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女性にとって40代~50代は丁度体に変化が起こる時期です。出産される方や出産から解放され閉経を迎えられる方もおられます。

この時期は個人差が激しい時期です。更年期は女性ホルモンが急激に低下するため、体の不調を訴える人が多く、生理の終わる前後の10年間は更年期障害を経験される方も多いです。そのため、腰痛などの症状を訴える人が多くなっています。

女性特有の腰痛の原因と、女性特有の腰痛になる病気についてまとめてみました。

女性の腰痛の原因

女性の腰痛の原因

女性特有の腰痛の原因とは、妊娠や生理痛など女性ならではの腰痛があります。生理痛が強い人は、下腹部痛だけでなく腰痛も伴います。

妊娠される方は妊娠中お腹を支えるため、体の重心が変化し上体をそらせた姿勢になるので腰痛になりやすいです。子宮が大きくなり、骨盤の周りの筋肉が引っ張られて腰痛になることもあります。

育児や家事に追われ身体的・精神的な負担が原因で、腰痛の慢性化になりやすいです。更年期障害になると、女性ホルモンのバランスが崩れることから腰痛が起こりやすくなります。

また、重い病気が隠れていることもあります。子宮内膜症のような婦人科の病気や、骨粗しょう症なども近年無理なダイエットなどで、この年代からも起こっています。

骨密度が減って椎骨に影響を受けやすく、圧迫骨折など起こって脊髄神経根が圧迫され、背中に慢性の痛みが起こり腰痛になる人もいます。

日常生活における腰痛の要因

日常生活を送るうえでどのような腰痛になる要因があるのでしょう。

1. 個人的要因
2. 姿勢・動作の要因
3. 環境要因
4. 心理的・社会的要因

腰痛を発症する要因に上記の要因が密接にかかわっています。要因をすべて取り除くことはできません。しかし、少しでも取り除くことで腰痛は軽減されることがあります。

どのような要因があるかを知って、取り除ける要因は少しでも取り除きましょう。

個人的要因

・男女差と年齢
・筋力と筋肉のバランス
・体格・身長・肥満度などと作業空間
・基礎疾患や既往歴の有無

個人的要因としては、人それぞれ性別や年齢が異なります。男性は女性より一般的に腰痛を訴える人が多いです。男女差・年齢などによる要因は取り除けません。

スポーツをしている人と全く運動をしていない人では、筋肉の付き具合や筋力は異なってきます。また、基礎疾患や既往性のある人ない人では違いがでてきます。

個人的要因の中には改善できないものありますが、筋肉をつけたり筋力をつけたりすることはできないことではありません。

腰痛を訴える人の中には、筋肉が少なく筋力のバランスが取れてない人が多いです。筋力のバランスのない人は、筋トレで筋肉をつけることで腰痛が軽減されることがあります。

背骨を支える筋肉をつけることで腰痛も軽減。筋肉をつけるのに一番よい方法は全身運動のウォーキングなどがよいですが、背骨を支える筋トレなどやると腰痛も軽減されるでしょう。

筋トレをやる場合は自己流でなく、専門家の意見を取り入れて行ってください。

姿勢・動作の要因

・看護師や介護士の方などの人の介護
・同じ姿勢を長時間行う
・重量の物を持ち上げる
・不用意な動作
・不自然な姿勢

日常生活を送る中で本人の姿勢や動作が、腰痛の要因に深くかかわっています。その中で一番多いのが職業病といわれる看護師・介護士さん、荷物を運ぶ人、長距離運転手さんなどです。

看護師・介護士さんたちは、自分より重い体重の人を移動させたり、運んだりしなければいけません。そのような仕事をしているとどうしても腰痛を引き起こします。

そのような仕事をこなすうえで必要なのが、パワーポジションの姿勢を自然ととれる体制を整えておくことです。

パワーポジションとは、動きやすい動作で素早く次の動作に移れる準備姿勢です。この姿勢はサッカーなどでよく使われています。この動作を習得していると仕事が機敏にできます。

不用意な姿勢や動作で重いものを持ち上げようとすると、腰をすぐ痛めてしまいます。物を持ち上げるときは、対象物に体を近づけ重心を低くして、持ち上げる習慣をつけ、体を捻る動作は絶対に取らないようにします。体を捻ると腰痛になりやすいです。

また、長距離運転手さんやデスクワークをしている人などは、同じ姿勢を続けなければいけません。腰に負担をかけることになるので、ときどき休んだり、姿勢をかえたり、ちょっとした体操をするなどして体をほぐしてください。

椅子に座る場合前傾姿勢を取らないことが大事です。椅子や机の高さなど自分の体形に合わせて調節します。長距離運転手さんも椅子の調節は大切です。

環境要因

劣悪な環境下で長く日常生活を送っていると、自然と体のバランスが崩れ腰痛の症状がでます。環境は要因の中でも一番取り除ける分野です。できるだけ劣悪な環境下では作業をしないようにしましょう。

