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腰や背骨は人間の身体の重心に関わる非常に重要な箇所のひとつ。しかし、現代的な生活習慣等によって、腰痛をはじめとするさまざまな症状が引き起こされることがしばしばあります。

そのひとつが「側弯症(側彎症、脊柱側弯症)」です。この症状が発生し深刻化すれば、ふだんの生活にも大きな悪影響を及ぼしかねません。今回は、そんな側弯症の症状や対策について説明しましょう。今まで知らなかったという方も、この記事を通して知識を深めていただければ幸いです。

側弯症の具体的な症状について

側弯症という名前の知名度自体は腰痛ほど高くはありません。しかし、決して珍しい症状というわけではなく、現代社会を生きる多くの方が患っている可能性があります。

側弯症とは背骨の歪み

側弯症というのは背骨に発生する症状のことを指します。人間の背骨というのは一本の大きな骨ではなく、「頸椎」や「胸椎」そして「腰椎」等たくさんの骨が一列に重なって構成されているのは読者の皆さんもご存知でしょうか。その骨の数は一部例外もありますが、おおよそ24~26個前後だとされています。

この背骨はたくさんの細かい骨で構成されているのが大事なポイントです。側弯症とは、これらの骨のいくつかの位置がずれた結果、背骨全体が左右に曲がってしまった状態となります。診断においては、もっとも湾曲の激しい箇所とそうでない箇所の角度さが10°以上となっている場合、側弯症とみなされます。

側弯症と腰痛の関係性

側弯症は背骨に起因した症状ですが、腰痛のきっかけともなります。なぜなら、背骨と腰は人体においてとても密接なつながりを持っているからです。人間の身体というのは背骨や腰等がちょうどよい形で構成されていることによって適切なバランスを維持できています。

しかし、背骨の歪みによってこのバランスが崩れると、腰は神経の圧迫や過度の負担を長期的に受け続けることとなり、それによって腰痛が発生することがあるのです。

ただし、側弯症が必ず腰痛を引き起こすというわけではなく、症状の程度によっては痛みが発生しないこともあるようです。

側弯症と腰痛の関係性は?原因や症状、運動方法を紹介します!

側弯症が健康に及ぼす悪影響について

側弯症が深刻化した場合、決して無視することのできないさまざまな悪影響が発生するようになります。背骨の歪みによるバランスの乱れや神経圧迫は先述した腰痛のみならず、肩こりや身体のしびれ、さらには肺等の内臓機能低下にもつながります。

体幹も悪化するため、腰痛以外にもふらつきや転倒、めまいが発生する可能性も高くなります。さらにそうした症状が長期的に発生した結果、メンタル面での健康も害され、精神不安やストレスの蓄積にもつながるでしょう。

側弯症はどのようなことが原因で起こる?

側弯症はいったいどのような要素に起因しているのでしょうか。その原因はひとつではなく、知らず知らずの内にこの症状が起きているということもあるようです。

普段の姿勢

側弯症は症状によって複数に分類されていますが、その中でも「機能性~」と呼ばれるものは、普段の生活習慣が関連するケースも考えられます。

たとえばテレビやパソコンを楽しんでいる際に肘をつく等して、身体を傾けたままの姿勢を長年続けていると、背骨にもよくない変化をもたらす可能性があります。また、睡眠時に無意識の内に身体を曲げることが習慣化すること等も原因として挙げられるでしょう。姿勢の悪化は腰痛の発生にも関わっています。

身体的な病気に由来

側弯症の原因の中には、神経や筋肉の異常も挙げられます。前述した部位が何かしらの病によってイレギュラーな変化が生じた影響を受け、側弯症が発生するといったものです。

側弯症を誘発するおそれのある病気としては、たとえば筋力が低下する「筋ジストロフィー」や、背中や腰を曲げざるを得ないほど激しい痛みをもたらす「椎間板ヘルニア」等が考えられます。

