腰痛持ちの人にとって、靴下を履くのは一苦労だと思います。「どういう体勢をとっても、痛くて上手く履けない」という方も多いのではないでしょうか。特に出勤前の朝は、「時間もないし、起床直後で腰も硬直してるし」で、大変ですよね。
今回の記事では、腰痛持ちの方に向けて、正しい靴下の履き方をお伝えしています。正しい履き方を学べば、腰への負担を避けつつ、スムースに靴下を履くことが可能です。
加えて、靴下を履くときの腰痛の根本的な治し方についても触れています。この方法を日常生活に取り入れていただくことで、腰痛が緩和されることも多いはずです。
慢性的な腰痛に悩む方に、ぜひ読んでいただきたい内容になっています。お困りの方は、ぜひ最後までお付き合いください。
目次
腰痛のときの靴下の履き方
靴下を履くときに腰痛が悪化する理由は、ずばり「筋肉の緊張性」が最大の原因です。
立った状態で靴下を履こうとすると、後頭部から足先にかけての、主に体の背面を構成する筋肉が連動して動く必要があります。この際に、筋肉が硬く緊張していると、腰に大きな負担がかかり、腰痛を引き起こすのです。
そのため、もともと腰痛持ちの方は、立ったまま靴下を履く動作は回避した方が無難です。代わりに、座ったまま腰になるべく負担をかけずに靴下を履く方法をお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
靴下の履き方1(あまり腰痛がひどくない場合)
座ったまま靴下を履こうとしても、腰痛を感じる人の多くは腰を丸める姿勢を取りがちです。できるだけ腰を伸ばした状態で靴下を履いた方が腰への負担は少なくて済みますので、その方法を伝授したいと思います。
まず、イスにやや浅めに腰掛けたら、靴下を履きたい方を上にして足を組みます。次に、靴下を履く動作に入るわけですが、ここがポイントです。胸を膝に近づけようとすると、どうしても腰が丸まりがちになってしまいます。そうではなく、組んでいる足の膝を斜め外側に引き上げようとすることで、両手が足先に届くようになります。両手が足先に届けば、あとは靴下を履くだけです。
繰り返しになりますが、ポイントは腰をなるべく伸ばした状態で靴下を履くことです。あまり腰痛がひどくない人であれば、この方法で履くことができると思います。
靴下の履き方2(腰痛がひどい場合)
腰痛がひどい場合は、先ほどの方法でも靴下を履くことが困難です。そんな方におすすめの方法が、以下の履き方です。
イスに浅く腰掛けることは同じです。座ったら上半身を斜め左に傾け、両足先を少し右へスライドさせます。そうしたら、無理のない範囲で左足を上にして足を組みます。
次に本格的に足を組むわけですが、腰痛がひどい場合は、この動作がつらいと思います。そこで反動を利用して足を組むのです。斜めにした体全体をまっすぐに起こすと同時に、左足膝を外側に突き出すことで、足を組むことが可能です。
これで腰を丸めることなく、両手が足先に届くようになります。もう片側も同様にして、靴下を履きましょう。
腰痛持ちが靴下を履くための裏技グッズを紹介
腰痛がひどすぎて自力で靴下を履くことが困難な場合でも、心配は不要です。世の中には便利なグッズがあるもので、前かがみができない方向けの「自動靴下履き器」が存在するのです。
いろいろな商品が販売されているようですが、最もメジャーなのは「ソックスライダー」です。
使い方はいたってシンプルです。靴下を広げるように器械セッティングしたら、その中につま先を入れるだけで、誰でも簡単に靴下を履くことができます。
用途はこれだけなので、使わないときはスペースをとることがデメリットですが、短時間でサッと靴下を履くことができるので、特に忙しい朝には重宝するアイデアグッズです。慢性的な腰痛でお悩みの方は、購入してみてもよいかもしれません。
靴下を履くときに腰痛を感じる理由
靴下を履くときの腰痛のつらさは、経験者ならよく分かると思いますが、痛みのメカニズムはどうなっているのでしょうか。
メカニズムを解明することで、腰痛の根本的な解決につながる可能性があります。ここでは、靴下を履くときに腰が痛む理由を解説したいと思います。
腰痛の大多数は筋肉が原因
腰痛と一口に言っても、その原因は実にさまざまです。椎間板ヘルニアのような神経性の痛みもあれば、圧迫骨折など骨が原因の場合もあります。
しかし、腰痛の最多の原因は筋肉の炎症によるものです。腰痛と聞くと、ぎっくり腰をイメージされる方も多いと思いますが、ぎっくり腰も腰周囲筋の急性炎症が原因なのです。
そのため、靴下を履く時に感じる腰の痛みも、筋肉が原因のことが多いのです。特に、立った状態で靴下を履こうとすると、大きく腰を前屈させる必要があります。このとき、後頭部から足先にかけての多くの筋肉が連動して動く必要があります。主な筋肉としては、脊柱起立筋・大臀筋・ハムストリングスなどが挙げられます。
複数の筋肉が連動して動く際、筋肉の柔軟性が低下していたり、筋膜(筋肉を包む膜のこと)が他の組織と癒着していたりすると、筋肉が円滑に動くことができず、腰への負担が大きくなります。これが、靴下を履くときに腰痛が生じるメカニズムです。
靴下を履くときの腰痛の根本的な治し方
靴下を履くときの腰痛を根本的に解決するには、ストレッチによる筋肉の緊張緩和が欠かせません。
ここでは、靴下を履くときに腰痛を感じやすい人に向けて、おすすめのストレッチを紹介したいと思います。
腰の筋肉のストレッチ
イスに浅めに座ったら、両手を地面につけるように前屈することで、腰の筋肉を伸展させるストレッチです。ポイントは、なるべく背中を丸めないように、足の付け根から体を屈めるように意識することです。
可能であれば、手のひら全体を床につけたいところですが、無理はせずできる範囲で行いましょう。前屈姿勢を30秒ほどキープすれば、ストレッチ完了です。
お尻のストレッチ
イスに座ったら、右足首を左膝の上に乗せます。次に、この状態のまま上半身を前に倒します。先ほどのストレッチと同様、背中が丸まらないよう、足の付け根から体を屈めるように心がけてください。
このとき、お尻の筋肉が伸びていることを感じながら30秒ほどキープすれば完了です。
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まとめ
腰痛時には正しい靴下の履き方がある!ストレッチで腰痛対策を!
今回の記事では、腰痛と靴下を履く動作について解説してきました。
腰痛時に靴下を履くときは、イスに座って履くことがおすすめです。本記事で紹介した方法を参考にすれば、腰への負担を最小限にして靴下を履くことができます。腰痛にお悩みの方は、ぜひ試していただきたいと思います。
また、腰部・殿部のストレッチをおこなうことは、腰痛の根本的な解決につながります。日常生活にストレッチを取り入れることで、腰痛が改善される方も多勢いますので、今日から実践してみてはいかがでしょういか。
参考文献
「靴下を履く動作の腰椎矢状アライメントの特徴」
河野 宗平(地域医療機能推進機構宇和島病院 整形外科), 藤田 勝, 友澤 翔, 藤井 充, 松田 芳郎, 渡部 昌平
中部日本整形外科災害外科学会雑誌 (0008-9443)61巻4号 Page751-752(2018.07)
「【症例クローズアップ 腰痛へのアプローチ】腰に施術しない方がよい腰痛の症例(原著論文/症例報告)」
山下 幸寛(やました鍼灸院)
東洋医学鍼灸ジャーナル 1巻 Page70-72(2008.03)