40代~50代は働き盛りですが無理をしがちで、肉体的にも精神的にも体が衰え始める時期です。
この時期をどのようにして乗り切るかで、後の人生腰痛に悩まされなくて済むかもしれません。
近年はレントゲンやMRIなどの進歩により、原因の分からない非特異的腰痛は85%ほどになっています。(参考:腰痛診療ガイドライン2019|日本整形外科学会・日本腰痛学会監修)
画像検査で分かる特異的腰痛は、病院やクリニックでの治療が必要です。
画像検査でもわからない、何でもない腰痛については自分で改善することができます。
その見分け方についてどうすればよいか、腰痛の起こるメカニズム、自分でできる改善方法などについてまとめてみました。
目次
40代~50代の腰痛にはどのような腰痛がある?
腰痛を分けると次のようになります。これらの改善方法は近代ではかなり変化してきています。
外傷による腰痛
急性(肉体的腰痛)
疲労や炎症による腰痛
非特異的腰痛
心因性(ストレス・うつ等)による原因が小
慢性(心因性腰痛)
心因性(ストレス・うつ等による原因が大
特異性腰痛(疾病による腰痛)
がん・椎間板ヘルニア
圧迫骨折
化膿性脊椎炎
腰部脊柱管狭窄症・終板の障害など
腰痛が起こるメカニズム
腰痛が起こるメカニズムはレントゲンやMRIなどの進歩により解明されてきています。
以下のメカニズムは腰椎による腰痛が起こるメカニズムで、腰痛で一番多いのが腰椎の異常によるものが多いです。
1. 背骨は神経の中枢の脊髄の保護をする働きもあります。椎間板は髄核と線維輪の2つの成分からできていています。
年齢とともに椎間板の髄骨がずれ、周りを取り囲んでいる線維輪(せんいりん)が傷つけられ、大きく椎間板が外に飛びだし神経を圧迫したり傷ついたりして、腰痛の症状となります。
髄核は椎間板の中のゼラチン状の組織ででき、髄核を線維輪が何重にも木の年輪のように保護している組織です。
2. 前に腰を曲げると椎間板が腰椎に挟まれ、中心にある髄骨が後ろにずれ、移動するたびに髄骨がずれるため髄骨を取り巻いている線維輪が傷つけられ腰痛になります。
非特異的腰痛改善方法
レントゲンやMRIなどの技術進歩で、非特異的腰痛の原因が椎間板にあることが分かってきました。
椎間板が飛び出したり、椎間板がつぶれたり、椎間板が大きく膨れたり、腰回りの各部位がずれたりして、適正な位置に定まることができないため腰痛に繋がっています。
腰椎が1つ1つ別れている骨を椎骨と呼び、椎骨と椎骨の間に椎間軟骨があってクッション的な働きをしています。人間の動作が行えるのは椎間板があるからです。
急性(肉体的腰痛)の改善方法
外傷による腰痛の重度の脊椎圧迫骨折や感染性脊椎炎などは安静が必要です。また、急激な痛みが出た場合は安静にすることは必要となります。
しかし、近年ではあまり安静にしすぎると次に動き出すときに激痛を生じるので、病気やケガによる急性腰痛以外は多少痛くても動く方がよいといわれています。
痛みがひどい場合は別ですが、できるだけ痛みに慣れるようにしましょう。
病気やけがの場合は、医療機関を受診してください。
慢性(心因性腰痛)の改善方法
原因が小さい場合
心因性腰痛はストレスからくることが多く、ストレスを取り除くことが必要です。
ストレスを取り除くには、有酸素運動を取り入れたウォーキングなど持続して行うことで改善に向かいます。
特に心因性腰痛の場合は、体を動かすことで腰痛を減少させることも可能です。
原因が大きい場合
腰痛は心理的要因が腰痛改善を妨げています。痛みの恐怖を回避するため心配のし過ぎで腰痛を悪くします。
腰痛に対する恐怖観念が、日常生活の行動や嗜好などを制限してしまうからです。
近年腰痛医学では、腰痛に対し恐怖を感じすぎて行動や嗜好を制限することは、腰痛を長引かせる原因だといわれています。
心理的ストレスで過度に収縮して、椎間板の負担が増える研究結果もでています。
心因性腰痛の改善方法は、痛みのことを忘れて毎日楽しいと感じることに神経を向けることです。
