腰痛と足のしびれが同時に出ていると、何か病気が原因なのではないか?と不安になりますよね。しかし、素人ではどんな病気が関係しているのか調べるのも一苦労です。
そこで今回は、腰痛と足のしびれが同時に出る可能性のある病気をご紹介します。病気の症状や治療方法を理解して、不安な気持ちを少しでも軽くしましょう。
目次
腰痛と足のしびれが出る原因
次の5つの病気・症状が原因として考えられます。
● 坐骨神経痛
● 腰椎椎間板ヘルニア
● 腰部脊柱管狭窄症
● 腰椎すべり症
● 子宮筋腫
上記のように原因を特定できる腰痛は「特異的腰痛」といいます。医師の診察や画像検査で原因がわからない腰痛は「非特異的腰痛」と呼ばれます。
特異的腰痛は腰痛患者の15%ほどしかいないため、一般的に腰痛といわれるのは非特異的腰痛です。
非特異的腰痛はセルフケアでも軽くなりますが、特異的腰痛は医療機関での治療が必要です。
腰痛と足のしびれが出る病気の症状・原因・治療方法
腰痛と足のしびれが同時に出る病気・症状を詳しく解説します。
坐骨神経痛
坐骨神経痛の症状
腰痛以外に、お尻や脚のうしろ側・外側、すね、ふくらはぎに次のような症状があらわれます。
● 痛み
● しびれ
● 麻痺
● 張り
● 冷感や灼熱感
● 締めつけ感 など
症状は一部分だけに感じることもあれば、脚全体に強く感じることもあります。中高年の方に多く見られることが特徴です。
症状が悪化すると、立っているだけ・座っているだけでもつらくなり、日常生活に支障が出る可能性があります。
なお、坐骨神経痛は病名ではなく症状をあらわす言葉として使用されています。
坐骨神経痛の原因
さまざまな病気が原因となりますが、よく見られるのは腰椎に異常が発生して神経根が圧迫されるものです。
運動のしすぎや運動不足、デスクワークでの座りっぱなしが原因となることもあります。
年齢が若い方は腰椎椎間板ヘルニアや梨状筋症候群、高齢の方は腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアが原因となる場合が多いでしょう。
坐骨神経痛の治療方法
基本となるのは薬物療法や理学療法です。痛みが改善されない場合や排尿・排便に障害があらわれる場合は手術の検討が必要です。
コルセットを使用する装具療法は、腰を安定させたり痛みを回避したりする効果が期待できます。症状が改善されてきたら、ストレッチや体操といった運動療法が行われる場合もあります。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアの症状
腰やお尻の痛み、足のしびれや痛みといった症状があらわれます。症状が悪化すると足に力が入りにくくなり、つまずきやすくなる場合もあります。
前かがみになるときや椅子に座るタイミングで、痛みやしびれが強く出る場合もあるため注意が必要です。
まれに神経が強く圧迫されると尿が出にくくなったり、便秘がちになったりする症状も見られます。
腰椎椎間板ヘルニアの原因
椎間板の老化が原因として考えられます。悪い姿勢での動作や喫煙が原因となる場合もあります。重いものを持ち上げたり、体を大きくひねったりするタイミングには注意が必要です。
腰椎椎間板ヘルニアの治療方法
痛みが強いときは安静にし、コルセットの装着も検討します。また消炎鎮痛剤や筋弛緩剤の使用、神経ブロック(注射)などで痛みを和らげます。
痛みが和らいできた際に取り入れる場合があるのは、けん引やマッサージ、運動療法です。
症状が改善されない場合や筋力の低下、排尿障害が見られる場合は手術が検討されます。近年は内視鏡を使用した低侵襲手術が広まってきており、入院期間も短くなっています。
👉腰椎椎間板ヘルニアと腰痛 痛みの原因と治療法 |
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症の症状
間歇性跛行(かんけつせいはこう)が特徴的な症状です。間歇性跛行とは、少し歩くと足がしびれたり痛くなったりして歩けなくなりますが、少し休むとまた歩けるようになることをいいます。
そのため長い距離を歩き続けるのは難しくなります。
