腰痛と一言でいっても手術が必要な腰痛と手術が不要な腰痛があります。
どんな腰痛の場合、手術が必要なのでしょうか。また、腰痛の時にはどのような手術をするのでしょうか。
整形外科で働いてきた看護師が、腰痛と手術の関係について詳しく解説します。
目次
腰痛に手術が必要?
腰痛には手術が必要な場合と手術が必要でないという場合があります。
腰痛が出現しただけで手術になることは考えづらく、腰痛が出て手術をするべきとなる最大のポイントは他の症状の有無です。
特に、腰の痛みとともに手足のどこかにしびれが生じているという場合や、歩行が困難となっているという場合には、腰の骨や筋肉系だけでなく、腰の部分に集まっている神経が絡んでいる可能性があるため手術を検討されることが多いです。また、腰の痛みによって日常生活に支障が出ているという場合や、スポーツなど競技に支障が出ているという場合にも手術が必要となります。
手術が必要な腰痛って?
腰痛を症状とする病気は基本的に、痛みが出たからその痛みを改善させることを目的すぐに手術を行うということはほとんどありません。
痛みが出たら、まずは痛み止めなどの薬剤や、神経根ブロックという注射、コルセットなどを使用した固定や、安静にするなどの保存療法と呼ばれる治療が先に行われます。保存療法あるいは保存療法もせずに経過観察をしたとしても約8割程度の方において手術をしなくても良いという結果が得られます。
ですが、これらの治療をしたうえで経過を見て、改善される様子がない、悪化しているといった場合に手術を行うという流れが一般的になります。
こうした保存療法を経て、効果がなかった場合に手術を行うのは腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎変性すべり症、腰椎分離症です。
上記の病気以外の腰痛については手術を選択されることがほとんどありません。すなわち、腰痛の代表格ともいえるぎっくり腰や腰椎圧迫骨折は腰の痛みが辛かったとしても手術の対象になることはほとんどなく、保存療法で経過を見ていくというのが一般的なのです。
ただ、脊髄腫瘍だけは、悪性の腫瘍である可能性もあることから手術が第一選択とされることが多い傾向にあります。
腰痛を改善するための手術ってどうするの?
腰痛を改善するための手術は主に、神経の圧迫を取り除くことを目的に行います。ですので、腰の部分を切開して、神経を圧迫している原因を取り除いたり、神経の通っている部分の間を広げたりすることがほとんどです。また、腫瘍などの手術の場合には腫瘍を取り除いたり、金属を使って腰椎を固定したり、ご自身の腸骨(骨盤の骨)もしくは人工骨を移植するという手術を行います。
神経根の圧迫を解除する手術であれば1~3時間程度の手術時間となるのですが、骨移植をしたり金属を使用した手術となると、もっと長く手術時間が必要となります。
今までは、顕微鏡下で行われる手術が多くある程度の長さを切開することが必要で、腰の部分に傷跡が残りやすかったのですが、近年医療技術の進歩により、内視鏡下での手術も可能となってきました。
内視鏡下で行う手術の場合、傷跡は小さいものが3つ程度で手術を行えるので、傷が目立ちにくく、審美的なメリットがあります。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎は身体の上半身を支え、前後左右に大きくまがり、体をひねるなど柔軟性があり、日常生活で行う運動に対して非常に大きな役割を持っています。そのため、反対に腰椎の使用頻度が高くなり、疾患がある人が多い場所です。腰椎は5つの椎骨で成されており、一番上の椎骨は胸骨、一番下の椎骨は仙骨に繋がっています。
腰椎椎間板ヘルニアは、その腰椎の椎間板の一部が膨隆し、神経を圧迫することで、臀部や腰背部や下肢にしびれが出たり、痛みが伴うこともあります。また、ヘルニアができる場所によっては下肢に力が入りにくくなることもあります。
治療には内服や外用薬などの薬物療法と、牽引や温熱療法といった物理療法が原則となります。しかし、排尿排便障害が出るような日常生活に支障を来すほど重症になると手術が適応となります。
