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皆さんは腰痛時に鎮痛薬などを飲みますでしょうか?薬を飲まずに我慢する人も多くいると思います。

薬を飲むことに対して不安感などがあるため、薬を飲まない人が多く存在します。

しかし、鎮痛薬の知識をしっかりと持てば、薬を飲むというのは腰痛に対して非常に有効的な方法の1つです。

今回は、腰痛時における鎮痛剤について詳しく解説します。

そもそも痛みとは何か?

「痛み」は体に何かしらの異常が生じていることを知らせるセンサーです。 痛みを生じた場合には医療機関を受診することが望ましいですが、市販薬などで様子をみている方も多いのが現状です。

しかし、「痛み」として体が異常を知らせてくれているにも関わらず、市販薬によって「痛みを一時的に封じ込む」ことは非常に危険な行為です。

痛みを発している原因は何なのか?医療機関を受診し、医師の判断で適切な対処を行わなければ取り返しのつかない状態となる可能性もあります。

鎮痛薬の使用に関しては自己判断では行わないように注意しましょう。

痛みの種類について

痛みの種類は非常に多く、①炎症が生じている急性痛、②炎症は治まったが痛みが継続している慢性痛などの「期間」を示すものや、①打撲や骨折を生じた際に発生する侵害受容性疼痛、②神経そのものに炎症などが生じて発生する神経障害性疼痛、③情動面などの心理状態が影響して発生する心因性疼痛など、痛みを発生させている「原因」を示すものなどがあります。
腰痛などの「痛み」の種類は多種多様で医療機関においても、どの痛みに当てはまるのかの判断が難しい場合があります。

腰痛を感じたらみんな薬は飲んでいるの?

株式会社ライオンの調査によると、約80%の人が腰痛などの痛みを生じても我慢をしてやり過ごそうとしているとの調査結果が出ました。

痛みが出たらすぐに薬を飲んで腰痛を軽減させようとする人もいますが、実は多くの人が腰痛を生じても薬を飲まずに我慢しています。

その理由としては下記のような理由が考えられています。

・薬に対して耐性ができて薬の効果が軽減しそう
・薬を飲むことによって身体に負担をかけたくない
・胃に負担がかかったり、過去に胃が痛くなったりすることがあった

上記のような理由がみられますが、正しい知識を持てば腰痛に対して薬を飲むことは非常に効果的な方法の1つです。

まず腰痛になったら場合はどうしたらいいの?

上記で解説したように、腰痛に対して薬を飲むことは非常に有効的な方法ではあるものの、全ての腰痛に対して薬が有効というわけではありません。

特に下記が原因で腰痛が生じている場合は薬の効果はみられません。

1. 神経が原因で腰痛が生じている場合
2. 内臓の病気などの場合

1.神経が原因で腰痛が生じている場合

腰痛の約85%は、レントゲン上などで腰痛を生じさせている原因が不明といわれていますが、残りの約15%に関しては、椎間板ヘルニアや脊柱菅狭窄症など腰痛を生じさせている原因が神経などはっきりしています。

椎間板ヘルニアなど神経が腰痛の原因である場合は鎮痛薬が有効でない場合が多くみられ、重度の場合は手術が必要になります。

2.内臓の病気などの場合

腰痛を生じる原因の多くは筋肉が関わっていますが、内臓の病気などが原因により腰痛が生じる場合があります。

例えば、帯状疱疹などの感染症や癌が進行していて周囲の細胞を圧迫・破壊してしまっている場合は腰痛が生じますが、このケースにおいても鎮痛薬を飲んでも効果がみられません。

これらから分かるように、鎮痛薬は全ての腰痛に効果がある万能薬ではありません。そのため、いつもと違う腰痛がする場合などは我慢せずに出来るだけ早く医療機関を受診することが重要です。

鎮痛薬のことをしっかり理解しよう

腰痛が生じているのに、薬を飲むことを迷ってしまう方が多くみられます。

その理由として、鎮痛薬のことを深くまで理解しておらず、薬を飲むことに対する不安感が強くある場合が多々みられます。

今回は少しでもその不安を軽減させるために、下記の内容について解説します。

・鎮痛薬はいつ飲めばいいの?
・鎮痛薬は身体に悪いものなのか?
・鎮痛薬を飲み続けると効き目は弱くなるの?