安静にしていれば症状が出ることは少なく、腰痛もあまりひどくありません。しかし背筋を伸ばして立つ・歩くといった動作のときに、足にしびれや痛みが生じます。
前かがみになったり椅子に座ったりすると楽になることが特徴です。
症状が進むと足の力が弱くなったり、肛門周辺にほてりを感じたりすることがあります。尿の出が悪くなる・漏れやすくなる場合もあります。
腰部脊柱管狭窄症の原因
加齢や背骨の病気、労働による負担が主な原因として挙げられます。50代以降の方に多く見られることが特徴です。
年齢を重ねると、背骨が変形したり椎間板がふくらんだりする場合があります。すると神経が圧迫されて神経の血流が低下するため症状があらわれる、というのが発症の流れです。
脊柱管は前かがみになると広がるため、間歇性跛行(かんけつせいはこう)が起こります。
腰部脊柱管狭窄症の治療方法
一般的な治療法は、鎮痛消炎剤の使用とコルセットの装着です。温熱療法や理学療法、神経ブロックなどを並行して行う場合もあります。また筋力トレーニングやストレッチなども同時に行われます。
歩く距離が短くなった場合や、排泄障害・筋力低下などが見られる場合は手術の検討も必要です。近年は内視鏡を使用した低侵襲手術も行われています。
腰椎すべり症
腰椎すべり症の症状
腰椎すべり症は「分離すべり症」と「変性すべり症」の2つに分けられます。
「分離すべり症」は腰痛やお尻・太ももの痛みが症状としてあらわれます。腰を反らせたときに痛みが強くなることが特徴です。
10~15歳ころから腰痛は出ますが、高齢者までの幅広い世代では腰痛のほか足の痛みやしびれも出ます。
「変性すべり症」は立つ・歩くといった動作中にお尻や太ももに痛みが生じて歩けなくなります。しかし休憩を挟むと再度歩けるようになることが特徴です。
腰痛が出ることは少なく、人によっては腰痛が出ない場合もあります。
腰椎すべり症の原因
「分離すべり症」は、繰り返し腰椎を反らせる・回すといった動作が原因と考えられています。スポーツの練習などが関係しており、一度の動作で発症するわけではありません。
「変性すべり症」の原因は明らかになっていませんが、ほとんどは加齢による椎間板や椎間関節の変性によって腰椎がずれてしまいます。中年以降の女性に多く見られます。
腰椎すべり症の治療方法
薬物療法や理学療法が行われます。腰への負担を軽くするためにコルセットを装着したり、神経ブロック注射を行ったりもします。
また、けん引療法、温熱療法、リハビリテーションなども並行して行い、症状の改善を目指します。
改善が見られない場合や痛み、しびれ、麻痺、排尿障害があるなどして日常生活に支障が出る場合は手術の検討も必要です。
子宮筋腫
子宮筋腫の症状
主な症状は月経痛や経血量が増加することです。そのほかに腰痛や頻尿、便秘などがあります。筋腫のできた場所によって症状が異なることが特徴です。
人によっては症状がまったく出ないこともあります。
妊娠しにくかったり、流産しやすかったりする場合もあります。
子宮筋腫の原因
明らかな原因はわかっていません。しかし、女性ホルモンのエストロゲンが筋腫の成長に関係していることはわかっています。
子宮筋腫はめずらしいものではなく、高校生や大学生などにも見られます。
子宮筋腫の治療方法
治療が必要かどうかは人によって異なります。筋腫が小さく症状もなければ治療は不要です。サイズが大きく、今後大きくなりそうな傾向がある場合は、手術か薬の治療を検討します。
手術には子宮をすべて取るものと、筋腫のみ取るものの2種類があります。薬物療法で使用されるのは点鼻薬と注射薬の2種類です。経口避妊薬のピルを使用する場合もあります。
まとめ
腰痛以外に足のしびれも出ている場合、病気が原因となっている可能性があります。仕事が忙しいと誰もが自分の体のことは後回しにしがちですが、まずは整形外科などの医療機関を受診しましょう。
整形外科では理学療法士によるリハビリを受けることが可能です。リハビリではストレッチや筋トレなどの腰痛体操を指導してくれ、腰痛改善が期待でします。
早期治療は早期回復につながる可能性が高いため、放置せずにすぐ治療に望むことが大切です。しっかり治療すれば、毎日を快適に過ごせるようになりますよ。