脊椎内内視鏡手術
腰椎椎間板ヘルニアの場合、脊椎内視鏡手術が一般的です。内視鏡手術は2cm程度、皮膚を切開しカメラを挿入し、ヘルニアの部分を切除します。筋肉のへのダメージが少なく、傷も小さいため、早期離床が可能であり入院期間が短くなり、早期に日常生活に復帰ができます。
椎間板内酵素注入療法
手術ではありませんが、椎間板内酵素注入療法というものもあります。これは、椎間板内にある髄核にヘルコニア(有効成分であるコンドリアーゼは、髄核の保水成分であるプロテオグリカンを分解する)を注入し、椎間板内の圧を下げてヘルニアが縮小することで神経の圧迫が改善し、しびれや痛みが改善するとされています。
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症とは、さまざまな原因で骨、靭帯、椎間板、関節などが肥厚し、神経が通る脊柱管が狭くなることで、神経の血行を阻害し、腰部にしびれや痛みなどの症状がでます。
腰部脊柱管狭窄症の手術は2通りあります。
内視鏡下腰椎椎弓切除術
背部を2cm程度切開し、内視鏡下で椎弓を切除し、肥厚した黄色靭帯を切除することで神経の圧迫を解除します。傷口が小さいため高齢者でも手術を受けやすく、痛みが軽いため回復が比較的早いとされています。また、手術部分の感染のリスクも低いとされています。
内視鏡下腰椎椎体間固定術
内視鏡下腰椎椎体間固定術とは内視鏡とX線での透視を使った固定術です。背部を2cm程度切開し、内視鏡を挿入し、変性した椎間板を除去し、そこへ腰骨から採取した骨を詰めたケージと言われるものを挿入して椎骨を整形します。
その後、上下に2箇所ずつ切開し、4本のスクリューと2本のロッドを挿入し、椎骨を固定します。固定術は腰椎すべり症のように安定性のない状態のときに適応されます。背骨の筋肉を剥がす部分が最小限であるため、比較的痛みは軽く、回復も早いとされており、脊柱管の安定性を損なうことが非常に少ないです。
内視鏡下腰椎側方椎体間固定術
内視鏡下腰椎側方椎体間固定術は手術方法は前述した内視鏡下腰椎椎体間固定術と同じですが、アプローチする場所が異なります。内視鏡下腰椎側方椎体間固定術では身体の側面から内視鏡を挿入します。
これにより、背中側の筋を痛めることがなく、さらに大きなケージの挿入が可能になります。大きなケージを挿入することで、安定性がより強化され、骨が再び癒合するのも早くなり、結果的に早期に回復が可能となります。
腰椎分離症
腰椎分離症とは椎弓と呼ばれる腰椎の後方部分が分離した状態のことをいいます。腰椎の後ろ側は椎弓といい、輪っかの形をしています。その輪っかの斜め後ろの部分は細かくて弱い部分といわれています。腰をそらす動きや、ジャンプして着地をするといった衝撃が繰り返されることで、次第に疲労骨折を起こします。疲労骨折を起こすと必ず腰椎分離症となるわけではありませんが、リスクが高くなります。特に成長期に、激しい運動をしていたスポーツ選手などに多い疾患といえます。
腰椎分離症の症状はその度合いによって異なります。初期の状態では、こしをそらしたときのみ、限られた場所で痛みを感じることが多いようです。それも、スポーツ中やスポーツ直後といったタイミングで自覚することが多いため、腰痛があまり気にならない人も多い段階です。
しかし、骨が完全に折れ、痛みがあるまま長期間放っていると、分離が完成してしまい、分離した部分は偽関節というグラつきのある不安定な状態となり、治りにくくなりまます。この段階では、腰痛以外に下肢痛が出現します。また、この段階での腰痛は既に分離部は炎症を起こしており、水かたまるようになります。
さらに、偽関節となった分離部は周りに骨のとげができ、そのとげが周囲の神経に触れることで下肢痛が生じます。動作時以外の座っているときや、ただ立っているだけでも下肢痛を認めるときは、偽関節ができていることが多いです。腰椎分離症の治療は早期ではコルセットや外用薬を使用した保存的療法とがありますが、すこし進行していると手術の適応となり、段階によって異なります。
