目次
はじめに
腰痛は腰全体的に生じる場合の他に、左右どちらかに生じる場合があります。左右どちらかに生じる多くの腰痛は筋肉が原因で生じるため、ストレッチや筋肉トレーニングを行うことが重要になります。
しかし、時折筋肉が原因ではなく、医療機関の受診が必要な場合もあります。今回は左右どちらかに生じる腰痛のさまざまな原因とその対応方法について解説します。
左右どちらかに腰痛が生じる原因とは
腰痛と一概にいわれても、腰全体が痛む場合や左右のどちらか片側だけ痛みが生じるなどさまざまなタイプがあります。
その中でも左右どちらかに腰痛が生じる原因としては主に下記のような理由があります。
・筋肉の疲労によって生じる腰痛
・背骨や骨盤などの姿勢が歪んで生じる腰痛
・神経が圧迫されることによって生じる腰痛
・内蔵の疲れや病気などによって生じる腰痛
・ストレスが原因で生じる腰痛
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筋肉の疲労や炎症によって生じる腰痛
1つ目の原因は筋肉の疲労です。
筋肉は普段、伸び縮みする度に血流がしっかりと流れています。しかし、筋肉の疲労などによりいつもより筋肉自体が硬くなってしまうと、血液の流れが悪くなってしまいます。筋肉疲労の原因の多くは、日常生活の習慣や自分自身の姿勢や動作のクセが多くみられます。
筋肉が硬くなる部分が左側に寄っていれば、左側の腰が痛みやすくなり、逆に右側の筋肉が硬くなった場合は右側の腰が痛みを生じてしまいます。
これらの場合は、筋肉の血流が悪くなって筋肉自身が硬くなってしまっているため、ストレッチや筋膜リリースなどで筋肉を緩めることができれば血流が良くなるため、痛みも減少することが多くみられます。
背骨や骨盤などの姿勢が歪んで生じる腰痛
2つ目の原因は、背骨や骨盤などの姿勢の歪みです。
普段の日常生活において、座りっぱなしの生活や運動が不足している場合は同じ姿勢をとり続けている時間が長いため、背骨や骨盤などを中心に姿勢が歪んでしまっています。
例えばいつも同じ足を組んでいる、座っている姿勢が猫背など左右のバランスが悪いクセが付いてしまっている場合は左右どちらかの腰に痛みが生じてしまいます。
この原因の対象方法としては、普段の姿勢を直すということになりますが、実際にはクセが付いてしまっている姿勢をすぐに直すのは困難です。
そのため、座りっぱなしの日常生活の場合は30分に1回程度座った姿勢から立ち上がって身体を動かすなどするだけで姿勢の歪みは軽減されます。
また、座る姿勢に関しては姿勢を矯正するための椅子やクッションなどを使用するだけでも座った際の姿勢を矯正できます。
神経が圧迫されることによって生じる腰痛
3つ目の原因は神経の圧迫です。
神経の圧迫が原因で腰痛が生じた場合は左右どちらかの腰だけではなく、下肢全体への痺れや痛みが生じてしまいます。
また、神経が圧迫されているため、下肢への運動神経が上手く伝達することができないため上手く足を動かすことができない場合があります。このような症状が出た場合は、整形外科などを受診して医師からの診察を受けるようにします。
内蔵の疲れや病気などによって生じる腰痛
4つ目の原因は内蔵の疲れや病気です。
腰痛の原因といえば、上記で解説した筋肉や姿勢の歪み、そして神経の圧迫がよくあげられますが、それ以外にも内蔵の疲れや病気などが原因でも腰痛が生じてしまいます。
ここでは腰を5つの範囲に分けて考えられる内臓の疲れや病気の可能性について解説します。
腰の右上部に出る痛み:肺炎、肺結核、気管支炎など
腰の右下部に出る痛み:十二指腸潰瘍、腎盂腎炎、腎結石など
腰まわり全体に出る痛み:尿路結石、子宮内膜症など
腰の左上部に出る痛み:狭心症、心筋梗塞など
腰の左下部に出る痛み:膵炎、膵臓がん、腎結石など
