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突然、腰に強い痛みが生じる急性腰痛症、いわゆる「ぎっくり腰」は絶対安静でないと治らないイメージがあるかもしれませんが、時期さえ間違えなければ、ランニングは急性腰痛症の改善や予防につながる良い薬にもなります。特に走ることが趣味の方は、「早く走れるようになりたい」「次のマラソンまでにしっかり治したい」などと考えることも多いでしょうから、ランニングを上手に再開することを意識しましょう。

今回は急性腰痛症をランニングで悪化させないための心がけを紹介します。ぎっくり腰後に安静にすべき期間や、腰痛持ちのランナーが急性腰痛症を慢性化させないためにすべきことなども解説するので参考にしてください。

ぎっくり腰になってから3日間の過ごし方

まずはぎっくり腰を発症してから3日間で意識すべきことを解説します。この時期は患部に炎症が見られることが多く、ランニングは休むのが賢明です。

当日や翌日は安静にしているのが良い

ぎっくり腰になった当日や翌日で、痛みが強い場合はひとまず静かに休養しましょう。立てないほど痛い場合は、横向きもしくは仰向けで膝下にクッションなどを入れて寝転び、痛みがおさまるのを待ってください。強烈な痛みが残るうちに無理して動くと、治るまでに時間がかかってしまうこともあるので、最初の1、2日だけはつとめて安静にするのがおすすめです。

患部に炎症がある場合は適度に冷やす

患部に炎症が見られる場合、つまり痛む箇所に腫れや熱っぽさがあるときは、氷嚢なので冷やすのも有意義です。ただし、冷やしすぎると効果が薄れたり、皮膚が痛くなったりすることがあるので、時々休憩もしつつ、適度なアイシングを行いましょう。

また腫れや熱感がない場合は、無理に冷やす必要はありません。冷やすことでかえって症状が悪化する場合もあるため、炎症がひどくないようならそのままにしておきましょう。温めることで痛みがましになる、気持ちよく感じるという場合は、温めても構いません。

コルセットや消炎鎮痛剤を使うのも有意義

ぎっくり腰の痛みが出た当日や翌日は、安静にするのが一番の治療法なので、コルセット(腰痛ベルト)を巻いて、腰回りを固定するのもおすすめです。巻けば腹圧が高まり、不必要な腰の動きも抑えられるため、痛みが和らぐことがあります。ただし、コルセットを常用すると、筋力の低下を招き、治りが遅くなってしまいます。そのため、着用するのは痛みが強い最初の数日だけにしましょう。

また消炎鎮痛剤は、ぎっくり腰の炎症を抑制するためによく用いられます。炎症を抑えたほうが、治りは早くなることから、市販の痛み止めなどを服用するのは有意義です。

動けるなら無理のない程度で動いたほうが良い

ぎっくり腰を発症した直後でも、少々痛くても動けるなら、頑張って動いた方が良いです。じっと安静にしている期間が長くなればなるほど、体力や筋力は落ちていくので、痛みがひどくないのであれば、休養にメリットはあまりないと言えます。痛み止めを飲めば動けるのなら、いつも通りに家事をしたり、無理のない程度に仕事をしたりするほうが回復には効果的です。

また痛みで立てない場合も、足首を回す、ゆっくりと深呼吸するなどして、できるだけ筋力を落とさないように意識しましょう。仰向けになってじっくり呼吸しながら、肘や手をついて徐々に腰を反らせてみるのもおすすめです。最初は痛むでしょうが、体勢を戻したときに症状が緩和されるなら、少々痛くても実践しましょう。

早く治したいなら4日目以降は安静にしない!