分離部修復手術(偽関節になっていない場合)
分離部修復手術は低侵襲とされており、腰を1~2cm切開し、筋肉を温存したまま骨折部にネジを入れて、分離部の固定をします。左右が骨折している場合には2本のネジを入れます。傷が小さいため入院期間が短くすみ、早期に復帰ができます。
筋肉剥離術(偽関節になっている場合)
偽関節となっている場合は筋肉の剥離操作を伴うため侵襲が大きくなります。また、偽関節部の骨の癒合を得るため、自分の骨を別の場所(腸骨が多い)から採取し、偽関節部に骨の移植を行う必要があります。
腰椎後方椎体間固定術
偽関節がさらに進行していくと、椎間板が傷むことにより、腰の骨がずれてくることがあります(この状態を腰椎分離すべり症という)。腰椎分離すべり症を来している場合には、まずは神経の圧迫を解除したあと、脊柱の安定性を図るために一部の椎間板を切除し、ケージやスクリューを用いて椎体を固定する、腰椎後方椎体間固定術を行うことがあります。
腰椎すべり症
前項でもすこし触れましたが、腰椎すべり症とは、腰骨が何らかの原因でずれてしまう疾患です。主な症状は腰痛や下肢の痛みやしびれです。腰椎分離症が進行してする「分離すべり症」と、背骨や椎間板の変形によって起こる「変性すべり症」があります。
分離すべり症は前項で記述した通りですが、変性すべり症の多くは加齢とともに椎間板や靭帯、関節など腰椎を固定している組織が変性を起こし、それに伴って腰椎の安定性が失われ、腰椎にずれが出現します。
変性すべり症の治療も初期の段階は保存的療法で、コルセットや外用薬などを用います。しかし、進行するとこちらも手術方法が必要となり、腰椎分離症で述べたような手術の適応となります。
腰痛のを起こす主な疾患とその手術方法について述べました。腰痛はあまりにも馴染みがありすぎて、医師への診察に足踏みしている方も多いです。しかし、そこに疾患が隠れていると、自然に軽快することは難しいため、まずは疾患の有無を確認するためにも整形外科に受診することをおすすめします。
どのくらいで日常生活に戻れる?
手術後、どのくらいのペースで日常生活に戻れるかというのは手術をされた方の年齢や体力、手術の内容や範囲、そして手術後のリハビリによります。
例えば、お若い方の場合、基礎的な体力があるためリハビリも進みやすい傾向にあり、日常生活への復帰は早いですが、ご高齢の方の場合は足腰が若い方と比べて衰えてきていることや基礎的な体力も若い方と比べれば衰えていることから、少し復帰は遅れがちな傾向にあります。とはいえ、手術前から運動をしていたなど、活動量が多かった方では足の筋力がしっかりしていることもあり、ご高齢の方でもお若い方と同様のペースで日常生活に復帰される方もいらっしゃいます。
腰の手術は過度な安静が推奨されず、手術後すぐにリハビリが始まります。ですが、手術後の痛みはしばらく続くので、痛み止めを使用しても痛みが辛くてリハビリが進まないということもあります。そのため、同じ年代の方であっても日常生活に戻れるまでの時間は個人差があるといえるのです。
どんな病気でどんな手術をしたのかによりますが、一般的な目安としては、手術後翌日から歩行のリハビリを開始し、手術後2週間程度で退院、1~2か月程度で手術前と同様の日常生活に戻れるものとしています。
通院については、手術後半年から1年程度は行っていただくことが多いです。
最近は入院なしでOKな低侵襲の手術も
手術療法には様々なものがあることをご説明しましたが、最近は医療技術の進歩により日帰りで治療が可能な低侵襲の手術なども増えてきています。
内視鏡やレーザーを用いた低侵襲(小さな傷で行う)手術の場合傷跡もごく小さいものが多いため、傷跡を気にされる方にもおすすめできる手術方法です。
しかし、低侵襲手術の中でも特に低侵襲といわれているレーザー治療は保険適用外となる場合が多いです。それぞれの治療方法にメリットやデメリットがあるので、よく比較した上で治療方法を決定してください。
手術をすれば腰痛は絶対よくなる?手術によるリスクは?
