自転車に乗ることが多いものの、腰痛で乗るのがつらくなっていませんか?
できるだけ腰に負担がかかりにくい乗り方を取り入れて、少しでも腰痛をラクにしたいですよね。
実は自転車の種類や、サドルの高さを、あなたの腰痛のタイプに合わせて調節すれば、腰への負担を少なくできます。
今回紹介する、腰痛対策のための自転車の乗り方を実践して、腰痛から解放された自転車ライフをおくりましょう。
目次
自転車で腰痛になる理由
自転車で腰痛になるのは、腰周りの筋肉を酷使することで、血行不良になっているためです。
同じ筋肉が使われすぎると、筋肉が凝り固まってしまいます。
さらに血液循環が上うまくいかなくなることで、老廃物がたまりやすくなり、筋肉に疲労がたまってしまい、腰痛症へと発展していきます。
このように自転車などのスポーツで筋肉を酷使することによる腰痛を「筋・筋膜性腰痛」といいます。
他にも、「長時間の運転」や「力んだペダルの踏み込み」、「腰を支えるための体幹が足りない」ことで、さらに腰痛が悪化することがあります。
サドルが高すぎる|または低すぎる
ご自分に合ったサドルの高さになってないのも、腰痛が起こる原因です。
サドルの高さは、ペダルを一番下にしたときに膝がほんの少しだけ曲がる程度が目安。
地面に足がベッタリついてしまう場合は低すぎます。
また、サドルが高すぎるとペダルを漕ぐときに膝がロックするまで伸びてしまい、負担が大きくなります。
自転車の乗り降りも大変になり、場合によっては転倒しやすくなるので注意が必要。
ペダルを漕ぐときは母指球付近に乗せると、楽にペダルを漕ぐことができます。
土踏まずをベッタリ付けないのがコツです。
同じ姿勢を長時間続けるため
長時間自転車に乗っていると、同じ筋肉にストレスを与え続けるため、腰痛を起こしやすいです。
とくに自転車に乗る姿勢は前かがみであるため、負荷がかかりやすいです。
腰痛を防ぐためには、長時間同じ姿勢をとらず、腰周りの筋肉をバランスよく使うことが大切です。
無理にペダルを踏みこんでいるため
無理にペダルを踏みこむことで、さらに腰に負荷がかかると、腰痛が悪化しやすいです。
坂道を走るときや、スピードを出すときには、力みすぎないようにしましょう。
腰を支えるための体幹が足りていないため
体幹が足りていないために、腰を支えきれず負荷をかけてしまい、腰痛につながることがあります。
腰痛を予防するためには、体の軸を作る筋肉を鍛えることが大切です。
自分に合った自転車に乗っていない
ご自分の体形や生活スタイルに合ってない自電車だとカラダ無理な負担が掛かり、腰痛が起きやすくなります。
さまざまな自転車が発売されていますが、代表的なものを3つ紹介していきます。
•ママチャリ(シティーバイク)
•マウンテンバイク
•ロードバイク
シティーバイクはママチャリとも呼ばれ、値段の相場は1台2~3万とお手頃なのがメリット。
近所の買い物や、比較的短時間の通勤や通学向き。
しかしギアのバリエーションが少なく力が要るため、坂を上るときに足腰に負担が掛かりやすいのがデメリットです。
マウンテンバイクはタイヤが太く安定感があります。
舗装されていない道路でも安定して乗れて、ギアのバリエーションが豊富。
坂道が多くても無理なく乗りこなせることが可能です。
相場は5万円とママチャリに比べて値段が2倍ほど高いですが、シーンを選ばずに乗れて便利です。
ロードバイクは長い距離でもスイスイ移動でき、快適さやスピードはピカイチです。
デザインがスタイリッシュで格好いいのもポイントですが、前かがみになりすぎると腰への負担が増し、腰痛の原因に。
値段の相場も10万と高く、気軽に手を出しにくいのが玉にキズです。
自転車で腰痛が治ることもある?