ぎっくり腰をできるだけ早く治す、そして慢性化させないようにするためには、安静にしすぎないことが重要です。じっくりと休養するよりは、痛みに負けない気持ちを持って頑張って動くほうが、ぎっくり腰はよくなります。よって走ることが好きな方は、早めにランニングが再開できるように努力していきましょう。

頑張って普段通りに日常生活を送ることを意識

急性腰痛症の発症から4日目以降に関しては、安静は有効な治療法だとは言えないので、できるだけ普段通りに日常生活が過ごせるように努めるべきです。今まで通りに家事をこなしたり、会社や学校に行ったりして、筋力や体力を落とさないように意識しましょう。

痛みが強いなら、まずは仰向けや四つん這い、座位でストレッチをする、手すりなどで体を支えながら家の中を歩くなどして、徐々に運動の強度を上げていってください。

ウォーキングから始めてランニングを再開

普段通りの生活をしてみて、痛みがほとんど出ないなら、ウォーキングを始めましょう。最初は歩幅を狭く、着地はかかとではなく足裏全体でやさしく行うのがおすすめです。またペースはゆっくりで構いません。数日をかけてだんだんスピードを上げていき、問題なければ軽いジョギングに移行しましょう。

走りはじめはしっかりと力を入れて足を動かすことを意識してください。脱力して跳ねるようにテンポ良く走ると腰に響くので、最初は坂を上がるときのようにじっくり筋肉を使って進むべきです。なお、ウォーキングもランニングも、やってみて強い痛みが出るなら、しばらく様子をみることを推奨します。

ブロック治療を受けてみる

「ブロック治療」とは、腰痛の原因となる神経周辺に局所麻酔薬を注射することで、神経の活動を抑制して鎮痛を図る治療法です。薬物治療の場合は、薬の効果が全身に及んでしまいますが、ブロック治療は疼痛部位にピンポイントに効くメリットがあります。また、ブロック治療の多くは、日帰りで実施できる点も魅力的です。

急性腰痛には数種類のブロック治療が施行されますが、どの治療が最も優れているかは確立しておらず、効果に差はないとされています。どのブロック治療が選択されるかは、腰痛の原因や痛みの程度、または実施者の経験などによって決まることが多いのです。

また、 いずれのブロック治療においても、穿刺部位からの出血、局所麻酔中毒、薬剤アレルギーが副作用として起こりえますので注意が必要です。

トリガーポイントブロック

トリガーポイントブロックとは、痛みの原因部位に直接針を刺して、局所麻酔薬を注入することで急性腰痛を緩和する治療法のことです。急性腰痛の場合、脊柱起立筋(腰の筋肉)が原因部位のことが多く、ここをターゲットにして針を刺します。他のブロック治療が神経の周囲に針を刺すのに対し、トリガーポイントブロックは筋肉自体に針を刺すため、神経損傷などは起こりにくいメリットがあります。比較的安全性の高い治療法とも言えるでしょう。

硬膜外ブロック

脊髄の外側には「硬膜外腔」と呼ばれるスペースがあり、ここに針を刺して局所麻酔薬を注入する治療法になります。注入された局所麻酔薬が、脊髄から出た神経をブロックすることで、高い鎮痛効果が期待できます。局所麻酔薬だけでなく、ステロイドも用いられることもあります。

脊髄の近くまで針の先端を進めるため、神経を損傷するリスクをはらむ点がデメリットになります。また、針を刺した部位から感染を起こすと「硬膜外膿瘍」という「膿の塊」を形成することがあり、長期の抗生剤治療や、場合によっては手術が必要になることもあります。

硬膜外ブロックにもいくつかの種類があり、急性腰痛に対しては、主に「仙骨硬膜外ブロック」や「腰椎硬膜外ブロック」が施行されます。いずれも針の穿刺部位が違うだけで、共通点も多い治療法になります。

椎間関節ブロック

「椎間関節」とは、椎骨(背骨のこと)と椎骨が連結して形成される関節部分のことです。レントゲンを使いながら、この椎間関節に局所麻酔薬を注入する治療が「椎間関節ブロック」になります。腰椎を伸ばした時に腰痛が強くなる場合は、椎間関節が原因で腰痛を引き起こしていることが多いため、椎間関節ブロックの適応になりえます。

余談ですが、腰を伸展させる、すなわち「反り腰」姿勢を取りがちな方は、日頃から椎間関節に負担をかけている可能性があります。猫背を矯正しようと極端に胸を張る姿勢が逆効果と言われるのは、これが理由になります。

