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ぎっくり腰とは

ぎっくり腰とは

ぎっくり腰とは急に起こる腰の激しい痛みの総称で、正式には「急性腰痛症」といいます。耐えがたく鋭い痛みで突然身動きが取れなくなることから、別名で「魔女の一撃」とも呼ばれており、中高年に限らず10代や20代などの若い世代にも起こりえます。

ぎっくり腰の症状

腰周りにおこる突然の激しい痛みが特徴で、多くは熱感などの炎症症状を伴います。強い痛みのため姿勢を保持することが困難になり、日常生活や仕事に大きな支障をきたすのが特徴です。

重症例では寝姿勢を維持することや寝返りをうつことすら難しく、首や背中など腰以外の部分を動かしただけでも、腰に強い痛みが走ることがあります。

ぎっくり腰の原因

ぎっくり腰は主に、脊柱起立筋などの腰を支える筋肉や筋膜の炎症、仙腸関節や腰仙関節などの関節を支えている組織の炎症などが原因で起こります。日常生活がままならないほどのひどい腰痛ですから、腰によほど大きな負担がかかった時に起こるのではないかと想像する方が多いのではないでしょうか。

実際には、顔を洗おうと洗面台の前で屈んだり、車のトランクから荷物を降ろそうとのぞき込んだり、日常生活中の些細な動作でぎっくり腰を起こすケースが多くあります。

膝の屈伸を使わずに腰を曲げ伸ばしする癖のある人や、ももの後ろ側の筋肉の伸張性が乏しい人、お尻の筋肉の緊張が強い人などは、ぎっくり腰になりやすい傾向が強いので注意しましょう。

いつの間にかぎっくり腰になっていることも

普段通り過ごしていたのに、起き上がろうとしたら腰の痛みで身体に力を入れられず、いつの間にかぎっくり腰になってしまっていたというケースもあります。重たい荷物を運んだなどの思い当たる原因もなく、驚いた経験があるという方もいるでしょう。

本人が気付かないうちに腰の状態が悪くなっていたり、腰の周りの筋肉に大きく負担がかかっていたりすると、本当にわずかな動作で、腰を支えている筋肉の繊維や関節を支えている組織を傷めてしまうことがあります。

腰に大きな負担がかかると想像できる作業を行うときは、無意識のうちに身体が準備しているものですが、ぎっくり腰は日常的に行っている些細な動作で起こることがあるので、いつの間にかぎっくり腰になってしまうことも珍しくはありません。

くしゃみでぎっくり腰に

くしゃみでもぎっくり腰を起こしてしまうことがあることをご存じでしょうか。私たちはくしゃみをする時に、腰の位置を固定したまま腹筋や胸筋を急激に収縮させて、身体をすくませるような姿勢をとります。

くしゃみをすると、腰を支えている脊柱起立筋などの筋肉は、引き伸ばされながら収縮するため、腰周囲の筋繊維には大きな負荷がかかるのです。仙腸関節や腰仙関節の周囲の組織も急激に伸張され、筋肉と同様に大きな負荷がかかることになります。

そのため、くしゃみをした際にぎっくり腰になってしまい、そのまま動けなくなるというケースもあるので注意が必要です。くしゃみは意識的にコントロールすることが難しいですが、くしゃみがでそうになった時に姿勢を整えて備えることはできるでしょう。

くしゃみがでそうになった時は、テーブルや壁に手をついて支えたり、膝や股関節を軽く曲げたりして腰にかかる負担を分散させることで、腰に大きな負担がかかるのを防ぐことができます。

くしゃみは、時に肋骨を骨折してしまうケースもあるほど、大きな負担がかかる動作なので、くしゃみがでそうになった時は事前に体制を整えるなど対策をして、ぎっくり腰にならないように工夫しましょう。