特に仕事などの作業をする場合は、周りと相談して環境改善を図ることが大切です。寒冷や多湿の環境のもとでは、温度や湿度を保ちましょう。

暗くて見えない環境のもとでは明るさを適正にします。滑りやすい床などは滑りにくくし、設備やレイアウトの空間は煩雑にしないで、空間を広げ整理整頓した環境を保つことが大切です。

運転手さんで振動を伴う運転をする環境のもとでは、クッションなどを用いて振動を分散できるよう工夫して腰痛予防に努めます。

心理的・社会的要因

・仕事上のトラブル
・上司や同僚との関係
・過剰労働や心理的負担
・仕事への遣り甲斐

私たちの体には痛みを和らげる働きが脳にあります。しかし、日常生活で家庭や職場環境でストレスを感じ続けると、この機能がマヒして慢性的な痛みを感じるようになります。

心理的・社会的要因で起こる腰痛の特徴は、他の腰痛と違い痛みが朝方感じます。腰に異常がある腰痛は、体を動かすほど痛みはひどくなって夕方痛みが強まるのが普通です。

朝の午前中に起こる抑うつ的な気分や、意欲低下により腰痛が強くなるのが心理的要因の特徴で、午後から夕方にかけて症状が軽減されていきます。

私たちの体には自律神経があり、自律神経は食べ物の消化・吸収など内臓の活動や呼吸など無意識な働きをしています。

自律神経は私たちの体でバランスを取りながら健康な体を維持しています。交感神経は緊張したときに、副交感神経はリラックスしたときに優位に立ちバランスを取っています。

腰痛を感じるのは、ストレスを感じると緊張状態で交感神経が優位に立ち、痛みを和らげるドーパミン物質が分泌されなくなり、感情や恐怖、不安を安定させるセロトニン物質が分泌されなくて、痛みを感じるノルアドレナリンが多く分泌されるためです。

心理的要因の腰痛は、普通の腰痛と違い痛みがぶり返します。ストレスがもとになっているので、ストレスを改善しないと腰痛も治りません。

心理的要因のある腰痛を改善するには、日常生活を見直して心の持ち方を変えることが必要です。性格にもよりますが、前向きで明るい性格になるよう心掛け痛みから逃れましょう。

もし、どうしても自分だけではダメな場合は、カウンセリングや薬物治療を行うこともよいです。

女性の原因となる病気(女性特有の腰痛)

内臓の異常による腰痛は関連痛というもので、痛みの原因と違う場所に発生する痛みのことです。その原因となる病気に次のような病気があります。

乳ガン

乳がん

女性特有のガンで40代から急激に増加しています。また、ガンが転移して腰痛になることもあり、乳房周辺のリンパ節に転移しやすく、腕がむくんだりしびれたりすることがあります。

乳頭から血液が混じった分泌がでたり、乳房の近くにえくぼのようなものができたり、赤く腫れあがったり乳房の表面の皮膚に異常が現れてきます。

乳ガンは女性ホルモンが関係しているといわれますが、原因はまだはっきり分かっていません。早期発見だと治癒は可能で腰痛だと思って放置することは危険です。

近年は超音波検査やマンモグラフィーなど乳ガン検診も簡単に行われますので、定期的に検診を受けましょう。

子宮ガン

子宮がん

子宮ガンは近年40代~50代の女性に増えてきています。子宮ガンの割合は年々増え、症状は閉経後の不正出血です。そのほかに腰痛・下腹部痛・血尿・血便などの症状がでます。

近年出産経験がない人が増え、閉経が遅い人も多く、エストロゲンの刺激が長期間続くことが原因とされています。肥満やエストロゲンを分泌する腫瘍が原因です。

また、エストロゲンに関係なく発生する場合もあります。子宮ガンも早期発見が必要です。

子宮内膜症

子宮内膜症

子宮内膜症は40代の女性に多い病気で、原因ははっきり分かりませんが、生理がある5~10%の女性に発症するといわれています。

子宮以外の場所に月経周期により組織が増殖し、それを排出できないために起こる疾患です。自覚症状もない方もおられます。

症状は月経時の下腹部痛・腰痛・排便通・月経時以外の下腹部痛・性交痛などの痛みや不妊症の原因にもなります。

子宮筋腫

子宮筋腫

子宮の筋肉が変化して起こる良性腫瘍で、女性4人に1人が子宮筋腫をもっているといわれています。腫瘍の小さいうちは自覚症状がありません。

腫瘍が大きくなると生理痛が強くなり、経血増加、生理日数が10日以上続いたり、レバーのような血の塊が混ざったりなど月経時に症状がでます。このほかの症状に腰痛や下腹部痛、頻尿などの症状が出る場合があります。

筋腫にはそのほかに頚部筋腫(けいぶきんしゅ)漿膜化筋腫(しょうまくかきんしゅ)などがあり、下腹部痛や腰痛の症状がでてきます。

骨粗しょう症

骨粗鬆症

骨粗しょう症は70歳以上の女性に多いといわれていますが、近年は食生活の変化や無理なダイエットから40代~50代女性でも骨粗しょう症になる方がおられます。

それを解消するには筋力を高めることが必要で、筋トレは骨折予防にも役に立ちます。閉経を迎え女性ホルモンが減少すると骨粗しょう症になりやすいです。骨粗しょう症は骨がカスカスになります。

