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「マッサージに行っても腰痛が改善しない…」

「月経時の腰痛がひどくて辛い…」と、なかなか改善しない慢性的な腰痛や、月経に伴う腰痛にお悩みではありませんか?

女性の場合、腰痛は子宮の病気が原因である可能性があります。そのため、中々改善しない腰痛や他に症状の伴う腰痛には注意が必要です。

今回は【腰痛と子宮疾患の関係】【腰痛を伴う子宮疾患の症状】についてお伝えしていきます。

腰痛と子宮疾患の関係

生理痛が重い方には子宮の病気で腰が痛くなるというのは、イメージしやすいかと思います。
腰痛は、腰の周りの筋肉や背骨などの影響が原因でおこるものばかりではありません。
内臓に病変がある場合にも、腰に痛みが出現する場合があります。これは「関連痛」というもので、痛みの原因部分とは違う部分に発生する痛みのことです。
この関連痛で腰に痛みが発生する代表的な臓器は腎臓・肝臓です。これに女性の場合は子宮も加わります。
このように子宮と腰痛には深い関係があり、腰痛は子宮の病気のサインである可能性もあるのです。

「関連痛とは」
内臓や皮膚の知覚は部位ごとに脊髄で一度まとまって脳へ情報を伝えます。子宮を例にあげると、子宮の痛みの信号が伝えられる脊髄の部位と、腰の知覚情報の伝達される脊髄の位置が同じであるため、脳が腰にも痛みがあると勘違いし腰痛が発生します。これが関連痛です。

女性の腰痛で子宮の病気を疑うケース

マッサージやストレッチ、安静にしても腰痛が改善しない
安静時にも腰に痛みがある
下腹部の痛みを伴う
月経痛が酷い、経血が多すぎる
頻尿

腰や腰周囲の筋肉が原因の腰痛であれば、ほとんどの場合は横になって安静にしている時には痛みが出現しません。安静にしていても腰の痛みが続くようであれば、要注意です。

腰痛以外に上記のような症状がある場合、子宮の病気や卵巣の病気が疑われますので婦人科医院を受診しましょう。

腰痛を伴う子宮の病気

多くの子宮・卵巣の病気で腰痛を伴います。子宮筋腫、子宮内膜症、子宮がんについて詳しくお伝えします。

子宮筋腫

子宮筋腫とは、子宮の筋肉が変化してできる良性腫瘍です。女性の約4人に1人が子宮筋腫を持っているといわれています。腫瘍が小さいうちは、自覚症状もなく治療は不要で経過観察となります。腫瘍が大きくなってくると、経血増加、生理痛増強、レバーのような血の塊が混ざる、生理の日数も十日以上続くなど、月経時に症状が出現します。これらの症状とともに、腰痛や下腹部痛、頻尿を伴うこともあります。
治療は、ホルモン剤による薬物治療と、貧血対応のための鉄分補充が主です。ホルモン剤の使用は、副作用も心配されます。あまりに筋腫が多く大きい場合は外科手術で筋腫を取り除くことも可能です。