ぎっくり腰になったときの対処方法

ぎっくり腰 対処法

ぎっくり腰の痛みを少しでも和らげるために、腰に負担のかからない姿勢で過ごしたいものです。寝たり座ったりする時に痛みがでにくい体勢をとる、腰への負担が少ない姿勢で移動するなど、少しでも身体を安静にして早く回復するように努めましょう。

ぎっくり腰で動くことができない場合

ぎっくり腰になって動くことができなくなってしまった場合、無理をして動くと痛みをさらに悪化させてしまう可能性があります。腰の筋肉や関節周囲の組織に炎症が起きていますので、鋭い痛みや熱感などの炎症症状が治まるまで無理は禁物です。無理に身体を動かそうとせず、痛みが治まるまで安静にしましょう。

稀に無理やり腰を伸ばすなどしてぎっくり腰を治したという方もいます。大腰筋や腸骨筋といった、深層の腹筋の過緊張によって腰痛が起こりそうなときに、運の良いタイミングで体幹を起こした結果、強い痛みを回避することができたものと考えられます。しかし、腰周りの筋肉を直接傷めてしまっている場合は、ぎっくり腰の炎症がより重症化する可能性が高いので、無理やり身体を動かすのはやめましょう。

ぎっくり腰のときに楽な姿勢は?

ぎっくり腰の痛みを少しでも和らげるためには、どのような姿勢を取ることが有効でしょうか。腰を支えている筋肉に負荷がかかると鋭い痛みが出現するため、発生直後は横になって寝た状態で過ごすことが多くなるでしょう。できるだけ痛みを出さないようにすることが大切なので、姿勢にこだわらず楽な体勢で過ごすようにしましょう。

ぎっくり腰のときにラクな座り方

ぎっくり腰の時は椅子に浅く腰を掛けて座りましょう。深く腰を掛けて座ると骨盤が後ろに傾いた状態で荷重がかかり、仙腸関節や腰仙関節、脊柱起立筋などの腰を支えている組織に大きな負担がかかり、ぎっくり腰の痛みを助長してしまいます。

ぎっくり腰でどの部分を傷めたのかにもよりますが、椅子に浅く腰を掛けて、肘置きやテーブルなどを腕で押さえて上半身を支え、胸を張って骨盤を立てるようにした方が、腰の負担を少なく座ることができます。

ぎっくり腰のときにおすすめの寝方

重度のぎっくり腰では、寝ている体勢を保持しているだけでも、鋭い痛みが出現し睡眠不足となる場合があります。痛みを少しでも回避するため、寝ている体勢にも工夫が必要です。

私たちの背骨や腰骨の配列は、身体にかかる過重負荷を分散するため、首で前方、背中で後方、そして腰では前方に反って、生理的湾曲というS字状のカーブをなしています。

仰向けに寝る場合は、腰骨部分の前方カーブとマットレスや敷き布団の間に隙間ができてしまい、腰へ大きな負担がかかってしまいます。仰向けに寝る時は、膝をたてるか膝の下に枕などを入れて、腰をフラットな状態にすると良いでしょう。

また、横向きに寝ると、上にある脚が下に落ち込むことで同側の仙腸関節が離開する方向に負荷がかかってしまい、仙腸関節の痛みを悪化させてしまう場合があります。膝や太ももの間に丸めた毛布を挟んだり、抱き枕に脚をのせたりすることで仙腸関節にかかる負担を減らすことができます。

ぎっくり腰になったら歩き方にも工夫を

ぎっくり腰になっても、安静にできる場所まで身体を移動させなければなりません。周りの人に手を借りても簡単に歩ける状態ではないので、痛みが落ち着くまで待ち、ゆっくりと自分のペースで歩くようにしましょう。

お手洗いに行く際など、やむを得ず歩いて移動しなければならない場合は、壁や家具をつたって移動すると立ち姿勢が安定します。少しでも腰への負担がかからないように注意しましょう。