遺伝による先天的な要因

側弯症は遺伝によって生まれながらに発症している場合があります。「脳性麻痺」や「マルファン症候群」によって神経や遺伝子に先天的な異常が発生していた場合、側弯症とみなされる背骨の変形を併発していることも考えられるでしょう。

原因不明の「特発性」とは

側弯症の中には、はっきりとした原因が見つけられないケースもあります。いわゆる「特発性~」として定義されているもので、側弯症の原因の中でもかなりの割合を占めています。特発性側弯症の多くは小児期に確認されることが多く、乳児期の場合は男子が、10歳以上では女子が発症する割合が高いとされています。

こうした特発性の側弯症は無症状のままいつの間にか発生していることも多々あります。しかし、そのまま何も対策が行われなかった場合、成長とともに症状が進行していくおそれもあるため、早期発見が求められます。

側弯症の治療や予防について

側弯症というのは決して珍しい症状ではなく、むしろ比較的身近なものです。治療や予防に関する知識の習得は決して無駄ではありません。

完全な治療は難しい

側弯症を和らげるための治療法にはさまざまなものがあります。コルセットを着用することで矯正を行う「装具療法」や、筋力強化を目指す「運動療法」などです。

これらの治療法によって症状の進行を抑制することはできますが、症状そのものを完全に治療しきることはできません。

場合によっては手術も

状態が思わしくなく、前述したような治療法でも改善が望めない場合、外科手術による治療が実施される場合があります。手術では椎骨に直接金具を装着することによってその位置を矯正するという手法が取られます。

この方法の場合、重い症状であっても効果的な矯正を行うことができます。ただし、手術にあたっては背中や脇から切開し、術後も金属がそのまま背骨に固定されることとなりますので、精神的な抵抗を覚える方がいらっしゃるかもしれません。

ポイントは「早期発見」

側弯症は生まれつき発症している場合もあれば、後天的な要素が原因である場合もあります。いずれにせよ最適なのは、症状が重くなる前にできる限り早く症状を発見することです。

症状が軽い段階で確認ができれば、比較的簡単な方法で改善を行うことができます。子供の場合は教育機関で実施される校内検診を受けることができますが、大人の場合は能動的に検査を受ける必要があります。ですので、デスクワークの多い方や足腰に不安を覚える方は、定期的に医療機関等で検査を受けられるとよいでしょう。

生活習慣の見直しも視野に

先に述べたように、側弯症の発生には日頃の生活習慣も少なからず関わっています。よろしくない姿勢での仕事や暴飲暴食、運動不足等が自身の身体に側弯症を呼び込んでいるかもしれないのです。

不健全な生活習慣は、側弯症のみならず腰痛等あらゆる症状や病気の原因となり得ます。そこに加齢による身体機能の低下が加われば、健康状態はさらに悪化するでしょう。「このままではいけないかも」と思ったその日から、自身の生活習慣を見直し、改善していくことをおすすめします。「善は急げ」を実践しましょう。

まとめ

側弯症は本人でもなかなか自覚しづらい症状であり、いつの間にか進行していたということも少なからず起こり得ます。また、子供がいつの間にか発症していたという可能性もあり、油断できません。いざという時早期発見ができるよう、背中や腰の健康状態は常に意識しておきましょう。

参考

日本側弯症学会 側弯症とは(知っておきたい側弯症)

日本整形外科学会 「側弯症」

教えて!先生!腰痛の専門医による安心アドバイス 側弯症

大阪大学整形外科 大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学 診療内容

医療法人鉄蕉会 医療ポータル(亀田メディカルセンター) 背骨の仕組みと働き

お医者さんオンライン 脊柱側弯症:原因は?症状は?治療は必要?手術で良くなるの?

医療法人社団 秀匠会 わしざわ整形外科 側弯症:日常生活での姿勢の注意点(矯正姿勢について)

難病情報センター 筋ジストロフィー(指定難病113)

NCNP病院 脳性麻痺

難病情報センター マルファン症候群(指定難病167)

愛知医科大学病院 脊椎変性後側弯症

アレックス脊椎クリニック 側湾症

著者情報

腰痛メディア編集部
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