圧迫骨折

圧迫骨折

骨粗しょう症で起こる骨折ですが、症状がでないこともあります。お尻から脚にかけしびれや痛みを感じ、身長が4cm以上低くなり、背中が丸くなっていると可能性が大きく、骨がカスカスで押しつぶされ変形してしまいます。

以上女性特有の病気で腰痛が出ることがあります。この場合は安静にしていても痛みが取れないことが特徴で、早めの医療機関への受診が必要になってきます。

栄養不良が原因の腰痛

栄養不良が原因の腰痛

腰痛と食事はあまり関係ないように思われますが、栄養バランスが乱れると腰痛か悪化することがあります。特に糖質を取りすぎるとその傾向は強いです。

AGE(糖化最終生成物)という物質は骨や軟骨・筋肉・じん帯を劣化させます。これは食事を摂取する中で糖質を摂取すると、体内で最終的にブドウ糖に変化しますが、多量にブドウ糖が体の中で存在するとAGEという物質を作り出します。

このAGEは椎間板の成分である線維輪(せんいりん)を劣化させもろくさせるので、背骨が移動して椎間板の中心にある髄骨がずれたとき繊維輪を傷つけるため腰痛になります。

過剰な糖分を取りすぎないことと、ビタミンDやカルシウム・マグネシウムやビタミン類などを摂取するよう心がけましょう。

骨といえばカルシウムですが、カルシウム以外にビタミンDはカルシウムの吸収を助け、マグネシウムも骨を作るうえで必須の栄養素です。

また、ビタミンCは骨・筋肉の腱・靭帯などに必要不可欠なコラーゲンの合成になくてはならない栄養素です。骨に関係する栄養素だけでも、多くの種類の栄養素を必要とします。

腰痛を解消するには骨だけでなく筋肉や神経機能も丈夫にしなければいけません。そのためには筋肉や神経機能を保つカルシウムやマグネシウムも必要となります。

また、これらの栄養素を運ぶのに血液の流れをよくすることが必要です。ビタミンEやEPA・DHAなど、疲労回復やストレスに強くなる働きのビタミンCやビタミンB群などの栄養素が必要となります。

女性の筋力低下が原因の腰痛

筋力低下

40代~50代にかけ、筋力も低下してきます。脊柱起立筋やその奥の多裂筋など、筋肉が衰えてくると筋力も弱くなりこれらを支えている筋肉が衰え腰痛に。

腹筋や背筋など姿勢をまっすぐに保つ筋肉が弱ると、ちょっとした動作でも負担となって骨を支える筋肉や関節などに支障をきたし腰痛の症状がでるのです。

腰痛の原因となる筋肉には多裂筋・最長筋・腸助筋・腰方形筋があります。これらの筋肉低下により、筋力が衰えてくると、骨を支えることが難しくなり腰痛につながります。

筋肉と腰痛との関係は密接です。筋肉は使用しなければ委縮して衰えますが、適度に筋肉を日常生活で意識的に使うだけで筋肉の衰えは遅くなります。

毎日ウォーキングなど続けるだけで筋力維持・筋力アップにつながります。50代になると基礎代謝量が低下するため肥満になる可能性が大きいです。

腰痛の予防にはウォーキングがおすすめ

腰痛を予防するには全身の体の筋肉を動かすことが大切です。それに一番良い運動は有酸素運動を取り入れたウォーキングです。
1. 遠くを見て前をしっかり見る
2. 腕を大きく振る
3. やや大きな歩幅で歩く
4. 1日15分から20分程度
5. 少し汗ばむ程度で、無理のない適度な強度が重要で、毎日持続することが重要です。

姿勢改善に役立つ体操

1. 肩幅より少し広めに平行に足を開く
2. 手首をウエストよりやや下に来るようにかざす(両手をできるだけ近づけ骨盤を手首に近い部分で押し込む)(押し込むときは両肘を内側に寄せる)
3. 目は斜め30°
4. お尻を手で押し込むイメージで肘を寄せる
5. 胸をゆっくりと開く
6. つま先に重心をかける(膝は曲げない)
7. かかとが浮くか浮かないくらいの状態で30秒保持
8. ゆっくりと元の状態に戻す

まとめ

40~50代女性の腰痛の原因とそれに関連した病気をご紹介してきました。腰痛の多くは少しの注意や運動で改善できます。

しかし、それ以外に重篤な病気も潜んでいることがあるので、腰痛が酷くて楽にしても改善しないときは迷わず医療機関を受診しましょう。

腰痛の原因が分かれば対処もしやすくなります。腰痛となる病気の原因がないか観察して、医療機関に行かなければ治らないものは速やかに医療機関を受診し、心因性要因の腰痛は気の持ち方で腰痛が軽減されるので原因を知ることは大切です。

著者情報

腰痛メディア編集部
腰痛メディア編集部

痛みや体の不調で悩むあなたへ、役立つ情報をお届け。

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