痛みが引かないなら病院に行くべき

一週間経っても痛くて歩けないようなら、医療機関を受診しましょう。背骨を骨折していたり、がんや内蔵疾患が原因で腰痛が起こっていたりする可能性があります。特に「背中を叩くと痛む」、「発熱や倦怠感などの全身症状がある」、「夜間にも痛みがあってそれが次第に強くなってくる」などの症状がある場合は、早急に医者に診てもらうべきです。

アマチュアランナーが腰痛を予防するためにすべきこと

ランニングやマラソンが趣味のアマチュアランナーは、ぎっくり腰などの腰痛を予防するために、以下のようなことを実践してみてください。

適切なフォーム作りを行う

長距離を走る陸上選手には、あまり腰痛持ちがいないのに対し、アマチュアランナーには腰痛に苦しむ人が多いと言われています。これはほとんどが正しいフォームで走るプロに対し、アマチュアには良くないフォームで走る人がたくさんいるからだと考えられます。慢性腰痛やぎっくり腰の代表的な原因は不良姿勢であるため、悪い姿勢を長時間続けるランニングを継続すれば、腰を痛めるのも無理はありません。

よって腰痛持ちの方やぎっくり腰になってしまった方は、一度ランニングのフォームを見直してみましょう。走るときの姿勢が改善されなければ、しつこい腰痛が慢性化したり、ぎっくり腰が何度も再発したりする可能性があります。

腰を支える筋肉の強化やストレッチ

腰回りの筋肉が弱かったり、股関節や太ももの筋肉などの柔軟性が低かったりすると、腰痛になりやすいです。そのため、筋トレやストレッチを日頃から行って、腰痛が起こりにくい体を作ることをおすすめします。なお、「腰痛ドクターアプリ」というオンラインサービスでは、それぞれの腰痛を改善するのに適した運動療法が動画で提案されます。自分に合った筋トレやストレッチの方法が知りたい方はぜひお試しください。

強い痛みがないならランニングはしても良い

炎症がある発症直後を除き、ぎっくり腰に対して安静は決して有効ではありません。少々痛くても頑張って動くことが、早期に痛みを取り除き、症状を慢性化させないことにつながります。よってできるだけ普段通り生活するように心がけ、ランニングも早く再開できるように努力しましょう。またぎっくり腰を機に、フォームの見直しや体のメンテナンスを行うのもおすすめです。

参考URL

おしえて!ランナーズ!, テーマ「ぎっくり腰」,
https://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/run/runners/runners_bn200506.html
森田鍼灸接骨院, ぎっくり腰の時の運動開始時期と運動方法を埼玉県狭山市の整体師が解説していきます。
https://morita-care.com/incho-blog/%E3%81%8E%E3%81%A3%E3%81%8F%E3%82%8A%E8%85%B0%E3%81%AE%E6%99%82%E3%81%AE%E9%81%8B%E5%8B%95%E9%96%8B%E5%A7%8B%E6%99%82%E6%9C%9F%E3%81%A8%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%96%B9%E6%B3%95%E3%82%92%E5%9F%BC%E7%8E%89/
MELOS, 専門家が考える「腰痛」の原因・メカニズム・改善方法│スポーツと腰痛,
https://melos.media/wellness/14372/
サライ.jp, ギックリ腰を早く治す!やっていいこと悪いこと完璧マニュアル【川口陽海の腰痛改善教室 第6回】, https://serai.jp/health/340885
NIKKEI STYLE, あっ…「ぎっくり腰」 その直後、激痛でも動ける裏技, https://style.nikkei.com/article/DGXMZO58190910X10C20A4000000/

【参考文献】
Chou R, Qaseem A, Snow V, et al(2007)Diagnosis and treatment of low back pain:a joint clinical practice guideline from the American College of Physicians and the American Pain Society. Ann Intern Med 147:478-491

菊地臣一(監訳)(2002)
「急性腰痛管理―英国クリニカルガイドライン」
エフネットワーク

著者情報

腰痛メディア編集部
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