日常的に腰痛を感じることの多い現代。その腰痛は、どのような原因で起こっているのか知っていますか?腰痛の原因の一つに「膀胱炎」があります。一見腰痛とは関係のないように感じる膀胱炎。しかし場合によっては、腰痛を感じることがあるのです。
そこでこの記事では、膀胱炎と腰痛の関係についてご紹介します。膀胱炎の治療や予防方法についてもまとめたため、自分の腰痛と照らし合わせ参考にしてください。
目次
膀胱炎とは?
一般的にいわれる膀胱炎とは、「単純性膀胱炎(急性膀胱炎)」を指します。細菌が尿道に入り膀胱まで侵入し、膀胱で炎症を起こし発症する病気です。女性に多く、誰にでも起こりえます。
原因となる細菌のほとんどが「大腸菌」です。大腸菌は、肛門に多く常在しています。その細菌が尿道に侵入し、繁殖することで発症するのです。特に女性は、男性より尿道が1/3ほど短いです。その影響や、性行為による大腸菌の繁殖で女性に多く発症します。
本来細菌が侵入しても、尿や常在菌によって排除されます。しかし夏の脱水や閉経後の常在菌の減少により繁殖しやすい環境になると、膀胱炎になりやすいです。そのため、冬より夏に発症しやすい病気です。
膀胱炎の種類
一般的な「単純性膀胱炎」以外にも、膀胱炎にはいくつかの種類があります。これらの膀胱炎は、いずれも腰痛を起こし得る病気です。そのため、膀胱炎の種類についても確認しておきましょう。
複雑性膀胱炎
複雑性膀胱炎とは、その名の通り様々な要因が複雑に絡み合って発症する膀胱炎です。尿路結石や前立腺がんなど、まずは病気がベースにあります。その病気の治療でステロイドなどを使用し、免疫力が下がるなどの理由で発症します。
常に膀胱内に細菌がいる状態ですが、症状自体はありません。しかし全身状態が悪化した場合に、重度の感染症を引き起こすことも。まずはベースとなる病気の治療が求められます。
出血性膀胱炎
出血性膀胱炎は、細菌は尿にいないが出血を伴う膀胱炎です。原因はウイルスやアレルギーなど様々で、その他の症状が出ることも。
間質性膀胱炎
間質性膀胱炎は、膀胱内の粘膜防御機構が働かなくなり、粘膜に尿がしみこみ痛みを伴う病気です。難治性で根本的な治療がなく、対症療法を行います。細菌は関与しておらず、尿が溜まると痛み排尿すると痛みが軽減する病気です。
膀胱炎と腰痛の関係
膀胱炎と腰痛は、直接関係していないように感じるでしょう。しかし膀胱がある位置を考えると、ちょうど下腹部や腰あたりです。そのため膀胱炎による炎症が強くなれば強くなるほど、腰や下腹部にも痛みを伴います。
膀胱炎による腰痛は、奥の方から感じる鈍痛です。内臓の痛みであるため、鋭い痛みは感じにくいでしょう。しかし腰痛では膀胱炎であるか、分からないことがほとんどです。そのためその他の膀胱炎の症状と照らし合わせ、膀胱炎の可能性を考えなければいけません。
さらに膀胱のある尿路系(腎臓や尿道、尿管)の炎症でも腰痛を伴うことがあります。特に腎盂腎炎の代表的な症状は、背部痛です。これらの病気と腰痛は、密接に関係しているといえます。
膀胱炎の腰痛以外の症状
膀胱炎の腰痛以外の主な症状は以下の通りです。
- 急な頻尿
- 排尿時の痛み
- 尿の白濁
- 血尿
- 下腹部痛
- 残尿感
- 尿失禁
腰痛と共に、これらの症状が出る場合は膀胱炎を疑っていいでしょう。膀胱炎だと感じたら、必ず医師の診断を受けるようにしてください。
症状を我慢していると、腎盂に炎症が及ぶことも。その場合、発熱などの全身症状につながるため注意が必要です。
膀胱炎を調べる検査
膀胱炎を調べる検査には、以下のようなものがあります。
- 問診
問診では、膀胱炎の主な症状を聴取します。頻尿や残尿感など、医師が確認し診断することも。問診の段階で別の病気の可能性も探る、重要な検査です。 - 触診