子宮内膜症

子宮内膜症は20~40代の女性に多い子宮の病気です。子宮内膜症の原因はまだはっきり解明されていませんが、現在は以下の2つの仮説が有力です。

子宮内膜移植説

月経時に剥がれた子宮内膜が、経血として膣から排出されず、卵管の方へ逆流して腹腔内に癒着したり、血管やリンパ管を経由して他の部位に移動するのではないかという説。

体腔上皮化生説

腹膜や、卵管を包む皮膜など、子宮以外の上皮細胞が何らかの要因で、子宮内膜に変化してしまうのではないという説。

子宮内膜症で問題なのは、腹腔内に癒着または発生した子宮内膜が、本来の子宮内膜と同じように機能することです。子宮以外の場所に移動した子宮内膜も、月経と同じサイクルで女性ホルモンの影響をうけ、増殖や出血を繰り返します。子宮以外では、子宮のように出口がないので、増殖した内膜や血液などを体外に排出することができません。
その結果、月経ごとに炎症を繰り返し、ほとんどの場合は閉経するまで少しずつ進行していきます。
子宮内膜症が発生しやすい場所は、腹膜、卵巣、ダグラス窩(子宮と直腸の間のくぼみ)で、卵巣にできたものはチョコレート嚢胞と呼ばれます。増殖した子宮内膜組織や古い血液が貯留し、チョコレート状になるためこのように呼ばれます。子宮内膜症の症状は、月経時の下腹部痛、月経時以外の下腹部痛、腰痛、排便痛や性交痛、など様々な痛みや、不妊症の原因になる可能性もあります。特にチョコレート嚢胞では不妊症の原因になりやすく、またその嚢胞の大きさが大きければ大きい程に不妊症になる確率が上がります。

治療は、薬物療法と手術療法がありますが、将来的に妊娠を望むのか/望まないのか、またすぐに妊娠を希望するのかどうかで、使用する薬剤や手術の方法は異なります。
妊娠を希望する方は特に、早期発見が重要となるため、下腹部痛などの異常を感じたらすぐに婦人科を受診しましょう。不妊症の方の3割から5割に子宮内膜症がみられるというデータがありますが、(※)できるだけ早期に治療を開始することで、子宮内膜症でも妊娠ができる可能性が高まります。
妊娠を望む女性では特に、早期発見が重要になります。自覚症状が出現したときには既に、進行している場合が多いため、定期的に検査を受けることをお薦めします。

子宮がん

子宮がんには2種類あります。

子宮の入口(子宮頚部)にできる「子宮頚がん」と、子宮の中心にできる「子宮体がん」の2種類です。この2つは、好発年齢も、症状の進行も異なります。

子宮頚がんの原因のほとんどは、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスで、20~30代の若い女性に多い傾向があります。原因がウイルスですので、性交渉により感染します。初期症状では自覚症状のない場合がほとんどで、自覚した時にはかなり進行しているという場合が多いですが、定期検診を受けていれば早期に発見できます。また初性交渉前にワクチンを接種する事も予防につながります。
子宮頸がんの症状は、不正性器出血、下腹部痛、腰痛、下肢痛や血尿、血便などです。
治療は、手術療法、薬物療法、放射線治療が組み合わされます。

子宮体がんの割合は年々増加しています。50~60代の女性に多いですが、近年では若い女性にも増えています。子宮体がんの原因は2つあり、エストロゲンの刺激が長期間続くことが原因で発生する場合と、エストロゲンとは関係ない原因で発生する場合があります。エストロゲン刺激が長期間続く原因は、出産経験がないこと、閉経が遅いこと、肥満やエストロゲンを分泌する腫瘍などがあげられます。
エストロゲンとは関係ない場合の原因は、糖尿病、血縁者に大腸がんになった人がいること、遺伝性腫瘍の1つであるリンチ症候群があげられます。

子宮体がんの症状の大きな特徴は、閉経後の不正出血です。その他には腰痛や、排尿時痛、進行すればお腹の張りといった症状が現れます。

治療のメインは手術療法で、進行している場合には、抗がん剤を用いる化学療法や放射線療法などを組みあわせて行います。

子宮体がんも他のがんと同様に、早期発見が大切です。疑わしき症状があれば、すぐに婦人科を受診しましょう。

まとめ

子宮の病気で腰痛を伴うものは多く、女性の腰痛は注意が必要であることがお分かりいただけましたでしょうか。女性は我慢強い方が多く「腰痛くらいで…….」と受診が遅くなりがちです。たかが腰痛と甘く見ずに、子宮の病気の可能性もあるということを頭に置いて置いてください。

安静にしていても腰が痛い
他に下腹部痛などの症状を伴う

という場合には、子宮が原因である可能性が高いので婦人科を受診しましょう。

※子宮内膜症取扱い規約 第2部 治療編・診断編

参考文献

・日本婦人科腫瘍学会編.子宮体がん治療ガイドライン2018年版,金原出版

・日本産科婦人科学会・日本病理学会編.子宮体癌取扱い規約 病理編 第4版.2017年,金原出版

・日本産科婦人科学会・日本女性医学学会編.ホルモン補充療法ガイドライン2017年度版,日本産科婦人科学会事務局

参考ページ

国立がん研究センター 

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

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