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腰痛を改善する方法として、最も身近なものが「正しい座り方を身に付ける」ということです。実際、普段何気なく座っている時の姿勢が、腰痛の原因になっているというケースは珍しくありません。

そこでこの記事では、座る際の姿勢と腰痛との因果関係を明らかにしたうえで、正しい座り方を身につけるためのポイントを3つご紹介します。いずれもすぐに実践できるポイントばかりですので、普段から腰痛にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください!

座っていると、腰には予想以上の負担がかかる

座っている状態は、立っている状態よりも腰に負担がかかるということをご存じでしょうか?

スウェーデン人の整形外科医師によって発表された有名な論文によると、座っている時は立っている時に比べ約1.4倍の負荷が、猫背のように姿勢が悪い状態だと立っている時に比べ約1.8倍の負荷が椎間板にかかっています。座っていると足もラクになり、気持ち的にもホッとしますが、無意識に腰回りの筋肉を使っているのです。

日本は世界トップクラスの腰痛大国

日本人は座っている時間が世界トップクラスで長く、一日あたり平均約7時間も座っていると言われています。座っている時は、上半身の重さや動きの負担がすべて腰に集中するため、長時間座っていればそれだけ腰に負担がかかり、腰痛を引き起こす要因となるのです。

特に普段デスクワークがメインの方は、腰痛に悩まされる割合も高く、40歳以上の男性は60%以上が、40歳以上の女性は50%以上が、「治療を必要とする腰痛を経験したことがある」と答えています。腰痛は決して男性だけに限った話ではなく、日本は半分以上の人が腰痛を経験する「腰痛大国」なのです。

悪い姿勢で座り続けると神経を傷つける

悪い姿勢で長時間椅子に座り続けると、筋肉や神経が骨によって刺激され、腰痛を引き起こす原因となります。さらにこの状態が長く続くと、坐骨神経痛や椎間板ヘルニアといった症状を引き起こす可能性があるので、十分に注意しなくてはなりません。

正しい座り方を身に付ければ、筋肉や神経は圧迫されず、健康な状態を保つことができます。デスクワークなどでどうしても座っている時間が長くなるという方は、正しい座り方を身に付けるだけでも、腰痛は大きく改善されるでしょう。

腰痛を引き起こす典型的な座り方

続いて、腰痛を引き起こす原因とされる悪い座り方を3つご紹介します。ご自身が普段からこうした座り方をしていないか、ぜひチェックしながら読み進めてください。

猫背

文字通り、背中が猫のように丸くなっている状態です。パソコンやスマホに集中している時に、つい顔が前に出て猫背になってしまうという方は多いのではないでしょうか?猫背が定着すると、腹筋や背筋の筋力が衰えることで体がうまく支えられなくなってしまい、自ずと腰にかかる負担も大きくなります。

また、猫背は腰だけでなく、肩凝りや頭痛の原因にもなります。顔が前に出ると、首や肩の筋肉は常に緊張した状態になるので、肩凝りや首凝りはもちろん、頭痛を引き起こす可能性も十分に考えられます。現代病の一つともされている「ストレートネック」を引き起こす大きな要因の一つとも言えるでしょう。

猫背を改善する方法としては、以下のようなものが挙げられます。
・パソコンやスマホを目線の高さまで上げる
・背もたれのある椅子を使う
・長時間あぐらをかかない

ずっこけ座り

「ずっこけ座り」とは、お尻が前に出て、背中だけが背もたれに寄りかかっている状態のことを指します。デスクワークが長時間続く場合だけでなく、リラックスした状態の時についずっこけ座りになってしまうという方も少なくないでしょう。

ずっこけ座りをしている際は、身体は寝たような状態になりながらも、首だけが真っ直ぐ起きているという姿勢になります。背もたれと腰の間に大きな隙間が生まれるため、当然腰にかかる負担も大きくなってしまいます。

ずっこけ座りを長時間続けると、背中から腰にかけての腰椎が重力によって曲がってしまい、椎間板ヘルニアを引き起こすリスクが高まってしまいます。椎間板ヘルニアのように神経を圧迫することで起こる症状は、重症化するまで自覚症状がないというケースも珍しくありません。普段からずっこけ座りが習慣になっている人は、潜在的に椎間板ヘルニアを引き起こす可能性を秘めているとも言えますので、十分に注意してください。