ぎっくり腰になったらマットレスにも注目

柔らかすぎるマットレスや敷布団で寝ることも、ぎっくり腰の痛みを悪化させてしまう原因になります。柔らかいマットレスや敷布団では、お尻の部分が必要以上に沈み込んでしまうため、腰やお尻部分にピンポイントに荷重がかかり、腰の負担を大きくするので注意が必要です。

柔らかいマットレスや敷布団で横になって、ぎっくり腰の痛みが悪化してしまう場合は、うつぶせで寝たほうがラクな場合もあります。しかし、うつぶせ姿勢で寝るのは腰を長時間反らせた状態が続くので、長期的に考えると腰への負担が多い体勢といえます。

柔らかいマットレスや敷布団で寝て腰の痛みが増強してしまう場合は、高反発のマットレスか硬めの敷布団を使用すると良いでしょう。

ぎっくり腰で脇腹が痛い場合

ぎっくり腰の多くは腰から背中にかけての痛みを訴えることがほとんどですが、まれに脇腹が痛くなることもあります。では、ぎっくり腰で脇腹が痛くなるのはどのようなケースでしょうか。

腰を含む体幹部分を支えているのは、腰や背中の筋肉だけではありません。脇腹から腰にかけての部分には、肋骨から骨盤の骨に向かって斜めについている腹斜筋という腹筋の一種や、身体の側面で肋骨から骨盤骨に向かってついている腰方形筋などの筋肉があり、様々な方向から体幹を支えています。

ぎっくり腰で脇腹に痛みが出る時は、体幹の側面についている筋肉を傷めた可能性が考えられます。痛みの出る側の脇腹を伸ばさずに、縮めるような体勢をとることで痛みが緩和されます。

ぎっくり腰でおしりが痛い場合は坐骨神経痛も

ぎっくり腰の痛みにお尻の痛みやしびれが伴うことがあります。多くはお尻の筋肉の中央部分から太ももの後ろ外側、ふくらはぎにかけての突っ張るような痛みやしびれとして出現します。これは坐骨神経という神経に沿った痛みで、時に坐骨神経痛と診断されます。

腰椎椎間板ヘルニアでも同様に坐骨神経に沿った痛みを伴うケースがありますが、腰椎椎間板ヘルニアの場合は、原因となる椎間板のヘルニア部分が神経を圧迫していることが原因となって坐骨神経に沿った痛みを引き起こしている状態です。

一方、ぎっくり腰で坐骨神経に沿った痛みがでる場合は、腰やお尻の周りにある筋肉が神経を圧迫して痛みを引き起こします。特にお尻にある梨状筋という筋肉が原因となっているケースが多くあり、梨状筋によって引き起こされる坐骨神経に沿った痛みやしびれを「梨状筋症候群」とよびます。

ぎっくり腰の痛みによって、負担がかかっている筋肉の緊張が高まって、神経の走行路を圧迫している状態なので、原因となっている筋肉に対するマッサージやストレッチで多くの症状が緩和されるでしょう。

ぎっくり腰で骨盤が痛む場合

ぎっくり腰では、腰の部分より下の骨盤に痛みを訴えるケースもあります。
骨盤は2つの腸骨と、仙骨、尾骨で構成されています。仙骨と左右の腸骨で仙腸関節を、仙骨と尾骨で仙尾関節をつくり、左右の腸骨は全面で軟骨によって結合していて、全体がひとつの輪のようになっています。ぎっくり腰で骨盤が痛くなる場合は、主に仙腸関節付近に痛みがでることが多いでしょう。

骨盤の骨にはそれぞれ沢山の筋肉がついており、筋肉の伸張性が悪ければ関連する関節や他の筋肉の動きを妨げてしまいます。仙腸関節はごくわずかな動きしかしない関節ですが、そのわずかな動きが私たちの腰全体のが円滑に動くために必要です。ぎっくり腰になり、仙腸関節と関連深い梨状筋や中殿筋、ハムストリングなどの筋肉が過度に緊張してしまうと、仙腸関節の動きを妨げてしまい、痛みを発生させる要因となります。

