日本では約2800万人以上の方々が腰痛に悩まされているそうです。(参考:平成28年国民生活基礎調査|厚生労働省)
また、デスクワークや座っている時間が長いと、お尻や腰が痛くなる方も多いのではないでしょうか?
実は、座る姿勢は腰へのストレスが大きいということがわかっています。
今回、その座る姿勢に着目し、その特徴や腰痛を避ける座り方について、5つの方法を皆様にお伝えしていきます。
それでは、椅子に座る姿勢の特徴や腰痛を避ける座り方、5つの方法についてご説明させていただきます。
目次
椅子には浅く座りましょう
座面に接している骨盤(お尻の骨)の両底に坐骨といわれる部位があります。
椅子に浅く座っておへそを正面に向けると骨盤が立ちやすくなるので、その状態でおしりを左右に揺らしながら動かしてみましょう。
骨盤の底の方で骨がゴリゴリと動きます、これが坐骨です。
椅子に浅く座ったら、この左右の坐骨へと意識を向けて均等に体重をかけます。
次に骨盤を立てて、おへそを正面に向けておきましょう。
体の中心にある骨盤を立てその位置を安定させ続けることが、腰痛を避けるためにはとても大切なことなのです。
その理由について理解するためにも、逆の二つの現象を取り上げてみます。
それでは、椅子に深く座った場合に見られる二つの現象についても考えてみましょう。
一つ目の現象は、椅子に深く座ることで骨盤が後ろに倒れ、重心が後方に移動する反応に対して、上半身、特に腰骨を過剰に反らせ重心を前に戻そうとする動きがおこることです。
このような腰骨を強く反らせる動きが起こることで、腰にストレスがかかり、徐々に腰骨や関節を傷め、腰の筋肉を過剰に使い続けることによって腰痛が起こると考えられます。
もう一つの現象は、骨盤を後ろに倒し背中を丸くしながら、頭と首を前に突き出すことで前後のバランスをとろうとする反応が起こることです。
この時、腰や背中は丸くなるので、腰まわりの筋肉は伸ばされ続けます。
腰の筋肉や関節へのストレスは大きく、日常的にこのような姿勢を繰り返すことによって、腰痛が起こると考えることもできます。
また、この二つの現象に共通していえることもあります。
背骨の間には椎間板という骨と骨の摩擦を減らし、体重や衝撃を緩和するための丸くて弾力のあるクッションのような組織があります。
この椎間板は、背骨や腰骨を真っすぐに立てているときには、椎間板の中心に圧がかかるのですが、先程お伝えした二つの現象では、背骨が真っすぐに伸びておらず、腰骨を強く反らせ、腰や背骨を過剰に丸くした姿勢をとっています。
この時、椎間板にかかる圧は真ん中ではなく局所で圧を受けようとする反応が起こります。
このようにして椎間板の局所に強い圧を受け続けることによって、背骨の後方に椎間板の一部が飛び出し、背骨の真後ろにある神経を圧迫し腰痛を起こすことがあるのです。
これを椎間板ヘルニアといいます。
この二つの現象を通して考えてみても、椎間板ヘルニアや腰痛を避けるためには、座面に浅く座り骨盤を立てて、背骨を真っすぐに伸ばしやすい環境を作ることが非常に大切なのです。
背もたれには、もたれないようにしましょう
先程の椅子に浅くすることと同様に、背もたれには、もたれないようにすることが非常に重要です。
なぜなら、浅く座り骨盤を立てていても、背もたれにもたれてしまうと、少しずつ背中で背もたれを押し背中は後ろに残したまま、お尻が前に滑って姿勢が徐々に崩れてくるからです。
この時、体ではどんなことが起きているのかをイメージしてみましょう。
背中で背もたれを押し続けると、お尻が前に滑り骨盤が後ろに倒れていきます。
この動作に対して、頭と首は前に突き出すようにして前後のバランスをとろうとし、また背中で背もたれを強く押すことで、骨盤を反らせておなかを前方に突き出す様な姿勢をとることも予想できます。
ここで特に注目したいことは、滑っていくお尻に対して姿勢の安定を作り出すために、背中で背もたれをどんどん強く押し続けるということです。
この時、おなかが前に飛び出て腰は後ろから前に押される力を受け続けることとなり、その影響によって腰骨の関節や靭帯、椎間板を傷め、腰まわりの筋肉も硬くなって腰痛を起こす可能性が高まります。
このようなことから、もし皆様が、背中が疲れて背もたれにもたれたい思う時には、背中と背もたれの間にクッションを置いて背中で背もたれを強く押さないような工夫をすることが大切です。
腰痛を防ぐためにも一度試してみてください。
両膝とつま先を前に向けて、足裏で床を軽く踏んでおきましょう
座面に骨盤を安定させて座ることができたら、次は足裏で床を踏んで体を支えます。