腹部を触診し、膀胱炎の症状の有無を確認していきます。また、腎盂腎炎の場合は腎臓に痛みが出るため、その有無も同時に調べることが多いです。 - 尿検査
膀胱炎が疑われる場合、尿検査を行います。尿蛋白や尿糖や尿潜血の有無を調べることが多いです。尿中の細菌の有無を調べることも。いずれも、膀胱炎の診断に用います。 - 採血検査
採血検査では、尿中の炎症反応を調べます。また、腎臓の状態や白血球数を調べ、膀胱・腎臓の状態を確認していきます。主に腎臓の影響の有無を調べることに有効です。 - 膀胱造影検査
尿が尿管に逆流している可能性がある場合は、膀胱造影を行うことも。
これらの検査を併用し、膀胱炎の診断が行われます。膀胱炎は自己診断してしまいがちな病気です。しかし大きな病気につながる可能性もあります。腰痛とともに症状を感じたら、必ず病院へ受診しましょう。
膀胱炎による腰痛を改善する治療
ここでは、最も一般的な単純性膀胱炎の治療についてご紹介します。
- 内服薬治療
膀胱炎の治療は、主に抗生剤を用いて行います。抗生剤を使うことで、1週間以内に改善する病気です。しかし症状が改善しない場合は、抗生剤の種類があっていない可能性も。尿検査で完治といわれるまでは、しっかり通院しましょう。 - 飲水の指導
菌を追い出すために、尿量が重要です。尿を多く作るためには、水を多く飲むことが欠かせません。そのため、水分を多く摂取する指導も治療の一環です。
尿が少ないことは、菌の繁殖にもつながります。そのため、必ず水を多くとるように心がけましょう。
これらの治療を行うことで、ほとんどの方が完全に完治する病気です。治療や指導を正しく受け、膀胱炎、腰痛の改善に努めましょう。
膀胱炎による腰痛を予防するには
膀胱炎は、再発しやすい病気といわれています。しかししっかり予防方法を試みれば、頻繁に発症することはありません。膀胱炎による腰痛を避けるためにも、日常生活に予防策を取り入れましょう!
- 多めの水分摂取
水分摂取で尿量を十分に確保し、細菌の繁殖を防ぎます。脱水状態は、細菌が最も繁殖しやすいため注意しましょう。水やお茶を多く飲む習慣を作ることが重要です。 - 尿を我慢しない
尿を我慢すると、それだけ尿が長くとどまってしまいます。そのため、尿の中の細菌が繁殖しやすいです。その結果膀胱炎につながるため、尿は我慢せずにこまめに排尿しましょう。 - 身体を清潔に保つ
細菌が原因で起こる病気であるため、身体を清潔にしていると起こりにくいです。こまめにお風呂に入り、下着を長く使うことは避けましょう。 - 大便時のお尻は、前から後ろに拭く
原因となる大腸菌は、大便の中に多く含まれます。そのため、尿道方向にお尻を拭くと膀胱炎になりやすいです、大腸菌が尿道に付かないためにも、前から後ろに拭くようにしましょう。また、ウォシュレットの使用も効果的です。 - ストレスをため込まない
ストレスをためすぎたり身体が冷えると、免疫力の低下につながります。そのため、膀胱炎にもなりやすいです。日ごろからできるだけストレスをためず、身体は冷やさないように注意しましょう。
これらのことに気を付ければ、膀胱炎になる確率を減らすことができます!難しいことはないため、日ごろの生活に取り入れてみてください。
膀胱炎による腰痛に気を付けよう!
いかがでしょうか?膀胱炎でなぜ腰痛を感じるのか、知っていただけたと思います。膀胱炎は女性がなりやすい病気です。まれに腎盂腎炎につながることも。 整形外科で腰痛が改善しない場合は、再度医師に相談するようにしましょう。
様々な病気に関係する病気であるため、たかが腰痛と油断してはいけません。他の症状と照らし合わせ、膀胱炎の可能性がある場合は適切な医療機関を受診ししましょう。その際は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
参考:東京泌尿器科クリニック上野