骨盤に痛みがでてしまう場合は、骨盤と腰骨を内側から支える役割をもつ腸腰筋のトレーニング、ハムストリングと殿筋群のストレッチを合わせて行いましょう。

ぎっくり腰の治療方法

ぎっくり腰 治療方法

ぎっくり腰にはどのような治療方法が有効でしょうか。ぎっくり腰の治療では、患部の炎症症状をいかに早くとれるかが、早く治癒させるためのポイントです。

温めるのか?冷やすのか?ぎっくり腰の処置方法

ぎっくり腰になってしまった場合には、患部をいち早く冷やすことが大切です。特にぎっくり腰の初期段階では、強い炎症症状によって強く痛みが出現している状態なので、積極的に炎症症状を抑えるための処置が必要になります。

まれに、ぎっくり腰になった時には温泉やお風呂にゆっくりつかるという人がいますがおすすめできません。温めるという行為が血行を促進して炎症を助長し、その後より強烈な痛みに悩まされてしまうケースが多くあるので注意が必要です。

ぎっくり腰になったときには、すぐに患部をアイシングしましょう。初期の段階でしっかり冷やすと、痛みが治まるまでの期間がぐんと短くなります。湿布薬などの張り薬は表面的に冷たくなる感じがしますが、炎症の起きている内部までしっかり冷やすことができないので、張り薬とは別に保冷材や氷嚢を使って冷やしましょう。

痛みの感じ方が鋭い痛みから鈍い痛みに変わり、倦怠感を伴うような慢性症状に変化してから温めると効果的です。

ぎっくり腰に有効な薬は?

ロキソニンやボルタレンなどの消炎鎮痛剤は、整形外科病院で痛み止めとして処方されることが多い薬なので、御存じの方も多いでしょう。ぎっくり腰の際の鋭い痛みは、腰を支えている筋肉や筋膜、関節を支えている組織の炎症症状なので、炎症を抑える効果のある消炎鎮痛剤が有効です。

消炎鎮痛剤には内服薬の他に、座薬や貼り薬、塗り薬などの種類があります。内服薬は胃や小腸で、座薬は直腸で吸収されるので、高い消炎鎮痛効果を見込むことができます。

一方、張り薬や塗り薬は、内服薬や座薬ほど高い効果を感じられないことが多いですが、皮膚を経由して消炎鎮痛効果を吸収するもので、手軽に使えるのが特徴です。どちらも用法や用量を守って、ただしく使用してください。

初期処置で決まる!ぎっくり腰が治るまでの期間

少しでも早く仕事に復帰しなければならない、大切な試合や大会が迫っているなどで、1日でも早い回復を願っている人は多いのではないでしょうか。

ぎっくり腰が治るまでの期間は、その重症度によって全く異なります。適切な処置をしていれば、多くの場合は2~3日で徐々に炎症症状が治まり、動けるようになります。しかし、ぎっくり腰を起こして初期のころに、患部を温めるなど炎症を助長するような誤ったケアを行ったり、痛みが強いうちに無理矢理身体を動かそうとしたりすると、痛みが長期化してしまう場合があります。

初期処置の仕方によって、炎症症状が治まるまでの期間は大きく変わりますので、可能であれば早い段階で整形外科病院や整骨院を受診し、専門家に見てもらうようにしましょう。

ぎっくり腰を整骨院で治療する

ぎっくり腰の治療を行うために、整形外科の次に選ぶ人が多いのが整骨院ではないでしょうか。整骨院と接骨院は同じで、鍼灸院同様に専門知識をもった有資格者による施術が受けられます。

整骨院では炎症の状態に合わせて、冷やしたり温めたりする罨法や、電気治療、手技などを組み合わせた施術を行います。整形外科病院のように、レントゲンやMRIなどの画像診断や薬の処方は行えませんが、様々な鑑別手法を用いて痛みの原因を検査してくれるので安心です。