薬の種類について

市販薬や医療機関でもよく処方される「ロキソニン」は抗炎症薬として、捻挫や打撲後の炎症がある部位(侵害受容性疼痛)に効果的な鎮痛薬です。けがをしてすぐに受診した際にはロキソニンなどの抗炎症薬が処方されることが多いです。

しかし、慢性腰痛となると「心理的な影響」も加わるなど原因が多岐にわたるため、医師によって処方される薬も患者様によってさまざまです。

また、動けないほどの急性痛には内服薬よりも、短時間で即効性のある坐薬を使用するケースや、鎮痛効果が長時間持つものを選択するケース、他院での治療歴をチェックしながら内臓器へ配慮した処方など患者様一人一人に合った鎮痛薬を医師は検討します。

鎮痛薬を一定期間服用しても効果みられない場合は、痛みの原因となっている部位に対して、処方された薬が合っていない可能性が高いです。あまり効果がない場合は再度、医療機関を受診し医師に相談をするようにしましょう。

薬の効能はインターネットですぐに調べることが可能なので、ご自身の腰痛を医師はどう判断しているのかをチェックしてみてください。

鎮痛薬はいつ飲めばいいの?

鎮痛薬は腰痛が生じ始めたら、痛みを我慢せずに飲むようにします。その理由としては、腰痛などの「痛み」は危険信号として脳に知らせる重要なサインとなっているからです。

そのサインが出ているにも関わらず腰痛を我慢しすぎると、鎮痛薬の効き目が低くなったり、身体に負担がかかったりする可能性があります。

腰痛などの痛みが生じると身体は痛みの元になる「ブラジキニン」と痛みを強める「プロスタグランジン」という物質を発生します。

この2つの物質の中で鎮痛薬は「プロスタグランジン」の発生を抑える役割があります。そのため、もし腰痛が生じたものの我慢し、その結果「プロスタグランジン」が大量に発生してしまうと、鎮痛薬を飲んでもその効果は非常に低くなります。

そのため、腰痛が生じたらすぐに鎮痛薬を飲むことが重要です。

鎮痛薬は身体に悪いものなのか?

「鎮痛薬=身体に悪影響」とイメージがあると思いますが、実際に飲む薬の詳細な情報までは知らない人がほとんどです。

飲む薬の成分によって生じる副作用も異なってくるため、必ず「添付文書」を読むようにしましょう。特に多い副作用は「胃への負担」や「眠気」などがあるため、胃を守る成分が入って薬を選んだり、眠くなりにくい薬を選んだりするなどの工夫を行うようにします。

鎮痛薬のこのような使用方法は要注意!

鎮痛薬は使用方法を間違えなければ腰痛に効果的な治療手段となります。よくみられる注意が必要な使用方法は、用法用量を守らないことです。

朝昼晩に60mgのロキソニンを1回ずつ服用するように処方されているにも関わらす、痛みが緩和しないため1回分の量を1錠増やし120mgを自己判断で使用するケースや、市販薬の鎮痛薬を数カ月や数年単位で長期使用していたケースです。

これらは内臓だけでなく体全体に多大なる負担をかける可能性が非常に高く、避けるべき行為です。
このような服用方法が危険行為であることを認識しながらも行っていました。

この2つのパターンも含めてですが、そもそも鎮痛薬が合っていない可能性や、根本的な治療となっていないことが考えられます。心当たりのある方はすぐに整形外科を受診するようにしましょう。

鎮痛薬を飲み続けると効き目は弱くなるの?

薬局などで売られている鎮痛薬であれば、用法や用量をしっかり守って飲むことにより薬の耐性ができることはなく、鎮痛薬の効き目が弱くなることはありません。

もし、以前に「鎮痛薬を飲んだにも関わらず効き目がなかった」などの経験がある場合は、「薬を飲むタイミングがズレた」「自分に合わない薬を飲んでいた」などの理由が考えられます。

そのような場合は医師や薬剤師に相談し、自分自身に合った鎮痛薬を選ぶことが重要です。

腰痛を軽減させるための薬ってなに?

