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ヘルニアはクセになるか気になると思います。
今回は、ヘルニアになったときの改善方法を紹介していきます。
ヘルニア治療はいくつか方法があり、改善方法も日常的に行えるものなのでしっかり確認しておくと良いです。

なぜヘルニアになるの?

ヘルニアとは本来正しい位置にある臓器が様々な原因によりはみ出している状態のことを表します。
人間の体を支えるために重要な役割を果たすのは背骨ですが、この背骨は椎骨と呼ばれるものが積み重なって形成されています。

クッションのような役目の軟骨の椎間板があることで、椎骨が重なり体を動かせていると言っても過言ではありません。

椎間板ヘルニアは聞き馴染みがある言葉だと思いますが、クッションの役割を果たす軟骨の椎間板がはみ出て痛みなどを生じている状態のことです。

ヘルニアは頸椎椎間板ヘルニアや胸椎椎間板ヘルニア、腰椎椎間板ヘルニアのように分類されますが、これはヘルニアが生じる部位によって変わってきます。

椎間板ヘルニアの種類を紹介

椎間板ヘルニアは大きく分けて以下の3つが代表的です。

  • 頸椎椎間板ヘルニア
  • 胸椎椎間板ヘルニア
  • 腰椎椎間板ヘルニア

頸椎椎間板ヘルニア

頸椎椎間板

頸椎椎間板ヘルニアとは首や肩、腕の辺りにしびれを生じる神経根の障害や、手の指先を使った日常的な細かな動作がしづらくなるなどの特徴があります。

脊髄の障害として、足がもつれたり、歩行が困難になるなどの症状が発生する場合も。
頸椎は首の骨のことで、首付近を後方に反らせると痛みやしびれが生じることが多いです。
痛みやしびれが生じるのは腕や手の場合が多く、他には手足の腱反射が正常かどうかで診断していきます。

頸椎椎間板ヘルニアになる原因として、一般的には加齢に伴うものが関係していると言われています。
その他の原因として運動や良くない姿勢での仕事を行うことなどが挙がりますが、原因不明の場合もしばしばです。

主に30代から50代の発症が多いですが、一概には言えないため他の世代であっても注意が必要です。

胸椎椎間板ヘルニア

胸椎椎間板ヘルニア

胸椎椎間板ヘルニアは、膝や太もも、足全体などのしびれを引き起こすことが多く、足のもつれが多くなるのも特徴の1つ。

しびれが多く足に痛みを感じることが少ないと言われています。
痛みとしては背中付近に痛みを感じる場合もありますが、割合としては少ないです。
筋力低下がサインで、症状が悪化すると排尿困難や残尿感などの症状に悩まされることが多いです。

MRI検査にて椎間板ヘルニアにより脊髄圧迫があるかどうかで診断したり、手術時はCT検査などで確認が必要な場合もあります。
外傷が引き金になることは少なく、発症は他の椎間板ヘルニアに比べるとマイナーです。

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアは、足に力が入りづらくなり太ももや膝、足全体にしびれ、痛みを生じることがあります。
背骨が曲がっている状態のため、思うように体が動かず重い荷物を運ぶと強い痛みが生じる場合があります。

足の力が弱まっているかどうかの試験や、画像検査を元に確定診断がつくことが多いです。
腰椎椎間板ヘルニアの原因は、加齢に伴う椎間板の変形で起こる場合と、良くない姿勢で作業を行うなどの日常の行動が原因となっている場合があります。
その他には喫煙などの行動が引き金になる場合も。

ヘルニアの治療方法

ヘルニアにはどのような種類があるか紹介しましたが、ヘルニアにはどのような治療方法があるか紹介していきます。

椎間板ヘルニアの治療方法は大きく分けて保存療法と手術療法の2つに分けられます。
保存療法は主に、薬物療法、神経ブロック、理学療法が挙げられ単独治療の場合もあれば、いくつかの治療方法を組み合わせて行われる場合もあるのです。