自転車で、腰を支える筋肉を鍛えることで、腰痛を改善することが期待できます。
腰痛の原因の1つに、腰を支えるための体幹が足りていないことが挙げられます。
体幹がないと、ちょっとした負荷にも腰が耐えきれず、腰痛症を起こしやすいためです。
腰の周囲の筋肉として、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、脊椎起立筋があります。
これら腰周りの筋肉を鍛えることで、上半身の重みを腰椎や骨盤がしっかりと支えることで、腰痛がラクになるでしょう。
ただし自転車でもっとも使う筋肉は大腰筋といわれていますが、凝り固まると腰痛の原因にもつながります。
腰痛の原因は人によってさまざまです。
まずは自転車に乗ることを続けてみて、自分の腰痛に合っているか確認してみるのがよいでしょう。
自転車と徒歩、腰痛が治るのはどっち?
自転車よりも、徒歩のほうが腰痛は改善しやすいといえます。
立った姿勢は体重を足で支えますが、座った姿勢では上半身の体重がすべて腰にかかってしまうためです。
ただし自転車を全く使わずに徒歩だけで過ごすのが良いというわけではありません。
そもそも腰痛を防ぐためには、全身の筋肉をバランスよく使うことが大切です。
徒歩は足腰全体を使うために、腰痛解消につながりやすいです。
一方自転車は腰に負担がかかりやすいですが、大腰筋などの自転車でしか使わない筋肉を鍛えることができます。全身の筋肉をバランスよく鍛えるために、徒歩と自転車どちらも使うのがおすすめです。
ぎっくり腰の後に、自転車に乗ってもいい?
ぎっくり腰の後で痛みが落ち着いていれば、無理のない範囲で自転車に乗ってかまいません。
そもそもぎっくり腰を改善するためには、安静にするのではなく、動かして治したほうが良いといわれています。
できるだけ前かがみの姿勢になるのを避けて、腰に無理のない範囲で乗るようにしましょう。
椎間板ヘルニアでは、自転車に乗ってもいい?
椎間板への負荷を避けるために、自転車のサドルを適切な高さに下げて、乗るようにしましょう。
椎間板に加わる圧力は、姿勢や動作によって変化します。
立っている上体を圧力100とすると、椅子に座る動作は圧力140、椅子に座って前かがみになる動作は圧力185と高まると報告されています。
つまり、自転車のサドルに乗る際は、できるだけ前かがみにならないようにするのも大切です。
サドルの高さを少し低めにすると、前傾姿勢になりにくくなるので、自転車に乗る前に調節しておきましょう。
腰痛におすすめの自転車は?
自転車に乗る姿勢が前かがみになっている、またはペダルを踏みこむ力が強すぎる場合に腰痛につながりやすいです。それら原因を防げる自転車の種類として、「電動自転車」や「ママチャリ」、「クロスバイク」を紹介します。
電動自転車(電動アシスト自転車)
電動アシスト付きの自転車は、ペダルを踏みこむ力がいらず、腰への負荷が軽減できます。
坂道の発進時は、通常の自転車では強くペダルを踏みこまなければいけませんが、電動自転車であれば足をペダルに乗せただけで前進します。
腰に負荷をかけずに、快適に自転車に乗ることができます。
ただし通常の自転車が1~2万円で購入できるのに対し、電動自転車の値段は10万円を超えます。
一方「シェアサイクル」のサービスであれば、高いお金を出して購入せずに、1時間200円ほどで電動自転車に乗れます。
用途に合わせて、どちらがあなたに合っているかぜひ検討してみてください。
ママチャリ(シティサイクル)
ママチャリは前傾姿勢になりにくいため、腰に負担がかかりにくい自転車といえます。
さらにサドルのクッション性が高いママチャリであれば、体重や道路からの振動による腰やお尻への負担を軽減してくれます。
しかし一方で、前傾姿勢にならない分、道路からの振動はすべて腰にかかります。
また自転車自体に重みがあり、ペダルをしっかり踏み込まないと前に進みにくいため、その点は腰への負担がかかりやすいです。
体力が必要で、疲れやすい自転車であるため、長距離を走らない人におすすめです。
クロスバイク
ママチャリと比べると少し前傾姿勢ですが、その分ハンドルに体重が分散するため、腰への負担は少ないです。
また道路からの振動を、腰だけでなく腕からも吸収することができるため、腰痛の人におすすめです。
