時に見られる事例はさまざまあるため、危険な腰痛なのか、そうではないかをこの2つの症状だけでとらえて結論付けることは難しいといえるのです。

(今までの参考をすべて参考としています。)

危険な腰痛かも……。と思ったらすぐに検査を

危険な腰痛を見分けることは難しいといいましたが、とはいえ、危険な腰痛かもしれないと疑いをかけることはできます。
それは、以下の状態が当てはまるかどうかです。
・痛みによって日常生活に支障をきたしている、動けない
・食欲不振だが頑張って食事を摂っているにもかかわらず体重が減ってきている
・生活の変化や精神的なストレスを感じることが増えている
・腰の痛みで整骨院などマッサージを受けに行ったら腰の筋肉や骨に異常を感じられないと指摘された

こういった場合には、危険な腰痛であるかもしれません。一つでも当てはまった場合には、危険な腰痛を疑い、医療機関で一度検査を受けられることをおすすめします。

また、危険な腰痛ではないとはいえ、日常生活に支障をきたしていればすぐに医療機関を受診される必要があります。状態によってはコルセットなどの装具の着用など経過観察だけでは改善が見込めずに治療が必要となることもあります。
ちなみに、自分の腰痛が危険なものかどうかが分からない、どこを受診したらいいかが分からないという場合にはまず、整形外科を受診しましょう。
整形外科で検査を受けてどこにも異常がなく、危険な腰痛かもしれないと医師が診断してくれた場合には、その治療を受けることができる医療機関を紹介してくれます。
参照:腰や背中の痛み|恩賜財団済生会

まとめ

腰が痛いとなるとすぐに骨や筋肉の異常と考えるかもしれませんが、食欲不振が伴う場合さまざまな病気が潜んでいることがあります。
抑うつ状態であっても、放置していれば生命のリスクを伴います。腰痛と食欲不振が生じたらまずは一度医療機関へ相談するようにしましょう。

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

痛みや体の不調で悩むあなたへ、役立つ情報をお届け。

自分の体の状況(病態)を正しく理解し、セルフマネジメントできるようになることが私たちの目的です。

記事のご意見・ご感想お待ちしております。

この著者の他の記事を見る
wholebodyeducator