「ずっと座りっぱなしで仕事をしていると、いつの間にか腰に鋭い痛みが・・・」
「腰痛が出て日常的な動作ができなくなった・・・」という方が非常に多いです。
ミドル世代、シニア世代だけではなく、20代以下の若者でも症状がでる「腰痛」
ある調査によると、日本人がよく抱えている自覚症状として一番多いのが「腰痛」だそうです。
しかし、腰痛といってもその腰痛の種類はさまざまです。
多岐にわたって存在する腰痛のタイプでその改善策となる対処法も異なっていきます。
今回は腰痛のタイプを見つけ出して、その腰痛による効果的な対処法を解説いたします。
目次
腰痛の痛みをタイプ別で判別しよう
これから4種類の腰痛の特徴を見ていきます。
これも共通していることは、年とともに腰周りの筋肉もしくは関節が衰えていき、筋肉が硬くなって柔軟性がなくなっていることが主な要因だと考えられます。
そんな痛みを抱えた部分に、無理な動きをしてしまうと症状が悪化します。
筋性腰痛
筋性腰痛は、筋肉をつけすぎたことによって起こる俗にいう「筋肉痛」で、酷く筋肉が張っている所に炎症が起こっている状態を指します。
これは、運送業などの肉体労働が多い方や、ずっと同じ姿勢を保ち続けるデスクワークの方に非常に多くおこる痛みになります。
筋性腰痛の場合は痛みのある部分をピンポイントで判明できるのが特徴の1つです。
なので、そこをゆっくり揉みほぐしてあげることで痛みが軽減します。
下手にストレッチや筋トレなどを行うと、余計痛みが増してしまうので無理な運動をするのは控えましょう。
お尻腰痛
お尻腰痛は細かく言うと腰ではなく、お尻の付近にある仙骨の付け根のゆがみもしくは炎症が原因となり、痛みが発生します。
主に出産後の女性に非常に多い腰痛となります。
妊娠の時に分泌されるホルモンの作用で歪んだ仙腸関節の靭帯が、出産した後に正常の場所に戻らなかったことによって起こるケースが多いです。
前屈腰痛
前屈腰痛は、背骨と椎骨と椎骨の間にある「椎間板」の部分に問題が起こっております。
下になにか物を拾う動作で前かがみになった時に椎間板が圧迫されて痛みが生じます。
背筋が劣っている方によく起こりやすい痛みで、猫背や前かがみになりやすいデスクワークの方にも非常に多い症状の1つです。
この腰痛は、揉んでほぐしてもなかなか良くならないのが特徴です。
のけぞり腰痛
のけぞり腰痛は、電車のつり皮を持つ時や洗濯物を干す時、赤ん坊を抱っこする時にそり気味の姿勢を取るときに出る症状です。
背骨の後ろにある椎間関節がお互いにぶつかった時に、痛みが発生します。
腹筋が弱いため反り腰になっている人によく起こりやすく、特に女性に多くみられます。
この腰痛も前屈腰痛と同様に、揉みほぐしても改善されることがなかなか難しいです。
正しいストレッチや筋トレで腰痛を改善できるそのやり方とは?
まず最初に、腰痛を改善するには2つやらなければならないことがあることを念頭に置きましょう。
1つ目は「筋肉をほぐして柔軟性をつけるためのストレッチ」
2つ目は「筋肉を鍛えて強くしていくための筋トレ」
の2つです。
この両方を備えて運動をしていけば、慢性的な腰痛の痛みに改善の兆しをみせることができます。
どちらも2~3種類の運動を20秒だけでいいので、とにかく毎日続けることを目標にしてください。
日ごろ腰痛に悩まされている方に向けて改善することが可能な運動をまとめました。
太ももの前を伸ばす
1.立った状態でかかとをお尻に近づけるように膝を折り曲げてください。
2.お腹に力を入れて、膝を後ろに引いて足の付け根を前に出してください。
3.そのまま20秒間キープしてください。
もう片方の足も同様に行ってください。
太ももの後ろを伸ばす
1.仰向けに寝て、太ももの裏を持ちながらお腹に近づけましょう。
2.限界までいったら、膝をできる範囲で良いのでまっすぐに伸ばしましょう。
3.このまま20秒間キープしてください。
もう片方の足も同様に行ってください。
腰痛なのに太もものストレッチを行う理由は、太ももの裏側にある「ハムストリングス」という筋肉が存在します。
この筋肉が硬い人は前に傾く時に、背骨をより曲げなければ「かがむ」という行動ができません。
このような方は背骨に大きな負担がかかってしまい、それが原因となって腰痛になる恐れがあります。
そのため、太ももの周りの筋肉を柔らかくすることによって、腰痛の予防につながるのです。