ずっこけ座りを改善する方法としては、以下のようなものが挙げられます。
・お尻が痛くならないクッションを敷く
・パソコンやスマホを目線の高さまで上げる
・最初に座った時に、腰回りをヒモやタオルなどで固定する

足を組む

3つ目にご紹介するのは、足を組んだ状態で椅子に座るということです。中には足を組むことが習慣化しており、座ると無意識のうちに足を組んでしまうという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

足を組むと、骨盤に均等に力がかからず、体の重心がずれてしまうことで骨格のズレやゆがみを引き起こします。そうすると、体全体のバランスが崩れ、腰にも不自然な力がかかってしまうのです。特に、「足を組む際にいつも同じ足が上に来る」という方は、すでに体のバランスが歪んでいる可能性がありますので、なるべく足を組まないよう普段から意識することが大切です。

足組みを改善する方法としては、以下のようなものが挙げられます。
・椅子の高さを調節する
・両ひざをヒモやタオルで結ぶ
・両ひざの間にボールやマットなどを挟む

その他に考えられる腰痛を起こす座り方

背丈と合っていない

考えられる理由のひとつは、いつも座っているイスと身体の相性がよくないことです。かんたんに言えば、座る方の身長に対してイスの丈が高すぎる、あるいは低すぎる状態のことを意味します。

こうしたイスを半ば無理に使わなければならなくなった場合、身体をなんとかイスに合わせようとするため、腰が不安定な位置に固定されやすいのです。それに加え、向かい合っているデスクとの高さにも差があると、より腰に負担がかかってしまいます。

イスの構造に欠点がある

高さは合っていても、イスの構造自体に問題があるという場合も考えられるでしょう。見映えのよい装飾がなされている一方、座る方の負担はあまり考えられていないようなイスは決して少なくありません。

たとえば、腰や背もたれの部分が大きすぎか小さすぎ。あるいは弾力性が乏しい等の欠点を持ったイスは、長時間の使用に向いているとは言えないでしょう。

腰痛を改善!座り方で意識すべきポイント

それでは、正しい座り方を身に付けるには何に気を付ければ良いのでしょうか?ここからは、座る際に気を付けるべきポイントについて解説していきます。正しい座り方を実践するだけでも、腰痛は十分に改善される可能性がありますので、腰痛にお悩みの方はぜひ日常生活に取り入れてみてください。

骨盤(坐骨)を起こす

正しい座り方を身に付ける際、最も気を付けるべきポイントは骨盤の位置です。まず椅子に座るときには深く腰をかけ、骨盤の一番下にある坐骨が座面に左右均等にあたっていることを意識してみてください。この坐骨を立てることで、自ずと姿勢を楽にキープできます。

長時間座っているうちに骨盤が傾いてしまうと、猫背やずっこけ座りの状態になってしまいます。特に初めのうちは姿勢を維持するのが大変ですので、ヒモやタオルなどで腰の位置を固定するのも有効でしょう。また、坐骨が立つことでお尻が痛くなる場合には、クッションを活用すると痛みも軽減されます。

足の裏を床にしっかりつける

骨盤を意識したら、続いては足の位置を調整しましょう。ひざは90度に曲げ、足の裏は両方ともまっすぐに床につけるのが理想的な座り方です。

足の裏を床に付けることで、腰にかかる上半身の重みを軽減することができます。足を自然に前に投げ出してしまう方も多いですが、足が前に出ると自ずと骨盤も寝てしまい、ずっこけ座りの原因となってしまうので注意してください。もし椅子が高くて足が床に届かない場合には、台などを用意して両方の足裏をしっかりと乗せるようにしましょう。

あごを引き、背筋を伸ばす

あごを引いて、背筋をピンと伸ばすイメージで固定します。背もたれに思い切り寄りかかるのではなく、軽く寄りかかる程度が理想です。背もたれに一切寄りかからない座り方は一見美しく見えますが、姿勢をキープするために必要以上の負担が筋肉にかかってしまうので、あまりおすすめできません。

