起きたとき、動こうとしたとき、寝ているときでさえ…、ふとしたときに腰が痛いことはありませんか?骨や、神経痛とは違い筋肉痛のような鈍い痛みを腰に感じたら腰痛が悪化しているサインです。寝相が悪かっただけだ、もしかしたら筋肉痛かもしれないと簡単に思わず、早めの対応をしていく必要があります。
なぜ腰痛になるのか腰の筋肉の役割や腰痛になる原因を紹介していきます。
目次
腰の構造と腰痛へのメカニズム
腰の筋肉は主に腸腰筋、腰方形筋、骨盤底筋群で成り立っています。とくに腸腰筋はあばらあたりから股くらいまである大きな筋肉です。ここで体全体のバランスを保っているため、とても重要な筋肉といえるでしょう。
腰方形筋はウエスト部分にあり、体を屈曲する際に必要な筋肉です。この筋肉も体幹バランスの保つ役割があります。骨盤底筋群は女性だったら一度は聞く筋肉だと思います。
骨盤、子宮、膀胱を支えている筋肉です。産後や加齢に伴って筋肉が衰えていくと尿漏れの原因になります。なんらかの原因で腰の筋肉が正常に機能しないと、骨や骨盤が正しい位置にいられなくたるため腰痛の原因になってしまいます。
そうすると体の至るところに歪みがでてしまったり、歪みがでることで骨や神経が圧迫されて、さらに腰痛が悪化してしまうといった悪循環に陥ってしまう可能性が非常に高いです。
原因・きっかけ
腰の筋肉が痛む原因はさまざまあります。ここでは『がんこな腰痛・肩こり・関節痛はこれで治る!』『腰痛・肩こりの科学』『よくわかる腰痛症の原因と治し方』より、原因をいくつか紹介をしていきます。
悪い姿勢による筋肉への負担
スマホの導入、ハイヒールの使用、デスクワークや長距離運転による長時間の同一体位で脊柱骨や椎間板に負担がかかり、猫背姿勢となることで背骨全体に歪みがみられようになります。
歪みがでると、それを支えている筋肉に負担がかかっている状態になります。腰の筋肉は脊柱骨や椎間板に加わる力を緩和する役割を持っています。
また筋肉が強く働いて緊張することにより、脊柱にかかる力を弱めることができます。ただ筋肉が張っていたり、硬くなっていたりと、常に筋肉が働いている状態だと腰痛を起こしてしまいます。
筋膜性腰痛
前述にもあるように不良姿勢や同一体位によって、筋の疲労がたまったことでおこる腰痛です。これらはトリガーポイントといった筋肉が硬結した部分を中心にあり、そこを圧迫することで痛みが明確になります。どの部分が腰痛につながるのか 5 つ紹介していきます。
腸腰筋
腰痛の中の原因でとくに見落としやすい筋肉です。大腰筋、腸骨筋、小腰筋 3 つの筋肉の総称です。腸腰筋の場合は姿勢を保持するために負担にかかりやすいです。歩行や股関節の屈曲や伸展にも影響をもたらします。骨盤を支える役割も持っているため、常に収縮していると腰椎が前湾し、骨盤が前傾します。
それによって椎間板が圧迫され腰痛が起きます。女性の場合、骨盤が前傾すると便秘や生理痛などの原因にもなるため注意が必要です。
腸腰筋が原因で腰痛を起こしている場合、殿部や大腿の痛みを感じることもあります。
腰方形筋
長時間の不良姿勢で疲労が起きたり、硬結することで体の捻じれが生じて腰痛が現れます。また腰方形筋が短縮されてしまい、骨盤の高さが左右で異なるといった姿勢の変化があります。ウエスト部分にある筋肉のため、歯科医師など斜めの位置で作業をする方に多いです。
また側弯症といった脊柱が側方に曲がることで起きる脊柱全体の捻じれや、脚身差が認められる場合は腰方形筋に過度の負担がかかっていることがあります。
おしりの筋肉
おしりの筋肉は臀部筋といわれ、大殿筋・中殿筋・梨状筋の 3つの筋肉で成り立っています。臀部の痛みを腰痛と感じる方もいます。委縮や何らかの疾患が原因で麻痺がおこると歩行が不安定になります。非常に弱化しやすい筋肉のため、損傷後や安静が必要な場合は弱化しないようにトレーニングが必要になることが多いです。
また梨状筋症候群や小殿筋の関連通は坐骨神経痛を起こしている場合があり、実はおしりの筋肉が痛いのですが腰の痛みとして感じられます。
多裂筋
脊柱深層に走行している長い筋肉で、部位ごとに頚多裂筋、胸多裂筋、腰多裂筋の 3 つ分かれています。細かい筋が重なるようにして連結しており、脊柱の伸展運動の役割と椎骨同士を引き付けて安定させる役割を持っています。ただ脊柱の伸展運動は弱いといった弱点を持っています。慢性腰椎症の方の多くは、この多裂筋の委縮が考えられています。
脊柱起立筋
脊柱の浅層に位置しており、脊柱に対して平行に走行しています。頸腸助筋、胸腸助筋、腰腸助筋、頭最長筋、頸最長筋、胸最長筋、頸棘筋、胸棘筋の 8 つの長背筋群の総称です。これらは錐体や椎間板を保護する役割を持っています。これが硬結していたり、常に緊張していると血流不全にもなるため、さらに腰痛につながります。
とくに腰腸助筋は腹筋やおしりの筋肉にも関連している大きな筋肉のため腰痛の原因になりやすいといわれています。
心因性(ストレス)による筋肉の緊張
精神的なストレスが直接、腰痛につながることはほとんどありません。ただストレスによって、ほんのわずかな腰痛に敏感になり、それがまたストレスになるとなり、自律神経失調症や慢性疲労症候群などの悪循環をもたらす可能性があります。
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肥満による負担
体重肥満によって筋肉や骨全体に負担がかかり、神経が圧迫れることで腰痛が起きます。脂肪が多いと思ったように動けなかったり、動けないことや体が重いためにさらに動かなくなるために筋肉が使われず弱化していく場合があります。そうすると臓器にも影響がでることも考えられるため、ダイエットを心掛けましょう。
まとめ
以上のことから腰痛の原因は神経や骨だけでなく、筋肉が痛むことで起きる場合があることがわかると思います。腰部の筋肉は日常生活のシーンでさまざまなことに使われるため、腰痛は避けられないかもしれません。
ただ原因やきっかけを知ることで予防したり、悪化防止に努めることができます。もちろん何かしらの疾患であったり、長時間の同一姿勢、姿勢不良があげられているため日常生活の見直すことも必要といえるでしょう。
腰部の筋肉の近くには腎臓などの臓器もあります。腰痛がでてきたら簡単には考えず、どんな痛みなのか、どれくらい痛みが続いているのか、基礎疾患はないかなど確認し、腰痛やそのほかの疾患が悪化しまいように早めに受診しましょう。
【参考書籍】
『がんこな腰痛・肩こり・関節痛はこれで治る!』 中川卓爾著 株式会社日本文芸社 平成 5 年 9 月
『腰痛・肩こりの科学』原因から治し方・防ぎ方まで 新井孝和著 株式会社講談社 1996年 10 月
『よくわかる腰痛症の原因と治し方』 中尾浩之著 株式会社秀和システム 2016 年 9 月
【参考】
腰痛 日本整形外科学会