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痛み止めのお薬を使ってことはありますか?
ぎっくり腰や慢性的に起きる腰痛の痛みを抑えるために鎮痛薬を使う方は多いでしょう。腰痛を抑えるお薬は口から入れる飲み薬と湿布や塗り薬など皮膚から吸収させて効果を発揮する薬がありますが、使われている成分によって副作用が起こる可能性があります。副作用について気をつけないと薬によって別の病気を引き起こすこともあるので注意するべき点を理解する必要があります。
今回は腰痛で使用されることがある医薬品の副作用や注意点について解説します。

腰痛で主に使われる薬は

腰痛で使用される薬には様々なものが使用されますが、基本的には腰痛の原因を直接取り除くものではありません。痛みを引き起こす物質の生成されないようにする、筋肉の緊張を解して痛みを感じにする、痛みを感じる神経の働きを抑える、神経を修復する薬剤を使うことが多いです。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

非ステロイド性抗炎症薬は、痛みを起こす体内物質のプロスタグランジンの生成を抑制することで鎮痛効果を発揮します。プロスタグランジンは、炎症反応を引き起こす物質でもあるため痛みだけでなく発熱や腫れの原因にもなります。そのため、解熱、抗炎症作用を期待して使用されることもあります。強い鎮痛作用を持っている医薬品で内服薬や湿布、塗り薬などの様々な商品が存在しています。

アセトアミノフェン

アセトアミノフェンは抗炎症作用を持っていないため腫れを伴っているような痛みには使いにくいですが、非ステロイド性抗炎症薬に比べると副作用も少なく安全性の高い解熱鎮痛薬です。
15歳未満の小児にも使えるのが特徴です。

筋弛緩薬

筋肉が慢性的に緊張していると血行が悪くなり、痛みを起こす物質が溜まり続けます。そのため、筋肉の緊張やコリをほぐすことで血行をよくして痛みを抑える治療法も確立されています。筋弛緩薬は、筋肉の緊張をほぐすことで血流を改善する効果が期待できます。

抗うつ薬

抗うつ薬と腰痛に関連性がないように思われますが、2016年に「サインバルタ」と呼ばれる抗うつ薬に慢性腰痛症に伴う疼痛にも使用できるようになりました。サインバルタは痛みを抑制する神経経路である下行性疼痛抑制系を活性化させて痛みを抑える効果があります。
基本的には、非ステロイド性抗炎症薬やアセトアミノフェンの効果が見られなかった慢性腰痛に使用されます。

オピオイド鎮痛薬

麻薬性鎮痛剤に分類されるものも存在し、他の医薬品では効果が現れなかった強い腰痛に使用されます。
痛みの信号を受け取る脳や脊髄に作用して痛みを抑制するので強い鎮痛作用を発揮しますが、副作用も多いので注意が必要です。麻薬性鎮痛剤という名称ですが、適切に使用すれば依存症になることはないです。

ビタミン剤

ビタミンB群は体を動かすためのエネルギーを作り出すために必要なビタミンとされています。筋肉や神経の代謝を促進して筋肉の疲労を回復させたり、神経の修復を活性化させることで痛みを抑える効果を期待できます。
神経痛の治療にはビタミン剤が処方されることが多いです。

漢方薬

腰痛に対して効果があるとされている漢方は複数存在しています。筋肉の緊張をほぐす効果があるとされている漢方には芍薬甘草湯や葛根湯などがあります。芍薬甘草湯は主にこむら返りなどの筋肉の痙攣に使用されますが、筋肉の緊張をほぐす効果があるからです。そのため、筋肉の緊張からくる腰痛やぎっくり腰など急性の腰痛に使われることがあります。
その他にも、慢性的な腰痛で痺れが伴うような場合には牛車腎気丸など血流を改善する効果がある漢方薬が使用されます。

副作用に注意が必要!

腰痛に対して使用される医薬品には副作用を起こすことがあります。また、持病がある場合には医薬品を使用することで悪化してしまうこともあるので注意が必要です。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

プロスタグランジンには炎症を起こす作用とは別に胃の粘液を増やす作用があります。そのため、非ステロイド性抗炎症薬によってプロスタグランジンの生成を抑制すると胃粘液も減ることになり、胃痛などの胃腸障害を起こしてしまうことがあります。
その他にも、アスピリン喘息という症状を引き起こすことがあります。アスピリン喘息は非ステロイド性抗炎症薬を使うことで起こる喘息で内服薬だけでなく湿布や貼り薬でも引き起こされることがあるので喘息がある方は医師や薬剤師に相談した方がいいでしょう。