薬物療法は、消炎鎮痛薬などで痛みを抑えていきます。
神経ブロックは、痛みを感じる神経の周りに局所麻酔やステロイド薬を注射することで和らげていく方法です。

注射する場所によっては危険性を伴う場合もあり、神経ブロックを施す際に入院が要件となる場合もあります。
薬物療法や神経ブロックは痛みを抑えたり、和らげる場合に必要な治療ですが、理学療法はこれらの治療により痛みが少し落ち着いている状態のときに行う治療です。

理学療法の中には、温熱治療や低周波電気治療、牽引、運動療法などがあります。
理学療法士が患者さんの状態や病態に合わせて必要な治療を施してくれます。
定期的に治療を行っていき、痛みの改善や日常生活を不便なく行えるように理学療法でサポートしてくれるのです。

痛みが生じてから最初に行われる治療は保存療法が多いですが、保存療法を行っても病状が改善しない場合は次の段階として手術療法が挙がります。
ここで注意したいのが、排尿や排便障害がある場合です。

先ほど保存療法から行うのが一般的と紹介しましたが、排尿・排便障害があるときは例外で緊急手術を行う必要があります。
ヘルニアの中には緊急手術が必要になるなど急いで対応が必要な場合もあるので、異常を感じたらすぐに病院受診するようにしましょう。

緊急時以外の手術療法を受ける人は、ひどい腰痛に悩まされていたり、足に麻痺があったりと、ヘルニアにより日常生活に支障をきたしている場合が多いです。
手術はヘルニアを切除したり、金属を用いて固定したり、レーザーを使用したりと種類も様々です。

ヘルニアの改善方法

ヘルニアの治療を行っていく中で他にも日常的に気をつけておくべきことがいくつか存在します。
日常的な行動でヘルニアを改善できる方法があるため、意識的にヘルニア改善を行いましょう。
ヘルニアを改善するには、大きく分けて3つの意識したい分野があります。

1つ目は、行動するときの姿勢を気にかけることです。
座り姿勢や立ち姿勢など、良くない姿勢で長時間過ごしていると、腰などに負担をかけます。
意識的に気にかけるようにしておきましょう。

2つ目は、体を使った動きがある場合です。
何かを拾ったり、持ち上げるときは腰をしっかりと落としてから持ち上げるなど腰や足に負担が少ない姿勢を心がけると良いです。
重い荷物は極力持たないなど気を付けることで、ヘルニアになるのを防ぐことができるので意識しておきましょう。

3つ目は、健康管理を行うことです。
肥満であれば腰や膝に負担がかかりヘルニア改善を阻害する原因となります。
筋力の低下がある場合は適度な筋トレ、やストレッチなどの腰痛体操で筋力を付けたり、自己管理を行うと良いです。
ヘルニア改善には病院での治療以外に、自宅や日常生活の中で行えることことがあるので意識的に行うようにしましょう。

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ヘルニアはクセになる?

ここまでヘルニアについて紹介してきました。
ヘルニアは加齢に伴うものと運動や日常生活の習慣などから引き起こす可能性があることがわかりました。
ヘルニア治療を行うと痛みが緩和したり、日常生活が楽に送れるようになる場合が多いです。
しかし、病院での治療ばかりに頼っているとヘルニアがなかなか治らなかったり、すぐに痛みが生じる場合も。

ヘルニアになったときに必要なことは、病院での治療と併せて自分自身で意識的にヘルニアになるような行動を控えることです。
姿勢や荷物の持ち運び、体型管理などは自分で意識的に行える部分です。
ヘルニアに良くない行動をしていると、ヘルニアがクセになっていると感じることも。
ヘルニアは緊急手術が必要な場合などもあるため、自己判断で対処せずに早めの病院受診がおすすめです。

参考:腰椎椎間板ヘルニア 日本整形外科学会

著者情報

金岡 恒治(かねおか・こうじ)MD,PhD
金岡 恒治(かねおか・こうじ)MD,PhD

早稲田大学スポーツ科学学術院教授

日本整形外科学会専門医・脊椎脊髄病医

日本スポーツ協会認定スポーツドクター

日本水泳連盟理事・医事委員長 ほか

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