両足は腰幅に開き、両膝とつま先は正面に向けておきます。
そして両足裏全体で床を軽く踏んでおきましょう。
そうすると太ももや下腹にも力が入っていきます。
この両足の土台としての機能は、腹圧を高めて腰を守るためには、とても大切なことなのです。
また、両膝の向きについてもお伝えします。
例えば両太ももが外側に開いたり、内太ももを接触させたりして座っている場合は、下腹や股関節まわりの筋力が弱いことを示している場合が多いです。
そのため、両膝とつま先は正面に向けて、足裏で床を踏み、太ももや下腹の筋肉を効かせることを意識してみてください。
上半身を支える下半身の土台を作っていきましょう。
腹筋を使って腹圧を高め、背骨を真っすぐに伸ばしましょう
骨盤を立てて、両足で床から支える下半身の土台ができたら、その上に背骨を真っすぐに伸ばし、腰に負担をかけないようにしていきましょう。
そのためには、腹筋を使って腹圧を高めることが重要です。
骨盤の底にある坐骨で座面を押して、おなかやおへそを背中側へと引き込みながら背骨を真上に伸ばしていきます。
さらに、頭のてっぺんが天井から引っ張られるような感覚までつなげていくのです。
このような姿勢をとることによって、腹圧が高まって背骨を真っすぐに伸ばすことができますし、腰まわりの過剰な負担が軽減されて腰痛も緩和していくことでしょう。
最初は、腹筋を効かせようと意識し続けることがとても大変に感じるかもしれませんが、おなかに力を入れていく練習を繰り返し行うことで、少しずつ座る姿勢が安定して腰痛も楽になっていくことが期待できます。
しかしながら、腰に痛みを感じ疲れた時は、一度座り続けることをやめてみるのも大切です。
立ち上がって歩いてみたり、ストレッチをして腰を緩めたりと、その疲れをとりながら痛みをコントロールしていきましょう。
胸を開いて両肩の力を抜きましょう
骨盤や両足の下半身の土台を使って、背骨を真っすぐに伸ばし姿勢が安定したら、今度は心地よく胸を開いて両肩の力も抜いていきましょう。
両手はテーブルや太ももの上に置いて、一度上半身をリラックスさせてみます。
どんな感じがしますか?
静かに座っているように見えていても、実は、両足裏で床を踏み、骨盤を立てておなかに力を入れ続けているのです。
またその上に背骨がまっすぐに伸びて胸が広がって、首や頭の位置も修正されていきます。
座っている姿勢全体が整ってくると、腰痛が軽減されるだけではなく、姿勢全体が美しいものに変わっていきます。
美しい姿勢を取り続けることは、体を健やかにするだけではなく疲れにくく効率的に動ける体を作ることにもつながっていくのです。
ご自身の体の可能性を広げましょう。
腰に負担のかかる座り方をやめよう
腰痛の原因、あるいは腰痛の悪化につながる座り方はすぐにやめてください。
足を組む
足を組むのは良くないという話は聞いたことがあると思います。
足を組んで座ると、骨盤にかかる力が左右で変わってしまい、その結果として骨盤が歪んでしまったり背骨が左右に曲がってしまう原因になります。
猫背になる
目の前のものに集中していると、いつの間にか猫背になっていることがあります。
猫背は腰の筋肉への負担がかかりやすいです。無意識に猫背になってしまう人は、日常的に腰への負担がかかっている状態なので、腰痛はもちろん、肩や首のこりに繋がってしまいます。
ずっこけ座りをする
ずっこけ座りというのは、椅子の浅い部分にでん部を置き、背もたれに体重を預けている状態です。顔を真っすぐ上げると上を向くような姿勢です。
この座り方を続けていると、腰椎のカーブが変わってしまうこともあり、椎間板ヘルニアに繋がってしまうリスクもあります。
腰痛を解消!腰への負担を減らす床の座り方とは?生活習慣が原因の腰痛対策
まとめ
今回、腰痛を避けるための座り方、5つの方法についてお伝えしました。
1.椅子には浅く座りましょう。
2.背もたれには、もたれないようにしましょう。
3.両膝とつま先を前に向けて、足裏で床を軽く踏んでおきましょう。
4.腹筋を使って腹圧を高め、背骨を真っすぐに伸ばしましょう。
5.胸を開いて両肩の力を抜きましょう。
皆様、いかがだったでしょうか?
座る姿勢は、座面上の骨盤をいかに安定させるかということが非常に重要です。
体の中心にある骨盤を安定させて腹圧を高めることなど、皆様にお伝えした5つの方法の全てでつながりがあり、それぞれを協調させながら姿勢全体を整えていくことが大切なのです。
毎日椅子に座るたびに、一つ一つの方法を実践しながら、腰痛を緩和させていきましょう。