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重いものを持ち上げた時や突然立てないほどの腰の激痛が走った・・・なんて時の急な腰痛の時にまず初めにしていただくことは、無理に動かさず安静にすることが第一優先です。

しかし足の方にも痛みもしくは痺れが走る・・・排尿や排便することが不可な場合は必ず病院に電話して、治療を受けるようにしましょう。これは椎間板ヘルニアの可能性があります。

椎間板ヘルニアが発症する原因とは?

椎間板ヘルニアの発症は姿勢や動作もしくは体質やもともとの骨の形状、さらには年齢なども深く関係しています。

椎間板は座ったり立ったまま前かがみになるという姿勢や動作だけでも、体重の約2.5倍の圧がかかると言われています。
このような動作を繰り返しすることにより、椎間板に負荷がかかり椎間板ヘルニアになる恐れがあります。

👉椎間板ヘルニアの症状。痛みが出る部位・特徴は?

椎間板ヘルニアの手術しない治療法とは?

腰痛や腰椎椎間板ヘルニアの治療方法で、手術をしない「保存療法」というやり方があります。
これは「安静治療」「理学療法」そして「投薬療法」などがあります。

安静治療

安静治療はしばらくの間患部を動かさないようにして、腰痛の原因となる病気の進行を食い止める方法になります。

温熱療法

痛みが出てくるところをひたすら温めることにより、筋肉のコリをほぐして収縮した血管を緩めて血液の流れをよくするのが温熱療法となります。

この方法は80度前後に温めたパックをタオルなどで包みこんで、痛みがある所に当てるホットパックもしくは赤外線照射などがあります。

しかし、この方法で表面上は温めることができても、深層部分まで温めることは不可能です。

さらに、患部に炎症などが起こっている場合は、温めることによりさらに痛みが出てくる可能性があるので、痛みが起こってどんな症状がでているのか確認してから正しい治療法を見つけましょう。

冷湿布と温湿布

冷湿布は炎症を鎮めるために行う治療法です。
急性の腰痛に効果が高く、さらに温熱療法と併用して治療することも可能です。

温湿布は血行を良くしたり、コリをほぐす時に使用します。
慢性的な腰痛には温湿布を使用しますが、腰椎椎間板ヘルニアによる腰痛、下肢のしびれ、不快感は湿布では効果があまり期待できません。

理学療法

マッサージ

マッサージは筋肉のコリをほぐし、血流の流れをよくして痛みがだんだん和らぎ楽になれますが、腰椎椎間板ヘルニアが原因の時は、マッサージだけで治療をすることは不可能です。腰痛体操などのストレッチ等の運動療法を学ぶようにしましょう。

マッサージや筋膜リリースはあくまでも痛みに関する対処療法として考慮すべきです。

鍼治療

鍼治療は針を刺すことで筋肉に刺激を加えます。
腰椎椎間板ヘルニアは基本体の内層部分に存在するため、鍼治療だけでは根本的な治療を促すことができません。

鍼治療の場合は腰痛の原因が腰椎椎間板ヘルニアだった時に、痛みを緩和させるための治療方法として考えたほうが良いです。

投薬治療

飲み薬の場合

これは非ステロイド抗炎症薬が主に使用されます。激痛が生じると筋肉が硬直し、その痛みが余計増す場合があるので、筋肉緩和剤と併用して処方する必要があります。

注射によって痛みをブロックする方法

痛みの原因となっている部位に注射で薬物を注入する方法です。
場所によっては神経根ブロック、硬膜外ブロックとも呼ばれます。

使う薬は、ステロイド剤、局所麻酔剤の2種類です。
長期間痛みを緩和することができますが、根本的な痛みの原因を解消することではないので、治療観点から見て腰椎椎間板ヘルニアを治す方法ではありません。

牽引治療

重力や圧力などで腰椎や椎間板がつぶされることが原因なので、逆に引っ張ったり伸ばしたりすることによって椎間板ヘルニアを治療することができます。

椎間板ヘルニアの手術する治療法とは?

