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最も安定した寝方と言われている仰向けの姿勢。本来であれば一番リラックスできる姿勢のはずなのに、「仰向けになると腰痛で眠れない」と悩んでいる方も多いようです。そうした腰痛の原因のひとつとされるのが「反り腰」。特に女性に多いとされる「反り腰」の特徴や原因、腰痛の改善方法について詳しく探っていきましょう。

反り腰とは?

仰向け 反り腰

反り腰とは、その名前の通り腰が反ってしまっている状態を指します。通常人間の身体は全面に重みが偏っているため、「主要姿勢筋」と呼ばれる筋肉をうまく使って身体を支えています。
主要姿勢筋は頭を支える役割を果たす頸部筋・背骨を支える役割を果たす脊柱起立筋・太ももの裏側にある大腿二頭筋・足首を動かす役割を果たすヒラメ筋によって構成されており、これらの筋肉は全て身体の後ろ側にあるのです。
そのためこれらの筋肉をうまく使うことができていない場合は身体を支えきれず、前に倒れそうになってしまいます。しかし身体は前に倒れないようにバランスをとろうとするため、腰あたりが反ってしまうのです。
この状態を、「反り腰」と呼びます。

反り腰になってしまうとどうなる?

正しい姿勢を心がけている方でも、身体の中心にある腰の部分には特に負担がかかりやすいと言われています。立っている状態では体重と同じぐらいの負担がかかりますが、座っている状態ではそれ以上に負荷がかかってしまいます。
座った状態だと身体の重心が立っている時よりも前に出るため、余計に負荷がかかります。長時間座っていることの多いデスクワークの方などが腰痛を訴えやすいのは、このことが原因です。
反り腰の場合、本来姿勢を支える役割を持つ背筋がうまく働きません。

「反り腰」ってどんな症状?

「反り腰」は骨盤が前傾した際に体が前に倒れるのを防ぐため、極端に腰を反らせてしまっている姿勢です。人間の背骨は通常緩やかなカーブがありますが、腰の部分のカーブが急激にきつくなっている状態のことを言います。悪い姿勢と聞いて連想されがちな「猫背」に対し、良い姿勢と捉えられがちな胸を張った「反り腰」も実は悪い姿勢のひとつ。背筋が伸びすぎることにより、体には大きな負担がかかっている状態なのです。そのため腰痛をはじめ、さまざまな症状の原因になっていることも…。特に下記にひとつでも当てはまる方は「反り腰」になっている可能性があります。

・足を伸ばして仰向けになると腰が痛い
・慢性的に重だるいような腰痛がある
・肩こりよりも背中や腰のハリが気になる
・デスクワーク後に背中の筋肉がつる感覚がある
・下腹がぽっこり出ている
・お尻が後ろに突き出ている
・太ももが張っている
・むくみや冷えに悩んでいる

自宅で簡単にできる「反り腰」チェック

立ち姿勢で行うチェック方法

1.素足になって壁から足を5cm程離し、まっすぐと立つ。
2.頭・背中・お尻を壁にぴったりとくっつける。
3.壁と腰の隙間に手を入れる。
この際、壁と腰の隙間に手がすっぽりと入ってしまった場合は反り腰である可能性が高いです。

仰向け姿勢で行うチェック方法

1.床に横になり、腕を身体の横に沿わせる。
2.床と腰の間に手を入れる。
床と腰の間に少し手が入る程度であれば問題ありませんが、手を入れた状態でも余裕がある場合は反り腰であることが疑われます。
長引く腰痛やぽっこりお腹などに悩んでいる方は、一度これらの方法を使ってチェックしてみることをおすすめします。

女性は「反り腰」になりやすい?その原因とは

改善するためにはまず原因を知ることが大切。日常に溢れる「反り腰」の原因やなりやすい人の特徴について紹介していきます。

お腹の筋肉の衰え

運動不足や加齢によりお腹の筋肉が弱くなることは、腰の筋肉が収縮したり骨盤が前傾したりと「反り腰」に直結する原因になります。ポイントは背中ではなくお腹の筋肉であること。腹筋が弱いと背骨が後ろに引っ張られて腰が反ってしまうのです。特に女性は男性に比べて筋肉量が少なく、20歳を過ぎると筋肉が減少していく傾向にあるため注意が必要です。

柔軟性の低下

「反り腰」になる要因のひとつとして、柔軟性の低下が考えられます。腸腰筋や腸腰筋が固くなること骨盤でが前傾するのです。こちらも運動不足や加齢が主な原因です。

体重増加による体型の変化

太ってお腹が出るようになると重心が前に傾くため、体を支えるために無意識に腰を反らせた姿勢をとるようになります。妊娠中の女性の姿勢をイメージするとわかりやすいかもしれません。また妊娠中だけでなく出産を経た女性は腹筋が弱まるため「反り腰」になりやすい傾向があります。

ヒールの高い靴を履く

日常的にハイヒールを履くことも女性が「反り腰」になりやすい理由のひとつ。前に偏った体を倒れないように支えるため重心が後ろになります。よって無意識に腰を反ってしまうのです。