ぎっくり腰になってしまい、自力で移動することが可能な状態であれば、治療方法のひとつとして検討すると良いでしょう。

ぎっくり腰に効果的な鍼灸治療

鍼灸師による鍼治療は、急性期から慢性期まで幅広い期間のぎっくり腰におすすめの治療方法です。鍼治療には、スポーツ選手が試合中に施術を受けるほど高い炎症緩和作用があり、専門の知識を持った資格者による施術なので、安心して受けることができます。

しかし鍼治療はその名の通り、治療鍼を身体にさして行う治療方法なので、痛そうなイメージがあり苦手意識を持つ方が多くいます。実際にはとても細い治療用の鍼を使用しており、痛みを感じないような鍼の打ち方をするので、注射針が刺さるような痛みを感じることはありません。

あまり強い恐怖心を持ってしまっては、身体をリラックスさせることができませんので、鍼治療になれている方や興味がある方がぎっくり腰になってしまった場合におすすめです。

ぎっくり腰とマッサージ

血行を促進する効果があるマッサージは、慢性腰痛や腰の疲労などに効果的です。では、ぎっくり腰になってしまった場合にも、マッサージは効果があるのでしょうか。

初期のぎっくり腰は強い炎症症状があり、血行を促進することでさらに炎症を悪化させてしまう恐れがあります。特に急性期の患部に直接マッサージを施すと、マッサージを受け終わって血行が促進された頃に、より強い痛みがでてしまう可能性があります。

ぎっくり腰になってマッサージを受けるのであれば、痛みや熱感などの炎症症状が落ち着いてからにしましょう。正しい知識を持った有資格のマッサージ師に施術を依頼することも重要です。

ぎっくり腰と整体

ぎっくり腰の痛みをとるために、整体を受けようと考える方も多いのではないでしょうか。整体では身体の筋バランスや歪みを整えるための施術を行います。患部の炎症をとるための施術とは異なりますので、炎症症状が治まってから受けるのがおすすめです。

一般的に整体では、不調をきたした関節の動きを改善し、骨盤や肩甲骨の動きを良くするような施術を行います。動きの連動する関節や、関連する筋肉を中心に刺激をし、負担の多くかかっている関節や筋肉が円滑に動くように調整します。

急性の炎症が強い時期には避けるべきですが、慢性期の腰痛や腰痛予防には効果がありますので、ぎっくり腰を繰り返す傾向にある方や、予防として身体の状態を整えたい方は試してみてはいかがでしょうか。

ぎっくり腰とカイロプラクティック

海外でもメジャーなカイロプラクティックは、脊椎の配列不良をただすことで身体の不調を改善する主義です。ボキボキ音を鳴らす施術の印象を強く持っている方が多いことでしょう。

カイロプラクティックには身体を捻ったり、圧力をかけたりする施術も含まれますので、急性期でぎっくり腰の痛みが強いときはおすすめしません。ただし整体と同様に、慢性の腰痛や腰痛予防には効果がありますので、鋭い痛みのない時期に受けるのであればおすすめです。

ぎっくり腰になった時の注意点

ぎっくり腰 注意点

ぎっくり腰になると、普段は気にせずできていた些細な動作でも激痛が走るため、思うように身体を使えず、不便に感じることが多くなります。痛みを助長しないように、腰の負担が少なくなるような工夫が必要です。

ぎっくり腰は車の運転にも注意

ぎっくり腰になった時に、外出先から帰らなければならない、自力で病院に行かなければならないなど、やむを得ず車の運転をしなければならないこともあります。どうしても運転しなければならない場合は、できるだけ腰への負担が少ない体勢で行いましょう。

初期のぎっくり腰では、座面の背もたれに近い部分に硬く丸めた座布団やひざ掛けなどを置き、その上に座るとラクに座れます。座面の後ろ側に高さが出る分、腰の角度が浅くなり、過重負荷を分散させることができます。背もたれはできるだけ立てた状態にして、上半身を預けるように座ると良いでしょう。

最近では様々な、運転中の腰痛対策グッズが販売されています。衝撃吸収シートや、腰枕などの腰痛対策グッズを活用して、運転中の姿勢を支えるのも効果的です。

ぎっくり腰のときにアルコールは?

