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腰痛は今や生涯発症率は80%を超え国民病とも言える状態になりつつあり、実際に腰痛で受診をされた方、または受診を考えられた方は多くいらっしゃると思います。薬局で働いていて腰痛に対しては湿布薬の処方が一番多いと感じます。今回は病院で処方される貼り薬(湿布薬)に焦点を当てて種類や効果、使用上の注意点などについて解説します。

腰痛に対するアプローチ方法

腰痛に対して薬で痛みを抑えようとする場合、飲み薬(内服薬)や貼り薬(貼付薬)、塗り薬(塗布薬)、座薬の選択肢があります。薬のタイプによりそれぞれメリット、デメリットがあるので特徴を知った上で選択するようにしましょう。

内服薬

現在流通している内服薬の痛み止めは一部例外もありますが、ほとんどがNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)という分類の薬です。内服薬は効果の発現が早いと言われており、痛みを感じた時に服用しても比較的早い段階で効果を実感できます。また錠剤1粒なので持ち運びにも苦労しないですし、必要な時にすぐに服用できます。このように簡便性が高いことは内服薬のメリットであると言えます。

一方で、NSAIDsは胃の粘膜保護の役割のあるプロスタグランジンの産生を抑制してしまうため胃が荒れてしまったり、胃の出血が起きてしまうことがあります。胃がもともと弱いという自覚のある方は胃薬を併用したり、空腹時に絶対服用しないなどの配慮が必要です。

貼付薬

貼付薬のメリットは作用時間の長さです。皮膚から薬の成分を吸収するので、一度貼ってしまえば長く効果を持続させることができるため、途中で貼り替えたりせずに1日過ごすことができます。内服薬や塗布薬に比べて効き目が長いので、途中で効果が薄くなってきたり新しい薬に変える心配が必要ありません。

長時間の貼付が可能ですが、長時間の貼付ゆえにかゆみや肌のかぶれが出てくる場合もあります。薬の成分自体が合わなかったり、粘着剤が肌に合わないとアレルギーの反応が出ますし、夏場などは汗で蒸れることによって皮膚のトラブルが出る可能性があります。お肌がかぶれやすい方は貼付時間を調節して使用する必要があります。

塗布薬

お肌が敏感で貼付薬の使用が難しい方には塗布薬という選択肢もあります。貼付薬と同様に皮膚から
吸収されますが、肌に密着している時間が少ないため貼付薬のような皮膚トラブルを引き起こすことは少ないです。

塗布薬は内服薬のような胃腸障害、貼付薬のような皮膚のかぶれなどを起こす可能性はほとんどなく使いやすいですが、作用時間が短いので1日のうちに何回かは重ね塗りをしないといけません。

座薬

座薬は内服薬よりも吸収が早く、体内での薬の分解が少なく、先に紹介した胃腸障害の副作用が少ないとされています。痛みが強く、早く抑えたいという場合には座薬も方法の1つとして挙げられます。

しかし座薬はもともと体内で溶けていくように設計されているため、温度の高いところで保管をすると溶けて形が崩れてしまう可能性があります。一度溶けて形が崩れると肛門からの挿入が難しくなるので冷蔵庫などの温度の低いところで保管しなければならず、持ち運びが難しいため注意が必要です。

このように痛み止めにはさまざまな形状があり、個人の体質や生活スタイルに応じて使い分けることが可能です。それぞれのメリット、デメリットを参考にしながら自分に合う薬を選んでください。

湿布薬の分類について

最近ではさまざまな種類の湿布薬が各医薬品メーカーから販売されています。
薬の性質や型、成分によって特徴が異なるため、適した薬を見つける参考にしてみてください。

剤型による分類

テープ剤

伸縮性のある生地に有効成分、粘着剤、その他香料などを含めた貼付剤です。生地は薄くペラペラとしていますが粘着力が強く、関節の形に沿ってぴったりとシワなく貼ることができます。最近の貼付剤の主流であり、処方もテープ剤の方が圧倒的に多い印象を受けます。

パップ剤

昔ながらの湿布のような白く弾力性があり厚みのある貼付剤です。特徴として有効成分や粘着剤、添加物の他に水分を含んでいるので、貼るとひんやりとした感覚があります。水分が蒸発する時の気化熱を利用しているので冷やされた感覚があり、捻挫など熱を持った部分の貼付に適しています。

冷感・温感による分類

湿布には冷感と温感の2種類があり使用感が異なります。
冷感の湿布にはl-メントールやハッカ油などの清涼感を感じられるような成分が配合されています。主に急性期の捻挫や打撲など、赤く腫れがあり熱を持っている症状の時に有効です。

それに対し温感の湿布ではトウガラシエキスなどが含まれており、皮膚に温感を与え血管拡張作用により血流を改善し腰痛などの症状に効果を発揮します。冷湿布が急性期の症状に対して有効なのに対し、温感の湿布は慢性的な腰痛や肩こりなどに有効です。

成分による分類

貼付薬の成分には多くの種類がありますが、その中でも特に処方が多い成分についてピックアップして特徴を解説します。

ロキソプロフェン(ロキソニンテープ、ロキソニンパップ)

テープ剤、パップ剤ともに販売されていて市販でも同様の名称で取り扱いがあるため馴染み深い成分です。貼り始めて約2時間後に25%の濃度に、約4時間後に血中の濃度が最高値に達します。貼ってすぐに効果を実感するのは難しいかもしれませんが、この薬の効果持続時間は約48時間です。貼ってる間だけが効果があると思う方もいるかもしれませんが、実は12時間ほど貼った後に剥がしても12時間は効果があります。長時間貼り続けることは皮膚へ刺激を与え続けてしまうので休ませながら貼ることが重要です。

👉腰痛をどうにかしたい!ロキソニンの湿布にはどんな種類がある?効果は?

ケトプロフェン(モーラステープ、モーラスパップ、モーラスパップXR)

ロキソプロフェンと同様にNSAIDsに分類されるケトプロフェンという成分が含まれている貼り薬で頻繁に処方される薬ですが、ケトプロフェンという成分に特有の「光線過敏症」という症状に注意しなければいけません。貼付している部位が直射日光に当たるとその部分で赤みや痒みを引き起こします。
また薬を貼らなくなってからも4週間は同様の症状が起こりうるので、貼っていた患部を衣類で覆うなどの配慮が必要になります。

エスフルルビプロフェン(ロコアテープ)

上の2つ同様NSAIDsに含まれるエスフルルビプロフェンですがこの貼り薬の特徴は「吸収率」です。
上の2つの貼り薬と比較しても薬の吸収率が高く、ロコアテープを1日に2枚貼ると痛み止めの内服薬と同じ血中濃度に達することが知られています。この薬を使う場合は痛み止めの飲み薬は一緒に使わないよう注意が必要です。

最後に

腰に限らずさまざまな部位に痛みを抱えている方にとって貼り薬は、一度貼っていれば効果を得続けることができる非常に便利な薬です。しかし貼り続けることによって皮膚に刺激を与え続けることにつながるので痒みやかぶれを引き起こすことも知られています。
毎日貼ることは特に問題ではありませんが、1日のうちに皮膚に何も貼らない状態を最低1時間は作るようにして皮膚を休めることも重要です。今回は湿布薬に焦点を当ててみました。皆さんの疑問が少しでも解消できれば幸いです。腰痛の改善には、ストレッチや有酸素運動などの運動療法が推奨されています。生活にケアを取り入れてみましょう。

【参考URL】
愛知県薬剤師会

帝人製薬HP

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腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

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