アセトアミノフェン

アセトアミノフェンは、比較的副作用が少ない医薬品であるため多くの市販薬に使われています。そのため、風邪薬や他の鎮痛薬などの医薬品を使用している場合には薬の成分が重複する可能性もあります。
また、肝臓に負担がかかることもあるので肝機能が下がっている人は注意が必要です。

筋弛緩薬

筋肉の緊張をほぐす神経に作用するためふらつきや眠気、脱力感が起こることがあります。
ふらつきや眠気が強く出る可能性もあるので車の運転や危険な作業をする場合には注意した方がいいでしょう。

抗うつ薬

抗うつ病薬でもあるサインバルタは、神経系に作用して痛みを抑えます。そのため、眠気やめまい、ふらつきなどの精神神経系の症状が現れる事があります。その他にも、吐き気、嘔吐、便秘などの消化器症状やおしっこが出なくなる排尿障害なども起きる事があります。

オピオイド鎮痛薬

非麻薬性のオピオイド鎮痛剤は中枢神経に作用して痛みを抑えますが、消化器症状や精神神経症状も現れる事があります。特に多いのが便秘や吐き気、眠気やめまい、非麻薬性オピオイド鎮痛薬では非常に稀ですが、呼吸抑制が起こる事があります。麻薬性オピオイド鎮痛薬はさらに鎮痛効果が高いので末期癌に伴う内臓痛や腰痛に使用されますが、便秘や吐き気などに加えて呼吸困難なども起こる事があります。

ビタミン剤

ビタミン製剤では副作用が起こることは非常に稀ですが、吐き気や下痢、発疹などが起こる事があります。

漢方薬

漢方薬の7割に配合されている甘草という生薬は、過剰に摂取すると偽アルドステロン症という副作用を起こす事が知られています。偽アルドステロン症は、尿中にカリウムが流出する事で高血圧、浮腫、手足のだるさや痺れが起こります。その他にも、下痢などの胃腸障害や動機や頻脈などの循環器症状を起こすものもあります。

薬物療法は補助として

以上、簡単にですが腰痛の種類と処方される薬剤について解説させてもらいました。
大事なことは、病院の治療方針によりますが、基本的には薬物療法は鎮痛作用は示しますが原因を根絶するものではありません。
腰痛症状を改善したい場合は、手術や適度な運動、心理的ストレスの解消が重要になるので、あくまでも薬物療法は補助的に使用するものだと考えましょう。
薬に頼りすぎず、腰痛症状の原因を解決することを目標に症状をよくしていくことが大事になります。

過去に副作用があった場合に医薬品を使わない治療法を検討してみる

医薬品を使用して副作用を起こした事がある場合には同じ医薬品の使用は避けてください。副作用の心配がある場合には医師に相談してリハビリなどの他の治療法を検討してみるのもいいでしょう。医薬品の使用が推奨される場合にはお薬手帳などに過去に副作用を起こした医薬品を記録することで医師や薬剤師に確認してもらえます。

体調に変化を感じたら医療機関へ受診する

腰痛が起きたときには市販薬で痛みが抑えて安静にする事が重要ですが、医薬品を使用して体調が変化した場合には副作用の可能性もあるので医薬品の使用を中止して医療機関へ受診した方がいいでしょう。受診する際には使用した医薬品がわかるようにしておくと医師も処方の判断がしやすくなります。

まとめ

痛みがあったときに気軽に購入できる鎮痛剤は、急遽起きた腰痛に対しては強い味方です。しかし、入手が簡単な市販薬も医薬品であることには変わりはありません。副作用を起こす可能性があります。腰痛で使用される医薬品は処方薬や市販薬など種類はたくさんありますが、それぞれ注意点を知っておくことで副作用を早期に発見できます。医薬品を使って体調変化が起きたときには医療機関へ受診してください。
根本的な腰痛改善には、ストレッチや筋トレ、有酸素運動などが推奨されています。運動やケアを日常生活に取り入れましょう。

【参考URL】
日経メディカル サインバルタ:慢性腰痛で使用可能にhttps://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/201604/546295.html
シオノギ製薬 がんのつらさhttp://www.shionogi.co.jp/tsurasa/treatment/opioid/
第一三共ヘルスケア 腰痛の対策 https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/26_youtsu/index2.html
日本臓器製薬 https://www.nippon-zoki.co.jp/general/lackle-kanpo.html
中村記念愛成病院 腰痛症に対する漢方薬 https://www.kouwakai-nakamura.jp/colum-0148.html
日本緩和医療学会 がん疼痛の薬物療法https://www.jspm.ne.jp/guidelines/pain/2010/chapter02/02_04_02_02.php
厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアルhttps://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/10/dl/s1019-4d9.pdf
全日本民医連 くすりの話https://www.min-iren.gr.jp/?p=26771

著者情報

腰痛メディア編集部
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