腰痛に対して鎮痛薬を飲む場合は医療機関で処方してもらうことも重要ですが、手軽に鎮痛薬を手に入れたい場合は、薬局などで市販薬を購入することも可能です。

薬局などで売られている薬は湿布や塗り薬などの外用薬と内服薬(飲み薬)に分かれ、その薬に配合されているロキソプロフェンナトリウム水和物、ジクロフェナク、フェルビナク、インドメタシンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が腰痛を軽減させる効果があります。

外用薬と内服薬には下記のような成分が含まれています。

・外用薬:冷湿布、塗り薬
ロキソプロフェンナトリウム水和物、サリチル酸グリコール、インドメタシン、フェルビナク、ジクロフェナクなど

・内服薬:飲み薬
ロキソプロフェンナトリウム水和物、イソプロピルアンチピリン、イブプロフェンなど

ロキソプロフェン(ロキソニン)の作用について

ここでは外用薬と内服薬の2種類に共通して含まれている成分のロキソプロフェン(ロキソニン)の作用について解説します。

腰痛などの痛みが生じた瞬間に痛みを感じるようになります。その後、炎症が起こることで痛みが持続してしまいます。

この痛みを生じさせる物質として有名なのが「プロスタグランジン」です。

このプロスタグランジンというのは炎症を生じている部位で放出される物質の1つとなっており痛みを誘発します。

ロキソプロフェン(ロキソニン)の役割はこの「プロスタグランジン」を抑えることです。

もう少し詳しく解説するとプロスタグランジンは「シクロオキシゲナーゼ(COX)」という酵素によって作られますが、ロキソプロフェン(ロキソニン)このシクロオキシゲナーゼ(COX)の働きをおさえて、プロスタグランジンを軽減させます。

その結果、プロスタグランジンの作用が弱まり、痛みや発熱、炎症を抑えることができ腰痛の軽減につながります。

ロキソプロフェン(ロキソニン)の飲み方

ロキソプロフェン(ロキソニン)は腰痛を軽減させるために効果的な方法になりますが、注意しなければいけない点も多く存在します。

さまざまな注意点がある中で、特に重要な点は下記のとおりです。

・水もしくはお湯で服用し、できるだけ空腹時に飲まないようにする
・処方薬と市販薬で用法や用量が異なるため注意する

市販薬の場合は、腰痛などの症状が生じたときに1回1錠の服用ですが、処方薬の場合は1回2錠など市販薬ではリスクを下げるようになっているため注意が必要です。

鎮痛薬だけでなく理学療法を併用する

鎮痛薬を単独で使用するより理学療法と併用する方が腰痛治療には効果的です。腰痛が出現した原因はさまざまですが、筋力低下や柔軟性の低下、日常生活の中での動作や姿勢などが影響している可能性が非常に高いと報告されています。これらは鎮痛薬の服用のみでは改善できません。

理学療法士による筋力や柔軟性の身体機能改善と、原因となっている姿勢や動作の修正が必要不可欠です。整形外科を受診すれば内服薬の処方と、理学療法士によるリハビリテーションが医師によって処方されます。

ご自身の体の弱点を教えてもらい、自宅で行える運動を指導されることで自分自身の体と向き合う良い機会となるでしょう。腰痛で悩んでいる方はまず整形外科を受診し、鎮痛薬だけに頼るのではなく理学療法士による身体機能の改善に向けたリハビリを受けることが重要です。病院でのリハビリと自宅でのセルフケアを行うことで鎮痛薬が無くてもいい体を目指していきましょう。

まとめ

今回は腰痛時に飲む薬について解説しました。鎮痛薬をしっかりとした知識を持ったうえで飲むのは、痛みを和らげるために非常に有効な方法の1つです。

その中でも有名な鎮痛薬はロキソプロフェン(ロキソニン)になり、薬局などの市販薬としてもお手軽に購入できます。

しかし、市販薬と処方薬とで用法・容量が異なるため注意して服用するようにしましょう。

【参考文献】
腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版 https://minds.jcqhc.or.jp/docs/gl_pdf/G0001110/4/Low_back_pain.pdf
沖田実、松原貴子著(2019年3月)「ペインリハビリテーション入門」三輪書店

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

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