腰痛でお悩みの皆さん、朝起きがけに腰の痛みを感じた経験はありませんか?
私自身に朝起きる時に腰が痛くてつらかった経験があるのですが、これから1日が始まる矢先の腰痛で本当に滅入ってしまっています。
今回は起きる時の腰痛の原因と対策、予防をテーマにお話します。
目次
朝、起きる時に腰が痛くなる理由は寝返り不足?
この理由をお伝えする前の基礎知識として、寝ている時の体の状態と寝返りについて知っておきましょう。
皆さんは寝る時は横向きですか?仰向けが好きですか?
体は寝返りをうつことで血流を良くして体温管理と各部位にかかる負担を減らし、極端な体のバランスを無意識的に予防しているのです。寝返りの回数は個人差が大きいですが、研究から健康な成人が6時間の睡眠中、多いと平均24回前後、少なくても8回見られたとの報告があります。驚きの回数ですね。
温度や湿度でも寝返り回数は変化すると言われています。寝返りは骨盤を回転するので骨盤周り、お腹周りの筋肉がこれを可能し、筋肉や筋肉を動かす神経に問題がある場合、つまりは加齢による筋力の衰えや、病気があっても寝返りが難しくなります。
寝返りが多ければ腰痛も少なくなるのです。寝ている間に動かされない関節や靭帯、筋肉などが凝り固まってしまい、朝起きて動かそうとする際に痛みとして感じてしまうと推測されます。寝返りと起きるときの腰痛には、すべてではありませんが関係があるのです。
寝返りだけじゃない、起きる時の腰痛の原因とは?
前項では、寝返りと腰痛のかかわりについてお話しましたが、それ以外の、朝起きるときに腰痛を感じる原因はいくつかあります。
睡眠中の冷え
睡眠中午前4時頃には1番体温が下がり、熱を保つ為に特に手足、また腰から下の血流が低下します。そうなると筋肉が硬くなりやすく、疲れや痛みが取り除けずに出てくる可能性があります。
この冷えに関係するのが更年期障害です。エストロゲンというホルモンが低下するため、血流や神経のバランスも崩れやすくなります。
標準より体重が重い
腰は体を支える重要な部分で、自分の体重が重いほど腰にかかる負荷も大きくなってしまいます。
何らかの病気
腰痛を起こす病気は複数ありますが、朝起きる時に腰が痛いという訴えが多い疾患は、腰部の筋や関節に原因がある整形外科疾患で、病名を上げると変形性腰椎症、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などで、これらは動かさないでいることにより痛みが強くなる傾向があるといわれています。
動いているうちに痛みが和らぐことも多いのです。このほか、骨粗しょう症による腰椎の圧迫骨折とその後の変形、また、病名ではありませんがぎっくり腰も朝の起きる時に出てしまう方もいます。
寝返りもつらい、起きる時の腰痛もある方に知ってほしい病気とは?
ベッドから起き上がって座る動作を医学的には「起居動作」と呼び、日常生活の中の活動として介護の分野でも寝返りと合わせて評価する項目に含まれます。ご家族を介護されている方、介護施設で働いている方、本当に毎日ご苦労様です。
高齢になれば誰しも寝返りする筋力も低下しますが、起きる時はもちろん、寝返りも痛みで難しくなる病気も、いくつかあります。
例えば、生まれつきの脳に障害がある方、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患からくる身体不自由で手足が動きにくくなる、また動かなくなる麻痺があると寝返りも起きる動作も難しくなります。
一方、体の不自由がなかった人の方の中で寝返りも起きる時も腰痛がでる病気として有名なものにリウマチ性多発筋痛症があります。初めて聞く方もおられると思うのですが、一般的に筋の痛みが強くこわばる、50代以降に起こる原因不明の病気です。
この他、パーキンソン病やパーキンソン症候群でも寝返りがつらくなることがあります。この疾患も高齢者に多い疾患でふるえや動作が遅くなり、筋肉を動かしにくくなる病気です。
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朝起きる時の腰痛を軽減するには?
