妊娠中の身体には様々な変化が起こります。お腹が大きくなることで、腰痛を感じる人も多いでしょう。しかし、妊娠中の腰痛の中には、切迫流産や切迫早産などの注意が必要な腰痛が潜んでいることも。異常を早く発見するためにも、妊娠中の腰痛の原因を知ることが重要です。
この記事では、腰痛の原因ともなる切迫早産・流産についてご紹介します。
その他の症状や治療についてもまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
切迫流産・切迫早産とは?
- 切迫流産とは、妊娠22週未満で「胎児が子宮内に残っており、流産の一歩手前の状態」を指します。流産とは妊娠の継続ができない状態をいいますが、切迫流産は継続できる可能性がある状態です。
- 切迫早産とは、妊娠22週以降から37週までに「子宮口が開いたりお腹が張ったりするなど、早産しかかっている状態」です。
つまり切迫流産と切迫早産は、同じ状態を、22週を境に分けたもの。切迫早産においても妊娠の継続が可能ですが、早期発見できなければ、流産や早産になってしまうことも。何よりも早く発見し治療することが重要です。
切迫流産・早産の原因
切迫流産・早産の原因は様々あります。早期の流産の多くは胎児側が原因です。中でも最も多い原因は胎児の染色体異常であり、予防は難しいとされています。
それぞれの原因を具体的に見ていきましょう。
染色体異常
早期の切迫流産の原因で最も多いのが、「染色体(遺伝子)異常」です。染色体の異常は受精の瞬間に決まるものであり、予防法はありません。この場合、流産への移行はほぼ避けられません。
多胎妊娠
いわゆる双子や三つ子など、おなかの中に胎児が2人以上いる状態です。胎児が一人の状態と比べて、流産や早産のリスクが高くなるといわれています。
頸管無力症
頸管と呼ばれる子宮の入り口の筋力がゆるんでしまう状態です。結果、胎児を支えきれずに流産となる可能性があります。
感染症
カンジダや細菌が原因で膣の炎症を起こすと、子宮に影響し原因となることも。絨毛膜などに炎症が及ぶと、子宮収縮の原因ともなります。流産・早産の原因として多くみられます。
子宮奇形
母親の子宮に奇形がある場合、形によっては妊娠・出産時に問題となる場合があります。流産や早産の原因にもなります。
絨毛膜下血腫
絨毛膜の下に血が溜まってしまう状態です。多くの場合では血を自然に吸収しますが、吸収されず大きくなると切迫流産・早産の原因になります。(参考:絨毛膜下血腫|公益社団法人日本産婦人科医会)
胎盤後血腫
胎盤と子宮の間に血腫ができてしまう状態です。出血が増えると胎盤の剥離につながるため、危険な原因の一つといわれています。(参考:常位胎盤早期剝離|公益社団法人日本産婦人科医会)
子宮頸部の円錐切除を行ったことがある
子宮頸部を何らかの原因で円錐切除している場合、頸部が短くなっているため、早産や流産を起こしやすくなります。
羊水過多
羊水過多は早期の子宮収縮を起こす原因になるため、切迫早産を起こす危険があります。しかしほとんどの場合は無症状です。
喫煙
喫煙は血管の収縮を起こします。血管の収縮により子宮へ行く血液が減少すると、切迫流産・早産の原因に。妊娠中は禁煙することが望ましいです。
これ以外にも、考えられる原因は様々です。早産は妊娠全体の約5%と決して少なくありませんので、腰痛や症状について知り、早期に対応することが大切です。
切迫流産・切迫早産と腰痛の関係
では、切迫流産・早産は腰痛とどのような関係があるのでしょうか。
大きくなった子宮は、背中側にも影響を及ぼします。その結果、子宮収縮や出血は腹痛のみならず腰痛として現れることも。妊娠中というのは、身体の変化によって腰痛を起こしやすい状態です。腰痛があるからといって、必ずしも切迫流産・早産ということではありません。その他の症状や原因と照らし合わせ、総合的に判断する必要があります。
切迫流産・切迫早産の症状
切迫流産・早産の腰痛以外の症状には、次のようなものがあります。併せてチェックしておきましょう。
- 子宮収縮(お腹の張りや腹痛)
- 下腹部の痛み
- 性器からの出血
- 腰痛
- 破水
- 無症状
これ以外にも、原因となる疾患の症状があらわれることも。いずれにおいても、症状が分かりにくい場合があります。そのため、出血やお腹の張りなどは特に注意が必要です。
切迫流産・切迫早産の治療方法
切迫流産・早産の治療は、主に以下の3つです。
安静
切迫流産・早産では、安静にすることが基本です。子宮収縮や子宮口が開くことを防ぐ目的で行われます。子宮収縮が強い場合は入院し絶対安静となることもあります。
子宮収縮抑制剤
妊娠16週以降では、子宮収縮を抑える目的で、子宮収縮抑制剤を使用します。内服薬から点滴薬まで種類は様々です。
感染の治療
感染症が原因の切迫流産・早産に対しては、膣の感染治療や予防のための治療が行われます。主に抗生剤を使用しますが、場合によっては膣内を清潔に保つために洗浄を行うこともあります。
これら3つの基本的な治療の他にも、それぞれの原因や状態に合わせた治療が行われます。子宮収縮や原因を改善しなければ、それに伴う腰痛も改善しません。流産や早産のリスクを下げるためにも、自分で判断せず、違和感を感じたら病院を受診することが大切です。
切迫流産・切迫早産の予防方法
- 適度な運動
- ストレスをためない
- 感染の早期発見
- 原因の改善
- バランスのいい食事
- 清潔に保つ
これらを行うことが、切迫流産・早産の予防には重要です。無理なく適切な生活習慣を心がけることも予防につながります。病院へ定期的に受診し指導を受け、ストレスなく妊娠生活を送るようにしましょう。
切迫流産・切迫早産だと思ったときの対処
出血や破水、お腹の張りなどの異常を感じたら、早めに病院へ行くことが重要です。少しでも疑わしいと思ったらかかりつけのクリニックを受診し、確認してもらうようにしてください。
切迫流産・早産は、まだ妊娠を継続できる状態です。流産・早産になる前に、適切な対処を行いましょう。
自己判断せず適切な治療を受けよう!
妊娠は病気ではありません。そのため少しの異常を感じても、大丈夫と思ってしまいがちです。しかし、症状が出にくい切迫流産・早産の場合もあります。安心して妊娠生活を送るためにも、自己判断はしないようにしましょう。
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