お尻腰痛の場合:殿筋をストレッチする
1.椅子などに腰を掛けます。この時に足が下につく高さに調整してください。
2.片方の足首をもう片方の膝の上に乗せます。
3.足首を乗せたまま、上半身を股関節から前に倒してください。
4.お尻の筋肉が伸びたところで止めて、深呼吸を3~5回繰り返します。
この動作をもう片方の足も同様に行ってください。
前屈腰痛の場合:背筋を鍛える
1.仰向けになり膝を曲げて、両手は体の横に伸ばしてください。
2.首から膝の部分まで体が一直線になるまで、お尻を持ち上げましょう。
3.その状態を20秒間キープしてください。
のけぞり腰痛の場合:腹筋を鍛える
1.膝を立てた状態で仰向けになり、息をゆっくり大きく吸ってお腹を膨らませてください。
2.お腹に空気が入って膨らみきったら、次は空気をゆっくりと吐いてお腹をへこませてください。
3.これを5~10回繰り返し続けます。立ったり座ったりしてもOKなので、気づいたときに実践していきましょう。
筋トレで気を付けることは、痛みが起こらない範囲でやることです。
腹筋運動のつもりが逆に背筋を使っているなど、間違った筋トレをしている人も存在します。
そうなると休めなければいけない筋肉を使ってしまう羽目になってしまうので、症状が余計悪化してしまいます。
なんか変だと思ったのなら、自分で判断をせず専門家などに訪ねるということも検討してください。
座りながらできる腰痛改善ストレッチ
ここからは、椅子に座りながらできるストレッチを紹介します。デスクワークをされている方は、休憩時間などにぜひ取り入れてみてください。
腰のストレッチ
1.椅子に座る
2.両手で膝を抱える
3.膝を抱えたまま上体を前に倒す
4.20秒キープする
5.元に戻る
6.3回繰り返す
腰椎や腰椎周辺の筋肉にアプローチするストレッチです。腰椎椎間板ヘルニアの方は症状がひどくなる可能性があるため避けたほうが良いでしょう。
腰のストレッチ
1.椅子に座る
2.左足を立てて椅子に置く
3.左足を両手で抱えて腰を伸ばす
4.15~20秒キープする
5.元に戻る
6.3回繰り返す
7.右足でも同様に行う
片足を立てることで腰にアプローチするストレッチです。腰痛を慢性化させないためにも、しっかり取り組みましょう。
お尻のストレッチ
1.椅子に座る
2.右足を横にして左足の太ももに乗せる
3.上体を前に倒す
4.お尻の筋肉が伸びているかチェックする
5.20秒キープする
6.左足でも同様に行う
お尻の筋肉(大臀筋)にアプローチするストレッチです。腰痛以外に猫背改善にも効果が期待できます。上体を前に倒したときに背中を真っすぐにすることがポイントです。
背中のストレッチ
1.椅子に座る
2.両腕を上に伸ばす
3.左手で右手首をつかむ
4.右手首をつかんだまま上体を左前に倒す
5.背中が伸びているかチェックする
6.20秒キープする
7.反対側も同様に行う
背中の筋肉(広背筋)にアプローチするストレッチです。腰痛改善だけでなく、上半身のバランスを整える効果も期待できます。
太もも裏のストレッチ
1.椅子に座る
2.右脚を前に出す
3.足の裏は床につけたままにする
4.2の状態で上体を前に傾ける
5.太もも裏が伸びているかチェックする
6.20秒キープする
7.左脚でも同様に行う
太もも裏の筋肉(ハムストリングス)にアプローチするストレッチです。上体を前に傾けるときに足の裏が床から離れないように注意しましょう。
立ったままできる腰痛改善ストレッチ
つづいて立ったままできるストレッチを紹介します。仕事や家事で同じ姿勢がつづいたときなどに、ぜひ試してみてください。
腰のストレッチ
1.足を肩幅程度に開いて立つ
2.腰に手を置く
3.腰を反らせる
4.元に戻る
5.腰を左右に回す
腰全体を動かすストレッチです。長時間同じ作業をしている方は、こまめに取り組みましょう。
腸腰筋のストレッチ
1.右足を前に出す
2.左足を後ろに引く
3.手は腰にあてる
4.右膝を深く曲げて上半身を下げる
5.股関節を伸ばす
6.20秒キープする
7.元に戻る
8.反対の足でも同様に行う
9.左右それぞれ3セット行う
上半身と下半身をつないでいる筋肉(腸腰筋)のストレッチです。腰痛の方は腸腰筋が硬くなっていることが多いため、ストレッチでしっかり伸ばしましょう。
太もも裏のストレッチ
1.肩幅よりも広く足を開いて立つ