特異的腰痛は疾病によるものです。画像検査で確認できるものなので、医療機関で治療が必要となります。
特異的腰痛の病気
- 椎間板ヘルニア疾患
- 腰部脊柱管狭窄症疾患
- 腰椎椎間関節症疾患
- 変形性脊椎症疾患
- 脊椎分離症・すべり症疾患
- 終板の障害
- 仙腸関節による腰痛
- 筋筋膜性腰痛
- 化膿性脊椎炎疾患
- がん(すい臓がん・大腸がん・がんの骨転移・乳がん・子宮がんなど)
40代~50代の腰痛で受診した方がよいポイント
腰痛は原因がはっきりしなかったり、治療を特別にする必要がなかったりすることが多いです。しかし、見逃してはいけない腰痛もあります。
腰痛だからと安易に思っていると手遅れになり、後遺症が出ることもあります。
特にがん・腰椎椎間板ヘルニア・腰部背柱管狭窄症などは、治療が遅れると後遺症や取り返しのつかないことになることがあります。
どのような場合は受診した方が良いかをまとめてみました。
1. 熱がでる
2. 安静にしても痛みが出る
3. 脚のしびれやマヒがあり、失禁してしまう場合
4. 痛みがひどくなる
上記の症状が腰痛と一緒に出ていたら、早急に受診することが大切です。
1. 熱がでるのは細菌感染が起こっている可能性があります。
熱が出ているときは免疫が異物と戦っているので、細菌やウイルスが侵入し増殖している可能性があります。
2. 安静にしていて痛みが出る場合は、内臓や血管に何らかの病気を抱えていることがあります。
背中から腰に掛け激痛が突然起こり安静にしていても強く痛む場合は、大動脈解離も疑われるため、早急に受診することが必要です。
3. 脚のしびれやマヒがあり失禁してしまう場合、脊椎神経に何らかの異常がある場合があります。
治療のタイミングを外すと後遺症が残る場合があります。
4. 痛みがひどくなる場合は、がんなどの病気が疑われます。
運動による腰痛の改善方法
筋トレは腰痛の改善方法としてとてもよい運動ですが、間違った筋トレは逆効果になることがあります。
腰痛回復を正しく行う筋トレは2つあります。
1. 体の筋肉をほぐし柔軟性を強化するためのストレッチ
2. 筋肉を鍛えて筋肉を強化するストレッチ
毎日2~3種類の運動を、20秒ずつ毎日持続することが必要です。
のけぞり腰痛(腹筋を鍛える)の改善
1. 床に膝を立てて仰向けで息をゆっくり深く吸いながらお腹を膨らませます。
2. お腹がふくらみ切ったら、お腹をへこますためゆっくりと息を吐きます。
3. 5~10回行います。
寝てやらなくても、椅子に腰かけたり立っているときでもできますので、気が付いたときに行うと良いでしょう。
痛みがひどい時はやってはいけませんので、痛みが出ない範囲で行ってください。
前屈腰痛(背筋を鍛える)の改善
1. 膝を曲げ仰向けになり両手は体の両横に伸ばします。
2. 首から膝までが一直線になるようにお尻を持ち上げ、20秒間そのままキープします。
ハムストリングス(太ももの背面を伸ばす)の改善
1. 仰向けに寝た状態で、太ももの裏を持って膝をお腹に近づける。
2. 限界まで来たら、膝をまっすぐに伸ばして20秒キープする。
3. 両足行います。
太ももにあるハムストリングスという筋肉が硬い人は、前に傾くとき背骨をより曲げなければかがめません。
このような人は、背骨に大きな負担がかかり腰痛の原因となるので、太もも周りの筋肉を柔らかくして腰痛改善を行います。
まとめ
腰痛は、以前は安静にしている方が良いといわれてきましたが、現在では多少の痛みがあっても動作をすることで痛みが改善に向かうといわれています。
寝ているより軽めのストレッチや腰痛体操などの運動をする方が、特異的腰痛以外は減少するといわれています。
また、規則正しい生活とバランスの取れた食事、適度な運動によって腰痛も改善に向かうでしょう。
痛みのメカニズムが分かってきていますので、痛みに負けずに日常生活を明るく前向きな気持ちでおくることが必要です。
参考:日本整形外科学会