手術による治療法は、 保存療法をやっても腰痛が取れない場合や足に麻痺などがある場合または、日常生活に支障があって本人が希望する場合とかに行う治療法です。

また、厚生労働省が作った診療ガイドラインによれば、「排尿・排便障害がある場合」には、48時間以内に緊急の手術を受けるようにと治療を推進されております。

手術療法

①後方椎間板切除術

患部を背中の部分から切開して、ヘルニアを切除していきます。

②椎間固定術

金属などで骨を固定する方法です。
とくに腰にひどい痛みが生じる場合は、後方椎間板切除術と同時進行で行われます。

③経皮的椎間板療法

背中を切開せずにヘルニアを除去する新たな手術方法になります。
ただし適応されるヘルニアのタイプが限定されています。また、この手術法の中でレーザーを使う施術の場合は、健康保険の適用が認められていません。

椎間板ヘルニアの予防・再発防止法とは?

腰痛のほとんどの場合、主に日常生活における一般的な動作や姿勢などによって起こる症状です。
腰への負担を日ごろから無くすように心がけて、腰痛の発症の回数を減らすことは椎甲板ヘルニア発症を防ぐ対策にもなります。

さらに、椎間板ヘルニアを発症した経験のある者に関しては、再発防止にもつながるでしょう。

椎間板ヘルニアの予防や再発防止にはまずストレッチをしたり、体重の増加に気をつけたり、筋肉をつけるなどが対策法として挙げられています。

下記の項目を読んで、日常生活において反映させるように心がけてください。

椎間板ヘルニア日常生活で気を付けること

姿勢

長時間同じ姿勢をとらないこと

腰は座るだけでも思いがけない負荷がかかってしまいます。
適切に休息をして緊張状態をほぐし、ずっと負担をかけないように工夫します。

座る

・床に座る場合
あぐらは正座や横座りにより、腰に大きな負担がかかってしまいます。
膝との兼ね合いによる判断も必要です。

・椅子に座る場合
椅子が高すぎると腰に負荷がかかってしまうため、膝が股関節より少し高めにくるように椅子を調整します。

運転

運転前にシートに深く腰を掛けて、背中を密着させた状態で足がペダルから離れすぎないように、ドライバーシートを調節してください。

また、運転している時は適度に休憩をはさむようにしてください。
車に乗る時も降りる時にも注意するように心がけてください。

掃除機をかける

掃除機のホースの部分を身長に合わせて調節して、できる限り上半身を起こした状態で掃除機をかけましょう。かがまなければならない場合は、膝を使ってかがむようにしましょう。

台所仕事

台所仕事をする場合は、足元に足台を用意します。
足台に片方の足を交互に乗せて休憩するといいです。

動作

持ち上げる、取る時の注意

物を持ち上げたり、取ったりすぐ場合は腰を落として自分の方へ引き寄せてからにします。
中腰やひねりながらはやめておきましょう。

また、高い所にあるものを取る場合は、台などを用意して背中を反らさないように工夫してください。
ショップで物を運ぶ時なども、できるだけカートを使うようにしてください。

その他の注意点

筋力の強化

背中の筋肉、お腹の筋肉を鍛えることによって、お腹周りの筋肉が天然コルセットとなって負担などに強い腰を作ります。

ストレッチの推奨

背中の筋肉、お腹の筋肉の柔軟性は、痛みの緩和につながります。

体重

体重が増えると背骨のカーブを不自然にして、腰にかかる負担も大きくなります。
日々、自分の体に見合った体重の維持に努めるようにしてください。

まとめ

今回は腰の椎間板ヘルニアの治療法や予防法についてお話させて頂きました。

椎間板ヘルニアは手術する・しない方法でのさまざまな治療法が存在します。自分に合った治療法を見つけて改善を見込めるように努めるようにしてください。

また、椎間板ヘルニアの予防・再発防止など、日常生活において腰の負担を減らすように心がけるようにいたしましょう。

参考:日本整形外科学会

著者情報

金岡 恒治(かねおか・こうじ)MD,PhD
金岡 恒治(かねおか・こうじ)MD,PhD

早稲田大学スポーツ科学学術院教授

日本整形外科学会専門医・脊椎脊髄病医

日本スポーツ協会認定スポーツドクター

日本水泳連盟理事・医事委員長 ほか

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