内臓が原因で生じる腰痛の場合の多くは安静時においても常時痛みが生じてしまっていることが多くみられます。
そのため、いつもの腰痛とは異なる痛さを常時感じる場合は、内科などの受診を行い詳細な状況を知ることが重要になります。
ストレスが原因で生じる腰痛
5つ目の原因はストレスです。
内臓と同じようにストレスと腰痛の関係性に疑問を持つ人も多くみられると思いますが、実は腰痛とストレスは密接な関係にあります。
実際に最近では、ぎっくり腰などの急性腰痛が慢性化する原因としてもストレスが注目されています。一度ぎっくり腰をしてしまうと、その恐怖心からまたぎっくり腰を繰り返してしまうのではないかという恐怖回避思考を生じてしまい、運動不足を生じ、腰痛を長期化、重症化させてしまいます。
右側・左側の片方だけに腰痛がある人のためのストレッチ
上記で解説したように、左右どちらか片方に腰痛が生じる原因はさまざまありますが、その中でも多くは筋肉のアンバランスを整えるだけで痛みが軽減することが多くみられます。
ここでは片方の腰痛に関与する多くの筋肉の中で主要な2つのストレッチについて解説します。
腰方形筋のストレッチ
腰方形筋とは背中全体の筋肉である脊柱起立筋の奥に位置している筋肉で、身体の内側で背骨を支える役割がある筋肉です。
腰方形筋のストレッチ方法をご紹介します。。
1 仰向けに寝ます
2 右腰が痛む場合は寝ころんだまま右膝を抱えるようにします
3 右膝を抱えたまま左半身の外側にゆっくり右膝を倒していきます
4 右腰がしっかりと伸びていることを確認して30秒間ゆっくり伸ばします
*その際、右肩を床から離れてしまうと右腰へのストレッチの効果が低くなってしまうため、右肩を床から離さないようにします。
中殿筋のストレッチ
中殿筋は大殿筋の奥に位置している筋肉で、足を外側に開く動作を行うとともに、歩行や片足立ちの安定性を高める役割があり、非常に重要な筋肉となっています。
この中殿筋が疲労などにより硬くなると、歩行などの安定性が低下し、腰痛につながってきます。
中殿筋のストレッチ方法は以下の通りです。
1 椅子などに座ります
2 ストレッチしたい方の足を反対の膝にのせます
3 そのままゆっくりと上半身を倒していきます
腰痛を軽減させるための簡単なトレーニング
腰痛を軽減させるためには、運動や筋肉トレーニングが非常に効果的です。ここではその中でも簡単に体幹を鍛えることができるトレーニング方法をご紹介します。
ドローイン
ドローインは非常に簡単に行えるトレーニング方法となっているため、ぜひ試してください。
1 仰向けに寝て両膝を立てます
2 お尻を引き締めます
3 お腹に軽く手の平をのせます
4 鼻から息をゆっくり吸ってお腹を膨らませていきます
5 息をしっかり吸ったらお腹に力を入れてゆっくり息を吐きながらお腹を凹ませます
6 ゆっくり5回程度繰り返して行います
*ドローインは5回程度を3セット行うようにしましょう。
さいごに
今回は、左右どちらかに生じる腰痛について詳しく解説しました。腰痛が左右どちらか片方に生じる多くの理由は「筋肉の疲労によって生じる腰痛」「背骨や骨盤などの姿勢が歪んで生じる腰痛」ですが、時折「神経が圧迫されることによって生じる腰痛」「内蔵の疲れや病気などによって生じる腰痛」が原因で左右のどちらか腰痛が生じてしまう場合があります。
そのため、いつもと違うような痛みが続く場合は我慢せずに医療機関を受診し、医師からの診断をもらうようにして下さい。
「筋肉の疲労によって生じる腰痛」「背骨や骨盤などの姿勢が歪んで生じる腰痛」の場合は筋肉のストレッチやトレーニングが非常に有効な手段になるため、今回解説した、「腰方形筋」「中殿筋」のストレッチと「ドローイン」をまず行うようにしてください。
参考:腰痛 日本整形外科学会