2.両手を両膝の上に置く
3.右膝は曲げて左膝は伸ばす
4.太もも裏の筋肉が伸びているかチェックする
5.20秒キープする
6.元に戻る
7.反対側も同様に行う
太もも裏の筋肉(大腿二頭筋)を伸ばすストレッチです。太もも裏の筋肉が硬いと背骨のバランスが崩れて腰に負担がかかります。しっかり伸ばして腰痛を防ぎましょう。
太もも前のストレッチ
1.右手で椅子につかまって立つ
2.左手で左足の甲をつかむ
3.左足の甲をお尻に引き寄せる
4.30秒キープする
5.元に戻る
6.2セット行う
7.反対側も同様に行う
足の甲をお尻に引き寄せて、太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)を伸ばすストレッチです。不安定な姿勢で行うストレッチなので、椅子や壁などにつかまりながら取り組みましょう。
背中のストレッチ
1.腰幅程度に足を開く
2.両手を胸の前で組む
3.背中をうしろに引き、組んだ両手は前に出す
4.3は息を吐きながら6秒かけて行う
5.息を吸いながら元に戻る
6.5回行う
背中の筋肉(脊柱起立筋)にアプローチするストレッチです。膝を軽く曲げて行うことがポイントです。背中を伸ばすときは目線をお腹に向けましょう。
腰痛に関するさまざまな疑問点
腰痛に悩んでいる方から最も多く寄せられた質問をご紹介いたします。
腰痛の痛みはいつまで続くもの?
回復までの期間は人それぞれですが、適切なストレッチや正しい姿勢を意識すれば絶対に良くなっていきます。
色んな動きをした時に、どこら辺が痛むのか自分で確かめてみて自分の腰痛タイプに合った運動を行ってください。
それでも改善の余地がない場合には、他に疾患の可能性もあるので医療機関を受診してみてください。
腰痛で痛みが出たとき注意すべき点は?
どの腰痛でも痛みがでてくる方向に動かさないことが大切です。
筋性腰痛はテニスボールや握りこぶしを使ってみると、痛む所を上手くほぐすことができます。
お尻腰痛は、重たい荷物をできるだけ持たないように試みましょう。
腰痛予防に役立つ3つの方法
腰痛は慢性化しやすく、一度経験すると再発しやすいことが特徴です。痛みが出てから対処するのではなく、普段から予防に努めることが再発防止に役立ちます。
無理な姿勢は避ける
腰に負担のかかる無理な姿勢は普段から避けることが大切です。
物を持ち上げる際は、対象物を体に近付けて重心を低くすることがポイントです。体のひねりもできるだけ少なくしましょう。
デスクワークや長距離運転の際は、前傾姿勢を避けて適度に休憩することが重要です。デスクワークではクッションや足置きを利用して、負担の少ない姿勢を取る必要があります。運転でも、座席の高さを調整したり腰当てなどを利用したりして、自分の体にあった状態で望みましょう。
ストレスを軽減する
ストレスを受けると痛みを強く感じることがあります。ストレスはこまめに解消して、溜め込まないことが重要です。
自分の好きなことをする、親しい友人とおしゃべりすることなどは、ストレス対策として有効な方法です。
お笑い番組を見るなどして、意識的に「笑い」を取り入れる方法も良いでしょう。笑うことには自律神経のバランスを整えたり、免疫力を正常化させたりする効果も期待できます。
これといって好きなこと(趣味)がない場合は、新しいことに挑戦してみるのも良いかもしれません。
適度に運動する
日常生活のなかに運動を取り入れることも大切です。適度な運動は硬くなった筋肉をやわらかくする効果が期待できます。
ウォーキングや軽いランニングなど、軽く汗ばむ程度の運動がおすすめです。時間の目安は1日20分です。運動後に「気持ちよかった」と感じるくらいがちょうど良いでしょう。
また、適度な運動で筋肉が鍛えられれば、正しい姿勢の維持にもつながります。運動はストレス解消としても有効なため、少しの時間から始めてみましょう。
まとめ
今回は腰の痛みによるストレッチ方法や筋トレ法などをご紹介しました。
腰痛で「どうせ一生付き合う痛みだから・・・」とか「もう歳だから仕方がない・・・」
とあきらめている腰痛でも、姿勢を改善したり、運動やストレッチなどを毎日行うことにより回復する可能性があります。
腰痛もなにもない体になれるように元気になる生活を目指して、最初は1日20秒の運動から始めてみましょう。
無理のない運動を続けることによって、腰の痛みに改善の兆しが見えてきます。