MENU
メニュー

この記事を読んでいる人は仙腸関節性腰痛について悩んでいる方だと思います。
病院で診断してもらい、腰痛ベルトを処方されたけどよくならない方に向けて腰痛ベルトのつけ方について解説していきます。ぎっくり腰などで使用される腰痛ベルトですが、仙腸関節性腰痛の症状に対しても効果的です。

注意として腰痛ベルトの巻き方では疼痛にあまり変化がない人も中にはいます。その場合は違う病態が隠されていることも多くあります。さらに評価を行い病態の把握をすることが重要です。どんな状態なのかすぐにでも知りたい場合は、現在無料で使える「オンライン自動問診による診断サービス」がオススメです。こちらは著明な医師が監修したサービスですので安心してご利用いただけます。腰痛の病態を正確に診断し的確なアプローチを導きだしてくれます。

仙腸関節性腰痛

骨盤を形成する仙骨と腸骨が強固に連結して形成するのが仙腸関節です。その可動性は数度、数㎜と非常に可動性の低いです。関節と聞くと肩関節のように動くイメージがありますがこの仙腸関節は骨盤を形成し脊椎を支えていることもあり非常に安定性のある関節です。この関節を形成する軟部組織に前、後仙腸靭帯などが存在します。何らかの外力が加わり靭帯にストレスがかかることで起こる疼痛や仙腸関節の不安定性が問題になり引き起こす腰痛ことを仙腸関節性腰痛と言われます。

仙腸関節性腰痛の特徴としてはone finger testの疼痛部位を指し示すことができ、仙腸関節の上後腸骨棘(図①)周囲に疼痛を訴えることが多いです。

図①

また仰向けで寝ている状態で自分自身が片足を挙げるactive SLR testがあり、疼痛を再現できることがあります。ここで注意が必要なのが腰痛椎間板ヘルニアのテストとして用いられるSLR testがあります。このテストは検者が片足を他動的に上げることで神経を伸長させることで疼痛を再現していますがこの2つのテストは形が同じです。他動か自動の違いだけです。そのためactive SLR testで疼痛が再現されたといって仙腸関節性腰痛と決めてしまうと危険です。このテストでもしびれを生じることもあるため腰椎椎間板ヘルニアとの鑑別が非常に大切です。鑑別にはMRIによる画像診断が必要です。

仙腸関節の動きが重要

仙腸関節は2種類の動きがメインになります。

1つ目はニューテーション(腸骨に対する仙骨の前傾)です。(図②)
2つ目はカウンターニューテーション(腸骨に対する仙骨の後傾)になります。(図③)

図②
図③

仙腸関節障害は仙骨の動きによって疼痛をコントロールすることもでき、引き起こすこともできます。そのため自分自身がどの動きで疼痛を引き起こすのかを確認することで疼痛を軽減することができます。

ニューテーションで痛みがある場合は仙腸関節を支えている後仙腸靭帯、仙結節靭帯に牽引ストレスがかかり疼痛を引き起こすと考えられています。

カウンターニューテーションでは長後仙腸靭帯に同じく牽引ストレスがかかります。これらの仙骨の動きを靭帯が制動しているため仙腸関節に不安定性が乗じるとストレスが生じます。ニューテーションで痛みが生じる場合はカウンターニューテーションを促すことで疼痛軽減につながります。仙腸関節の不安定性を腰痛ベルトで固定し安定させることが重要になります。

仙腸関節を安定させる腰痛ベルト

市販で手に入れられる腰痛ベルトで形は2種類だと思います。

1つは腰椎と骨盤を固定してくれるベルトです(図④)このタイプはよく見かけると思います。これは骨盤以外にも腰椎を支えることができます。本来は腰椎を支えるローカル筋と呼ばれるいわゆるコルセット筋やインナーマッスルなどです。ローカル筋の働きが不安定になると腰椎を支えることができなくなり筋筋膜性腰痛などを引き起こしやすくなります。このサポーターで機能が低下しているローカル筋の機能をサポートすることで腰椎と骨盤を安定させます。

図④

2つ目は骨盤のみをサポートしてくれるタイプ(図⑤)です。仙腸関節性腰痛に対して有効なベルトになります。これでサポートできるの?と不安になりますが、これは骨盤をしっかりとサポートしてくれるもので仙腸関節を安定させたいときに使用されます。骨盤のみを固定できるのでニューテーションとカウンターニューテーションどちらで誘導することができるため仙腸関節に対して有効です。骨盤の安定によりローカル筋が機能し腰椎を支えることだけでなく下肢の筋群のサポートにも役立ちます。

図⑤

仙腸関節を安定させる巻き方①

ニューテーションを促す巻き方です。腰からおへそあたり後ろから前へ引っ張り止める巻き方でよく行われています。

カウンターニューテーションで痛みが強くなる人に有効です。実際にはカウンターニューテーションで痛みを誘発させるテストなどがありますが一人で行うのは大変です。

しかしこの巻き方で治療にもなり、評価にもなります。この方法で疼痛があった動作で軽減すればニューテーション方向で固定した方が腰の安定につながることになります。

仙腸関節を安定させる巻き方②

カウンターニューテーションを促す巻き方です。おへそから腰に向かって巻くことで促すことができます。背中側でベルトを締めるためやりにくい方は誰かに巻いてもらった方がしっかりと締めることができます。疼痛が再現できた動作を行い疼痛軽減していればこの巻き方で仙腸関節が安定していることになります。

効果があった人は!

腰椎ベルトで仙腸関節性腰痛が軽減した人は骨盤を安定させる機能が低下していることが考えられます。この不安定性を改善させるためにもローカル筋のトレーニングによる骨盤の安定が必要になります。いわゆる体幹トレーニングなどで骨盤を安定させることで腰痛予防につながります。

これでも効果がない人は…

仙腸関節が原因でも腰痛ベルトで全く疼痛に変化がない場合は、直接仙腸関節に局所麻酔薬注射します。注射により疼痛が軽減すれば仙腸関節性の腰痛が疑われます。しかし疼痛に変化が認められない場合は違う病態が考えられますので注意が必要です。
症状が改善されない場合は、整形外科を受診して腰痛の原因を確かめることや、リハビリでストレッチ、腰痛体操などを指導してもらうようにしましょう。

まとめ

仙腸関節性腰痛に対しての腰痛ベルトのつけ方を解説しました。巻き方としては前から巻くか後ろから巻くかの二択です。どちらかわからないときはどちらも試していただき、疼痛が軽減する巻き方をしていただければと思います。

上記でも説明しましたがどうしても疼痛が変わらない場合は仙腸関節性ではない別の病態が隠れている場合があります。その場合は医療機関に受診することをオススメします。または冒頭でも紹介している無料で使える「オンライン自動問診による診断サービス」があります。これは著明な医師の監修のもと作られているため正確な診断が可能です。自分の病態がわかることで早期の疼痛軽減にも役立ちます。まずは自分の病態を把握してみてはいかがでしょうか?

参考:日本仙腸関節研究会

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

痛みや体の不調で悩むあなたへ、役立つ情報をお届け。

自分の体の状況(病態)を正しく理解し、セルフマネジメントできるようになることが私たちの目的です。

記事のご意見・ご感想お待ちしております。

この著者の他の記事を見る
wholebodyeducator