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看護・介護業界に従事している従業員、は患者さんや利用者さんの介助を行う際に腰痛を訴えるケースが多いと思います。

体位交換や移乗(トランスファー)介助、中腰となって作業することも多く、職業病の1つとも言えます。

腰痛が起こる原因や対策をまとめておりますので、腰痛を抱えながら仕事をしている看護・介護職の方、またスタッフの健康管理をしていきたい人事・総務の方はぜひお読みください。

業種別の腰痛件数第1位

厚労省の令和3年業務上疾病発生状況によると、仕事上の負傷に起因して4日以上休業した件数は2,187件で、そのうち腰痛が2,066件発生しています。https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27177.html

また、厚労省の平成30年及び令和元年労働者死傷病報告における業務上腰痛の発生状況に関する報告書によると、業種大分類別の業務上腰痛件数は、保健衛生業が3,195件(31.3%)と最も多く、次いで商業が1,688件(16.5%)、製造業が1,527件(15.0%)、運輸交通業が1,407件(13.8%)であると報告されています。https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/doc/houkoku/2021_05/lowerbackpain_h30-r01.pdf

いかに腰痛が発症しやすい職業か、他の職種と比べてみてわかると思います。

介護の仕事は腰痛と切っても切れない関係であるのであれば、いかに対策していくかが大事なポイントかと思います。

腰痛の発生個所を把握する

まず、職場ごとにどのような介護をしたときに腰痛が発症したかのリストを作成し、リスク管理をすることが大事です。

体位交換

ベッド上での体位交換(背臥位⇔側臥位)は実はそこまで力を必要としない動作となります。

身体の位置をベッドの頭側へ移動させる

車いすからベッドに戻って背臥位にするとベッドの下の方に位置してしまい、頭側へ移動する動作

食事介助

ベッド上での食事介助やテーブル上での食事介助

車いす⇔ベッドの移乗介助

目的とする場所への移動やベッドに戻る際に必ず行われる異常

入浴介助

更衣動作から入浴介助までの一連の流れ

トイレ介助

ベッド上またはトイレでの、更衣動作・清拭までの介助

腰痛を悪化させない方法

職場にリハビリスタッフがいれば介助方法を学ぶ

自分自身の身体が資本となる介護では、腰痛を発症させない方法を知る必要があります。

職場にリハビリスタッフがいれば、実際に介護する場面に同行してもらい介助方法を指導してもらうと良いと思います。

体位交換の介助方法

背臥位から側臥位に体位交換するとき、よく介護スタッフの方が介護してる方法をみていると介護者の下肢が真っすぐ伸びた状態のまま側臥位に交換しようとしているのを目にします。

体位交換のポイント

支持基底面をなるべく小さくすることです。支持基底面とは体重を支えるために必要な床面積です。

例えば、両足で立っている時よりも、片足で立っている時の方がバランスが崩れやすいと思います。つまり、面積が小さいほどバランスが崩れやすいので移動がしやすいのです。そして、介助する時は自分との距離が離れてしまうと、その分だけ力を必要とすることになるので、利用者さんとの距離は近くすることです。(背臥位から右側臥位にする時は、右側臥位の所に介助者は位置することです。

これを体位交換(背臥位→右側臥位)に当てはめて考えると、

1.背臥位の状態から両膝をなるべく深く曲げる(支持基底面を狭くする)

2.利用者の左肩と膝を持ち右側臥位にする

よく現場で見るのが、1を行わずに下肢を伸ばした状態のまま側臥位にしようとすることです。これだと支持基底面が小さくならないので、より力を必要とするので介護者の負担が増えてしまいます。

身体の位置をベッドの頭側へ移動させる

現場でよくあるのが、車いすからベッドへ移乗したものの、移乗した位置がベッドの尾側(下側)であったため、背臥位にした後に利用者の位置を頭側(上側)に移動することです。

この頭側に移動させる動作はかなり介護者に負担がかかります。なぜなら、先ほど挙げたように背臥位は一番安定している(支持基底面が広い)状態なので、力を必要とします。

この手間を省くのが一番時短にも繋がり介護者の負担を軽減させることができます。

そのためには、移乗させた後の背臥位になった利用者さんの状態をイメージしておくことです。利用者さんによって伸長に違いがあるので、伸長が低い女性などはなるべく頭側に最初から位置するように、伸長の高い男性はベッドの真ん中あたりに移譲させた時にお尻が位置するように計算することです。

ですので、なるべくベッド周りの環境は整えておくことが大事です。
ベッド柵がある場合は予め外しておくなど。

車いす⇔ベッドの移乗介助

この介助が一番負担が多いと感じている人が多いのではないでしょうか?
介護度の高い利用者さんほど介助量が増えるので介護者さんの負担が増してきます。特に片麻痺で弛緩している利用者さんほど重みを感じるので大変になります。

福祉用具が使える環境であれば、使えるものは利用しましょう。訪問などはスライディングボードなどの福祉用具は限度額の関係や必要性なども踏まえて、ケアマネージャーと相談されても良いかと思います。ご利用者さんのご家族がその福祉用具を利用するかなどにもよりますが、検討してみても良いかと思います。

移乗で一番腰に負担がくるのが、利用者さんを離臀させてから車いすやベッドに座らせるまでです。

移乗のポイント

1.介護者の両足を広くとり支持基底面をなるべく広げる(介護者を安定させるため)
2.利用者さんとの距離をなるべく近づける
3.自分の姿勢をなるべく低くし、離殿させる
  このとき利用者さんの重心を自分の支持基底面内にいれる
  (距離が離れると自分の支持基底面から外れてしまうため、安定感が低下する
   =力で支えないと支えられなくなる状態)
4.自分の支持基底面内で方向転換し着座させる

このように行うことで介護者の負担を軽減させることができます。

環境とボディメカニクスをいかすこと

介護の負担を減らすには環境面を自分が介護をしやすいように整えることがまず第一で、その次にどのように介護を行うかがポイントになります。

腰痛予防の運動療法を日頃から行う

肉体労働であるからこそ、ご自身の身体を普段からいたわることが何よりです。
https://yotsu-doctor.zenplace.co.jp/media/treatment_list/1522/

また腰痛診療ガイドライン2019改訂版第二版(https://minds.jcqhc.or.jp/docs/gl_pdf/G0001110/4/Low_back_pain.pdf)では

運動療法の「推奨度1、合意率90.9%、エビデンスの強さB」となっており、運動療法が推奨されています。
上記腰痛診療ガイドライン2019改訂版第二版より引用。

またコクランレビューによると腰痛にたいするマッサージのエビデンスの質(https://www.cochrane.org/ja/CD001929/BACK_yao-tong-nidui-surumatusazi)は、すべて「低」または「極めて低い」に分類されおります。

このように、正しい運動療法で腰痛を改善・予防していくのが良いのではないでしょうか。

まとめ

今回の記事では腰痛になりやすい介護業界についてまとめました。
腰痛との関わりが深いからこそ、腰痛になりやすい箇所の把握をスタッフごとに共有し、どのように予防していくかの取り組みが大事になってきます。

出典

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27177.html
https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/doc/houkoku/2021_05/lowerbackpain_h30-r01.pdf
https://yotsu-doctor.zenplace.co.jp/media/treatment_list/1522/
https://minds.jcqhc.or.jp/docs/gl_pdf/G0001110/4/Low_back_pain.pdf
https://www.cochrane.org/ja/CD001929/BACK_yao-tong-nidui-surumatusazi



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著者情報

腰痛メディア編集部
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