ここからは腰の痛みが出てしまったときの対策についてです。まずは起きた時の痛みで整形外科に行った方がよい場合の考え方、次に、自宅にいながら自分でできる対策と、腰痛を悪化させないための予防法をお話していきます。
起きた時に痛い腰痛の受診のめやすとは?
病気がすでにわかっているときは、根本的な問題解決としてかかりつけ医と相談して痛み止めや手術などの治療やリハビリテーションと体操が最善といえるでしょう。ぎっくり腰かと思ったら、動ける範囲で生活し、安静時の姿勢に気を付けることで次第によくなっていきます。
そうしていても痛みが強くなっていったり、寝返りも起き上がりも含めて日常の生活動作が次第に難しかったりするのであれば、ぎっくり腰以外の骨折や病気についての評価が必要ですので受診がおすすめです。
自分でできる、寝起きの腰痛を軽くする方法
自分で腰痛をコントロールできる方法をいくつかご紹介します。
寝具の工夫
一般的に、人生の3分の1は寝ている時間と言えるほど睡眠はおろそかにできない大切な時間です。寝具にこだわることができれば、さらに腰痛を含めて体の調子を改善させることに繋がるでしょう。
枕や抱き枕を使って寝る姿勢を背骨や腰にかかる負荷をより少なくしたり、金銭的にゆとりがあればですが、マットレスや寝具を硬めのものに買い替えたりするのも、腰には負担が少なくなることを知っておいてください。
寝具以外の工夫
まず、寝る姿勢ですが、腰に負担が少ないのは横向きといわれています。膝は軽く曲げ、もし可能であればクッションや使っていない枕を膝の下、足首の下に入れるとさらによいでしょう。
腰から下に触れてみて冷たい方は特に、体や足を冷やさないように電気毛布や湯たんぽを使ってみましょう。
体を温める食材
夕食に積極的に取る習慣も、時間はかかりますが冷えを改善する策の1つです。
どんな方でも、定期的な運動は大切です。筋力を維持すること、とくに腰まわりの筋力トレーニングが寝返りをしやすく、腰痛を起こしにくい体づくりに繋がります。
更年期障害でお悩みの方は、ホルモン補充の治療も症状を軽くできる方法の1つです。骨粗しょう症がある方も同様に、内服治療で骨折を予防していきましょう。
体重を制すると、腰痛が改善することもありますので標準体重を目指して食事と運動のバランスを見直してみましょう。
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横になった状態でのストレッチ
寝る前、または目が覚めて体を起こす前にストレッチをすることで体の血流をよくして、冷えを防止し、朝に凝り固まった筋肉をほぐす上、ストレッチ自体が脳の自律神経を刺激するので体の動きがさらにスムーズになります。
ストレッチのやり方としては痛くない程度に背伸びをする、足の指を自分で揉む、テニスボールを自分の腰の下に置いてゆっくりと体を揺らし、30秒ごと位置を動かしていくこともおすすめです。何をするにも痛くない程度で、ゆっくりと行うことがポイントです。
起き上がり方
あまり意識せずに体に負担をかける起き上がり方をしていませんか?コツですが、横向きになってから、下になる手と肘の力を使ってゆっくりと上半身を起こしてみてください。
横向きになったあと、足を先にベッドからおろした方が腰への負担はさらに減らすことができます。私も腰痛がつらくて起きるときに実践していたやり方です。
まとめ
今回は朝起きた時の腰痛、そして関連の深い寝返りと、予測される病気や原因、そして対策について知っていただけたかと思います。腰痛の種類によっては自分で予防やコントロールもできますので、よければぜひ明日の朝起きた時からさっそく、実践してみてください。
出典
腰痛ガイドライン
日本リウマチ学会
難病情報センター
理学療法学supplement 2014
腰痛|日本整形外科学会