あごを引いたときに、目線を20~30度ほど下げた位置にパソコンやスマホが来るのが理想的な座り方です。画面が遠すぎると、文字を見るために自ずと顔が前に出てしまいますので、常にあごの位置を意識するようにしてください。肩の力を抜き、リラックスした状態で座ることも大切です。

腰痛防止のためにやってやっておきたいこと

適度に立ち上がる

座るという動作は疲れないというイメージがあります。たしかに、歩行時のように足首やつま先に強い負荷はかかりません。しかし、長時間座り続けていると、腰をはじめとする下半身の部位が圧迫され、血の巡りや骨盤に悪影響を与えます。立ち続けることと同様、着席をずっと継続するのは決して身体によいものではないのです。

そのため、デスクワーク中は適度に立ち上がるなどして、身体を動かす機会を作ることがよいでしょう。可能であれば、30分以上座り続けることのないようなルーティンを構築できれば望ましいです。

クッションを合わせて利用する

今使っているイスに違和感を覚えるけど買い替えるのが難しいという場合、クッションを敷くという方法がよいでしょう。イスと臀部との間にやわらかい素材のクッションを挟むことで、下半身への負担を軽減させることができます。また、イスの高さが足りない場合、それを補うのにも役立つでしょう。

クッションを選ぶ際のポイントは、「自分にとって座り心地がよいこと」に加え、「使用しているイスに合っていること」です。クッションとイスのサイズが合っていないと、位置がズレやすくなるため却って座りづらくなってしまいます。

腰痛にならないためのイス選び

きちんと座れる構造になっているか

おしゃれなイスにこだわるというのも決して悪いことではありませんが、座りやすさや身体への負担を捨ててまで重視すべきポイントではありません。

大事なのは、何より「ちゃんと気持ちよく座ることができるか」ということです。自然と猫背や反り腰になってしまう構造になっていないか、座っていて違和感を覚えないかということに気をつけてイス選びを行ってください。

自分の身体にフィットしているか

イス自体の構造が優れていても、自分の身体と合っていなければ意味はありません。「評判がよかったから」と高価なイスを買ったはよいものの、イスが小さすぎ、あるいは大きすぎたりすれば、座り心地がその価値に見合わないどころか、かえって腰を痛める結果となってしまいます。

自分の身体にフィットするかどうかは、見ただけでは分かりづらいものです。できることならば、実際店舗に行くなどして座り心地やサイズ感を目と身体で確かめるのがよいでしょう。どうしても合うものが見つからないという場合は、オーダーメイドという選択肢もあります。多少費用はかかりますが、それでも健康を考慮すればメリットは大きいと言えます。

身体に負担がかからないか

腰を痛めやすいイスは、うまく負担を逃してくれません。人間がイスに身体を預ける際は、腰やお尻等に体重がかかってしまいます。それらの負荷を軽減してくれないイスに長い時間座り続けるとダメージがどんどん蓄積し、腰痛の発生へとつながるのです。

身体のことまできちんと考えて作られたイスは、必要以上の負担がかかりすぎないよう考慮の上設計されています。たとえば、適度にクッションを挟んでいたり、柔らかい素材を外装に使ったりなどです。

正しい座り方を身に付け、腰痛を改善しよう!

どれだけ正しい座り方を維持しても、ずっと同じ姿勢でいるとどうしても体全体の筋肉が膠着してしまいます。そのため、1~2時間に一回は立ち上がり、ストレッチなどで体全体を伸ばすことも忘れてはいけません。

正しい座り方を身に付ければ、デスクワークが楽になるだけでなく、仕事における生産性も必然的に向上します。肩凝りや頭痛にお悩みの方は、座り方を意識するだけで症状が改善する可能性も十分に考えられるでしょう。正しい座り方が身に付けば、腰痛の改善以外にもたくさんのメリットを実感できますので、ぜひこの記事を参考に、正しい座り方を身に付けてくださいね!

◆参考資料

デスクワークの腰痛原因は座り方や椅子選びにあった!反り腰になる原因と予防、腰に負担をかけにくい椅子の選び方についてご紹介
腰によくない座り方をやめて腰痛改善
デスクワークの腰痛は座り方が原因?正しい座り方のポイントを解説
腰痛対策正しい椅子の座り方

著者情報

腰痛メディア編集部
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