残念ながら手術をしたからといって100%症状が良くなるということはありません。とある病院の事例では、7割の方に症状の改善が見られたという報告があります。例えば車椅子を覚悟するほどに状態が悪かった方が杖で歩行して買い物ができるレベルにまで回復したという事例があります。ですが、この例ですと患者さんが臨む100%の回復には至っていません。つまり、痛みが取れた、歩行が楽になっても100%腰が痛くなる前と同様の生活に戻ることができない場合もあるということを知っておく必要があるのです。
それだけでなく、手術を受けることによってさまざまなリスクが起こる可能性もあり、腰痛で手術をされることによって起こるリスクは5つあります。
神経損傷
神経の圧迫を解除するなど神経周囲の骨や筋肉に触れていくため、神経を損傷させてしまうリスクはあります。手術前と比べて痺れが悪化した、排泄や排便など他の機能に影響したという合併症を引き起こす可能性もゼロではありません。
感染症
切開のために皮膚に作った傷に菌が付着して感染症を引き起こしたり、固定のために挿入した金属や人工の骨が合わずに体の中で感染症を引き起こしたりする可能性があります。感染症を引き起こす割合は3%程度といわれており、その中でも再手術が必要になるほどのものは1/3程度と考えられています。特に糖尿病がある方や手術時間が長くなる方、手術前から体力が弱っている方は感染症を引き起こすかの末井があります。
血種
手術後に血が止まらず、血の塊を作り出してしまうもので、その血腫が圧迫することによって腰痛やしびれを引き起こすことがあります。とはいえこの割合も2%程度となるのですが、血腫を作ってしまった場合には再手術が必要となります。
硬膜の損傷
神経は硬膜という膜の中に入っていて、脳脊髄液の中で浮いています。この硬膜に穴が開くと、脳脊髄液が漏れてきてしまうことがあるのです。
血栓症
血栓症は腰痛のための手術に限らずすべての手術に起こる可能性があるといえる合併症です。手術中に血管内に生じてしまった血栓が、脳や肺、心臓に飛んで小さな血管を詰まらせ、その部分の血流が遮断されてしまうものです。特に、肺や心臓に飛んでしまった場合には命に直結する可能性もあります。これを予防するために手術中も手術後も、対策に講じてはいますが、完全に防ぐことができないという点を理解しておくことが必要です。
腰痛に対する手術の種類
手術療法には様々なものがあることをご説明しましたが、最近は医療技術の進歩により日帰りで治療が可能な低侵襲の手術なども増えてきています。
内視鏡やレーザーを用いた低侵襲の手術の場合傷跡もごく小さいものが多いため、傷跡を気にされる方にもおすすめできる手術方法です。
しかし、低侵襲手術の中でも特に低侵襲といわれているレーザー治療は保険適用外となる場合が多いです。それぞれの治療方法にメリットやデメリットがあるので、よく比較した上で治療方法を決定してください。腰痛に対する手術療法の一部を紹介します。
レーザー治療
手術療法の中でも最も低侵襲といわれるのがこのレーザー治療。では、レーザー治療にはどのようなものがあるのか詳しく見ていきましょう。
経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD法)
この方法ではまず、椎間板の中にある髄核にレーザーファイバーと呼ばれる非常に細い管を穿刺。その後レーザーファイバーからレーザーを照射し、髄核を焼いてその部分に空洞を作ります。
空洞ができることでそれに合わせて椎間板も縮むため、神経の圧迫が消え痛みがなくなる仕組みとなっています。
局所麻酔かつ15分程の治療で済むため身体への負担が少なく、日帰りで手術を受けることができますよ。
■適用
・椎間板ヘルニア
■メリット
・傷跡が小さい
・半日で帰宅可能
・出血が少ない
■デメリット
・健康保険適用外(実費)
・内視鏡下や切開手術に比べると有効率が低い
切開手術
切開手術は、今回紹介する手術方法の中で最も歴史のあるものです。腰痛に対する有効率が高い切開手術にはどのようなものがあるのでしょうか?