座っている時間が長い

座った状態は骨盤がゆがみやすい上に緊張で筋肉が固くなってしまうため「反り腰」になりやすいです。また姿勢を良く見せようと頑張りすぎるのも「反り腰」の要因。背筋を伸ばそうとすることで無意識に「反り腰」の姿勢になってしまっているかもしれません。

簡単な対策で腰痛改善!「反り腰」の悩み解消法

腰痛改善のために、整体やマッサージに行くという話をよく聞きますが、「反り腰」が原因の場合は根本的な解決にはなりません。それはもみほぐしても「反り腰」は改善しないからです。ここからは効果的なストレッチや、すぐにできる腰痛を和らげる方法などを紹介していきます。

体を鍛える

「反り腰」を根本的に改善するには、原因である筋肉の衰え、柔軟性の低下を解決することが何よりも大切!そう聞くと腹筋や腕立て伏せなどの一般的な筋トレを思い浮かべる方も多いと思いますが、間違った方法で行う筋トレは逆効果になってしまうことも…。また1日だけ頑張っても持続できなければ意味がありません。そのため運動が苦手な方でも毎日チャレンジしやすい5つのストレッチ方法を紹介します。

1.腰を曲げない腹筋ストレッチ

  1. 膝を立てた状態で仰向けの姿勢になる。
  2. 息をゆっくり吸ってお腹を膨らませる。
  3. お腹が膨らみ切ったら息をゆっくり吐いてお腹を凹ませる。
  4. 1~3を5~10回繰り返す。

2.ヨガを取り入れたストレッチ「猫のポーズ」

  1. 床に手足をついて四つん這いの姿勢になる(肩と太ももが床と垂直になっていること)。
  2. そのままの体勢でゆっくり息を吐きながら背中を丸める(背骨が天井にひきあげられているようなイメージ)。
  3. 鼻から息を吸いながら背中を反らせていく。
  4. 1~3を5~8回繰り返しましょう。

3.椅子を使用したストレッチ

  1. 背筋を伸ばした状態で、椅子に浅く座る。
  2. 頭の位置を動かさずに腹筋に力を入れ、ゆっくりと息を吐きながらお腹をへこませる。
  3. そのまま5秒間キープする。
  4. 5秒かけて、息を吸いながらお腹を元に戻す。
  5. 1〜4をゆっくりと10セット行う。

4.腰回りの筋肉を伸ばすストレッチ

  1. 床に横になり頭の下にクッションなどを入れ、顎を引きます。
  2. 腕を太ももの裏に回し、両膝を抱え込みます。
  3. 腰部を伸ばすことを意識しながら20秒程その姿勢をキープします。
  4. 10秒の休憩を挟み、1〜3を3セット行います。

5.足の付け根を伸ばすストレッチ

  1. しゃがんだ状態から、両手を床につける。
  2. 右膝を立て、左膝はまっすぐ後ろにのばす。
  3. そのままゆっくりと体重を前にかけ、20〜30秒キープする。
  4. 左右交互に3セットずつ行う。

バスタオルやクッションを使って寝ている間の腰痛解消

膝を伸ばした状態で仰向けになると腰が痛いという方には、バスタオルを使った方法がおすすめ!腰とベッドの間に隙間ができて背中が浮いてしまうことが腰痛の原因のため、バスタオルを腰に巻いて隙間を埋めるだけで腰痛緩和につながります。またクッションを膝の下に敷くことで、膝を立てた姿勢を維持するのも改善方法のひとつ。快適な睡眠を手に入れることができれば、ストレス解消や生活習慣改善にもつながるでしょう。

骨盤を立てる正しい座り方

腰痛の原因のひとつに「長時間座った状態のままでいること」を挙げましたが、デスクワークの方はどうしても座ったままになりがちです。しかし正しい姿勢で座ることができるようになれば、腰痛緩和につながります。デスクワーク中にも実践できる「猫背」でも「反り腰」でもない、正しい座り方をご紹介します。

意識をするのは「骨盤を立てて座る」ということ。まずは背もたれにもたれることなく椅子に座りましょう。その際に足と膝が直角になるようにしてください。さらに足裏はぴたっと床につけることを意識してください。パソコン作業に集中してくると、猫背になりがちなので要注意!少し見下ろすような角度で、目とパソコン画面との間は20~30度を維持できるように意識しましょう。

腰痛の原因を知れば、自分に合った改善方法も見つかる!

「反り腰」という言葉は知らなくても、症状を聞いてみると自分に当てはまったという方も多いのではないでしょうか?一言に腰痛といっても種類はさまざまです。今回紹介した方法でも、腰痛の種類によっては逆効果となることがあるので十分に注意してください。また痛みや違和感がある場合は自分だけで判断せず、専門家に診てもらうことが大切です。いろいろ試しながら自分に合う改善方法を見つけてくださいね。

参考文献
「とっても真面目な姿勢の話」 竹中栄治著
「簡単ストレッチで治せる!反り腰・猫背の完全攻略本」 中川真人著

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

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