ぎっくり腰で強い痛みがある場合は飲酒も控えるべきです。アルコールには一時的な血管拡張作用があり、血流が良くなることで、患部の炎症症状を悪化させてしまう恐れがあります。

酒は百薬の長と言われ、適度な飲酒は健康に良いものとされていますが、鋭い痛みなどの炎症症状がある場合は、アルコールの摂取を控えたほうが良いでしょう。

ぎっくり腰に運動は必要か

運動不足のためにぎっくり腰になったのではないかと考え、急いで運動を始めようとする方がいます。痛みを我慢して運動を行うことは、ぎっくり腰の痛みを和らげるのに逆効果ですので、痛みが治まってから始めましょう。

ぎっくり腰が治るかどうかのタイミングで急に激しい運動を行うと、ぎっくり腰を再発させてしまう可能性があります。痛みがしっかり治まった頃に、準備運動をして身体を慣らしながら少しずつ行うことが大切です。運動後のストレッチも欠かさず行うようにしましょう。

妊娠中は避けたい!妊婦もぎっくり腰に

妊娠中もぎっくり腰になる可能性がありますので、起き上がったり屈んだりする動作を行う時は気をつけて行わなければなりません。

妊娠中の女性の身体には妊娠初期にあたる4週目頃から、リラキシンというホルモンが分泌されます。リラキシンは骨盤後部にある仙腸関節や、骨盤の前側をつないでいる恥骨結合を緩める効果があり、出産時に産道を広げる作用があるホルモンです。リラキシンは妊婦が出産をするために欠かすことができない大切なホルモンですが、骨盤周囲の靭帯を緩めてしまうことで、ぎっくり腰などの腰痛を起こすリスクを高めてしまいます。

さらに妊娠後期になると、重たい大きなおなかを支えるために、腰を丸めてがに股気味の立ち姿勢になってしまいます。仙腸関節や腰仙関節への負担が大きくなってしまい、リラキシンの作用と合わせてぎっくり腰を起こしやすくしてしまう要因になります。

妊娠中のぎっくり腰を避けるためにも、仙腸関節や腰仙関節に負担をかけないようなエクササイズを行いましょう。腹筋群を強く収縮させる運動は子宮内の胎児にストレスをかけてしまうので、強度の弱い体幹トレーニングやマタニティヨガなどがおすすめです。妊娠中には激しい運動を控えなければなりませんので、運動の内容を担当医に相談してから行うと安心です。

ぎっくり腰は様々な腰痛の種類がある

ぎっくり腰 種類

ぎっくり腰は急性期の腰痛の総称です。痛みの場所が特定できる鋭い痛みを発する腰部の疾患が沢山あります。原因に合わせた治療が必要ですので、様々な可能性を視野に入れて症状を観察しましょう。

腰椎椎間板ヘルニア

ヘルニアとは、臓器の一部が本来あるべき腔からとび出した状態です。腰骨と腰骨の間には椎間板という円柱状の軟骨があり、中心部にはゼリー状をした髄核という部分があります。腰椎椎間板ヘルニアでは、椎間板から髄核がとび出し、後ろ側を通っている神経を圧迫して、腰から下肢にかけての痛みやしびれを引き起こします。

ヘルニアは数年間かけて徐々に身体に吸収されるため、軽度の腰椎椎間板ヘルニアであれば、消炎鎮痛剤や筋弛緩薬などで症状の回復を待つのが一般的です。しかし痛みや神経症状が強くあり、長期間にわたり日常生活に支障をきたす場合は、神経ブロックや手術の対象となる場合もあります。