腰椎固定術:後側方固定術(PLF)
全身麻酔で手術を行い、後方の皮膚を5〜10cm縦に切開します。靭帯などを切除し神経の圧迫を取り除いたのち、椎間板を取り除いてその部分に人工骨を固定。
症状の進行度にもよりますが手術時間は2〜3時間ほどで、入院期間は2〜3週間ほどになることが多いです。
■適用
・脊柱管狭窄症
・すべり症
・腰椎分離症
・腰椎変性側弯症
・腰椎不安定症
・椎間板ヘルニア
・圧迫骨折
など
■メリット
・様々な疾患に対応できる
・腰痛を呈する疾患への有効率が高い
・保険適用可能
■デメリット
・入院期間が長い
・身体への侵襲が大きい
椎弓形成術
腰から背中にかけての皮膚を切開します。背骨にある椎弓の一部を切除することで狭くなった脊柱管などが広がり、圧迫が解除されます。
椎弓を大幅に切除する必要がある場合は、腰椎を固定させるために腰椎固定術を同時に行うことも。
■適用
・脊柱管狭窄症
・椎間板ヘルニア
など
■メリット
・様々な疾患に対応できる
・腰痛を呈する疾患への有効率が高い
・保険適用可能
■デメリット
・入院期間が長い
・身体への侵襲が大きい
内視鏡下手術
内視鏡下手術は現在行われている手術療法の中で、最も選択する方が多いといわれるものです。内視鏡下手術にも様々なものがあるので、それぞれを比較していきます。
内視鏡下腰椎椎間板摘出術(MED)
1995年にアメリカで誕生した、比較的新しい腰椎椎間板ヘルニアに対する手術療法です。椎間板ヘルニアの中でも中度から重度の方に適用されるもので、うつぶせになって行います。
背中側を2cm程切開しそこから内視鏡と外筒管を挿入した上で、内視鏡が映し出す映像を確認しながらヘルニア部分を摘出します。
傷が小さいため筋肉の剥離も最小限で済むので、術後の痛みが少ないのが特徴です。手術時間は1時間程で入院期間も1週間ほどなので、早期に社会復帰することも可能。
■適用
・椎間板ヘルニア
・脊椎腫瘍
■メリット
・傷跡が小さい
・術後の痛みが少ない
・入院期間が短い
・保険適用可能
■デメリット
・高度な技術を要するため、やっているところが少ない
全内視鏡下脊椎手術(FESS)
FESSは、内視鏡下手術の中でも特に低侵襲のものです。直径7mmの非常に小さな内視鏡を用いて手術を行うため切開痕も小さく済み、身体に優しいといわれています。
腰だけでなく首の治療も可能なFESSを用いることで、椎間板ヘルニアだけでなく脊柱管狭窄症や頚椎の疾患なども治療可能に。全身麻酔を用いた手術ですが、術後2〜3日で退院することができるところもポイントです。
■適用
・椎間板ヘルニア
・脊柱管狭窄症
など
■メリット
・筋肉の剥離が非常に少ない
・傷跡が小さい
・術後の痛みが少ない
・通常の内視鏡手術よりも侵襲が少ない
・入院期間が短い
・保険適用可能
■デメリット
・高度な技術を要するため、やっているところが少ない
治療する場所によって独自の手術がある?
ここまで有名な手術方法をいくつか紹介してきましたが、今回紹介したもの以外にも一部の病院やクリニックなどでしか行われていない治療法もあります。
その場合保険適用外の治療であることが多いですが、より低侵襲の手術を選択できる可能性もあります。腰痛の程度によってどのような手術方法が適しているのかは異なるので、迷った場合は医師に直接聞いてみてください。
参考
・日本脊髄外科学会 腰部脊柱管狭窄症
・腰椎椎間板ヘルニア
・日本整形外科学会 転移性脊椎腫瘍
・脊髄腫瘍
・腰椎変性すべり症
・腰椎分離症・分離すべり症
・腰痛
・脊椎手術.com 第11回 低侵襲でおこなう腰椎固定術
・脊椎脊髄の手術をすれば症状がすべて改善するのでしょうか?
・北里大学 代表的な手術
・愛媛大学医学部 脊椎・脊髄手術の結果と手術における合併症について
・医療情報科学研究所(2017)「病気がみえる vol.11 運動器・整形外科 医療情報科学研究所 」メディックメディア