さらにクロスバイクはスピードを重視した作りになっていることから、軽くペダルを踏むだけでスムーズに前進します。
さまざまな点で腰への負担が少ない自転車といえるでしょう。
腰痛になりにくいのはどれ?自転車の種類を徹底解析!腰痛予防ストレッチも
自転車で腰痛になる場合の4つの改善法
1.自転車に合わせた姿勢で乗る
2.自分に合うサドルを選ぶ
3.片足で振り子ストレッチ
4.舗装された道路を選ぶ
ご自分の好みや体形に合った自転車やサドルを選ぶことで、腰痛改善に効果的です。
自転車の乗り方や、ストレッチも合わせてご覧ください。
自転車に合わせた姿勢で乗る
乗るときのポイント
•ママチャリ(シティーバイク)⇒ほぼ直立で乗る
•マウンテンバイクやロードバイク⇒競馬のジョッキーのように乗る
ママチャリを乗るときのポイントは、背筋をピンと伸ばして乗ることです。
ただし、良い姿勢を意識して胸を張りすぎてしまうと腰が反って腰痛になりやすい状態に。
ほんの少しだけ前かがみ(5度ほど)になる角度がベターです。
ひじは伸び切らない程度に伸ばし、リラックスしてハンドルを握りましょう。
マウンテンバイクやロードバイクは前かがみでOKですが、胴体の中心から折り曲げると腰への負荷が増え、腰痛が起こりやすくなります。
競馬のジョッキーのように、股関節から折り曲げるイメージで乗ると腰への負担が減ってとても楽。
前かがみの角度は45度前後が目安です。
下腹部は、風船をふくらませるイメージで力を入れるとお腹に力が入り、腰痛軽減に効果が期待できます。
自分に合うサドルを選ぶ
サドル選びのポイント
•クッション性がある
•破れにくい
•通気性が高い
サドルは素材や形状によっていろいろなタイプに分かれます。
値段が高いサドルの表面は本革になっているケースも多いのですが、メンテナンスが大変。
ママチャリに使われる合成皮革のサドルは、メンテナンスが楽です。
クッションの素材は低反発素材やウレタンが代表的。
ウレタンの方がリーズナブルですが好みや相性もあるので、ご自分に合ったクッション素材のサドルを選んで腰痛を軽減しましょう。
サドルの通気性にこだわる場合は、クロスバイクかロードバイクのサドルがおすすめ。
サドル中心部に穴が開いていて蒸れにくいため、長距離移動のときに力を発揮します。
快適さを重視する方はどうぞ。
振り子ストレッチ
メリット
•足がスッと上がり自転車に乗りやすい
•股関節の動きが良くなりペダルが漕ぎやすい
股関節まわりの筋肉が固いと、足が上げにくく自転車に乗るのも一苦労。
また、骨盤が後ろに傾くので腰の筋肉が引っ張られるので腰痛が起きやすくなります。
これから紹介する振り子ストレッチで、股関節の動きを良くしつつ腰痛を解消していきましょう。
振り子ストレッチの手順
1.片手は柱や壁にしっかりつける
2.柱や壁側の足で片足立ちする
3.かかとを前に軽く出す
4.振り子のように前後に振る
5.向きや足を変えて反対も同様に行う
股関節がほぐれてきたら、少しずつ動作をダイナミックにしてみましょう。
みぞおちから動かすと、さらに股関節周りがスッキリ軽くなりますよ。
回数はお好みで構いません。
片足立ちになるので、不安な方は壁や柱に手を当てて転ばないように注意しながら行いましょう。
股関節の痛みが強い場合は無理に行わないようにしてください。
舗装された道路を選ぶ
メリット
•ペダルを楽に漕げる
•腰への負担が減る
舗装された道は地面のデコボコやアップダウンが少なく、ママチャリでもペダルを楽に漕げるため腰痛軽減にはもってこい。
河川敷やサイクリングロードがご自宅や職場近くにある方は、積極的に使ってみましょう。
お休みの日は、ご自分のペースで漕ぐことで景色とサイクリングを楽しめて一石二鳥です。
まとめ
腰痛の原因は人によってさまざまです。
自転車に乗ることで腰痛が悪化するか改善するかも人によって異なります。
あなたに合った自転車の種類を選び、サドルの高さを調節できるようまずはいろいろと試してみましょう。
また自転車の工夫だけでなく、長時間の運転を避けて徒歩を取り入れることも大切です。
足腰をバランスよく鍛えて、腰痛から解放された自転車ライフを目指しましょう。
▼参考文献
青木虎吉 監修 「図解[腰痛の治し方]」主婦の友社
藤巻悦夫 監修 「よく効く腰痛治療全ガイド」主婦と生活社
黒田栄史 監修 「家庭でできる腰痛の原因と治し方」西東社