腰椎脊柱管狭窄症

私たちの脊柱は、本体部分の後ろ側に穴が開いており、その穴の部分が上下に連なって脊柱管というトンネルのようなスペースをつくり、脊髄と呼ばれる太い神経を通しています。腰椎脊柱管狭窄症は、加齢による腰骨や椎間板の変形、背骨や腰骨の配列を支えている黄色靭帯の肥大などによって、脊髄の通り道を狭めてしまった状態をいいます。

歩行中にお尻から脚にかけての痛みやしびれが強くなり、前屈みや座った状態で休むとまた歩くことができるという、間欠性跛行がみられるのが特徴です。

脊柱管狭窄症では、腰の痛みよりもお尻や脚の痛みやしびれの症状が強くでるケースが多くあります。軽度の場合は投薬治療やリハビリで神経の炎症を抑えて回復を図るのが一般的ですが、改善されない場合や重度の場合は神経ブロックや手術の適用になる場合もあります。

仙腸関節性腰痛(仙腸関節炎)

仙腸関節性腰痛(仙腸関節炎)は名の通り、仙腸関節部分の炎症による腰痛のことを言います。ハムストリングや梨状筋、中殿筋などの筋肉の過緊張で、仙腸関節部分に継続的な負担がかかり、痛みや熱感を引き起こします。

多くは消炎鎮痛剤や筋弛緩薬などで炎症を抑え、安静にすることで症状が緩和します。再発を防止するために、症状が落ち着いたら仙腸関節に負担をかけている筋肉のストレッチも行うと良いでしょう。

仙腸関節に突然の強い痛みや炎症が起こり、動けなくなってしまった場合は、ぎっくり腰に含められる場合もあります。

ぎっくり腰が身体に与える影響

ぎっくり腰 体に与える影響

ぎっくり腰になると、痛みを避けるために身体の使い方が偏ってしまい、腰以外の部分に思わぬ影響を受けることがあります。身体の変化は一時的なものがほとんどなので、まずは痛みや炎症症状を抑えることに専念しましょう。

太った?ぎっくり腰でお腹がポッコリに

ぎっくり腰になり、腰の調子が悪い状態が続くと、下腹部を中心にお腹がポッコリでたように見えてしまい、ダイエットが必要なのかと心配する方がいます。腰が痛く寝てばかりでゆっくり食事もできていない状態なのに、なぜお腹がポッコリしてしまうのでしょうか。

鋭い腰の痛みで骨盤をしっかりと立たせることができず、骨盤を後傾させて腰を丸めた状態で過ごしていると、見かけ上とても下腹がポッコリ出ているように見えてしまいます。腰の痛みが緩和され、骨盤周囲の筋肉の緊張が取れると元通りの姿勢になり、お腹も元に戻るので心配ありません。

つらい便秘もぎっくり腰と関係

ぎっくり腰になると、お通じが悪くなる傾向があります。骨盤が後傾してしまいお腹の位置関係が悪くなるため、腸のはたらきが鈍ってしまうためです。

また、ぎっくり腰ではお腹に力を入れると腰に激痛が走るケースも多く、思うように踏ん張れないことも、便秘の原因になります。

鋭い痛みが治まれば、便秘が解消することがほとんどなので心配はありませんが、あまりにひどい便秘の場合は整腸剤などの使用も検討しましょう。病院に通院中であれば、腰の痛みと合わせて医師に相談すると良いでしょう。

ぎっくり腰で肩こりがひどくなる

ぎっくり腰になってから、それまで気にならなかった肩こりを感じるようになることがあります。ぎっくり腰の痛みによって骨盤周りの筋肉が緊張したことが原因です。

ぎっくり腰になると痛みを出さないように、個性から背中にかけてをできるだけ動かさないように固定したまま動くことが多くなり、背中の筋肉が緊張したままになります。

また、骨盤が後傾傾向になることで猫背気味になってしまい、胸や首の前側の筋肉が緊張し、鎖骨が動く範囲を狭めてしまします。鎖骨の動きが制限されると首の動きも鈍くなり、首から肩にかけての筋肉が硬くなりやすいため、肩こりを感じるケースが多くなるのです。

腰の痛みが治まった後に、お腹や胸を伸ばすストレッチや、肩甲骨を大きく動かす運動をすることで改善されるでしょう。

ぎっくり腰の予防方法は?根本治療を目指す

ぎっくり腰 予防

ぎっくり腰になってからの対処法や治療法について知識を深めることは大切ですが、その場しのぎの対処療法だけを行い、ぎっくり腰の原因を放っておくと根本治療にはならず、ぎっくり腰を何度も繰り返してしまう恐れがあります。

ぎっくり腰にならないためには、身体の中の腰に負担をかけている要素を改善する必要があります。正しい知識を持って予防しましょう。

ぎっくり腰とストレッチ

ぎっくり腰の予防にはストレッチが大変有効です。特にももの裏側にあるハムストリング、お尻の筋肉である殿筋群、背中にある大きな広背筋、体幹を支えている腸腰筋などの筋肉の伸張性が乏しいと、ぎっくり腰になるリスクが高くなってしまします。

ぎっくり腰を繰り返す人は、身体の柔軟性が悪くストレッチに対して苦手意識をもっている人が多い傾向にありますが、こまめにストレッチを行って、ぎっくり腰になりにくい身体を手に入れましょう。

ぎっくり腰に有効な腹筋

腰痛予防に効果があるのではないかと、仰向けに寝た状態で状態を起こすような腹筋運動を沢山して、腰を痛めてしまったという人が多くいます。ぎっくり腰を含めた腰痛の予防に腹筋運動は効果的ですが、どのような腹筋を行うかが重要です。

大きな動作で行う筋力トレーニングには、表層にあるアウターマッスルを鍛えるトレーニングが多くあります。腰痛予防のために鍛えたい腹筋は、深層で腰骨を支えているインナーマッスルなので、インナーマッスルを鍛えるためのトレーニングが必要です。

腹筋運動を行って腰痛が悪化してしまう人は、アウターではなくインナーの筋肉を鍛える腹筋運動に切り替えるのがおすすめです。ピラティスやパワーヨガ、体幹トレーニングなどは特に効果が期待できます。いずれも正しい方法で、ストレッチと合わせて行うようにしましょう。

ぎっくり腰予防に体幹トレーニング

スポーツ選手のトレーニング方法や、ダイエットにおすすめのトレーニングとして注目を集めている体幹トレーニングも、ぎっくり腰を予防するために有効です。体幹をしっかり支えることができれば、腰への負担が大きく軽減されます。

体幹トレーニングを行う時は時間や回数ではなく、正しいフォームを最優先にして行いましょう。数をこなすことを優先してフォームが崩れてしまうと、ぎっくり腰予防の効果が充分に得られないだけでなく、腰を痛めてしまう原因になります。

また、トレーニング後にはお腹や背中の筋肉をしっかりストレッチすることも必要です。伸張性が高く質の良い筋肉をつけるためにも必ず行うようにしましょう。

ぎっくり腰にならないように気を付けよう

ぎっくり腰になってしまうと、数日間は通常通りの生活を送ることができなくなってしまいます。ぎっくり腰になってしまった場合は、すぐにアイシングを行って、痛みの出にくい姿勢で安静をとり、少しでも早く痛みを抑えらるように努めましょう。筋肉の柔軟性向上や体幹を支える筋肉のトレーニングなどを行い、ぎっくり腰を予防することが大切です。

※本記事は情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、腰痛改善運営会社及び監修医などの専門家は責任を負いません。

<参照>
ぎっくり腰と長引く腰痛の解説【金岡恒治先生動画で解説】

著者情報

腰痛メディア編集部
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